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医学書院の方に贈呈いただいた一冊。おもしろくて一気に読んでしまった。
著者の森臨太郎氏は、小児科新生児、周産期医療のスペシャリストでロンドン大学の公衆衛生学熱帯医学大学院に留学し、7年イギリスやオーストラリアの医療を内側から参与観察した人だ。
参与の仕方はかなりディープで、National Institute for Health and Excellence(NICE)に関与して、治療ガイドラインの作成にも関与しているので、ブレア政権下の医療政策策定にまでタッチした数少ないpractitionerの一人。
自らの参与的経験をもとに筆を進めるライティング・スタイルには好感が持てる。古くはジョン万次郎のように漂流の果てに異国に棲み、その経験を日本語で伝えるというスタイル。とくに医療システムのような制度比較が重要な分野では、cross institutionalな経験を基盤にする比較の視点は、本質的に重要だと思う。
ガラパゴス化する日本では留学も海外でのワーク経験を追求しようとする人々は少数派。しかし、知的プロフェショナルはその真逆をいかなければならない。
さて、この本のNHSトラスト、診療ガバナンス、NICE診療ガイドライン策定プロセスなどのディテールに関する記述は気が利いている。このあたり、日本の医療政策策定のために大いに参考になる。
NHS Directについてはこの本を通読してからNHS Directサイトに飛んで歩きまわるとよく分かる。なるほど、NHS Directは医療におけるサービス・イノベーションだ。
民主党に政権が転換し、長年政府自民党が進めてきた医療費抑制政策にいかに修正をくうぇるべきかを論ずるときなどに、よくイギリスの医療政策の転換が言及される。長年、医療サービスを市場原理にゆだねてきたアメリカよりも、政策という点では、英国の苦渋の経験にこそ、学ぶものは多いと思われる。
ネットサーフしていてたどり着きました。
日本を少しでもよくしたいと思い、今イギリス医療制度が日本に適用できないかを話し合っています。ただまだまだ駆け出しでわからないことばかりですが。
ですのでとても興味がでる本でした!いますぐ買いいってきます☆ありがとうございます。
小泉政権の医療制度改革も、とどのつまりは「年次改革要望書」に沿ったもので、アメリカの国益に準拠したものだったことが、明らかになりつつあります。
がんばっていい提案してください。