大学のグローバル・イノベーション人材の開発というミッションを帯びてトルコを旅している時、興味を持っていろいろ調べてみたのが山田寅次郎。特定の人物の足跡を追いながら歴史を探索するのも旅の楽しみです。
第23講:グローバル・イノベーション人材、山田寅次郎と日土友好
熱血漢の快男児、寅次郎。さすがにトルコ知識人の中での知名度はありますが、いっしょに行った日本人の間では学生を含めて山田寅次郎のことは全くといっていいほど知られていません。
そりゃちょっとまずい、ということで書きました。
大学のグローバル・イノベーション人材の開発というミッションを帯びてトルコを旅している時、興味を持っていろいろ調べてみたのが山田寅次郎。特定の人物の足跡を追いながら歴史を探索するのも旅の楽しみです。
第23講:グローバル・イノベーション人材、山田寅次郎と日土友好
熱血漢の快男児、寅次郎。さすがにトルコ知識人の中での知名度はありますが、いっしょに行った日本人の間では学生を含めて山田寅次郎のことは全くといっていいほど知られていません。
そりゃちょっとまずい、ということで書きました。
トルコから帰国してすぐに日本医科大学にてグローバル・ヘルスの視点からemerging countriesの医療システムを"5S-KAIZEN-TQM"アプローチで高めてゆこう、というディスカッションに参加した。
インターナショナルヘルスのサークルではグローバルヘルスへと概念転換が進行中だ。
以下は、日本国際保健医療学会/国際保健用語集より。
<以下貼付け>
保健医療問題が国境を越えて拡がる事が多くなってきた。発展途上国、工業国にかかわらず国際保健医療の問題が発生して健康格差が生じている。これらの問題の実態を明らかにして解決方法を探り対策を講じる必要性が増している。
今までインターナショナルヘルスが一般に使用されてきたが、地球規模の問題は国境の概念を超えるので用語にもグローバルヘルスが導入、使用され始めている。交通運輸の革命的発展がこれらの進行を促進している。国際政治の世界的展開にも関わりグローバルヘルス問題はますます関心を集める様になっている。
地球環境問題の影響の拡がりも大きな要因である。世界の保健医療問題を世界規模で対応するのは国連の世界保健機関(WHO)であるが、各国共に関心が増大しODA, 財団などNGOも積極的に乗り出している。グローバルヘルスで対象となる分野は極めて広いが、従来からの懸案として挙がっているのは感染症、母子保健、栄養不足問題などインターナショナルヘルスと同様であるが、難民の保健問題、糖尿病など栄養異常問題、生殖医学、生命倫理などを取り入れる立場もある。感染症問題ではエイズ、結核、マラリア(ATM)が三大感染症として大きく取り上げられているが、その他にも生命に大きく関わる下痢症、呼吸器感染症などに支援がなされている。
ワクチンで予防できる感染症は世界規模で対策が進められていて天然痘の根絶成功いらいポリオ、麻疹などに進展が期待されている。インフルエンザ、SARSなども地球規模(Global)の対策が必須である。如何にして対応するかが国際的な競争の中で研究、実行されている。
<以上張り付け>
たしかに、上の文章のようにGlobal healthは医学、疫学の視点から議論されることが多かった。しかし昨今は、health services systemの視点が不可欠となってきている。さらには医学、疫学上のインベンションの成果を広範に社会に普及させてポジティブ・インパクトを高めるためには、医療サービスのインフラたる医療システムの適正化が問われつつある。
医学、疫学マターが中心ならば上図のインタラクション層の一方の当事者である医師のチームがあたるだろう。ところが、医療システムを相手にするとなると、医療組織、プラットフォーム、健康基盤が問題となってくる。つまり、health research, health services, system science, health policy, social sciencesなどの広範はアプローチが必要となってくる。
"5S-KAIZEN-TQM"は日本ではモノつくりの製造業を中心に1960年代から1980年代まで規格大量擦り合わせ型モノツクリ・カルチャーがピークを迎えた時代に花咲いた手法だが、以下のような視点の加味が必要だと思う。
①モノではなくサービスにおいて展開するときには、product-dominant-logicからserice-dominant-logicへと転換させることが必要になるだろう。医療サービスは「サービス」なのだから。
②アメリカのように医療サービスを市場原理に過度の力点をおいて構成するのには無理がある。公・共の原理をいかに盛り込んでゆくのか。そのバランスが問われる。
③経営システムにはグローバルに普遍的な側面もあるが、国や地域に応じた多様な側面もある。すべてを一元的な収斂論に整理することはできないだろう。
④途上国の社会を支える医療システムを適切に進化させてゆくのは、社会イノベーション(social innovatin)。日本は市場化の側面が強調されがちだが、途上国では事情が異なっている。
医療システムは病院(hospital)だけが中心ではないが、途上国では病院が中心的存在だ。病院は労働集約的な組織である。モノツクリでは主要な対象はモノ(product)だが、医療サービスでは、いわずもがなのコト(service)。
医療サービスは人に始まり、人で終わる。すなわち、人的資源管理(human resources management)や組織行動(organizational behavior)の活性化がカギとなる。またそれらに依拠したツールが要請されるだろう。
以上を十分に包摂したフロントラインを支えるバックヤード・システムの高度化、適切化は途上国においても重要な課題である。
いずれにせよ、各論が大切だ。
このところ、忙しかったのでブログの更新もままならず。
Portlandで開かれたPICMET2011という国際会議で一本発表してから帰国し、その足で夜に名古屋へ移動。翌日、中部大学のサマーマネジメントプログラムで講演をやってから自宅に一旦帰り、身支度を整え3時間仮眠をとってから、また成田へ。
そして、成田からドバイ経由でイスタンブールに飛び、アンカラへ。東京農工大学イノベーション推進機構の教職員海外セミナーで、アンカラ大学とイスタンブール大学を訪問してワークショップ、学術交流開始記念式典、ランチョンなどに参加。
大学発のイノベーションを推進するためには、大学のステークホルダである学生、職員、教員がバラバラではなくチームを組んで、グローバライゼーションの当事者として変革の発火点にならなければならない、というこのプログラムの主旨はストライクゾーンのど真ん中。
このワークショップ(実践のための具体論=手法)が優れもので、実践志向のイノベーション教育にぴったりの内容。その骨子は、イノベーション推進機構の中心メンバーがスタンフォード大学が提供しているプログラムに参加してローカライズしたものだ。
農工大博士課程学生と職員、教員、アンカラ大学の学生、教員がマッシュアップし、チームを作って、具体的なイノベーションのネタづくりをする。大ざっぱに言えば、グループワーク・ベースでアイディア・ジェネレートして、発表、内省、シナジー効果の昂揚を図るというもの。
技術をベースにしたイノベーション&アントレプレナーシップの実践型教育プログラムはこんな感じでデザインXインプリメントしてきた。
で、今回得た着想は:
学期15回の授業のうち、戦略、マーケティング、ファイナンス、オペレーションのテクニカルな内容を講義、ディスカッションしたあとで、このサタンフォード/農工大仕様のワークショップを展開してゆけば、かなり高度なイノベーション実現のためのビジネスプラン創発のプラットフォームになるだろう。
結論、技術イノベーション志向のアントレプレナー養成コースに十分使えるということ。
イノベーション&アントレプレナーシップの実践教育プログラムづくりをしている自分としては喉から手が出るくらい欲しかったものなので、今後詳細を検討して導入したい。
アンカラ大学とイスタンブール大学との連携・交流アグリーメント、シンポジウムは大変格調高いものだった。今後に期待。
農学系D学生が多かったが、来年以降は工学系の学生や専門職大学院学生にまで参加が拡がればよいだろう。
◇ ◇ ◇
ロードス島からトルコをまじかに見たことはあったものの、実際トルコの地を踏んだのは初めてだった。
実は、今回の参加に合わせて、歴史、宗教、経済、インテリジェンスなどの課題をもってゆき、それぞれ、いろいろな発見があったので、それらは別の媒体や機会などで紹介する予定。
ここでは写真などをほんの少々。
<イスタンブール大学>
<ボスポラス海峡>
<参加したD学生>
<トルコ・コーヒー>
これから1週間かけてたまった仕事や原稿を消化して、札幌市立大学での講義と夏の北海道に備える。