よしなごと徒然草: まつしたヒロのブログ 

自転車XアウトドアX健康法Xなど綴る雑談メモ by 松下博宣

Linux World からコマーシャル・オープンソース・ワールドへ!?

2007年05月31日 | オープンソース物語
小雨模様の東京ビックサイトにて行われているLinux Worldとあわせて開催されたオープンソースソフトウェア協会の総会へ急行し、コマーシャル・オープンソースについてのプレゼンテーション。雑談のようなトーンで小一時間勝手なおしゃべりをさせていただいた。

Linux Worldは縮小傾向なのか?オープンソース化の中心がすでに基盤=Linuxではなくなり、業務アプリ領域に移っていることを実感する。コマーシャル・オープンソース・ワールドなんていう名称の方がいいのではないか、などという話が総会のあとの懇親会で出ていたくらいだ。

つまり、オープンソースとしてのLinuxは当たり前の時代になってしまったのだ。OSSの動向は、基盤からミドルウェアそして、エンタープライズレベルでの業務アプリケーションに向かっている。OSSユーザの関心も確実に、業務アプリに向きつつある。また仮想化技術により、OSSスタックが中抜きされれば、ユーザの目はおのずと、人間とソフトウェアが接する最上位の業務アプリに集中するのは明らかだろう。手前味噌だが、このような動向を受け止め、ケアブレインズでは業務アプリ・レイヤのOSSにフォーカスした日本コマーシャル・オープンソース・フォーラム(COSF)を立ち上げ毎回盛況。秋口には第3回COSFを開催する予定だ。

なにはともわれ、OSS系の方々の集まりは話が濃くて、刺激にみちみちていた。また雑踏というほどでもないが、行き交う参加者や各社のデモを見ながら、Linux Worldの背後に広がるオープンソースの時代の変化の潮目を感じた一日だった。

第2回日本コマーシャル・オープンソース・フォーラム開催中

2007年05月16日 | オープンソース物語
略してCOSFと通称される集まりです。今回のCOSFは東京ビックサイトにて、NEC様、NRI様の参画を得て開催中です。

コマーシャル・オープンソースとは、基本的な機能を無償ソフトウェアとしてコミュニティに公開する一方で開発者や利用者のノウハウを集積し、企業向けの高機能や高付加価値サービスを別途有償で提供するソフトウェア、またはそのビジネスを指します。オープンソースとしてエンタープライズレベルの機能・品質に進化しつつも、低価格帯域でのリーズナブルな価格を実現するものです。

このようにコマーシャル・オープンソースという文脈には、ネット上のコミュニティで、不特定多数の開発者が集結し、多種多様な技術や知識を自律的にわかち合うというエコモデルが存在しながらも、ビジネスセクターが、その成果物であるソースコードを活用して、新たな収益源を追求しようとするビジネスモデルが存在します。

web2.0時代と呼ばれる今日、エコモデルとビジネスモデルがシンクロナイズするコマーシャル・オープンソース領域で、数多くのイノベーションが生まれています。ソフトウェアを取り巻く世界において、コマーシャル・オープンソースは、個人と企業組織というイノベーションの孵化装置が加算複合する場でもあります。当フォーラムは、そのような「場」づくりをめざしています。


ソースコードつきオンデマンド・サービス=SugarASP開始でSaaSは進化!

2007年05月14日 | オープンソース物語
SugarCRM日本語版のオンデマンドサービスSugarASPをアナウンスさせて頂きました。

この件に関するニュースではSalesforce.comと比べて劇的に安価な価格に注目が集まっています。ムリもありません、Salesforce.comなど今までのオンデマンド・サービスが高すぎたのです。しかし、今回発表させていただいたサービス価値の隠し味、真骨頂は、お客様が手にされる運用オプションという価値であることにぜひ、お気づき頂きたいと思います。

すなわち、SugarASPオンデマンドサービスを利用いただくお客様には2年目以降にソースコードをまるごと提供いたします。そのままSugarASPオンデマンドサービスをご利用いただいても結構ですし、社内サーバに切り替えていただいても結構です。

このように、お客様が運用スタイルを変更して頂けるようにしたことが今回の挑戦ですが、これはすべてお客様のナマの声にもとづいて戦略立案されたものです。

・SFDCなどオンデマンドサービスはある程度ID数がまとまると費用が高くなる。
・オンデマンドサービスではキメ細かなカスタム化ができないか、高くつく。
・オンデマンドサービスにロックインされるのはコリゴリだ。

例えば、運用1年目はある部署がCRMを体験したりプロトタイプを運用しながら足りない機能や連携機能を洗い出し、2年目に本格的に自社運用されることを望まれるお客様が多いのです。

いままでのオンデマンドCRM業界にあるようでなかったサービス。それはズバリ「運用スタイルの変更オプションの提供」というサービスです。SaaSとオープンソースと仮想化が交わる領域には、新しいサービスが花開くと以前から言ってきました。そして、このようなテクノロジーをマッシュアップすることによって生まれるサービスをデザインするサービスサイエンスのあり方にも注目が集まることでしょう。今後もサービス・サイエンティストの集団としてさまざまな価値の提案をさせていただく予定です。

仮想化とオープンソース化の合流はプロプラな既得権益をブチ壊す

2007年05月06日 | 技術経営MOT
VM(Virtual Machine)のオープンソース化動向に注目したい。仮想化の領域で市場から高い評価を受けているのはEMCの子会社のVMwareだ。VMwareはプロプラ製品だが、仮想化にもオープンソースの波が押し寄せている。

その震源地のひとつは、KMVだろう。KVMは、新興企業Qumranetが後押しするオープンソースプロジェクト。KVMとは、「カーネルベースの仮想マシン」(Kernel-based Virtual Machine)の頭文字を取ったもの。1台のコンピュータを複数の仮想マシンに分割するさいに、Linuxベースの新しいメカニズムを採用している。

仮想化は煩雑だったインストールの手間を大いに省く。また仮想アプライアンスのメンテナンスやアップデートの自動化によって、ユーザの消耗とコスト負担が劇的に減る。ソフトウェアをライフサイクルを持ったプロダクトとしてとらえると、仮想化はソフトウェアの開発と消費を促すことになる。基盤、ミドルウェア、言語、などを業務アプリの下にひとまとまりにぶら下げてサーバやPCに仮想的に格納できるので、ユーザはヤヤコシイ基盤、ミドルウェア、言語をことさら意識しなくてもよくなる。

2007年後半は、仮想化とオープンソース化の二大激流が交わり、相乗効果をもたらすこととなるだろう。で、どんな効果があるのか?

・物理コンピューティングのシガラミにとらわれないリソースの有効利用
・ガサばるサーバ、クライアント環境などのスリム化、リーン化
・上質なOSSがより身近に使われるようになる
・ASP型のオンデマンドから業務アプリ・スタック一体型の適時適材適所型オンデマンドの勃興
・IDCの余剰スペースの有効活用

こうした動きは、個別の現象として顕れるのではなく、加算複合したビジネス現象として現れることになるだろう。ユーザにとって見れば、この加算複合のメリットは計り知れない。また加算複合を仕掛けるビジネスプロデューサの位置どりも面白いだろう。この位置取りは、ソフトウェア産業やハードウェア産業に巣食ってきた既得権益をブチ壊す役割に一役買うだろう。