よしなごと徒然草: まつしたヒロのブログ 

自転車XアウトドアX健康法Xなど綴る雑談メモ by 松下博宣

コマーシャル・オープンソースCRMの裏側

2010年07月04日 | オープンソース物語
先日東京MOT会で講演の中でSugarCRMについて軽くコメントしたところ、会場にユーザになることを検討した方と、販売チャネルの会社に勤務している方がいて、講演が終わってから雑談となりました。世の中狭いものです笑)

シリコンバレーにあるSugarCRMは、LAMP(Linux, Appach,MySQL,php)環境で動作するオープンソースのCustomer Relationship Managementを無償のコミュニティ版と有償版の二つのライセンスで配布してきました。

同社のビジネスモデルは、無償のコミュニティ版をGPL(General Public License)でソースコードを公開して、その中の一定比率のユーザが有償版を使うだろう、という前提が戦略の基礎をなしています。ソフトウェアのキモであるソースコードを公開して、コミュニティで何らかの思惑を持つ方々が、時にユーザとして、時に開発者として、ソースコードの進化に寄与するというものです。

技術経営的に言えば、無償のコミュニティ版の普及モデルは、贈与関係、互恵関係を育むオープン・イノベーションの最たるものでしょう。ところが、SugarCRM社は、コミュニティ版をGPLで無償配布しているので、思わぬビジネスモデルが出現しています。

SugarCRMの無償のコミュニティ版を独自に加工して販売するというビジネスモデルです。構造的にはSugarCRM社のコミュニティ版と有償版とアイソモーフィックな(同型の)ビジネスモデルです。無償のコミュニティ版については、合法的に、独自のコミュニティがサポートしており、SugarCRMに対して似たような技術軌道を歩みます。有償版に関しては、顧客に独自機能をアドオンしてEnd User License Agreementを結んで使用料を取るというものです。

カナダのThe Long Reach Corporationが運営するinfo@handというプロジェクトはSugarCRMのコミュニティ版のソースコードを独自に加工して有償版として販売しています。



インドのvTiger社が運営する無償版は一日に1000ダウンロードがあるそうです。(同社ホームページより)また有償版も安価で高機能なラインアップを揃えています。SugarCRMのコミュニティ版のソースコードを活用し、かつ相対的に安い人件費の恩恵を活かしながら高機能の有償版を開発して安価に販売するというビジネス・モデルです。



vTigerCRMの日本語版のコミュニティもできています。そこには以下の意味深長な記載があります。

<以下貼り付け>

<sugarCRMへのリスペクト> 既にSugarCRMを扱っておられる業者様も当方のブースをご覧になられたようです。当ユーザーグループは、vtigerCRMのフォーク元のソフトウェアとして、また日本でのオープンソースの普及と啓蒙において果たした役割に対して、sugarCRMを非常にリスペクトしております。vtigerCRMは未だにsugarCRMのコードを残しております。これまでsugarCRMに携わってこられた業者様がこれまでの蓄積を生かし、また業務の幅を広げる手段として、vtigerCRM日本語版がお役に立てる機会があれば幸いです。

<独自機能実装の勧め> vtiger社の見解によると、vtigerCRMのライセンスはMozillaベースであり、vtiger上に独自の商用アプリケーションを作成し、なおかつアプリケーションのソースコードを「非開示」にすることも可能とのことです。この点がsugarCRMオープンソース版が採用するGPL系と異なっております。独自技術を持つ業者様でも安心してvtigerCRMに投資いただけます。

<以上貼り付け>

ちなみに、日本でもvTigerを活用したクラウドサービスが始められています。たんなるASPでも昨今流行っているバズワードとしての「クラウドサービス」を冠すれば、なんとなく高級そうな語感も漂います。ちなみに、クラウドサービスの動向についてはコチラにまとめてあります。


ユーザにとっての価値は、モノ=ソフトウェア(オープンかクローズドかを問わない)からコト=機能のサービスへと急激にシフトしています。その意味で、クラウド対応が汎用アプリ市場のトレンドになっていて、オープンvsクローズの対置構造でビジネスを展開してきたコマ―シャル・オープンソースのビジネスモデルは陳腐化の瀬戸際に来ています。

さて、SugarCRMのコミュニティ版のソフトウェアからフォーク(脈生)を作るコマーシャル・オープンソース・ビジネスモデルは、それぞれの国の法律とオープンソースのライセンスに準拠しているので合法なものです。ただし、SugarCRM社の無償版、有償版を含むビジネスモデルから見れば直接的な脅威となります。しかしながら、SugarCRMの無償コミュニティ版は2007年夏にGPL化する前の脈生ソースコードにアドオンしてコミュニティが開発して配布しても特段法的な問題にはならないのです。

ただしRedHat Linuxは、GPLプログラムを複製されないように、Subscription Agreementのなかで、RHELを第三者に頒布するにはRedHatの各種の商標やマークを削除しなければならないと規定し、それらを削除するとソフトウェアが壊れる可能性があるので、削除は各自のリスク負担でやるべし・・・としています。つまり、著作権を防衛手段として巧みに利用しています。

つまりオープンソースをビジネス化するためには、ソースコードの知的財産マネジメントが非常に重要であるということです。そして、その知財マネジメントのツボは、GPLなどのライセンスの穴をいかに著作権などの権利で埋め合わせて「飛び道具」化させるかということになります。

このあたりの事情は、日本ではほとんど周知されていないようです。

デュアル・ライセンス(無償のコミュニティ版と有償の商用版)を扱う、いわゆるコマ―シャル・オープンソースのビジネス・モデルは、イノベーションの民主化という観点からは注目に値するでしょう。シリコンバレーで創発したコマ―シャル・オープンソースが、カナダへ、インドへ、そして、上記の3社の代理店によって80カ国以上にインベンションがディフーズ(普及・伝搬)しているからです。

しかしながら、公開情報を分析する限りにおいて、for-profit事業の収益化という観点からは?です。本家、脈生を問わずコミュニティ版同志と有償版との二重のカニバライゼーション(共食い)が発生しており、投資に見合うリターンをステークホルダーには還元できていないようです。

For-profit Businessの世界では、インベンションがグローバルにディフーズし収益をもたらして初めてイノベーションとなるのです。したがって、無償のコミュニティ版は、ユーザにとってのイノベーションですが、有償版を加えたトータルとしてのコマーシャル・オープンソース・ビジネスは、内部収益率の点からビジネスとして成立するのは容易なことではありません。

ソースコードと日本人

2009年12月02日 | オープンソース物語
オープンソースのエントリーは久しぶり。Japan Linux SymposiumでのLinus Torvaldsのトークが面白かった。

オープン・イノベーションが喧伝される遥か昔から(18年前)Linuxではオープンなソースコードのやりとりを通して開発が進められてきている。OSシーンでMicroSoftと対峙するLinuxのシェアはサーバ市場などで増進中。

この間、日本企業は利益追求の視線で、オープンソースをなんとか利用しようと画策してきている。大方のソフトウェアを作る日本企業は、Linuxコミュニティにパッチを提供することで、PCIホットプラグ、MCAハンドラやダンプなど、顧客が要望している機能をLinuxで実現することや保守サービスにメリットを見出している。

Linus Torvaldsはカンファレンスの中で自由(freedom)というbig wordについてあまり語らなかった。多くの日本人聴衆もまた自由などという抽象的な概念の議論を好まないのだろう。

            ***

しかし、hobbyでもビジネスでも、自己組織性が顕現するオープンソースの世界では、参画するひとりひとりがあくなき自由を希求し、かつひとりひとりの自由をリスペクトする、そしてそれが公益のためになる、という価値観こそが、この運動の原点。日本ではRubyなどの例外を除いて、さほどオープンソース運動が盛り上がってこなかった理由を考えてみるのは面白い。

●理由1:サラリーマン技術者中心
ソフトウェアを営利企業のサラリーマン技術者の手に委ねてきたから。サラリーマンは自由を希求することよりも、安定的雇用を維持することにコストをかける。

●理由2:アルファベット表記
ソースコードはアルファベット表記。アルファベットで母語を表記する人々にとってソースコードは自分の意思を自由な表現し普遍性をもたせる手段。日本人にとっては、アルファベットは外来の文字なので、そもそも自由に表現する手段としての接し方ができない。

●理由3:クローズなメンタルモデル
内向きに閉じたがる日本人には「オープン」という心象がなかなか共有されない。ゆえにオープンイノベーションは進まない。ゆえに、オープンソース運動の自己組織性原理がさほど尊重されなかった。

●理由4:弱い複雑性耐性
日本人は複雑なモノゴトをマネジメントするのが苦手。そこをムリしてしまうからスパゲッティーの納豆ずけのようなソフトウェアになってしまう。まして複雑なものを自己組織性原理でマネジメントすることは一層複雑に見えてしまう。


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こんなことを帰納的に証明しようとするのは狂気の沙汰だが、「ソースコードと日本人」のような文化論として定性的に議論することは面白い。いつかまとめてみたい論題だ。

OracleのSun買収後のシナリオ~MySQL~

2009年04月21日 | オープンソース物語


米Oracleが米Sun Microsystemsを買収することで両社が合意した。Sunが抱えてきたコマーシャル・オープンソースMySQLのポジションを中心として買収の経緯と今後をざっと眺めてみる。

上のチャートでみるとOracleとMySQLを足してエンタープライズ向けデータベース・ソフトのシェアは推計52パーセントを超える。2009年では当然この数値を超えている。これでOracleはデータベースい領域でガリバーの地位を確保し、マイクロソフトのSQLサーバの頭を押さえこんだこととなる。

今回このシナリオが現実化したと宣託(oracle)されたわけだ笑)

2006年2月、サンフランシスコでOSBC(Open Source Business Conference)に参加した。その場で、OralceがMySQLに買収を仕掛け、Martin Mickos氏が断ったという実話を直接聞いた。そこで近くにいたSugarCRM社長のジョンに「で、この話どう思う?」と聞くと、ニヤッと笑ってうなづきながら、"It's a good news"との返事。

あれから3年、宣託主のOracleはMySQLを買い予定は調和された。過去の背景をざっと洗ってみる。

Oracle社は,MySQLの主要データベース・エンジン2つを買収してきた。だが、前述のとおりOracleは3年前の2006年にMySQLの買収を試みて失敗。

そんなOracleの野望をしり目に、2008年にSunは、火事場泥棒ではないが、オープンソース・データベースの大手であるMySQLを10億ドルで買収した。

SunのCEO,リバータリアン(Libertarian)のJonathan Schwartzの戦略は、MySQLを加えて企業価値を高め、いずれSunの転売にとりかかるだろうと予測していた。もちろん、最有力買い手はOracleだ。ちなみに、当時SugarCRMの経営陣も僕と同じ見方をしていた。

MySQLは,オープンソース・アプリケーション・プラットフォームの代表的な組み合わせ「LAMP」のMに挙げられるデータベース。Sunが手がけるオープンソース・ソフトウエアは,Java,Open Office,NetBeansなどがあるが,それにMySQLが加わることになった。SunはMySQLの買収によって「Webエコノミーのプラットフォームを提供するリーダーであり続ける」ことを狙ったのだ。

そしてMySQLを飲んだSunがOracleによって買収されるというのが今回の構図。

Oracleの一大収益源は保守サービスにある。しかし、保守サービスビジネスを拡大するためにMySQLを保有するSunを抱き込んだわけではない。MySQLの売り上げの多くは保守サービスで、100億円程度。Oracleから見ればこの額はたいしたものではない。

ここで注意したのが、データベース主要製品の市場占有率の変化とMySQLのS字カーブ上でポジショニング。MySQLの普及過程はキャズムを越えてEarly Majorityに達しており、ユーザ普及度で比較優位を確立している。しかもプロプラ陣営と比較しても、急速にミドル・ローエンド市場を食ってきたのだ。

Late Majorityに達すると企業価値が上がり過ぎる。Early Majorityがコマーシャル・オープンソースの買い時、売り時の旬なのだ。



MySQLはM&Aの目玉(企業価値創出の源泉)として、美味しいポジションを確立してきたのだ。

急速に伸びてきているMySQLを有するSunを買収することによりOracleは;

・MySQLの顧客基盤をまるごとゲット
・MySQLをラインアップに入れてコントロールすることにより、カニバるのを回避
・ハイエンドはプロプラ10g、ミドル・ローエンドはコマーシャル・オープンソースのMySQLを充てることで市データベース市場における支配権を確立できる

さて、ここからが問題。エンタープライズ向けオープンソース界隈はどうなるのか。いくつかMOT的にグランド・シナリオを見たててみる。

(1)MySQL自体の機能向上にとっては足かせとなる。その結果、いやけを感じたMySQLオープンソースエディションのコミュニティは分裂する。このあたりITPro高橋信頼さんもちょっと書いている

(2)データベース系コマーシャル・オープンソースの大型M&A,業界再編を受け、次の材料は言語系、アプリ系コマーシャル・オープンソースとなる。「L→A→M→P→X」

(3)Pはphp。Xはどこか?アプリレーヤーのSugarCRMなどのコマーシャル・オープンソース陣営はシュリンクした経済情勢ではIPOは無理と踏んでおり、M&Aのイグジットに走りだす。相手はどこか?と聞くのはヤボ。予見して早めに対応することが肝心だ。経営者も従業員も。アライアンス先も含めてである・・。



オープンソース版MySQLユーザの心境やいかに?プロプラ帝国Oracleを毛嫌いしている連中が多いので、上の写真のような心境だろう。

Google Chrome、けっこういける。そのMOT的な戦略は?

2008年09月08日 | オープンソース物語
日本工業大学大学院MOTの教授、佐久間先生から「Google Chromeベータ版」を使ってみて、非常にイイ、感動したとの話を小耳に挟み、さっそくインストール、使い始めている。

マイクロソフトにいいようにカモられたNetScape陣営、そしてその残党のFirefoxの末裔の流れも汲むGoogleが、紆余曲折を経て、満を持して投入する執念がこもったオープンソース・ブラウザだ。

米Googleは、独自のオープンソースブラウザ「Google Chrome」を開発中で、100カ国以上でベータ版を公開すると発表したのは9月2日。

Google Chromeはシンプルで体感速度は速い、速い。それぞれのタブは“サンドボックス”に分離されているため、1つのタブのクラッシュが他のタブに影響を与えるとがない。たしかに複数のサイトを同時にいったり来たりしてリサーチするような仕事にはいい。

速度と反応の速さを改良したほか、独自の強力なJavaScriptエンジン「V8」を搭載し、既存のブラウザでは動作できないアプリケーションも使用できるようにしている。また、AppleのWebKitやMozilla Firefoxのオープンソース技術をベースにしているコンポーネントを利用しているとしている。2日に公開するベータ版はWindows版のみだが、現在Linux版の開発も進めているという。

外に向かっては強烈な検索、ウチに向かっては内部データの検索もGoogle Desktopでできてしまう。もちろんgmailやphoto管理も。MOT的な視点でGoogle Chromeを分析してみよう。

従来のWebブラウザでは、タブはWebブラウザのウィンドウ内部に列挙され、ブラウザ内でページを切り替えて利用してきた。ところが、Chromeではその関係が逆転し、タブがウィンドウの外側に配置され、ツールバーやアドレスバーの要素はすべてタブの内側に配置される。使い始めるといい機能だ。これに慣れてしまうと、逆もどりは難しい。ユーザをしてこう実感せしめるのが「ミソその1」だ。

「ミソその2」はオープンソース戦略だ。「ミソその1」だけにはまるユーザにはこの点はあまり意識されないだろう。Google Chromeの機能もさることながら、オープンソースを基盤にしていることの重要さは非常に大きい。Google Chromeはオープンソースのアプリケーション・レイヤーでのプラットフォームを狙っている。だれもが使う検索エンジンをベースにして、オープンソースの特性を活かし、どんどんCRMやコンテンツマネジメント、BI系のアプリが拡張されてゆくことになるからだ。

昨年あたりから専門スジからの噂によると正式バージョンでは、世界中のプログラマやオープンソース系エンジニアが、出品できるような楽市楽座のようなショップサイトもついてくるだろう。こうなってくるとCloud Computingの土台をGoogle Chromeがつくってゆくことになるだろう。Sales ForceやSugarCRMも似たような戦略をとってきたが、Googleはユーザの母数において他を隔絶する。よってService Innovationインパクトも隔絶する。

「ミソその3」はビジネスモデリング。Google Chromeのプラットフォーム上で、格安オープンソース・アプリやコンポーネントが踊りまくる図は、広告ビジネスにとってユーザの絶対数が増える分だけ都合がいい。もちろん、企業ユーザに対しては有料サービス・メニューが増えることになるので、サービス収入の増加も十分見込めるだろう。

もちろん、プロプラでやってきたIEにとっては強烈な脅威となるだろう。このままではIEは一気に陳腐化させられる。そういう土俵を一気につくってしまったGoogleに拍手喝采といったところか。

意味深長なのは、IEのみならず、プラットフォームを狙うすべてのソフトウェアのベンダーから見ても、けっこうイヤらしい存在になることだろう。

顧客に受け入れられる機能(新しい機能ではないところがポイント)を徹底的に実装し、 スウィッチを起こさせる戦略がブレークポイント戦略。このスグレもの、アーリーアダプターが一気に閾値まで達すれば、ドドッとマジョリティ化する可能性あり、と見た。この2日間、触りまくってみて、ナルホドと。乗り換えユーザが一気に増え、ディスラプティブなイノベーションをブラウザの世界にもたらす予兆なるのではないか。


SugarCRM Summit in Tokyo盛況にて終了

2007年10月17日 | オープンソース物語
もとはといえば、雑談から始まったイベントでしたが、SugarCRM社からは、SugarCRM社会長兼最高経営責任者、共同創業者John Roberts、SugarCRM社最高技術責任者Jacob Taylor、SugarCRM社プロダクトマーケティングディレクタ Chris Harrick、チャネル・セールスVPのJeff Campbell大挙して参加するという熱の入れようでした。

国内からは、ケアブレインズのJゴールドパートナーとして、ソフトバンク・テクノロジー様、富士通SSL様、NEC様にご参加いただき、SugarCRMを活用した先進的なソリューションなどを発表いただきました。

ヨーロッパ、アメリカに日本が加わり、文字通り世界3極体制でのイベントでした。簡単なものですが、開催報告はこちらからです。




SugarCRM Summit in Tokyo

2007年08月31日 | オープンソース物語


秋といえばイベントのシーズン。今年の秋は、国際的なイベントを開催します。SugarCRMとケアブレインズはコマーシャル・オープンソースのリーダー、SugarCRMの全貌を半日に凝縮した特別イベントを実施します。10月12日品川の東京国際コンファレンスセンターにて。詳細はこちらからです。

いろいろと両社で話し合っているうちに、だんだんと熱くなり、「ならばシュガーのほうも主要メンバ全員で行くよ!」ということになりました。

ということで、特別ゲストとしてSugarCRM最高経営責任者John Roberts、最高技術責任者Jacob Taylor、プロダクトマーケティング・ディレクタChris Harrickが参加し、ユーザ事例、最新バージョン情報、日本におけるSugarCRM戦略、コミュニティ版のGPL v3への移行、オンデマンド用プロダクト、最新パートナー様向けプログラムなど盛りだくさんのプログラムをご用意しました。

どうぞふるってご参加ください。

SugarCRM、GPLv3をプラグマティックに採用

2007年07月26日 | オープンソース物語
無償版Sugar Open Sourceに関するニュースと今回のGPLv3の採用についてのFAQです。日本語版に関するアナウンスも来週あたりにさせていただきます。

さて、SugarCRMコミュニティは、次期バージョン5.0より無償版Sugar Open SourceのライセンスをGPLv3に変更することになりました。そして無償版Sugar Open Sourceの名称を「Sugar Community Edition」に変更することを発表しました。これにより、Sugar Community EditionはOpen Source Intiative認定の正式なオープンソースソフトウェアとしてさらに広く普及してゆくことになりました。

実は、今回の変化の背景は長いものでした。「Sugar Community Edition」という名称については1年半あまりの議論、そしてGPL v3の採用については、ここ半年間、相当煮詰まった議論をしてきました。京都で語らい、幕張で議論し、メールで喧々諤々、ときに、生々しいケースを俎上においての実にエキサイティングな(ときに疲れもしたが・・・)ヤリトリでした。コマーシャル・オープンソースとオープンソースの境界域、そしてコミュニティ・モデル、ビジネス・モデルの根幹に関わるイシューには一冊の本になるくらいの実に奥深いものがあります。FAQにいたっては、日本語コミュニティリーダー兼ケアブレインズCTOのruchidaが発表の数時間前までチェックをするという国際協調体制?でした。

SugarCRMはいまや世界中の企業が日々活用するCRMの標準的なアプリになっています。もはや一企業のソフトウェアというより、「ユーザによる、ユーザのための、ユーザのCRMソフトウェア」として世界の人々に共有される集合知的公共財になるべきだ、との認識が一致。また、やや微妙なことですが、コマーシャル・オープンソースにつきものの派生プロダクト対策という側面での見解も共有できました。

日本におけるパートナー代表のケアブレインズの意見を最大限尊重し、かつ最終的にこの重大な決断を下した SugarCRM社のボードメンバーの意思決定力、見極めは、けだし、果敢かつ、プラグマティックなものだと思います。

日本IBMのOSSの集まり

2007年07月26日 | オープンソース物語
本国のみならず日本IBM先進システム事業部はオープンソースに本腰を入れて取り組んでいる。同社が企画、実行したシリコンバレーで活躍するオープンソース系の米国企業を訪問するツアーは大盛況。関心の高さが伺える。このツアーがSugarCRMに注目した関係上、その締めのミーティングと懇親会に参加させていただいた。

参加者の一人一言の体験談には時代の潮目を感じる。異口同音の感想は:

「業務アプリもOSSの時代になってしまった」
「企業ユーズに十分耐える高品質のOSS業務アプリの存在に驚愕した」
「OSSの周辺のみならず、中核にもビジネスチャンスがある」

参加者はプロプラなソフトウェアを扱う企業で、OSS領域を新事業として取り扱う方々が中心なので、必然的に「どうようにOSSで儲けるのか?」が気になる模様。そこから先の各論は、まさに百家争鳴の観あり。懇親会のテーブルに花が咲き、たっぷり議論を楽しませていただいた。


Linux World からコマーシャル・オープンソース・ワールドへ!?

2007年05月31日 | オープンソース物語
小雨模様の東京ビックサイトにて行われているLinux Worldとあわせて開催されたオープンソースソフトウェア協会の総会へ急行し、コマーシャル・オープンソースについてのプレゼンテーション。雑談のようなトーンで小一時間勝手なおしゃべりをさせていただいた。

Linux Worldは縮小傾向なのか?オープンソース化の中心がすでに基盤=Linuxではなくなり、業務アプリ領域に移っていることを実感する。コマーシャル・オープンソース・ワールドなんていう名称の方がいいのではないか、などという話が総会のあとの懇親会で出ていたくらいだ。

つまり、オープンソースとしてのLinuxは当たり前の時代になってしまったのだ。OSSの動向は、基盤からミドルウェアそして、エンタープライズレベルでの業務アプリケーションに向かっている。OSSユーザの関心も確実に、業務アプリに向きつつある。また仮想化技術により、OSSスタックが中抜きされれば、ユーザの目はおのずと、人間とソフトウェアが接する最上位の業務アプリに集中するのは明らかだろう。手前味噌だが、このような動向を受け止め、ケアブレインズでは業務アプリ・レイヤのOSSにフォーカスした日本コマーシャル・オープンソース・フォーラム(COSF)を立ち上げ毎回盛況。秋口には第3回COSFを開催する予定だ。

なにはともわれ、OSS系の方々の集まりは話が濃くて、刺激にみちみちていた。また雑踏というほどでもないが、行き交う参加者や各社のデモを見ながら、Linux Worldの背後に広がるオープンソースの時代の変化の潮目を感じた一日だった。

第2回日本コマーシャル・オープンソース・フォーラム開催中

2007年05月16日 | オープンソース物語
略してCOSFと通称される集まりです。今回のCOSFは東京ビックサイトにて、NEC様、NRI様の参画を得て開催中です。

コマーシャル・オープンソースとは、基本的な機能を無償ソフトウェアとしてコミュニティに公開する一方で開発者や利用者のノウハウを集積し、企業向けの高機能や高付加価値サービスを別途有償で提供するソフトウェア、またはそのビジネスを指します。オープンソースとしてエンタープライズレベルの機能・品質に進化しつつも、低価格帯域でのリーズナブルな価格を実現するものです。

このようにコマーシャル・オープンソースという文脈には、ネット上のコミュニティで、不特定多数の開発者が集結し、多種多様な技術や知識を自律的にわかち合うというエコモデルが存在しながらも、ビジネスセクターが、その成果物であるソースコードを活用して、新たな収益源を追求しようとするビジネスモデルが存在します。

web2.0時代と呼ばれる今日、エコモデルとビジネスモデルがシンクロナイズするコマーシャル・オープンソース領域で、数多くのイノベーションが生まれています。ソフトウェアを取り巻く世界において、コマーシャル・オープンソースは、個人と企業組織というイノベーションの孵化装置が加算複合する場でもあります。当フォーラムは、そのような「場」づくりをめざしています。