よしなごと徒然草: まつしたヒロのブログ 

自転車XアウトドアX健康法Xなど綴る雑談メモ by 松下博宣

日刊工業新聞「卓見異見」

2012年03月26日 | 技術経営MOT

日刊工業新聞の「卓見異見」 というコラムの連載を来月4月から約半年間やることになりました。

神奈川県知事の黒岩祐治さん、宇宙環境利用プラットフォーム、次世代宇宙システムの開発を手掛けているPDエアロスペース社長の緒川修治さんとかわりばんこに書くリレー方式の連載です。

こういうリレー式のコラム、面白いですね。

さて、日刊工業新聞は、技術経営(Management of Technology)、産業技術(Industrial Technology)の本丸的メディアです。

2-3月は、保健・医療・福祉サービス関係の仕事で内外を飛び回っていましたが、4月以降は、この紙面を借りて、モノコトつくりの文明論にはじまり、技術企業経営論、新産業創発新人類(アントレプレナー、イントレプレナー、トランスプレナー、奇人変人論)まで渉猟したいと思います。

掲載予定日は:

4月16日 (4月6日締切)
5月21日 (5月11日締切)
6月25日 (6月15日締切)
7月30日 (7月20日締切)
8月27日 (8月17日締切)

よろしくお願いいたします。


Giant MR4-Rで、しまなみ海道2回目

2012年03月22日 | 自転車/アウトドア

仕事のあいまを巧みに?ぬって、しまなみ海道を走ってきた。

 

昨年12月に走ったコースとは逆の、尾道→今治コース。

自転車は、新調したGiant MR4-Rというコンパクトな輪行ができる快走用の24インチ。

前回、ここを走った時に、コンパクトな輪行ができる快走車が欲しくなり、状況が整ったので慎重に選定し求めた一台。

わが家にとって15台目の自転車となる汗)

 

新尾道駅で降りて組み立てる。

所用時間は5分くらい。

ランドナーに比べ速い!特に走りだしの加速がよく、高速クルージングの感覚もいい。

長年乗り沿ってきたランドナーやキャンピングのじわっとした深い味わいとは異質なシャープで軽快な世界だ。

このバイク、輪行がコンパクトにでき、かつオンロードの快走ができるという異質な要求の新しい結合(シュンペンター)を狙った自転車だ。そういう意味で、MOT(Management of Technology)的に言ってもイノベーティブな自転車なのだ。詳細は、また折につけ時間があれば書いてみたい。(参考ブログ

仕事がてら地方にやってくるとき、コンパクトに輪行して、現地でサッと組み立て、デイパック一つ背負ってのんびり走る、でも快走にも対応という自分スタイルにあっている。

実は、この車種は、伝説の自転車ビルダーといわれる荒井正さんがGiantに在職していたころ、創意工夫をめぐらし企画、制作した日本発のモデル。

その後、荒井正さんは、現在、片倉シルクを進化させるべく、その名も『絹自転車製作所』を立ち上げ、斬新な自転車を手作り一品製作している。自転車系刷り合わせ系ものづくりの一つの典型のような方だと思う。

稀有な御縁をいただき、1974年製の片倉シルクキャンピングを保有する自分としては、荒井さん、そして、シルクのスピリットの一端に触れるという意味では、「同類の系譜」に乗るということなのだ。(けっしてランドナー教からの改宗、コンバージョンじゃない)

 

向島まで小さなフェリーに乗って移動。

一人100円。

あとで、フェリーのオジサンが、「その自転車、あんたの?だったら、もう10円」と言われて10円を追加徴収された。とほほ。まあ、いいか。

 

向島の裏道を走ってみる。

津々浦々に現れる情景はそれぞれに一葉の絵のよう。

瀬戸内のまったりした風景。


 

前回、訪れることができなかった大山祇神社(おおやまづみじんじゃ)を参拝。

日本総鎮守とも呼ばれる由緒、まさに別格の神社。

樹齢2600年以上といわれる御神木の周囲には神気が凛と張り詰める。



 

最後の大島の亀老山。

標高307mの頂上へのヒルクライム。

平均斜度は10%はあったか。

はあはあ、ぜいぜい。

でも、この絶景に救われる。

 

 

夕日の来島海峡大橋。

まさに「明日に架ける橋」(Simon & Garfunkel - Bridge over troubled Water←ちょっと古いね)

この夕日に向かって橋を渡れば明日になるのだ!

この情景に対峙した以上、どんな明日にだって立ち向かえるぜ!

そんな妙な感覚にとらわれる。

 

コンゴ川に沈む夕日もよかった。

でも、来島海峡大橋から望む夕日も、まさに絶景。

強烈なパワー。

3カ月間に2回も同じコースを走るのは初めて。

たぶん、異なった季節に、3回、4回・・・・走ることになりそうだ。


仏語圏アフリカ保健分野支援ネットワーク拡大セミナーで講演とパネル

2012年03月20日 | 健康医療サービスイノベーション

アフリカのコンゴ民主共和国から帰国してからほどなく、倉敷中央病院(岡山県倉敷市)から近畿中央病院(兵庫県尼崎市)へと関西方面を回って招待講演をこなしてきました。

これらの招待講演と相前後して、しまなみ海道を尾道から今治まで自転車で走ってきました。

3月は、グローバルとローカルな活動のミックスです。さて、3月のグローバル活動の節目として、3 月 31 日(土)13:00-17:00 オープンセミナー「仏語圏アフリカ保健分野支援ネットワーク拡大セミナー」(国立国際医療研究センターと国際協力機構(JICA) の共催)で講演とパネルします。

私のテーマは、「アフリカの保健分野支援における政府・国連・企業間の相乗効果を持つ協働的パートナーシップ- 社会的企業としての国際保健医療協力事業モデルの観点から 」というもので、話題提供の後、パネル・ディスカッションとなります。

ポスター詳細案内

グローバル・ヘルス、知識創造、保健分野の国際協働、ソーシャル・シェアリング、サービス・イノベーション、アントレプレナーシップ、国際社会起業、貧困、人権、国際貢献、保健リソースの最適配分、Base of Pyramid、国際保健バリューチェーン、インクルージョンなどのキーワードにピンとくる方、参加してみてはいかがでしょうか?

参加費無料、希望者は、飲み会あり。私は、飲み会モチ参加です。


コンゴ民にて5S-KAIZEN-TQMでchange maker支援

2012年03月05日 | 講演放浪記

(会議の始まりと終わりはコンゴ民主共和国国家国歌斉唱!)

講演放浪記も、中央アフリカのコンゴ民主共和国(以下コンゴ民)にまで足跡を残すことになった。

今回は、国立国際医療研究センター/国際協力事業団の研究協力員として、コンゴ民の保健省のofficialsの方々を対象に、戦略的マネジメントのレクチャー&ワークショップ支援を行ってきた。

最貧国のひとつコンゴ民:1人あたりGDP328ドル。日本1人あたりGDP33,805ドル。経済規模、コンゴ民は日本の100分の1。いわゆるBOP(base of pyramid)に位置する中央アフリカの国がコンゴ民だ。

コンゴ民に行く数日まえに、大統領府付近で銃撃戦があり、帰国してすぐに、コンゴ川を挟んだ向かい側のコンゴ共和国の軍事施設で200人以上もの死者が出る「事故」が勃発している。

ちょうど、その騒乱状況の狭間を突いてのコンゴ出張だったことになる。

(キンシャサの街で見かけた絵画)

health policy & management界隈では、global healthというキャッチワードが目を引く昨今。威勢のいいキャッチワードはともかく、現場のフィールドで、リアルな保健行政を対象に具体的なツールを活用して実行するというレベルまで踏み込んでいるケースはさほど多くないだろう。

5S-KAIZEN-TQMといえば、大方の経営学者や技術経営(MOT)系の方々ならば、日本の製造業に発祥する、あの品質管理手法ね・・・という反応が返ってくる。

たしかにそうだ。ほとんどの製造現場を持つメーカーは5S(整理、整頓、清潔、清掃、躾)は、空気のごとく、あたりまえに、基本動作としてやっており、目新しいものはほとんどない。

ところが、「所変われば品変わる」の喩の通り、この手法が、日本やスリランカを経由して、大方の日本産業人の想像を越える「進化」を遂げて創発しているのだ。

実は、モノやサービスといった境界を取っ払ってみれば、そこには、グローバルに拡がるモノ→プロセス→サービスという俯瞰図の中にco-creationを内包して遷移・伝搬していているこの手法の普遍性が見えてくる。

すなわち、アフリカ大陸の46の国々のうち、15カ国では、5S-KAIZEN-TQMが健康・医療・保健サービスの現場、そして保健行政の現場では燎原の火の如く拡がりつつある。また、アフリカのこの動向に注目してか、OECDもKAIZENには一定の評価を与えているようだ。

(Dr. Tshiamalaの5S-KAIZEN-TQMの実践報告)

コンゴ民主共和国では、健康・保健・医療マネジメントの手法となった5S-KAIZEN-TQMを、さらに、保健行政マネジメントのツールとして活用している。これは世界初の画期的なことだ。

このムーブメントをやわらかく支援しているのが、NCGM=国立国際医療研究センター(国際医療協力部の池田憲昭医師が牽引)やJICAだ。支援の対象は、ハコモノ、橋、道路など目に見えるハードウェアから、インテリジェントなソフトスキルへと変化している。インテリジェンスサービス支援とでも言ってもよかろう。

さて、日本やアメリカでmanagementに関して話をすることは多かったが、アフリカの地で話したことは初めて。コンゴの方々と膝を交えて語らい、彼らのmanagementに対する捉え方がわかった。

・managementは支配する側の技術。

・植民地として収奪され続けてきたコンゴ民主共和国にあったのは、支配されるmanagementのみ。

・収奪、搾取する側としてのベルギーから見えれば、収奪、搾取の対象となるコンゴ民の民衆を無知の状態、managementから遠い状態に維持して置くのが得策だった。

なるほど、以上の3点は、欧米の先進国だけを『海外』として眺める視点からは見えてこないことだ。

         ***

(Dr. Ikeda and Dr. Raymond)

西洋に発祥した近代資本主義の実行形式である伝統的なマネジメント手法と対置すると、経営手法(change management)としての5S-KAIZEN-TQMには以下のエレメントがある。

・搾取・収奪されるmanagementから、主体的・自律的に取り組むmanagementへの転換。

・一方的に管理するmanagementから、参加・参画するmanagementへの転換。

・植民地支配者・宗主国・旧宗主国からのトップダウン的managementから、草の根型のボトムアップ型のmanagementへの転換。

 (世界第2位の大河、コンゴ川の夕焼け)

収奪され、搾取され続けることによって近代資本主義を「資源」によって支えてきたコンゴの大地=フロンティア。managementが疎外されてきた、この国の、保健サービスという異界で、創発している5S-KAIZEN-TQM。

なんと、アフリカの国では「5S-KAIZEN音頭」やそれにあわせての踊りまでもが登場している。変えることは楽しいのだ。自分たちで工夫して変わることは、誰にでもできる自己表現であり、身の回りの「世界」を変えてゆくことなのだ。

やればできる、そしてその楽しさを素直に実感できるとき、アフリカの人々は、歌や踊りでそのよろこびをストレートに表現するのだろう。

5S-KAIZEN-TQMは、たしかに手法なのだが、実はアジア・アフリカの国々に伝搬して受け入れられているのは、この手法に埋め込まれている、デザインされている、ある種の文化(culture)ではなかろうか。

参加者からは、5S-KAIZEN-TQMを保健のみならず、教育、地域開発などの領域にまで広げたいという、うれしい声もあがった。

だれもがchangeのownerであり、主人公であるこの手法の特性からすれば、アフリカならではの反応なのかもしれない。social entrepreneurshipを発揮するためのツールという位置づけもできるはずだ。

NCGMやJICAに所属する専門家諸氏は、いってみれば、social innovationを支援する"in"trepreneurだ。組織内起業家には、innovationを創発させるための、グローバルリテラシー、リベラルアーツの素養、ファシリテーション能力など、専門スキル以外にも、多様で芳醇な人間力が求められる。

ともあれ、知的シャワーを存分に浴び、内実のともなった濃度の濃い議論に終始した旅だった。(本プロジェクトにおいて、松下を指名いただいた池田医師に感謝!)