今日は120kmくらい走って留萌の「みつばちハウス留萌」を目指す。
前半の旅はすべてテント泊ですませたが、後半は、ライダーハウスが宿泊場所の中心となる。
宿泊費用がタダ~2000円のレンジに余裕でおさまり格安なこともさることながら、全国から集まるチャリダー仲間と交流を図るにはうってつけの場所がラーダーハウスなのだ。
![](https://lh5.googleusercontent.com/-JHXdTTRysEU/Uimn-6eFleI/AAAAAAAABqg/6vtqjZiBYng/w1140-h855-no/2013-08-31+14.23.18.jpg)
(遅咲きのひまわり)
留萌から稚内にいたるルートには要所要所にラーダーハウスが点在している。
しめしめ。
北海道にはチャリダーやライダーに独特なサブカルチャーがある。モーターの有無の違いはあるものの、単車で風に身を晒し大地を移動する。そんな旅の文脈の只中で、ルート、食べ物、安くてうまい食堂、天候、地理、遭遇した動物・・・いろんな情報を仕入れて、旅の幅や奥行きを拡大することができるのだ。
![](https://lh5.googleusercontent.com/-FEGhJ7cmE9s/UimoR_VhT1I/AAAAAAAABqo/DLeBFMzGBHU/w1140-h855-no/2013-08-31+13.45.18.jpg)
風はほとんど向かい風。サンフラワー北竜で休んでから233号線を左に折れて、美葉牛峠を登る。わずか100mの峠なので軽く登るが、ダウンヒルのワインディングはけっこう楽しめた。
![](https://lh3.googleusercontent.com/-IPQSMQ95oRU/UimnuQJtZfI/AAAAAAAABqY/hlMpmQoQEMQ/w1140-h855-no/2013-08-31+14.43.04.jpg)
下り道が平坦になったところで、一休みしていると、農家のおじいちゃんが、「疲れてるだろ。これ、食べろっ」と言って、ゆでたトウモロコシをプレゼントしてくれた。
「本当にありがとうございます。一生懸命走ります!」と礼を言う。
ありがたや!
今も昔も、北海道を自転車で旅をしていると、こんなことがよくあるのだ。
おじいちゃんを通して、天の恵みがもたらされたのか?
ほどなく走ると留萌市内へ。
この日の目的地=みつばちハウス留萌はスゴイところだ。みつばちハウス留萌は、ライダー・チャリダー・トホダーのためのボランティア宿泊施設だ。井原水産という水産業を営む企業の支援のもと、運営ボランティの方々、駅前商店街の皆様のご協力、そしてボランティア基金によって運営されている。詳細情報はこちら。
なんと、完全ボランティア制で運営されていて、かつ宿泊料は無料。
![](https://fbcdn-sphotos-e-a.akamaihd.net/hphotos-ak-ash3/1185301_394593010666541_1657602112_n.jpg)
みつばちハウス留萌の正門。長年の風雪で看板は剥げ落ち、読むことができない。
でも、この感じがなんとも言えなくいい。
![](https://fbcdn-sphotos-h-a.akamaihd.net/hphotos-ak-frc3/1234631_394594600666382_414584203_n.jpg)
(みつばちハウス留萌の裏側)
このプアーな表の表情とかなり異なり、内側にはディープなコンテンツの世界がひろがっている。
そのコンテンツとは落書きと独特の雰囲気が複合したものだ。
![](https://fbcdn-sphotos-d-a.akamaihd.net/hphotos-ak-ash3/560850_394593217333187_1187651454_n.jpg)
落書きだらけの壁。ライダー、チャリダーのいろいろな想いが、ここぞとばかりに溢れている。
![](https://fbcdn-sphotos-b-a.akamaihd.net/hphotos-ak-prn2/1185408_394597103999465_1414196747_n.jpg)
もちろん、こぎれいな旅館やホテルとは異なり、ライダー、チャリダーは二階の大広間に雑魚寝。でも敷き布団、かけ布団に毛布、談話室、自転車専用保管場所、洗濯機、洗面所まで揃っているのだ。
落書きは面白い。なかでも、この落書きが気に入った。
平田内のキャンプ場はあこぎに大金1000円も徴収したが、ここはタダ!今のご時勢、こんな有難いところはない。
![](https://fbcdn-sphotos-a-a.akamaihd.net/hphotos-ak-prn2/1238917_394597000666142_1061830951_n.jpg)
自転車で北海道を旅してきた経験豊富そうなアシスタントのオニイチャンが安くて旨い寿司屋など地元情報についてなにかとアドバイスをしてくれる。
![](https://fbcdn-sphotos-a-a.akamaihd.net/hphotos-ak-frc1/1006335_394593253999850_548591022_n.jpg)
世界各国いろんなところへ旅してきたが、つくづくも、ラーダーハウスは日本独特の宿泊施設だと思う。
・二輪車・自転車の自力旅を行う者を優先的に格安または無料で泊めてくれる。
・市町村営、民間、ボランティア経営など、経営形態には多様性がある。
・旅人=善人というある種性善説を前提に運営されている。
・たしかに、物質的なアメニティレベルは低いが、旅人や運営者が織り成す人間模様が高いサービスレベルを実現している。
![](https://fbcdn-sphotos-e-a.akamaihd.net/hphotos-ak-prn2/1237102_394593173999858_1834787139_n.jpg)
二階の雑魚寝部屋。この空気がたまらないほどいい。
***
豊かな旅とはなんだろう?
豊かな旅とは、大金をつかって星がずらりと並ぶ高価なホテルに泊まり、高価な美食をして、大金を払って文明の利器=動力に乗って移動することではないはずだ。
土地土地の文化に触れ合い、地元の人、旅人と交流し、汗をかいて、風を感じ、自分の力で移動することが豊かな旅の起点じゃないのか?
結論、自転車が一番!とは言わないが、自転車ツーリングはかなりいい線を行っていると思う。そして、そのような自力による旅をサポートしてくれるライダーハウスは、日本独特の自力旅のインフラストラクチャ的存在なのだ。
![](https://lh6.googleusercontent.com/-WZfY2_fln50/UimogpRbhcI/AAAAAAAABqw/nnYEsTu0T8A/w1140-h855-no/2013-08-31+18.35.01.jpg)
札幌から走ってきた二人組みのチャリダーと、石巻から自走してきた漁師のサイクリスト氏と意気投合。
銭湯の風呂を浴びて、さっぱりしたから、蛇の目寿司で寿司を堪能。
「蛇の目寿司では、寿司の握りが505円」という情報は、みつばちハウスのボランティアさんに教えていただいた。
![](https://fbcdn-sphotos-h-a.akamaihd.net/hphotos-ak-ash3/1236632_394597070666135_800376103_n.jpg)
なんと、新鮮なネタが乗っ握り寿司一人前が505円(消費税込み)!
関東地方では、ありえない値段。
今日初めて会ったにも拘わらず、すぐ打ち解けて飲み会になるというのも、北海道を走る自転車族の文化だと思う。
自転車という乗り物は、それに乗る人間同士の距離を縮めてくれる。
走行距離:120km
つづき