よしなごと徒然草: まつしたヒロのブログ 

自転車XアウトドアX健康法Xなど綴る雑談メモ by 松下博宣

日総研で松下博宣の看護経営塾開講

2008年04月29日 | 健康医療サービスイノベーション
7月~8月にかけて看護管理系の集中セミナーを開きます。詳細はこちらから。カレントなマネジメント論に加え、看護技術をマネジメントするヘルスケアMOTのような議論も一部入ります。今後ますます日本の医療はアメリカの医療保険産官複合体覇権勢力に操作されてゆきます。また厚生労働省と厚労族をあやつる覇権勢力による政策誘導、政策企図の分析も鋭く行います。よろしければどうぞ。

1.平成20年度診療報酬改定のポイント
2.診療報酬を踏まえての対応
3.問題解決技法
4.特性要因図【ケーススタディ】
5.問題解決
6.役割認知と成果責任【ケーススタディ】


学部生もアントレプレナーシップを学ぶ時代

2008年04月13日 | ビジネス&社会起業
母校のコーネル大学が推進しているEntrepreneurship@Cornellからイベント案内が届く。今度のセメスターから、起業家養成・輩出を全学部、全大学院、すべてのプロフェッショナル・スクールを横断的に組織するプログラムに改組したということ。

知り合いから、Entrepreneurship@Cornellが拡大される予定との話は聞いていたが、Grad Schoolのみならず、全学部までこのプログラムを拡げるというのは並大抵のことではない。

起業家精神は、たしかに米国の知的コミュニティ、知識階層においてリスペクトされる価値観ではある。しかし一方で、ギリシア・ローマの古より連綿と継承される古典的教養主義を尊重する勢力からは、アントレプレナーシップの全学展開には反対の声が上がったそうだ。議論、ディベートを積み重ね、今回の全学展開となったという。

このプログラムに関与する教授陣は、なるほど全学部に及んでいる。

College of Agriculture and Life Sciences
College of Architecture, Art, and Planning
College of Arts and Sciences
College of Engineering
School of Hotel Administration
College of Human Ecology
School of Industrial and Labor Relations
Graduate School
Cornell Law School
Johnson Graduate School of Management
Weill Cornell Medical College (New York City)
Weill Cornell Medical College (Doha, Qatar)
Weill Cornell Graduate School of Medical Sciences (New York City)
College of Veterinary Medicine

これらの領域で、学生が在学中、卒後を問わず企業の内外で起業する。保健福祉、地域開発、教育などのソーシアル分野で企業する。いわゆる株式会社起業でも、NPO/NGOの社会的起業でも、起業することがイノベーションの創出に直結する。経験産業としての大学のひとつのパフォーマンスは卒業する学生のイノベーション創出の程度で計測されるので、大学としてもディシプリンを問わず、全学部までアントレプレナーシップ教育を拡大するというのはプラグマティックな選択である。

もちろん、学生側のニーズとしても起業はキャリアの一大選択肢として明確に意識されているからだ。教育的経験産業の大学の場で、経験サービスの供給側と需要側がアントレプレナーシップという学際領域で均衡点を設定するというダイナミックな動きである。

この現実的な選択は州や連邦政府からの予算ばら撒きで行われているものではなく、自立(律)的に大学コミュニティから生まれてきた動きである、ということにも注意がいる。2000年代後半に入って、アイビーリーグ各校やMITは、こぞってアントレプレナーシップ/イノベーション教育を大学院、学部レベルで本気で展開するようになった。いずれ、この動きは全米のいろいろなレベルの大学に伝播してゆくだろう。

日本の大学、大学院の高等教育の再デザインにおいても、アントレプレナーシップ/イノベーションの導入が待たれるところだ。

リスクマネジメントとしての技術インテリジェンス

2008年04月01日 | 技術経営MOT
建国から今日にいたるまで、覇権志向国家=米国の軍政産官学複合体は科学知識、技術知識を覇権確立のための戦略的ツールとしてフル活用してきている。軍政産官学複合体が目指すものは、戦争勃発による兵器の消費による利益であると言われている。

これら軍政産官学複合体(戦争屋)の動向に関して、早稲田大学ビジネススクールMOT専攻教授の山本尚利氏の言説に注目する。ちなみに山本氏とは前職でMOT関係の某ウラ仕事をいっしょにやった仲である。まあ、そんな個人的なことはどうでもいいが、山本氏の、ウラ読みと直截な論理、そして諧謔のペーソス香る粘着質的な言い回し、MOT日米関係史観は、MOT関係者ならば一応押さえておきたいところだ。

さて、軍政産官学複合体の影響下にある技術経営帝国主義アメリカは、仮想敵国の動向、企業の動向には非常に手の込んだインテリジェンス活動を展開してきている。それらの活動の表層的一部は、福島隆彦、佐藤優、手嶋龍一などによってテキスト化されているので、一般の知るところとなって久しい。

表向き軍事同盟関係にあるとされる日米ではあるが、覇権国アメリカは、日本の敵対するであろう技術経営動向には裏表、陰陽、硬軟織り交ぜての工作を、国の中枢から企業の現場レベルにいたるまで仕掛けてきているのは関係者の間では周知のとおり。

ソフト領域では、基盤ソフトウェアにおける露骨な日本勢トロンつぶしとマイクロソフト社OSによる覇権掌握の支援。日米貿易摩擦のおりには、日本企業によるDRAM生産と輸出の誘導的に規制を強要。日本国産技術開発の芽をつぶして、型オチしたミサイルや旧型戦闘機をべらぼうな値段で売りつける。米国は、バイオテクノロジー産業を覇権確立の対象産業とほぼ見なしているので、この先の人工万能幹細胞関連の技術ならびに権利関係をめぐるデリケートな動向は要注意である。

さて技術経営という観点からデータ、情報、知識を哨戒し、入手し、適切な判断、意思決定の一助にすることの重要性は甚大である。ロードマッピング手法、シナリオ手法、特定領域の技術経路依存研究をも含めた技術インテリジェンス活動の適切な実践が待たれるところだ。活動の対象には、諜報活動(espionage)だけでななく、転覆活動(subversion)や事実上のテロ行為(terrorism)も含まれる。よってカウンターという概念の対抗活動も含まれる。

米国のMOTにあって日本のMOT研究・教育に欠落しているもののひとつとして技術インテリジェンスがある。もっともインテリジェンスはこの国の高等教育体系からもスッポリ欠落しているので、MOTを含める高度専門職教育全体のテーマである。このような文脈が影響してか、さる2月14日、重い腰を上げて、政府の情報機能強化検討会議は「官邸における情報機能強化の方針案」を遅ればせながら発表はした。骨抜きにならねばよいのだが。

大東亜戦争時代に帝国ミッションを摺りこみつつ、インテリジェンス活動の理論と実践を訓練した遠州二俣の陸軍中野学校の知的資産は、一説によると公安当局や警察スジに継承されている。日本組織の特性研究や戦略研究をベースに、Benjamin Giladの競争情報分析論、Competitive Intelligenceの方法論とともに、リスクマネジメントの一環とて技術インテリジェンスはMOT産学官アカデミアにて緊急に共有されるべきだろう。

MOTという脈略での知識研究の延長線上に、技術インテリジェンスを置いてみるのもよいだろう。