よしなごと徒然草: まつしたヒロのブログ 

自転車XアウトドアX健康法Xなど綴る雑談メモ by 松下博宣

不思議なキリスト教

2012年04月15日 | 日本教・スピリチュアリティ

橋爪大三郎先生と大澤真幸先生は、小室直樹大先生の直弟子にあたる存在で、昨年3.11のちょうど一週間前に行われた小室直樹博士記念シンポジウムにも揃って登壇していた。

小室直樹の比較宗教学の系譜を引く、このふたりの対談ならば、巷に溢れる浅薄な宗教論にはない、核心を衝いた議論をしているはずだ・・・。そう思って、この本をアマゾンで注文して手にとったのが、アフリカのコンゴ民主共和国に行く数日まえだった。行きの飛行機のなかで、読み終えた。

p4・・・近代化とは、西洋からキリスト教に由来するさまざまなアイディアや制度やものの考え方が出てきて、それを、西洋の外部にいた者たちが受け入れてきた過程だった。

p5・・・しかし、現代、われわれの社会、われわれの地球は、非常に大きな困難にぶつかっており、その困難を越えるために近代というものを全体として相対化しなければならない状況にある。

以上、この本のthesisは直裁にして明確。このどっしりとした問題提起に始まり、実にさまざまな議論が展開されてゆく。社会学、比較宗教学の学術マナーを押さえた議論なので、へんてこりんな価値誘導や、恣意的な議論がないのがいい。定価840円以上の価値はありありだ。

国内では相手のインテリジェンスにもよるが、海外で仕事をするときに必要な要素は①外国語コミュニケーション能力を含む人間力、②体力、③専門性、④リベラルアーツの素養に大別できる。

この本は、上記の④リベラルアーツの素養を拡げ、深めるためには格好の一冊だ。その延長線上に、比較宗教論としての日本教の議論があってもよかったが、いかんせん、新書にしては長目の346ページ。

続編として日本教の議論を期待したい。東工大のVALDESで橋爪大三郎先生に逢ったら、ぜひ進言?してみようか笑)

さて、市場、企業ガバナンス、国際技術標準、国際技術規格、財産権、知的財産権にはじまり自由主義、新自由主義の「自由」に至るまで、その淵源はすべてユダヤ、基督教、イスラーム教、つまり一神教=monotheismから発生してきたinstitutionsの系譜に遡る。

ところが、公会議を開催し教義の標準を決めてゆく普遍インテリジェンス志向が決定的に欠落しているのが、monotheismの対極にあるpolytheism(多神教)日本教の、インテリジェンス欠陥症候群。

国際技術経営にとっても「日本の神様とGODはなにが違うか?」の根源的な問い=root questionは、案外重いものなのだ。