よしなごと徒然草: まつしたヒロのブログ 

自転車XアウトドアX健康法Xなど綴る雑談メモ by 松下博宣

「秦人(はたびと)の町 光都」

2009年12月30日 | 技術経営MOT
古代日本においては、イノベーション創発の知的クラスターは渡来氏族中心に形成されていた。その代表格が渡来氏族であり古代日本の科学技術経営エリート集団である秦氏。当時は中国大陸・朝鮮半島と日本との間にはとほうもないテクノロジー・ギャップがあった。そのギャップを埋めて、日本に諸テクネを移植したのが秦氏。

この秦氏については、興味が尽きないので、技術経営史学(・・と勝手に呼んでいる)の視点から京都や中国地方に行くたびに歩き回ってはちょくちょく調べている。

それやこれやで、書いたのが第4講:古代日本の知恵袋、渡来氏族「秦氏」の摩訶不思議。もっともこのサイトは「ビジネスリーダーに贈る経営とIT新潮流」ということで、古代氏族のことなどほぼ無関係なのだが、予想に反してITProの2009年ランキングにはいっていた。

いったいどこぞのモノ好きがこんなん文章読むの?と思っていたが、この言説が以外なところに伝搬しているので妙に納得。たとえば、下條竜夫教授の「秦人(はたびと)の町 光都」に引用されている。下條説によると兵庫県内の8つの大避神社は北斗七星の形に配置されているという。

追:

下條竜夫教授が関与するSPring-8とは、兵庫県の播磨科学公園都市にある世界最高性能の放射光を生み出すことができる大型放射光施設。放射光とは、電子を光とほぼ等しい速度まで加速し、電磁石によって進行方向を曲げた時に発生する、細く強力な電磁波のこと。

SPring-8が「光の都」にあるのも面白いが、SPring-8施設の配列が、ある線にそっているというのも面白い符号。

年末の大掃除

2009年12月29日 | よもやま話、雑談
つきあい半分で始めたこのブログですが、なんでもかんでもゴチャマゼになってきたので、年末の大掃除じゃありませんが、↑のように整理整頓します。

2008~2009年のウェブまわりの大きな変化はfacebookやtwitterのベンチャー企業がソーシャルストリーム系のSNSのディフュージョンを本格化させたこと。

ストリームはWeb上の非常に細小な粒度の情報群をリアルタイムで世界中に伝搬させる技術群の上に立っています。この技術とクチコミ・マーケティング、覇権言語英語のアドバンテージ、ユーザの自己表現欲求,従来のネット覇権企業群のニーズを上手にミートさせ、ディフーズさせるのが、技術経営(MOT)的に見たソーシャルストリーム系のSNSベンチャーの戦略。

いずれにせよ、ユーザの立場に立てば、メディアを用途に応じて使い分けるようになるのがよいでしょう。

仏基混淆の日本教(笑)

2009年12月27日 | 日本教・スピリチュアリティ

The priest of the buddhist in Japan have observed Christmas


サンタモニカさんから興味深いビデオを紹介された。

比較宗教学、文化人類学的にも貴重な示唆に富んでいる。もちろんたんなる悪ふざけととらえることもできようが、これぞ、人格的一神教にはない日本教の中核的な性格がよく顕われているいるとおもうのだが、さて。

<以下貼り付け>

クリスマスで仏教徒で、ぼっちのリア住・蝉丸Pでございます
帝釈天・毘沙門天・弁財天とインドの神様を多数取り入れ
日本からは大黒天や八幡大菩薩や権現信仰など神仏習合が多々あれど
ヨーロッパから来られてないのは片手落ち!と言う事で
12/25 園児に人気の散多菩薩ですが今日は檀家さんからケーキのお供えがw

南伝・北伝と現存仏教はオリジナル派生でして
それぞれ趣は異なりますが、日本仏教はだいたいこんな感じでして
カリカリせずに楽しんで頂ければと

<以上貼り付け>


クリスマスの真実:凌奪された12月25日と日本教

2009年12月25日 | よもやま話、雑談
街には華やかなクリスマス・ツリーが乱立し、老いも若きもメリークリスマス・・・。コラムでキリスト教に対する私的見解をまとめたことがある。

一神教における愛と平和と皆殺し

キリスト教国家アメリカ中枢の黙示録的思考

ミトラ教の聖ミトラスの誕生日をキリスト教勢力が強奪してクリスマスに仕立て上げたことはあまり知られてはいない。一神教世界の習合は操作的かつ暴力的だった。

日本は、クリスマスを世俗的かつ、なしくずし的に換骨奪胎して商業主義に利用したり、享楽共有の記号に転換している。操作的だが、現世的で、かつ利用できるもは利用しようという多元・多層・多神的な日本の心象に納まっている。こうして12/24~25には、日本教キリスト派が顕現するのである。

まぁ、いいじゃない。1週間もすれば今度は、こぞって神社・仏閣に初詣。こうして日本教キリスト派に続いて、日本教仏教派、日本教神道派が忽然と顕現するのである。

日本教の共通点は?

「みんないっしょ」、「みんな仲間」、「ごちゃまぜ大好き」、「各宗教のいいとこどりに熱心」、「教義は日本語で暗黙的に共有される」、「オープンソース的」、「多元・多層・多神的」、「正典なし」、「人格的唯一神なし」、「人間が中心」。

・・・ということで、この一週間は毎年、刺激に満ちている。



facebook、いいね。

2009年12月22日 | よもやま話、雑談
Hiro MatsushitaCreate Your Badge


facebookは、2004年にハーバード大学の学生だったマーク・ザッカーバーグが創業。その後アイビーリーグにサービスを拡大。2006年には全米の高校生に開放し、2006年9月までには誰でも利用できるようになった。

アメリカの友人に勧められてはいってみたら、結局仲よくしていたKappa Alpha Societyのbrother連中がこぞってやっているではないか。ハンパなくみんな楽しんでいる。

多くの友人はphotoをバンバンアップしているので昔話から近況まで強烈な一覧性あり。

英語で世界をシノぐ方法(覇権言語ソフトパワーとのつきあい方)とまで力まなくてもいいが、facebookの世界は断然英語。




産学官連携 大学がつくり出す近未来 イノベーションは地域から

2009年12月21日 | 技術経営MOT


丸山正明さんが『産学官連携 大学がつくり出す近未来 イノベーションは地域から』 (単行本)を出版した。おめでとうございます!!その出版記念パーティへ研究仲間と連れ立って紅白のワインを携えて繰り出した。

産学官連携やイノベーションを考える人の必読書ですね。具体的な事例、数値などを丹念に取材をして積み上げて、一枚の大きな「絵」にするという本書の言説と丸山さんのライティング・スタイルには説得力ありあり。

実際に脚を使ってイノベーションの当事者たちに会って、詳細な表裏の話を聞き取るというジャーナリスティックな手法は、とかく文献引用、事例検討に終わりがちな産学官イノベーション研究の系譜に大きな一石を投じている。

概念操作や抽象的なモデル提示、あるいは、問題の提起に終始しがちなこのジャンルにおいて飛びぬけた内容だ。

出版記念パーーティは、忘年会、ホームパーティがフュージョンしたようなハイブリッドな集まり。なるほど、パーティも産学官連携の場ということで、このあたりは丸山さんのエスプリ。知的な会話とともに、プロフェッショナルなシェフのお料理も美味しかったです。

ヒューマン・サービスとしての助産と呪術、祈祷、儀式の関係

2009年12月17日 | 健康医療サービスイノベーション


ヒューマン・サービスは伝統的な社会では、呪術、祈祷、儀式と一緒の次元に存在していた。ヒューマン・サービスの共創性、共感性は、これらの手続きによって支えられてきた。その結果、公共圏で、個人のコミュニティへの帰属が確認され、親から子へ、子から孫へと連綿と継承される。

近代化の過程では、ヒューマン・サービスは呪術や祈祷から分離・隔離されてきた。そして、ヒューマン・サービスが合理性を目指すとされる市場原理の発動を受けて「市場」を通して提供されるようになると、ますます、ヒューマン・サービスの脱呪術化が進んで、private goods/servicesとしての「物象化」が進む。

ヒューマン・サービスを逆に「市場」から引き剥がし、脱物象化させようとする試みがあるとすれば、そのオプションとしてなにがあるのだろうか。

<以下貼り付け>

 昔、産婆というのは、赤ちゃんを取り上げる仕事と、祈りをする仕事のふたつがあった。お産は、あの世からこの世へ、魂が移行してくるとき。昔は、お産で命を落とす赤ちゃんや母親が今よりずっと多かったため、これを“もののけ(邪気のようなもの)”が命を奪いにくるためと、考えていた。そのために、“もののけ”に囚われないように、お祈りをしたのだ。

 現在でも、アフリカなどでは、病気のときには、西洋医学の医師ではなく、呪術や祈祷を行う人にかかるという風習が残っているところもある。

 日本ばかりでなく、昔はどこの国でも、癒しを専門に行う女性が介助していた。そこでは、神に祈りながらのお産が行われていたのだが、西洋科学と医学の台頭によって、そうした女性のヒーラーたちは押しやられてしまった。これが、中世ヨーロッパの魔女狩りだ。魔女狩りによって殺された女性の中に、助産を行っていた女性が多くいたと言われている。

 山形県小国町では、出産が現在のように病院で行われるようになる前、自宅出産では助産を実際に手伝う産婆と、産婦の枕元に座り、呪文をとなえていたトリアゲバアサンがいたという。

 奄美群島の沖永部島では、産婆をフスアジ(へそ婆)、クッナサシアジ(子どもを産ませてくれる婆)というが、これは、へその緒を切るという大切な役目をする人という意味だ。へその緒を切ることを「クレをくれる」ともいい、このクレは位のことで、運命、人の位、など、宿命を授けるという意味だったという。

 人の一生の運は、へその緒を切る産婆によって、与えられるものと信じられていた。産婆は、人の運命を左右するほどの霊能者とされていたのである。

 他の地方にも、産婆を呪術者、産育儀礼を司る産の神の司祭者であったことを表わすものが多い。しかし、こうした産婆の力や能力は、現在の病院出産では、一番希薄になってしまった部分であり、助産婦自身も、産婆のかつてのそうした力を知らないことのほうが多い。

(参考文献/『日本人の子産み・子育て--いま・むかし』鎌田久子ほか著/勁草書房 1990年)

<以下貼り付け>

・引用サイトはここ
フィリピン、ネグロス島のヒロット(伝統的産婆)について
村の魔女

日本助産師会@大阪桜の宮で講演

2009年12月13日 | 講演放浪記
金曜日の夜、田町での授業+講演のあとの飲み会も泣く泣く30分くらいで切り上げて大阪へ移動。翌日、日本助産師協会での招待講演があるからだ。

少子高齢化現象、格差社会化が急速に進む中、合計特殊出生率は2005年に1.26の底をついてから上がり始め2008年には1.37まで持ち直した。だが、長期的には日本の人口は減少へと向かう。人口が減少する地域や国が経済的に発展するためしは世界史をひもとけばまずないことを思うと、あまり晴れ晴れした気持にはならない。

産科医師不足、出産難民、妊婦の緊急搬送困難などの現象は、社会システム、医療システムの問題が複合したものだ。そんな中で、正常経過をたどる妊産婦に対しては助産師が責任を持って支援する助産師外来や院内助産所の開設が強く要請されてるようになってきている。

社会起業+サービスマネジメント+システム思考・・・などのテーマを凝縮して、あっという間の2時間の講演。

異常経過がないお産は医療サービスではないが、安心・安全のコア部分の周辺のハイタッチな付加価値サービスが求められる。新しい生命を取り上げるというのは人間が生まれる瞬間に受容する初めてのヒューマン・サービスなのだ。

Oxford English Dictionaryによると、13番目の意味として、サービスとは服従、敬虔さ、善行によって崇高な存在に仕えること、とある。崇高な存在は神でもいいし、神を赤ちゃんと置き換えてもいいのだろう。昔のお産婆さんには神懸った人が多数いたのは、なるほど、うなずける。

起業という側面では、基礎研究、応用研究などのフェーズはなく、サービスデザイン、オペレーション、マーケティングが勝負となる。初期投資額はさほどでもないので、単価 X お産件数の推移予測とそれを実現するスタッフ人的資源の計画化が事業計画づくりの焦点となる。

日本助産師会専務の岡本喜代子先生、東北大学家族支援看護講座の佐藤喜根子先生、神奈川県立保健福祉大学の村上明美先生、市川香織事務局長らと昼食をはさんで楽しく歓談。

な~るほどとうなずくことしきり。

JW電動車イスの開発

2009年12月13日 | 技術経営MOT
技術者はどうしてもテクニカルな専門分野のタコつぼにはまりがちだが、技術経営力を身につけると、技術者ならではの社内起業家に変身することができる。社内起業家の力量を身につければ社内ベンチャー、新規事業などを担当し、大いなる価値を創出できるようになる。

つまり技術経営イントレプレナーに変身できるのだ。その事例として注目するのが、ヤマハ発動機で電動車椅子の開発、市場化に成功をおさめたヤマハ発動機JWビジネス部部長の谷垣聡氏。谷垣氏は、同社の電動車椅子をリードしてきた中心の人物。そして現在、ヤマハ発動機で電動車椅子のシェアは80%でガリバー型にまで成長している。

この谷垣聡氏を招き、ベンチャービジネス戦略論にてライブケースをご提供いただいた。技術経営の視点から示唆されるものは甚大だ。詳細な機密事項は書けないが、例えば:

1)プロダクト・イノベーション
・車いすと電動ユニットの組み合わせ。これはまさに新結合(シュンペンター)の事例
・電動ユニットは内=インテグラル(擦り合わせ)、クローズド、技術秘匿、外=モジュラー、オープン、標準化による製品アーキテクチャ。
・この製品アーキテクチャによって、販売代理店網構築が可能となる。

2)知財戦略
・内側の急所技術にはIPをかけて秘匿、保護。技術軌道上の関所づくり。
・外側はモジュラー、オープン、標準化路線。
・OEM戦略への応用。

3)Diffusion戦略
・200社以上の車いすを扱う販売代理店網を構築。電動ユニットを取り付ければ、本体を扱う代理店も潤い、ヤハマも潤うというwin-win関係。かつ顧客密着。
・厚生労働省の認可取得による「お墨付き効果」をレバレッジにしたデファクト化戦略。
・介護保険から購入コストの大きな部分が償還されるので、この認定はまさに最クリティカル・ポイントだ。一気にユーザーに受け入れられるようになった。
・OEMによる海外進出。国によって異なる保険制度、障害者支援制度。それらを熟知した相手先企業に現地化をかませる戦略。

4)社内体制
・技術者が直接、エンドユーザとインターフェイスを持つ。医師では決してわからない生活上のニーズに肉薄、密着。
・社内にあって非主流的なポジショニングが自由闊達なR&D活動には幸いした。
・一時期の販売不振に大いに反省し「原点回帰」し、さらに新商品のコンセプトに反映させる。
・あるべき利益水準から経常可能はコストを逆算。すべてその中でまかなうというルール。
・現在は製・販・技が一体の事業部体制。

5)カルチャー
・レジャー産業用ソリューションが中心のヤマハ発動機にあって、福祉ソリューションビジネスは異色中の異色的存在。この異色性が人材を惹きつける。
・今までのモーターサイクルの仕事では飽き足らず、社会貢献するモノづくりをしたいという信念を持った人間が集まった。
・浜松遠州地方のベンチャー・スピリットを表す方言、「やらまいか!」精神の発露。

          ***

事業化の途上にあっては、なりふり構わず仕事にあたってきたそうだが、こうしてレトロスペクティブに振り返ってみると、イノベーション普及戦略のキモをきちんと押さえていることが検証される。

谷垣氏は機械工学専攻で学部卒業後、即ヤマ発に入社。その後、人間工学領域に参入してオートバイなどの座席クッション材などの開発に従事。転機が訪れたのは、海外勤務。

谷垣氏は5年間、米国西海岸での海外勤務を経験している。その間、英語によるコミュニケーション、ビジネススキルを体得していることも注目される。現在、同製品は欧州にOEM供給されているが、その交渉、販路開拓におおいに異文化交渉力が生きている。

          ***

このような新規事業立ち上げから、もちろん途中には危機的な失敗もあったそうだが、リカバリーショットの打ち方も含めて、成功にいたるまでパスをケースにまとめておくといいだろう。社内に効果的に伝承されだろうし、個別具体のケースの中に埋め込まれている汎用可能なキラッと光るコツは、日本の産業にためにもなるだろう。



ヤマハ発動機内定者、OBも参加して、講演のあとの飲み会も大いに盛り上がる。

平成21年度大学・大学院における起業家教育実態調査の報告書

2009年12月11日 | ビジネス&社会起業
大学・大学院起業家教育推進ネットワークの平成21年度大学・大学院における起業家教育実態調査の報告書がアップされている。

以下がMajor Findingsだが、詳しい内容は上記をクリック。

<以下貼り付け>

起業家教育を行なう大学数は増加傾向にある。 特に科目数は大幅に増えている。
起業家教育のコース・専攻を設置している大学・大学院は全体の約1割。
私立は学部での起業家教育に熱心であり、国立は大学院が比較的充実 している。
授業以外のプログラムやイベントを開催している学校は約2割。
学部では3割が全学取得可能な授業として設置されている。
学生参加実践型の授業は、学部で約2割(大学院で約3割。)
全体の約3割で外部講師を活用、その3分の1が起業家・経営者。

<以上貼り付け>