よしなごと徒然草: まつしたヒロのブログ 

自転車XアウトドアX健康法Xなど綴る雑談メモ by 松下博宣

知識社会進化ベクトルの先端に位置取りしよう!

2007年03月18日 | 技術経営MOT
知識社会では、知識情報に付加価値を与えることで高度なサービスが実現されてゆく。またそのようにして、基盤(プラットフォーム)の上に流通する知識そのものが社会資本化してゆく公共財となってゆく。

これまでは官が税金を集めることで官が公共財を作ってきた。これからは官に代わり民間が公共財を構築する時代になりつつある。とくに知識そのものが有形化されるソフトウェアやコンテンツは、その傾向が著しい。

上の図表はSFCの研究者、熊坂の図に手を加えたもの。「従来の公共の担い手は国や自治体などの官であった。しかし、公共財の性格がハードウェアから知識情報などのソフトウェアに比重が大きくなる中で、非効率な税金モデルから、民間資本や新しいファイナンスモデルを活用し、民間が新しい公共財構築の担い手になってゆくだろう」と熊坂は論じる。

ナルホド。この論の言うとおり。
でも、在野のプレーヤーとしては論じるよりも実行のほうが大事だ。

ケアブレインズはコマーシャル・オープンソース事業をテーマとして、民間セクターの上場企業やVCから出資を得ていると同時に、千葉県や千葉市といった地方公共団体からも助成を受け、早稲田大学ビジネススクールとも連携している。さらに、マイクロソフトと東京大学が実施する千葉県ITフロンティア産業支援協議会とも密連携して「民間資本や新しいファイナンスモデル」をおおいに活用している。

これらの産学官連携のファイナンス・スキームの中から、オープンソース、コマーシャル・オープンソースといった新しい公共的な財(モノ&コト)を生み出している。

SugarCRMオープンソースフォーラムは文字通り、公共財としてのオープンソースを不特定多数のみんなの知恵(Wisdom of Crowds)で進化させてゆこうとするモノづくりの場だ。日本で初めてできたOSS系のオープンソース・コミュニティであると同時に、産学官連携のOSS系コミュニティは世界でも初めてである。オープンソースCRMソフトウェア「SugarCRM潤vの日本語ドキュメントを作成するためのプロジェクトサイトも産官学連携にて運営している。

いっぽう、ケアブレインズが事務局をつとめる日本コマーシャル・オープンソース(TM)・フォーラム(略してCOSF)では、コマーシャル・オープンソースの民間ステークホルダであるベンダやユーザをオーガナイズし、リアルな場で交流し、ビジネス面でのシナジー効果を上げること、つまりコトづくりを目的としている。ソフトバンク・テクノロジー、日本電気、野村総合研究所、富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ、東洋ビジネスエンジニアリングといったそうそうたる上場企業や株式会社アルマス(Compiere)、イージフ(Alfresco)、日本スケーリックス(Scalix)、ゼンド・ジャパン(php)、SugarCRM(弊社のパートナー)といったオープンソース系のエッジの効いたベンチャー企業の参画を得ている。

さらにCOSFの延長線上に、SugarCRM日本語版に関連するエクステンション、ソフトウェア、サービスなど積極的に活用して、画期的な商品やサービスをエクスチェンジ(交換、取引)いただくプラットフォーム型のマーケットプレイスとして@エクスチェンジを来月からオープンさせる。

このようにケアブレインズは、新しい公共財=オープンソースを公民(図の右上)のセクターから民私セクター(図の右下)に循環して利用、普及させるプレーヤーである。それと同時に、公官セクター(図の左上)の社会資本を民私セクター(図の右下)に移動させて有効活用する役割を果たしている。ケアブレインズを結節点として、産官学の2本の矢印が、官・民、公・私の区分を融合させ、オープンなイノベーションがコトモノ作りの両面で進行中である。これららの融合的な関係や米国SugarCRM社との戦略提携関係などは、知識資産を公正に評価してゆく会計基準では、「関係性の資産」として積極的にカウントされる。

もちろんケアブレインズが位置する民私セクター(図の右下)では市場経済原理のもと株主価値の最大化がメインテーマである。知識社会の進化とイノベーションをコマーシャル・オープンソースというテーマで実現する位置取りと上記の考え方に共鳴し、「関係性」がお分かりの投資家には、弊社のステークホルダーとしてより深く「関係」して頂きたいものだ。








和歌の浦をそぞろに語り歩く

2007年03月12日 | 自転車/アウトドア
週末は和歌山県立医科大学附属病院にて、サービスサイエンス、クリニカルラダーについてコンサルティングと講演。看護部の方々は、文献を丹念に読みこなしながら、また講演内容を咀嚼してこの病院独自のクリニカルラダーを作り上げてきた。このがんばりは素晴らしい。今後は、クリニカルラダーと評価システムをイントラネットに格納して運用フェーズに入ってゆく。

450人もの方々への講演が終わってから小泉副看護部長らと連れ添って、よしなごとを楽しく語り合いながら、紀三井寺へ。山内・県下あわせて十二ヶ寺の末寺を擁する救世観音宗(ぐぜかんのんしゅう)の総本山だが、元はといえば護摩壇が荘厳されていることかも明らかなように真言密教の寺院である。この西国三十三国所第2番札所の観音霊場の詠歌に曰く、

ふるさとを 
はるばるここに 
紀三井寺 花の都も 
近くなるらん

さらにそぞろに歩き、東照宮を経て和歌浦天満宮へ。常緑広葉樹の豊かな緑の小径の向こうには薄紫色に暮れなずむ和歌浦湾が静謐のうちにやんわりと広がっている。

この地を訪れる文人墨客は多い。

麓には 
潮ぞさしひく紀三井寺
木の間の塔に 
青し古鐘

と詠んだのは若山牧水。

風光明媚という言葉はこのような情景のためにあるのだろう。

京都で宗教とオープンソースを語らう

2007年03月10日 | オープンソース物語
関東あたりに住み慣れている人間にとっては京都は特別の意味を持つ。古代から現代までの歴史が堆積されて地層を形作り、表層にはいまなお無数の神社仏閣、陵墓、森林などの歴史的遺産が現存するからだ。

多少なりとも日本の歴史や文明比較史に興味があるアメリカ人の目から見ると、京都は強烈なワンダーランドに見えるようだ。京都へいっしょに遊びに行ったSugarCRM社長ジョンロバーツも例外ではない。意表を突かれる質問とそれらへの答え、そして楽しい議論が延々と寺や神社の境内で、庭園で続いた。

「ヒロ、さっきから気になるんだが、なぜジンジャには動物をいっぱいかかげているの?なぜ日本人は動物を神として崇めるの?」

「ジョーモンあたりに淵源を発するジャパニーズ・アニミズムは時を経て、シントーという経典を持たない独自の多神教へと発展したのさ。地中海東岸から乾いた中近東から生まれてきたヘブライ教、キリスト教、回教などは一神教で唯一絶対のGodを崇拝するよね。でも日本の神道では、そのあたりに生えている木々、草、苔、岩、山、鏡、動物などみんなカミなんだよ。もちろん、スサノオやヤマトタケルのような古代の英雄もカミになる。なんでもカミになれる。なんでもカミとして崇拝する。とくに自然界の美しいものはすべてカミなんだ。

だからそもそも、英語でいうGODと日本語のKAMIはぜんぜん違うんだ。ニッポンのカミはどこにでもいる。そしてなんでもがカミになりうるのさ。なんで、動物がカミになるのは朝飯まえなのさ。

でこんな考え方が、6世紀はじめごろに日本に伝来されたブッキョーにも影響したのさ。とくにミッキョウとよばれるブッキョーのひとつのスクールでは、この影響は強い。テンダイのホンガクロンという考え方では、そのへんの原っぱに生えている草も木も、クニの土地も、全部ことごとくホトケさまになれる(草木国土悉皆成仏)って言っているわけだ。ブッキョウのアミニズム化みたいなもんさ。

考えてみれば、ニッポンはカミをオープンソース化したのさ。なんでもがカミになれる。でもキリスト教など一神教ではGODはクローズドでプロプライエトリね。キリスト教の文明から西洋の科学技術が生まれたのは認めるが、一神教ではニンゲンのみがGODの似姿である理性をもつことによって、他の動植物より優れているので、動物や植物の殺生与奪の特権があるとしているよね。近代になってからは、デカルトやベーコンなどの合理主義によってこの考えたかは強化されたね。そしてGODと直結したニンゲンが都合よく自然を支配しちゃう。

しかも教会が現れてからはプロプライエトリなシステムとして、やれカソリックだのプロテスタントなどとクローズドな派生ソフトがやたらでてきているじゃない?

レリジョンをニンゲンを動かすメタなソフトウェアととらえると、シントーのようなオープンソース系多神教のほうでみんなが仲良くやってけると思うんだけど・・・どう?」