よしなごと徒然草: まつしたヒロのブログ 

自転車XアウトドアX健康法Xなど綴る雑談メモ by 松下博宣

取材あれこれ

2005年07月27日 | オープンソース物語
台風が急接近する風雨の午後、オープンソースビジネスの件で日経ソリューションビジネス木村さんの取材を受ける。よもやま話のおり、今週末から北海道をキャンピング装備の自転車で走る話をすると、相手の顔色が急変した。聞けば、なんと木村さんもサイクリスト=自転車フリークとのこと。ロードレーサー、マウンテンバイク、フォールディングバイクなどにまたがるアクティブなサイクリストなのだ。

こうなると、サイクリスト同士の本能がうずきあい、わき目もふらず話は本題の取材から脱線して自転車談義一辺倒。なんと1時間以上、自転車の話ばかりで盛り上がった。肝心のオープンソースの話は10分程度か。

たしかにサイクリストにはサイクリストの価値観なるものがある。
・自分の体で道を行く美学
・カラダを酷使しながら空間に身をさらすタフネスのあくなき追求
・健康、ウエルネスを生活の場面で実践するヒューマン・エコロジー志向
・キカイとしての自転車にこだわる少年のような好奇心

パブリシティを狙う企業とニュース性を求めるマスコミという図式を一気に超越して異次元に飛び込ませるものは、やはり共通の価値観のなせるわざか。価値観をシェアできるよもやま話のほうが表面的なビジネスの話に終始するよりも、はるかにコミュニケーションした気持ちになったので不思議だ。

もっと(M)、おおきく(O)、たかめよう(T)、MOT→技術経営

2005年07月25日 | ニューパラダイム人間学
このことろ技術経営(MOT,TM)に関する大学院のマーケティングに関する仕事が増えつつある。

日本の産業を再成長のシナリオに乗せるためには技術経営に明るい人材を早急に育成し、産業基盤のなかに配置し、浸透させる必要がある。そのために文部科学省や経済産業省が数年前から音頭をとり、技術経営を講ずる大学院が多数出来てきた訳だ。

気になるのは、雨後の竹の子のように立ち上がってきた技術経営大学院ではあるが肝心の学生サイドの関心がさほど高まっていないことだ。その証拠に定員割れの技術経営大学院がぽちぽち現れて来ている。サプライサイドの技術経営専門職大学院は、政策の後押しもあり、ここ数年間増えてきた。しかし、教育サービスの消費者である潜在学生(社会人、大学生)であるディマンド・サイドの勃興が後手後手になっている。実需がサプライサイドを盛り上げているのではなく、政策ドライブによる市場刺激ゆえに生じている現象だ。

ではどうしたらよいか?

ディマンド・サイドの社会人、学生を含めた市場刺激マーケティングをソシアル・ネットワーク・マーケティングとして強力に推進すべきだ。とくに中堅企業以上の技術系管理職候補者、技術系管理職、技術人事部門にMOTの必要性を訴求して、企業の管理職研修のプログラムとして技術経営専門職大学院を位置づけてもらうような策が必要だ。

複数の技術経営専門職大学院がゆるく連携し都心で大々的にフォーラムを開く。つでにインターネットでもフォーラムを立ち上げ、MOTに関する知識、事例、教材、研究レポートなどをオープンコンテンツにしてフォーラムという楽市楽座のなかでやりとりする。研究者はもちろん、一般産業界の技術経営に関心をもつ方々も自由にフォーラムへ首を突っ込んでもらい、いろいろな知見のやりとりに参画する。オンとオフの融通無碍な循環を演出し、オフの舞台の一角に特色のある技術経営専門職大学院を役者として立たせるのだ。

ディマンド・サイドの底上げを図りつつ、技術経営専門職大学院のリクルートにも直結する。こんな遊びをかませた仕掛けがMOTには必要だ。



セレンディピティと運

2005年07月22日 | 日本教・スピリチュアリティ

「あの人は運がいい!」ということをイマ風に表現すると、「あの人には偶然幸運に出会う能力つまりセレンディピティ(serendipity)がある」となる。

人の行動は複雑で雑然としている。複雑で雑然な人がなんとなく感じる運のよしわるしは長らくサイエンスの実証的分析の埒外に置かれてきたが、近年は認知科学、脳科学ではしきりにセレンディピティという概念に光が当てられるようになってきている。人間だれしも運をよくしたいもの。セレンディピティを豊かにして運を高めるためにはどうしたらよいか?なんてことにも分析の矢が向けられつつある。

(1)潤沢なフロー経験をもつ
仕事や趣味の世界で豊かなフロー経験を過去、現在有している。すべてを忘れて没頭できるなにかをもつ。フロー経験を良きエピソード記憶として蓄積する。

(2)プロセスを楽しみよく笑う
成果、結果よりもプロセスそのものを楽しめる。そのことじたいを行うことが無条件で楽しいなにかを持っている。そしてよく笑うこと。笑うと眠っていた遺伝子も活性化するそうな。

(3)シンクロニシティに敏感になる
身のまわりの出来事に注意をはらい、出来事の意味に注意する。つまり、シンクロニシティーに敏感になりシンクロニシティーを発動させるようにする。良き偶然を引き寄せる。

(4)まわりに対してオープンになる
いろいろな経験と周囲に対して前向きで、オープンな意識・行動状態を維持する。自分の内面といろいろなヤリトリを一生懸命やり続ける。そして感謝の気持ちを持ち続ける。

ざっとこの手の文献をレビューすると、こんなことが共通項として書かれているし、身のまわりを見渡してもそんなふうか。ただし、これだとたんなる「~思います」だけだ。あるいはたんなる観察による素朴な仮説の域を出ない。

サイエンスの作法で実証するには以下のプロシジャーが必要になるだろう。

(1)まず「運のよさ」を因子分析する。何度か回転をかけてドメインを精緻化して、運のよさを計測する質問をつくる。
(2)その質問表を最低100人位の無作為に選ばれた人々に対して回答を得る。
(3)運がよいと自覚している人の集団、グループAを特定する
(4)運がよくないと自覚している人の集団グループBを特定する。
(5)Behavioral Event InterviewをグループAに対して実施し、運がよいと自覚している人たちの行動特性、能力特性をコーディングし記述する。

あーあ、疲れた。








ベンチャービジネス社長の集まり

2005年07月21日 | ビジネス&社会起業
わさわさ仕事を片付けて昼過ぎから、千葉市産業振興財団のベンチャー企業の社長の会合に駆けつける。お付き合い程度と軽く考えて顔を出したが、どうしてどうして、非常に得るものが多い集まりだった。

根本精機、モノベエンジニアリング、市川ソフトラボラトリー、プラムシックス、かっぺ、コージーライフ研究所、デンタルサポート、そしてケアブレインズという面々。

ベンチャービジネスの社長の会というと、ぱっと名詞を交換して酒を飲んでバカ話、きわどいビジネスの話、噂話に花が咲いて終わり、というケースが多いが、今回の会合は前半はアルコールなしのたいへんマジメなもの。

ベンチャー系の社長族という人種は話好き、多弁な人が圧倒的に多い。自発的努力や達成志向性といったコンピテンシーも強力で自己表現欲求と関係性欲求が旺盛な人たちが圧倒的に多いのだ。プラスのエピソード記憶の蓄積が豊富なためだろう、ひとり10分の持ち時間だが、みなさん倍くらい平気で話す。というか、僕も多弁なほうだが。こうしてだまって、他社のトップの方々の話をまんじりと聞くという経験は振り返ってみると稀有。いろいろ詳細な話をしたい会社もあり、今後の継続的な関係に期待したい。できれば、市の方が音頭をとり、楽市楽座のような交流会にでも仕立ててくれればうれしいのだが。

財団理事長の大田さんが昨日の日刊工業新聞に載ったケアブレインズのプレスリリースをお読みいただいたとのこと、恐縮することしかり。千葉市産業振興財団からは有難いことに、オープンソースCRMのコミュニティ組成の産学提携研究でご支援を頂いている。成功させなければ!




ゼンド・ジャパンと業務提携

2005年07月19日 | オープンソース物語
ここ数週間、ゼンド・ジャパンさんと具体的な業務提携の話が進んできたが、今日の11時をもって、AMPベースのオープンソースCRMソリューション「SugarCRM™ on Zend」を発表した。業務提携の詳細についてはこちらで情報を公開している。

ファースト・ミーティングからけっこう早いペースでことが進んだ。スピーディにサクサクことが進むのは気持ちがいい。オープンソース界で体感したシンクロニシティが、このように具体的なビジネスのアウトプットにつながったことは、意味深い。この御縁を大切なものとして、さらなる展開を期したい。

両社で8月23日(水)に「オープンソースCRMセミナー」を共同開催し、新しいソリューションの詳細を説明することとなった。

日時:2005年8月23日(水) 15:00-17:00(開場14:30)
場所:有楽町東京国際フォーラム 会議室 G-510

このセミナーの案内はオープンソースCRMセミナーにて詳細がアップれている。




福岡青洲会病院

2005年07月17日 | 講演放浪記
福岡はすでに梅雨明けの猛暑。先週はオープンソース事業の対応や取締役会の対応などで忙しかったが、週末はヘルスケア関係の講演で福岡青洲会病院へ。このところ福岡と羽田を往復することが多い。

福岡青洲会病院は、救急医療から在宅まで手がける幅広いプロダクトラインを展開する総合病院だ。大都市のやや近郊ぎみの立地において特異なポジションを得ている。中村院長、永島看護部長、森崎事務長らとしばし歓談の後、講演へ。

トップがみずから学ぶ姿勢をカラダで表現している。いいことだ。そして人材開発にかける意気込みがひしひしと伝わってくる。前向きな意気込みの向こうには明るい未来がある。




オープンソースSugarCRM公開セミナー

2005年07月16日 | オープンソース物語
昨日はワールドビジネスガーデン13階のプレゼンテーションルームでオープンソースSugarCRMの公開セミナー。

短期の募集期間にもかかわらず、また正式にアナウンスしてから日が極端に浅いのにもかかわらず多数の参加者に来場いただいた。オープンソースSugarCRMに関する関心、興味の深さを感じるとともに、興味の幅広さもまた実感する。

ユーザー、SIer、ソフトハウス、メーカー、商社、地方公共団体、など、それぞれの立場からそれぞれに活用の視点、方法がある。また熱心な受講者はセミナー終了後も残っていろいろな興味深い立ち話に花が咲いた。なかにはこちらが、びっくりするような話も。当日の資料はこちらからもダウンロードできる。

歴史認識

2005年07月15日 | よもやま話、雑談
文藝春秋8月号の「日中韓・靖国参拝大論争」が面白い。そこには根本的にかみ合わない議論がものの見事に展開されているからだ。そして歴史認識のあやうさ、きわどさを見事に浮き彫りにしているからだ。

事実(fact)に対して意味づけや解釈が与えられ、一つの認識(recognition)が立ち上がり、やがて複数の事実や認識が編集されてゆくと歴史観となる。だから、いきなり認識や歴史観という土俵で議論してもかみ合うことはなく、不毛な議論に終始する。

さて、始末が悪いのは逆に特定の認識、歴史観を土台にして事実を作ってしまうことだ。これを事実の捏造という。たとえば、東京裁判の当初、日中戦争の犠牲者は320万人と中国は発表した。それが570万人に増え、国民党から中華人民共和国に代わると2160万人と増えている。そして江沢民総書記の時代になると3500万人へ急増する。

そしてこのような数字が、故意にある特定の認識を導き、歴史観にまで繋がってゆくとき、事実をベースにした議論はできなくなってしまう。「日中韓・靖国参拝大論争」はそのような意味において、事実、認識、歴史観は個々に分離されているのではなく、特定の見方、構えよって、一体化されているということを示して余りある。

事実に意味や解釈を与え、認識し、やがて複数の事実や認識を構築して思想にまで高めてゆくのは言語のはたらきがあるがゆえだ。歴史認識議論には、引き裂かれた言語の世界が展開されている。


言語のテロリスト

2005年07月14日 | よもやま話、雑談
言語を獲得するとはいったいどういうことなのか?
ダイニングルームの出窓のところで今日も
のんびり水にひたっているポンタを眺めていると
福岡でグレードアップラボでの雑談がふと頭をよぎる。

ポンタは二歳になるスッポンで、水槽の底のほうで
いつも転寝をしているか、ものを食べているか、
そうでもなければたまに水面へ出て来て息を吸うくらい。

たぶんスッポンのポンタには言語はないはずだ。
でもポンタを眺める飼い主は人間だから言語がある。
言語の有無は水槽のガラスを隔ててとてつもなく
大きなものだ。

さて、言語を習得すればするほど、世界が見えてくる。
いろいろな解釈、意味づけをすることができる。
世界に奥行き、深みが出てくる。

世界が世界としてそこに客観的にあるのではなく
言語をとおして構築される。
言語によって世界にリアリティーがあたえられる。

わくわく、どいどき、楽しい言語を獲得すれば
世界はきらめく。

じめっとした、暗い言語を獲得すれば
世界は陰鬱になるだろう。

会計言語のみに依存すれば、世界は損益、
資産、負債、資本、そしてキャッシュフロー
に見えるだろう。

英語だけにたよるなら、「朝日に香る山桜花・・・」
は理解しがたいだろうし、日本語だけならば、
dialogはわからないだろう。

語彙が増えれば増えるほど、世界に対する構え、
世界に対する見方のノリシロ、幅、奥行きも
膨らむ。

言語によって世界は膨らむが、また言語によって
膨らみすぎた過激に豊穣な意味世界には亀裂も生じ、
分断もされる。

水槽の内と外。
市民の言語とテロリストの言語。
言語獲得とはあやうい行為である。




自己組織性の場=オープンソースコミュニティ開設

2005年07月12日 | オープンソース物語
SugarCRMオープンソースフォーラムが今週の月曜日からオープン、サポートを開始した。コミュニティー開発ツールもオープンソースのphpBB。いろいろなやりとりがおこなわれ、面白いこと・ものづくりの場、知識共創の場、自律分散的なまなびの場、になって欲しいものだ。またそのためのサポートも工夫したいものだ。

先日福岡で、グレードアップラボの長野克彦さんと講演の途中の休み時間やランチの時に、複雑系の話に花が咲いた。いちはやく、SugarCRMオープンソースフォーラムを御覧いただいたとのこと、いきなり福岡で、オープンソースコミュニティを自己組織性という切り口で議論することになってしまったのだ。

長野さんは低次元磁性体の超音波吸収・常磁性共鳴吸収の統計力学、一般化されたブラウン運動の統計力学理論、乱流の統計力学、決定論的力学系のカオスを研究されたきた方で、さすがに統計物理を押さえている方の複雑系の対する議論はsharpだと恐れ入り、大変大きな勉強をさせてもらった。複雑系の仮説で医療・看護組織を見立てて、活性化の方法を考案しているのだという。オモシロイ!!!。

さて、オープンソースコミュニティの面白いところのひとつは、通常の組織にへばりついている政治的、人間関係、社会的地位などの文脈の制約から個人が自由に発言、やりとりできて、しかも内発的動機づけが中心の成果主義の場であるということだ。従来型の組織を複雑にする、政治的、人間関係、社会的地位などの文脈が完全とまでいかなくても相当程度捨象されるわけだから、逆に自己組織性に注目して、複雑系の仮説で分析してみると面白いだろう。