よしなごと徒然草: まつしたヒロのブログ 

自転車XアウトドアX健康法Xなど綴る雑談メモ by 松下博宣

東工大、国際的社会起業家養成プログラムの報告書2本

2010年03月31日 | ビジネス&社会起業
国際シンポジウム「Everyone a Changemaker―世界を変える社会イノベーション―」(2010年2月6日開催)の講演録ができました。渡邊 奈々さん、ビル・ドレイトンさん、デイヴィッド・グリーンさんなど。内容超充実です。

東工大、「国際的社会起業家養成プログラム」の『社会イノベーション事例集2009』ができました。ケースを数本ですが執筆して刊行に協力しました。

サービス・イノベーションの経営学(4)

2010年03月29日 | 技術経営MOT


2010年04月発行 (通常号) ( Vol.20 No.4 )
pp340-345

サービス・イノベーションの経営学・4
日米医療政策の共進・共創現象と医療・医療保険サービス

今回は、小泉政権時代に顕著だった、日米医療政策の共進・共創現象について論述しました。

米国寡頭勢力とそれに呼応する国内特定勢力による日本の医療産業の市場化、利益誘導、政策操作の姿を浮き彫りにしました。

混合診療の採用、病院の株式会社の解禁、高度先進医療の規制緩和、労働保険の民間開放など、内閣府の「総合規制改革会議」で進められた議論の裏側の構造を分析しています。

「新しい公共」円卓会議

2010年03月27日 | ビジネス&社会起業
第4回「新しい公共」円卓会議でのディスカッションが面白い。

以下ポイントのみ。

               ***

・「社会イノベーション特区」提言あり。医療遠隔システム、遠隔処方、遠隔モリタリングなど医療サービスイノベーションの話題が多い。市場に開放するのではなく、新しい公共を創る方向で。

・「新しい公共」への社会イノベーションを推進する医療・環境サービスイノベーション。とっくにやっていなければいけなかった「特区」笑)。

・市場性がない公共→社会的業の必要性。民間がになう公共→社会事業法人の提起。社会企業育成法(韓国)、Community Interest Company(英国)は先行している。非配当(非営利)株式。医療法人のような持分。株式をもてるNPO。出資者には税額控除。(駒崎さん)

・みんなが乗るような新しい法人の制度デザインされた「社会企業法人」が必要。その他もろもろプラスワンではダメ。寄付の競争、 市場の競争、行政委託での競争を促す仕組みとしての「社会企業法人」。従来型のNPOとはべつもの。

・新しい公共のイメージ。3セクター=企業、行政、市民バラバラ。これらを連動させるスキーム。いずれはGDPの18%位にすべし。新しい公共を支える諸制度デザイン。それらを「宣言」にみんなでサインする。逃げられないぞ。(金子さん)

・新しい公共サービスを受ける。→新しい公共サービスを選択する。選択出来る多様性をデザインすべき(井上さん)

               ***

スーパー特区・先端医療実用化へのロードマップの検討シリーズ

2010年03月26日 | 技術経営MOT
「スーパー特区・先端医療実用化へのロードマップの検討シリーズ」の案内です。
医療サービス・イノベーションの視点から有意義な議論が展開されてる模様です。

<以下貼付け>

昨年度まで12回にわたって開催いたしましたTRレッスン&レクチャーシリーズに変わり今年度から「スーパー特区・先端医療実用化へのロードマップの検討シリーズ」を開始いたします。昨年度に、内閣府は先端医療開発特区(スーパー特区)(平成20-24年度)として公募により24課題を選択しました。日本の最先端に位置付けられるこれらの課題のいくつかにつき、その内容、実用化実現の計画、課題等につき話していただき、討論したいと考えています。第2回としまして下記の講演会を開催いたしますので、是非ご参加いただきたくご案内申し上げます。

また、今後のスケジュールにつきましても、以下に予定を記載していますので、ご参照下さい。第3回目以降に関しましても順次ご案内申し上げます。

「スーパー特区・先端医療実用化へのロードマップ」の検討シリーズ第2回講演会 


講師: 浜松医科大学光量子医学研究センターゲノムバイオフォトニクス研究分野 
教授  間賀田 泰寛 先生

課題名:【メディカルフォトニクスを基盤とするシーズの実用化開発】

日時: 4月21日 (水) 18h30~

場所: 東大医科学研究所2号館2階会議室
http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/jp/access/access/
http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/jp/access/campus/ (地図の10番の建物です)

参加費: ¥5,000 (健康医療開発機構会員および学生は無料)

定員: 50名

参加ご希望の方は事務局(sanka@tr-networks.org)までご連絡下さい。
特に申し込み受付のご連絡はいたしませんが、定員になり次第申込を締め切りますので、ご参加いただけない場合には、事務局よりご連絡いたします。

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スーパー特区・先端医療実用化へのロードマップの検討シリーズ

昨年度まで12回に渡り実施してきたTRレッスン&レクチャーシリーズでは、TRに実際に取り組む方々の知見・ノウハウを共有し、具体的なTR推進のイメージを描くという点において一定の成功を収めました。一方、このシリーズの運営、あるいは、ここ数年間のTRを取り巻く状況・意識の変化を通じて、新しい先端的な医療を患者・社会に届けるためには、もう一段階具体的かつ未来指向の視点に切り替えた取組を行うことが必要とされてきていると感じております。昨年度成功裏に実施したシンポジウムの副題を「医療化のロードマップ」としたのも、まさにこのような意識の現れによるものでした。

そこで、今年度は、「TRレッスン&レクチャーシリーズ」に代わり、「先端医療実用化へのロードマップ」を開催し、そこでの議論、検討、あるいは作業を通じて、具体的に近い将来に先端医療を医療化するためのロードマップを描くことの一歩を踏み出したいと考えております。

昨年度に、内閣府は先端医療開発特区(スーパー特区)(平成20-24年度)として公募により24課題を選択しました。本特区では、我が国での優れた基盤研究の速やかな実用化を目指してiPS細胞応用、再生医療、革新的な医療機器の開発、革新的バイオ医薬品の開発、国民保健に重要な治療・診断に用いる医薬品・医療機器の研究開発
(がん・循環器疾患・精神神経疾患・難病等の重大疾病領域・希少疾病領域その他)の幅広い5分野での研究課題が選ばれました。特区選択課題では、公的資金のより柔軟な運用が可能となり、又開発を進めることについて医薬品医療機器総合機構(PMDA)との早期からの話し合いの機会を得ることが可能となります。現在未だ内容が明らかではありませんが、開発に必要な経費についても特別に措置され得ることも期待されています。

選択された24課題に関わる開発研究が次世代医療に貢献できる様なものに発展することは、日本の医学・医療という観点はもとより、経済的観点からも極めて重要と位置付けられています。24採択課題に関わっているNPO会員も多く、本年度は日本の最先端に位置付けられるこれらの課題のいくつかにつき、その内容、実用化実現の計画、課題等につき話していただき、討論したいと考えます。

スケジュール:

1.京都大学 放射線腫瘍学・画像応用治療学 教授  平岡 真寛 先生 【終了いたしました】

3月25日 (木) 18h30~
東大医科学研究所2号館2階会議室
課題名:【イメージング技術が拓く革新的医療機器創出プロジェクト-超早期診断から最先端治療まで】

2.浜松医科大学光量子医学研究センター
ゲノムバイオフォトニクス研究分野 教授  間賀田 泰寛 先生

4月21日 (水) 18h30~
東大医科学研究所2号館2階会議室
課題名:【メディカルフォトニクスを基盤とするシーズの実用化開発】

3. 北海道大学大学院 医学研究科 教授  白土 博樹 先生

5月21日 (金) 18h30~
東大医科学研究所2号館2階会議室
課題名:【「最先端放射線治療技術パッケージング」によるミニマムリスク放射線治療聴き開発イノベーション】

4. 国立循環器病センター研究所副所長  妙中 義之 先生

6月18日 (金) 18h30~
東大医科学研究所2号館2階会議室
課題名:【先端的循環器系治療機器の開発と臨床応用、製品化に関する横断的・総合的研究】

5. 国立長寿医療センタ 室長  中島 美砂子 先生 

7月8日 (木) 18h30~
東大医科学研究所2号館2階会議室
課題名:【歯髄幹細胞を用いた象牙質・歯髄再生による新しいう蝕・歯髄炎治療法の実用化】

<以上貼付け>

起業家、社会性、資本主義をめぐる議論

2010年03月26日 | ビジネス&社会起業
すべての起業家は「社会的」なのだ、とStanford Social Entrepreneurship ReviewのなかでEwing Marion Kauffman FoundationのCEO,Carl Schramm は書いています。

その全文はこちらです。

ちなみにCarl Schrammは、 The Entrepreneurial Imperativeの著者でもあり、Good Capitalism, Bad Capitalismを共著しています。Carl Schrammの言説は、起業という社会現象を資本主義という体制から俯瞰して議論するものであり、注目に値します。

さて、Carl Schrammに限らず、社会民主的な伝統が強い欧州では、社会起業と起業を峻別する傾向が強いのに対して、アメリカでは、社会起業と起業をことさら区分すべきではない、という議論が存在してきました。

もちろんこのブログでも何回かとりあげたように、アメリカでもsocial entrepreneurはブームのような状況で、fashionable な響きさえ帯びています。金融資本主義や強欲資本主義の暴走の成れの果てにリーマン・ショック、そしてそれに続く長期的な資本主義の衰退が見て取れる、とする立場からは、あたかもSocial Entrepreneurshipを、それらに対する対置概念として位置づけたいとする願望もなくはないのでしょう。


<以下貼付け>

Over the past decade or so, the term social entrepreneur has become a fashionable way of describing individuals and organizations that, in their attempts at large-scale change, blur the traditional boundaries between the for-profit and nonprofit sectors. Given the ceaseless appearance of innovations and new institutional forms, we should welcome a new term that allows us to think systematically about a still-emergent field.

One danger, however, is that the use of the modifier social will diminish the contributions of regular entrepreneurs―that is, people who create new companies and then grow them to scale. In the course of doing business as usual, these regular entrepreneurs create thousands of jobs, improve the quality of goods and services available to consumers, and ultimately raise standards of living. Indeed, the intertwined histories of business and health in the United States suggests that all entrepreneurship is social entrepreneurship. The pantheon of model social entrepreneurs should thus include names such as railroad baron Cornelius Vanderbilt, meatpacking magnate Gustavus Swift, and software tycoon Bill Gates.

<以上貼付け>

日本の「社会起業」に対する見方は、欧州や米国とも異なり、情緒的なものが多いように見受けられます。

先日、Ashoka財団のBill Draytonさんと議論した際にもこの点があがりました。本質は起業という行為であり、ビジネスモデルとステークホルダーとの関係性のなかに「社会性」が埋め込まれていれば、営利企業とて社会的企業であり、そのような企業を創業する起業家は社会起業家である、という点で議論は一致しました。

またBase of Pyramidの健康に深く関与している社会的企業として名高いオーロラボ(Aurolab)社を起業したDavid Greenさんも、「私は、最近は自分たちのことを社会的企業とはあまり言わなくなりました。高ボリューム・低マージンモデルのビジネスを市場の中で行っていることが社会に受け入れられているだけなのです」と言っていました。

Bill DraytonさんやDavid Greenさんとの対話してみて考えたことについては、こちらで掘り下げて書いています。

「社会性」という概念は、企業の外縁部にあるときには、フィランソロピー(社会貢献活動)、CSRとして位置づけられますが、外縁部ではなくビジネスモデルやステークホルダーとの関係のど真ん中に埋め込まれるときに、企業は必然的に「社会的企業」となってゆくのでしょう。しかし、それが成就された暁には、「企業」と「社会的企業」を区別するのは、さほど有意味なことではなくなるのです。

資本主義の主要なプレーヤーはイノベーションとそれに伴なうリスクを引き受ける起業家です。その起業家が創発させる「企業」のあるべき姿と、そこにいたるプロセスである「起業」のスタイルが問われていると思われます。これらが変化すれば、必然的に資本主義のスタイルも変化するからです。

旧態依然としたゾンビのような企業がぬくぬくと保護されて延命している社会では資本主義は変化できません。

このような文脈では、起業家育成とは「まっとうな」資本主義のfostering(涵養、育成)と同義なのです。金融資本主義や強欲資本主義に蹂躙されているアメリカで、「まっとうな」資本主義をはぐくむための起業家育成がブームになっているのはコインの表裏ということです。この動向については、アメリカ社会のダイナミズムを直視すべきでしょう。

さてGlobal Entrepreneurship Monitorのレポートにもあるように、日本の起業動向は長期低迷傾向が続いています。社会のダイナミズムが端的に顕れる領域が起業なので、この傾向を素直によめば、日本資本主義の自己再組織化、卑近な言葉でいえば「変化」は活発とは言えません。

日本は、アメリカの直接的な影響下にありますが(「属国論」など参照)、「まっとうな」日本的資本主義に変化させてゆくためには、「まっとうな」起業家の輩出が待たれるところです。「まっとうな」起業家はすべて社会的な存在であり、「まっとうな」起業家の溌剌たる活動が「まっとうな」社会の再構築、ひいては社会原理としての資本主義の再定義に結びついてゆきます。

「大学」×「技術」×「BOP」- 日本発、世界を変えるイノベーション

2010年03月21日 | 技術経営MOT
上記のシンポジウムに参加してきました。

主催者やスピーカーではなく、聴衆の一人として参加するシンポはその楽しみ方として最も贅沢なものです。六本木の政策研究大学院大学の会場を見渡すと、先月国際的社会起業サポートセンターが協賛して行ったEveryone a Changemaker―世界を変える社会イノベーション―シンポで見かけたお顔がチラホラと。

やはりこういうシンポに出てくる面々は特殊な意識の高さを共有しているのでしょうか。MITのD-Labメンバーを呼んでの適正技術が主たるテーマ。Technologyをテコにしたentrepreneurshipは、全米の著名大学院では注目テーマですが、MITのD-Labは、Appropriate Technology(適正技術)コンセプトを全面に持ってきています。進んでますね。

イノベーション・マネジメントの視点から見ても、Appropriate Technology(適正技術)は重要なものです。日本では、どちらからというと営利企業の競争戦略や産学官連携という視点や経済政策面では成長エンジンという視点が中心です。しかし、Base of Pyramidという視点を加えれば、Appropriate Technology(適正技術)がイノベーション・マネジメントの地平に浮上してきます。

新しく設立されたD-Lab Japanにも期待大ですね。

先進国で成熟し陳腐化した技術でも、途上国へもってゆけば格安に普及することができ、持続的な効果を維持し、結果として当地の社会にインパクトをもたらすシステミックなイノベーションの実現になる。

あるいは日本の携帯電話のように、いくらサプライサイドの事業者が、先端的な技術を詰め込んでサービス・イノベーションのプロポジションを提案しても、需要と供給側双方が飽和状態になっていれば、ユーザからはイノベーションであるとなかなか認知されません。

そして、日本的な特殊な均衡点を求めるあまり、世界レベルが要求する均衡点からはハズれてしまい、ソリューションとしては通用しなくなっています。俗に言うガラパゴス現象です。

ここで誰しもがいだく仮説は次のようなものでしょう。つまり、

<仮説:ガラパゴス現象ゲームの中で技術を開発、市場化するエネルギーをBOPに適応すればはるかに大きな社会的インパクトを効果的に実現できる>

このあたりを実際のpractitionerの実例を織り込みながら、シンポは進んでいきました。
さて上記仮説についてはいくつかのポジションがあるのでしょう。(1)そんな仮説いらない、(2)仮説が実証されれば取り組んでみたい、(3)仮説を自らの行動で実証したい。

たぶん(3)のようなスタンスの方々が多かったと思います。

さて、MOT、イノベーション、社会起業に関与している自分としてはドンピシャなテーマ。かいつまんで書いてみると:

・日本には、途上国にとっての適正技術を多数保有している。
・しかしながら、多くのエンジニアは内向き志向で、外に目が向いていない。
・向いたとしても欧米の先進国発の先端技術が中心。(もっとも対欧米留学生は減少しており、最近では欧米にさえ出てゆこうとしない・・・)
・理工系学生は優秀層ほど大企業志向で、アントレプレナー志向は薄弱。
・まして社会イノベーションやBOPに対する関心も高いとは言えない。
・こうして長期雇用と年功序列を基調とする大企業型人的資源になってゆく。(不況のさなか、このようなキャリアが光雲効果を持ち始めてもいる)
・結果として適正技術の途上国向け活用においてもビハインド気味。
・日本の医学、工学、MOT、MBA教育でも、このあたりの視点がスポッと抜けている。

たぶん、このあたりのフラストレーションはこのシンポのプロモーターの黒川清さんも強くお感じになっていることでしょう。

面白いのは、このシンポのオーガナイザー、スタッフの方々は、東海岸のIvy+αあたり(Stanford, MIT..)の大学院に休職して留学中であったり、昼間はマッキンゼーなど外資系コンサルティング・ファームの仕事をやっている方々が多いということです。優秀(IQ+EQ的に)なんだけど、日本社会が暗黙的に提供するキャリアパスを拒絶した方々なんですね。共感します。


                ***


気がついたところだけTwitterからコピペしてメモしておきます。

・同じテクノロジーを届けるなら、すでに満たされた生活を送っている人にではなく、初めてテクノロジーに触れる人に届けよう(陸翔さん

・Appropriate Technology ( I know what you need)→ Participatory Design (Tell us about why you want) →Co-creation (Let's design together) Gomezさん

・Project-based Learningの成果:Reflection(内省)=Deepening (深化)X Expansion(拡張)(本郷さん@ICU)

・灌漑システム。利益⇔公益、先端技術⇔適性技術の対置。MOTは先端技術に取り組むことを金科玉条としがちだが、なにが社会にとって適正なのかという視点はクリティカルだと思う。(金平直人さん)

・http://www.gaiainitiative.org/の藤田周子さんのランタンの話、面白かった。ソーラーランタンと充電ステーション。Appropriate technologyのわかりやすい事例。(藤田周子さん)

・サービス・ラーニングについて(本郷さん@ICU) 無償ボランティアのことを「サービス」といっていたが、この語法は間違い。無償ボランティア・ラーニングと言うべきだろう。ただし、面白い試みだと思う。

・先端的なロボット研究に熱中していたが、親友が病気のため義足をつけるようになり、多くの人々のためになるような仕事に取り組みたくなった(遠藤謙さん)

・先端的ロボットの価値はすごい。でも適正技術を用いれば先端的ロボット以上の社会的インパクトが出せるんだ。(遠藤謙さん)

・Appropriate Technology コンセプトで運営されている世界最大の義足コミュニティー@インドhttp://www.jaipurfoot.org/(遠藤謙さん)



日本ポリグルの小田兼利さんが、汚水浄化を実演。汚水浄化の適正技術をバングラデッシュで展開中です。



締めは黒川節、炸裂ですね。

・学生もサラリーマンも1年間くらい世界を放浪すべきだ。そうすれば日本のことも客観視できるようになる。日本は異常な世界なのですよ。(黒川清さん)

・所属欲求のみで大企業でぬくぬくやってきた人達にはイノベーションは起こせませんよ(黒川清さん)

・DESIGN is an agent of change that enables us to understand and tackle COMPLEX problems and turn into something USEFUL.(黒川清さん)

                  ***

・・・ということで大変inspirationを得たシンポでした。最後の方でどなたかが言ってましたが、意識から行動へ!ということですね。

倉敷中央病院から大避神社、大型放射光施設(SPring-8)へ

2010年03月19日 | 技術経営MOT
岡山と兵庫を放浪。倉敷中央病院でコンサルティングと招待講演をこなしてから、大避神社を経て、大型放射光施設(SPring-8)へ。医療サービス・イノベーションと、放射光基礎研究、実用への応用、渡来氏族系古代史といった異なるテーマをもって渉猟。

それぞれに成果あり。



倉敷中央病院には3年前に臨床研究センターが設立され、治験など創薬や医療機器メーカーと共同研究が進んでいる。民間の急性期病院としては先進的な取り組み。

看護という文字を良く見ると、手と目と口がはいっている。手先、目先、口先のメディアをフルに動員して行う営みが看護でもある。Nursingにはないニュアンスが含意されている。

連ちゃんで倉敷中央病院にて招待講演。人をケアすることのストーリーテリング。暗黙的な身体知の表出、などの人文的なテーマから入ってゆく。看護サービスは共創的かつ共進的。そこをどのようにサポートしてゆくのかが、サービス・イノベーションのひとつのテーマ。



その後、課題として温めていた大避神社へ寄って濃い調べ物をする。本屋で調べても当地にはあまりまとまった秦氏に関する郷土史研究がないようだ。

旧坂越浦会所で、こんなことをぼやくと、「こんなものありますよ」と管理人さんに声をかけられ、昔のお殿様が使っていた部屋に通され、珈琲までいただきながら、資料を見せていただく。ありがたし。

いろいろ調査ができて収穫大!別のところでまとめてみよう。



その後、兵庫県立大学理学部の下條先生から特別なパーミッションを得て大型放射光施設(SPring-8)をご案内いただき、たっぷりレクチャーを受けながら見学。自転車をこいでビーム沿いの通路を移動する。

強烈な所だ。

放射光とは相対論的な荷電粒子(電子や陽電子)が磁場で曲げられるとき、その進行方向に放射される電磁波。大型放射光施設(SPring-8)は、世界最高性能の実験施設であり、物質科学・地球科学・生命科学・環境科学などで研究成果が期待されている。

たとえば、放射光を活用した位相コントラストX線CTによる細胞の観察技術など。従来の吸収コントラストでは全く不可能だった生体軟部組織や有機物を高い精度でイメージングできるようになる。褥瘡のDTI(Deep Tissue Injury)観察なんかにぴったりだろう。もし、実用化できればの話だが。

下條先生が書いた秀逸な読み物「秦人(はたびと)の町 光都」「播磨の大地に刻印された星座:秦氏、北斗七星、如意輪観音」の脈絡でも熱い議論をひとしきり。

物性物理と技術経営の異質なバックグラウンドを持つ二人の研究者が秦人or秦氏、古代宗教、古代の技術伝搬などについて議論する図は「新結合」(シュンペンター)か。

これについても別途にメモする予定。

医療機器まわりの医療サービスイノベーション

2010年03月15日 | 技術経営MOT
裾野が広い医療サービスのなかででも加工物の技術的進化によってもたらされる新しい技術群をいくつかピックアップ。医療機器イノベーション界隈のセミナーやシンポではよく出るテーマ。

○早期診断技術
→生体内の分子レベルでの機能変化をとらえ疾病の早期発見、早期診断サービス
(悪性腫瘍等治療支援分子分子イメージング機器など)

○低侵襲治療機器技術
→薬剤と医療機器の融合による低侵襲、効果的な医療サービス
(深部治療に対応した次世代DDS型治療システムなど)
→医療スタッフが使いやすい手術支援機器導入によってQOL向上
(インテリジェント手術機器)

○再生医療技術
→失われた組織や臓器の再生技術
(再生評価技術、心筋再生治療技術など)

患者の便益を増すような医療サービスを医療の現場で展開するためにはいったいなにが必要なのか?開発側、審査側、医療側から医療イノベーションの課題は:


<開発サイド>
創薬ベンチャーの成功確率は千にひとつもない。巨大なリスクを取り、膨大な投資をして、知財まわりを固めて、創薬に関わる特定フェーズにコミットしても上市されるまでには15-25年はかかり、投資の回収のメドが極端につきにくい。また不明確、煩雑で時間を要する当局の審査に対応するリスクも大きい。

このリスクをベンチャービジネスとVCサイドを中心として負担するのは過大。よしんば、そこに大学をかませて、産学連携スキームを立ち上げたところで、この構造的な問題は解消されない。創薬ベンチャーが日本で不振をかこっているひとつの理由は、現行のやりかたでは負担しきれないほどリスクが巨大化しているから。

<審査サイド>
新しい技術に基づく新治療方法の提案をしても、それを審査し、有効性、安全性を検証・反証する手法が開発サイドと共有されていない。ようは、共通言語がない状態のなかで、審査する側も合理的な意思決定はできない。このような制限のなかでの「意思決定」は、決定しないことと、決定を先延ばしにすることがまかり通ってきた。

臨床導入が遅れ、欧米に先を越されてしまう事例は山ほどある。屍ごろごろ。ドラッグラグとしてもこの問題は叩かれている。評価・審査体制が「目づまり」をおこしていたのでは、日進月歩で発展を続ける医療の先進技術が普及フェーズにまで達しない。

<医療サービス提供者サイド>

大学病院など高機能病院にはR&D機能がある。GLP、GMP、GCPに準拠した体制の中で、臨床試験、PMSなどいろいろな局面で開発者(製薬・医療機器、材料メーカーなど)と協業して初めてR&Dは成り立つ。しかし、そのためのインセンティブはまったくもって不十分。診療報酬制度のなかでももっと手厚くインセンティブをデザインしないとダメ。

R&Dドライバーの一翼を担う高機能病院では知財・産学連携を戦略的に推進する部門を立ち上げることを担保するインセンティブが必要だ。

                   ***

いままでは開発、審査、提供サイドがバラバラにやってきた。共通言語もタコツボ的で共通の知識基盤があるとは言えない。

開発、審査、提供サイドを一気通貫してイノベーション生態系をマネジメントする知のプラットフォームがやはり必要だ。その「知のプラットフォーム」として、医療レギュラトリ・サイエンス(Healthcare Regulatory Science)のような新しい体系が求められている。

医療機器まわりの医療サービスイノベーションは、医療レギュラトリ・サイエンスなどの一気通貫イノベーション支援型の知の体系を要請している。

「大学」×「技術」×「BOP」- 日本発、世界を変えるイノベーション

2010年03月13日 | 技術経営MOT
「大学」×「技術」×「BOP」- 日本発、世界を変えるイノベーション

というシンポジウムがあります。詳細はこちら

技術をテコにして、社会起業、社会イノベーションの新世界を切り開こうとする斬新な企画だと思います。

<以下貼付け>

■ 開催日時・場所
2010年3月20日(土) 10:00 - 17:00
政策研究大学院大学 想海樓ホール


■ 主催
「大学」×「技術」×「BOP」シンポジウム実行委員会

■ 共催
政策研究大学院大学


開場 09:30

<午前の部> 10:00 - 12:00
・主催者挨拶
・基調講演 - William H. Saito 氏 (Intecur, K.K.)
・欧米のトップスクールにおける適正技術教育の広がり - 陸 翔 (ハーバード・ケネディースクール)

第1部 MIT D-Labの取り組み
 モデレーター - 陸 翔
・D-Lab の概要 - 遠藤 謙, José Gómez-Márquez(MIT)
・D-Lab Health (医療機器開発)José Gómez-Márquez (MIT)
・D-Lab Prosthetics (義足開発) - 遠藤 謙 (MIT)

<午後の部> 13:00 - 17:00
第2部 日本の大学における取り組み
 モデレーター:高田潤一 氏(東京工業大学国際開発工学専攻長)
・エジプト日本科学技術大学 - ラメシュ ポカレル氏 (九州大学助教)
・BOPを変革する情報通信技術 - アシル・アハメッド 氏 (九州大学准教授)
・ICU サービスラーニングセンター - 本郷好和 氏 (国際基督教大学准教授)

第3部 産業界の取り組み、産学連携への期待
 モデレーター: 岡田正大 氏 (慶應ビジネススクール准教授)
・南アジアのソーラー灌漑電気自動車(バングラディシュ) - 金平直人 氏 (大手コンサルティング会社)
・ガイア・ソーラーランタンプロジェクト - 藤田周子 氏 (ガイア・イニシアティブ事務局長)
・ユーザーイノベーションを通じた途上国向け商品開発 -西山浩平 氏(エレファントデザイン代表取締役)
・世界中の水をきれいに - 小田 兼利 氏(日本ポリグル会長)

・基調講演 黒川清 氏 (政策研究大学院大学教授)
・閉会の辞

<以上貼付け>

『旅用自転車 ランドナー読本』に掲載

2010年03月11日 | 自転車/アウトドア
『旅用自転車 ランドナー読本』が「山と渓谷社」から近々に発売されます。

ランドナー読本ということですが、キャンピング車中心(?)の紹介ということで、僕が乗っている片倉シルクのキャンピング車CS15-4(1974年型)と僕自身が世にも不思議なご縁で載ることになりました。

この自転車をめぐる「不思議なご縁」な来歴をメモ。

もとはと言えば、この自転車はあるサイクリストの友人O橋さんから贈与されたものです。なんでもO橋さんは昔、サイクルスポーツの「自転車譲ります」のコーナーで、病を得て亡くなったサイクリスト某氏から生前に譲り受けたものです。古い自転車を修理して乗るのが好きな僕に、O橋さんから、その自転車が巡ってきたのは数年前です。

僕だったら大事にメンテナンスして乗ってくれるだろう、と判断した(?)O橋さんから僕が、この名車を贈与されたのです。これは交換ではなく、贈与(会計学的な意味ではなく、文化人類学な意味)です。なぜなら、病を得て亡くなった初代オーナーの記憶や意思が埋め込まれたモノがこの自転車です。

最近のブログに「贈与の環が動くとき霊力が動く」と書きましたが、まさに、この自転車にはある種の記憶(たぶん霊といってもあながちハズレではないでしょう)が宿っているのです。

だから僕はこの自転車を大事に保管して、しっかりと走ろうと心に決めてO橋さんから「贈与」を受けたのでした。凛として身が引き締まる思いで預かる、否、授かることになったのです。

それから、この自転車を丹念に修理して復活させて家族全員で北海道自転車ツーリングに行きました。初代オーナーの方もさぞかし喜んでくれたことでしょう。

そして、昨年、関戸橋の自転車フリーマーケットにこの自転車で参加しました。フリーマーケットとは、「市場」の交換の束縛から逃れた「意味の贈与」の場ということを、僕はこの場の中でちょっとわかったように感じました。交換には物と人、人と人とを分離するはたらきがあるが、サービスには物と人、人と人を絡みつけ結びつけるはたらきがある。その意味で、関戸橋フリマは、自転車好きコミュニティのソーシャル・イノベーションなのでしょう笑)

その時、多摩川の原っぱで5-6台のキャンピング自転車の仲間に入れてもらい、平野監督とお友達になりました。僕は同類に対しては、同族識別本能が強いほうなので、自転車好きは一瞬にして分かります。そしてすぐに語り合って仲良くなります。

それやこれやで、僕の変人ぶりが平野監督(まあ、この人もかなりの変人、変態ですが)の記憶の奥底にも残っていたのでしょう。ある方を通して僕と僕の自転車、否、僕と3人のサイクリストに継承されたこの自転車が取材を受けたのがたしか1月でした。根っからの自転車好きなので、自転車狂同士、自転車談義で至福の時を過ごしました。

取材の中でもちょっと上記のような話をしましたが、今ふうの読者には気持ち悪がられるかもしれないので、あまり、こんな話は引用されないでしょう。ご興味がある方は、別に買わなくてもよいので、本屋さんでパラパラめくってみてください。