よしなごと徒然草: まつしたヒロのブログ 

自転車XアウトドアX健康法Xなど綴る雑談メモ by 松下博宣

コモディティの気品溢れる風景

2006年11月26日 | オープンソース物語
決して贅沢ではない。まして華美でもない。でも気品に満ちた光あるれる風景がテーブルクロスの上にひろがっている。どこにでもあるようなフランスパン、ワイン、そしてグラス。ただそれだけのコモディティ=汎用品の風景だ。

小奇麗なテーブルクロスのうえに決して高価ではない日用品が端正に配列され、燦燦とした明るい陽の光を受けて、今にも楽しそうに笑う人々がテーブルに着きそうな、そんな気配に満ちている。

作者との創作意図とは別に、この絵にはオープンソースのひとつの姿を見る思いがする。かつては高価だったプロプラなソフトウェアがオープンソース運動によってコモディティ化し、どんな組織の日常でも利用可能なものとなる。ファインチューニングされたスタックのは、さながらコモディティを置きしつらえるテーブルのようなものだ。そんなテーブルの上には決して贅沢ではないが、趣味のいい品々が並ぶ。

食卓に並べる品々を選びメニューを作るのは食事をする人々の責任だが、この絵のように安いながらも安全でおいしい食物を選び、ならべるサービスがあればなおいいだろう。どのお店で買えばいくらするのか、お店の評判はどうなのか、品々に対する世の中の評価はどうなのか。

スタック・サービスが米国では急伸長しているが、成長の原動力となるユーザニーズは、案外この絵に象徴されるような素朴なものである。

倉敷そぞろ歩き

2006年11月23日 | 講演放浪記
観光を目的とした旅ならば倉敷はいいところだ。こじんまりとした情緒を湛える小さな美観地区をそぞろに歩き、しっとりとした瓦屋根と白壁が織り成す風情にしばし身を置くのもよいだろう。

観光ではなく、サービスサイエンスをテーマとするコンサルティングで倉敷中央病院へ。クリニカルラダーや目標管理といった制度系システムを導入してきた倉敷中央病院だが、各種制度系システムは人の認知や表現といった活動による運用がポイントとなる。

制度系システムは、ソフトウェアにおける業務アプリケーションのようなもので、直接ヒトと接するレイヤーに位置する。だから、システムを運用するヒトの側に対するトレーニングが重要となってくる。

多くの場合、クリニカルラダーや目標管理の運用はマネージャのマネジメント行動をサポートするものである。そしてマネージャのマネジメント行動とは、煎じ詰めれば、機能組織の運用を通して成果を生み出すことに焦点を当てる必要がある。人間のマネジメント行動のプロセスがリーダーシップといってよい。もうちょっと正確に言えば、リーダーシップとはリーダーの特性、フォロワーの特性、そして状況の関数でもある。つまり、

Leadership= f (l,f,s)

l: leader
f: follower
s: situation

だから、クリニカルラダーや目標管理といった制度系システムをまっとうに機能させるにはリーダーシップのあり方が重要になる。サービスサイエンスのひとつのテーマとしてリーダーシップ開発に重点がおかれるのは、そんな背景からだ。

予想外!SugarCRMコールセンター・ソリューション=サービス・サイエンスの実践

2006年11月15日 | オープンソース物語
コールセンターをサポートするソリューションは、機能のわりに値段が高すぎるという批判が根強い。なぜコストが高くなるのかは、簡単な理由からだ。高い人件費を払って作り込み、それらを占有するためだ。

SIerのビジネスは、高機能のプロプラ・ソフトウェアをできるだけ多くの労働力を投入して作り込むことが基本である。能力主義、成果主義に足元を洗われているとはいえ、まだまだ日本企業に雇用されているSEの賃金体系は、終身雇用と年功序列を前提にしている。SEの稼動率を高めなくてはならないSIerの人件費コスト構造がプロプラ・ソフトのライセンス料金、保守・メンテナンス料金に転嫁されるのである。

このような事情により、高額になりやすいコールセンター・ソリューションだが、コマーシャル・オープンソースのSugarCRMをエンジンにしたら、どうなるのか?

結論。従来品に比べ予想外にリーズナブルなコストで、高品質のコールセンター・ソリューションを実現できる。もはやコールセンター・ソリューションはコモディティ(汎用品)となった。

証明。ソフトバンク・テクノロジーとケアブレインズが連携してSugarCRMをエンジンとするコールセンター・ソリューションを開発した。

コールセンター・ソリューションのエンジン部分はCRMの基本機能で行ける。このエンジンはソースコードまるごと提供される日本語版SugarCRMを使う。コールセンター・ソリューション独自に必要となる機能をアドオンすれば、格安で高品位なコールセンター・ソリューションができる。さらに、ターボエンジン=日本語版SugarCRMベースのコールセンター・ソリューションをASPで提供すれば、もっと面白いコトになる。

コマーシャル・オープンソースを活用することによりコールセンター・ユーザを高額なコストから解放する。ゆえに、コマーシャル・オープンソースの活用は、コールセンター・サービスのイノベーションであり、その方法はコールセンターにおけるサービス・サイエンスの実践である。

ともあれ、これらの面白いモノゴトづくりの経緯をまとめた記事もある。高額、プロプラなコールセンターの世界から見れば、目からウロコだろう。こんな面白いモノゴトづくりの成果を明日から開催されるコールセンタCRMデモ&カンファレンスで展示する。ご興味のある向きは、ぜひ会場へ。





サービスサイエンス新時代

2006年11月13日 | No Book, No Life
↑第4刷が刷られました。ご愛読有難う御座います。このところ、医療や看護をサービスサイエンスの視点から見る参与的研究が面白くなってきました。

今週後半は、博多~兵庫へと飛行機と新幹線を乗り継ぎ、全国自治体立病院協議会と赤穂市民病院で、この本で書き込んだクリニカルラダーとサービスサイエンスの講演をしてきました。

サービスサイエンスという切り口からソフトウェア産業を眺めると、オープンソース・ソフトウェアの分野には刺激的なテーマがたくさんあります。また、ヒューマンサービス領域をサービスサイエンスの視点から鳥瞰するとき、サービスサイエンスのモノゴトの見方が有用であると感じています。

ますますサービス化してゆく経済構造とビジネス構造を前に、サービスサイエンスの学問的視点と実践的視点がますます必要になってくるのではないでしょうか。