hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

柚木麻子『ランチのアッコちゃん』を読む

2013年09月11日 | 読書2

柚木麻子著『ランチのアッコちゃん』(2013年4月双葉社発行)を読んだ。

「ランチのアッコちゃん」、「夜食のアッコちゃん」の連作と、「夜の大捜査先生」、「ゆとりのビアガーデン」からなる短編集

「ランチのアッコちゃん」
「雲と木社」の女性部長黒川はがっちりした肩幅で身長174cm、某大物歌手を思わせる。名前が敦子であることから、アッコ女史と陰で呼ばれる。4年付き合った恋人と別れて元気のない派遣の澤田三美智子は持参の弁当を食べたくないとぼやくと、女史がこの弁当を食べたいと言い出す。食べたアッコ女史は、来週一週間自分に弁当を作ることを三智子に強要する。その代り、行く店もメニューも決まっている自分の一週間のランチコースと交換するのだという。

月曜日は趣味で昼間だけやっているカレー店。火曜日は麹町から有楽町の国際フォーラムまでジョギングして黒人女性のワゴンでランチ。本屋で絵本を3冊受け取るお使いをしたり、屋上で出前を食べたり、カレー店を手伝い、品切れ後にドライカレーを急きょ作ったり、色々な所へ行き、色々な人と会い、そのうち、なんだか元気が湧いている自分に気付く。

「夜食のアッコちゃん」
「雲と木社」は倒産し、三智子が派遣された会社では営業部の正社員と派遣女子が対立し、三智子は狭間で苦労し、公園のベンチで食事する羽目となる。そこに、アッコ女史が「東京ポトフ」の屋台で登場。

「夜の大捜査先生」
カード会社の契約社員満島野百合は30歳。お嬢様学校の高校生だった頃に渋谷円山町で追いかけっこした担任教師のゾノせんに出会う。彼は相変わらず生徒を追いかけていた。

「ゆとりのビアガーデン」
長時間労働が定常化している社内ベンチャー会社に入社した佐々木玲実は、社長の豊田雅之を呆れさせるダメ社員だった。3か月で退職した彼女が会社の屋上でビアガーデンを始める。すぐに潰れると思っていたビアガーデンは・・・。

初出:「小説推理」2011年3月号、5月号、2012年12月号、2013年1月号



私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

若い女性にはお勧めだ。

ちょっとダメな主人公の3人の女性が、一人は上司に癒されて自立していき、一人は高校の時の担任教師に良く成長したと評価されて前を向こうと思い、もう一人は、怖くてただそのまま頑張っている社長を励ますことになる。

ちょっと都合よすぎる展開で、軽すぎる話だが、さわやかで心温まり、楽しめる。とくに、表題作の「ランチのアッコちゃん」が厳しく突き放して、しかし温かく、ダメな三智子さんを自立させていく過程が好ましい。



柚木麻子の略歴と既読本リスト

 





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