榎本まみ著『督促OL修行日記』(2012年9月文藝春秋発行)を読んだ。
「一時間に60本の電話がノルマ」「電話で怒鳴られるのは日常茶飯事・・」。
新卒で借金を返さない人に督促の電話をかける「督促OL」となった著者は、客からストーカーよばわりされたり、呪いをかけると恨まれたり、今から殺しにいくぞ・・と脅されたり、残業で洗濯の時間もなく紙パンツ生活、入社半年で10キロ減。
人見知りでヘタレな著者が、心が折れそうになる日々の中で、百選練磨の借金王の面々を相手に毎日格闘し、自分なりの方法を工夫し、やがて「スゴ腕 督促OL」になるまでをエッセイとマンガでつづる。
督促をしてよい時間は朝8時から夜9時までと決められている。督促リスト整理のため出社は朝7時で、9時に督促電話が終わっても、その後、電話連絡つかない客に督促の手紙を終電まで書く。
督促をしていると、客の勤務先、収入など細かな情報に接する。合コンのときに、会社名、仕事内容、年齢など聞けば、それだけで年収、安定度など、優良債権かどうかがすぐわかってしまう。
客に怒鳴られ、罵倒されることも多い。客が怒鳴るのは根っこにやましい気持ちがあるからだとわかるようになった。悪口系だめんずの彼も自分に自信がない人だった。ダメなのは自分じゃなかったんだと気付いた。
入金の日にちと入金根拠は絶対に客の口から言ってもらう。約束をたがえたときに罪悪感を感じてもらうために。
疑問形で問いかける。「お客さま、いつでしたらご入金いただくことが可能でしょか?」「いくらでしたらお支払いただけますか?」
初出:J-CAST 会社ウォッチの連載コラム「債権回収のトホホな日常」、著者ブログ「督促OLの回収4コマブログ」をベースに、大幅に加筆し、書き下ろした。
私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)
督促という特殊な面から見た客の正体が良く描かれている。厳しい場面だからこそ、人の本当の気持ちが現れるのだろう。たまにはこんなまったく縁のない分野の、しかも、若い女性の書いたものを読んでみるのも、社会勉強のためによいかも。
しかし、最近は特徴あるブログから本になるものが多い。
榎本まみ(督促OL・N本)
新卒で信販会社に入社し、督促を行うコールセンターへ配属。気弱でヘタレな性格でも言い負かされず回収できる独自のメソッドを開発。成果を上げる。現在も某金融機関にて絶賛督促中!