hiyamizu's blog

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南杏子『いのちの停車場』を読む

2020年12月01日 | 読書2

 

南杏子著『いのちの停車場』(2020年5月25日幻冬舎発行)を読んだ。

 

幻冬舎のサイトにはこうある。

東京の救急救命センターで働いていた、62歳の医師・白石咲和子は、あることの責任をとって退職し、故郷の金沢に戻り「まほろば診療所」で訪問診療の医師になる。
これまで「命を助ける」現場で戦ってきた咲和子にとって、「命を送る」現場は戸惑う事ばかり。咲和子はスタッフたちに支えられ、老老介護、半身麻痺のIT社長、6歳の小児癌の少女……様々な現場を経験し、学んでいく。
家庭では、老いた父親が骨折の手術で入院し、誤嚥性肺炎、脳梗塞を経て、脳卒中後疼痛という激しい痛みに襲われ、「これ以上生きていたくない」と言うようになる。「積極的安楽死」という父の望みを叶えるべきなのか。咲和子は医師として、娘として、悩む。
7万部突破『サイレント・ブレス 看取りのカルテ』、連続ドラマ化『ディア・ペイシェント 絆のカルテ』著者最新作。

 

「まほろば診療所」

仙川徹:院長。沙和子の2歳上。骨折して当面訪問診療できない。/星野麻世:看護師。29歳。/野呂聖二:運転手役でお手伝い。/他に事務の玉置亮子

 

第1章  並木シズは86歳でパーキンソン病で10年以上。夫・徳三郎は元魚屋。ケチで治療拒否。沙和子は徳三郎に「死を学ぶ授業」を行う。

第2章  江ノ原一誠は40歳で金沢を代表する新興IT企業の創業者。ラグビー中に四肢麻痺となる。妻は静香。リスクがあっても幹細胞による最先端医療を希望。


第3章  大槻千代は78歳で訪問治療を拒否しゴミ屋敷に住む。

第4章  宮嶋一義は57歳でステージ4の膵臓癌。厚労省の統括審議官。金沢の空き家の実家を終の棲家とする。妻も息子も戦うように強く言うが……。沙和子の父は骨折で入院中に誤嚥性肺炎となりせん妄症状を起こす。

第5章  若林萌は6歳で腎腫瘍で肝転移もあるステージ4で生存率0%。母祐子、父健太とも事実を受け入れられない。萌は人形に生まれ変わるために海へ行くことを熱望する。
父は激痛のため積極的安楽死を沙和子に依頼する。

 

私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

確かに訪問治療はもっとも厳しい現実に直面する現場なのだろうことは実感できた。同じ著者による訪問クリニックの話『ディア・ペイシェント 絆のカルテ』よりももっと真正面から問題に向き合って、具体的だ。

 

泣きたい人には御満足な本だろう。もちろんいかにもわざとらしく安っぽく泣かせる本ではない。年取って涙もろくなってはいるが、心も枯れてきている私はただそうかそうかと納得して読んだ。

 

 

東映で映画『いのちの停車場』が2021年公開される。
主人公の医師役・白石咲和子役は吉永小百合。医大の卒業生で、「まほろば診療所」で働くようになる青年・野呂聖二役は松坂桃李。訪問看護師・星野麻世役は広瀬すず。診療所の院長・仙川は西田敏行。咲和子の父親・白石達郎をダンサー・俳優の田中泯が演じる。江ノ原一誠役は「伊勢谷友介」とあったが?? 監督は成島出。脚本は平松恵美子。

 

南杏子(みなみ・きょうこ)の略歴と既読本リスト

 

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