田原圭一著『迎賓館 赤坂離宮』(2016年10月19日講談社発行)を見た。
今春、一般開放されて東京の新名所となった国宝・迎賓館 赤坂離宮を、建築空間を撮影させたら当代一の写真家田原桂一が撮ったA4版の写真集だ。
迎賓館・赤坂離宮は、東宮御所として1909年(明治42年)に建設され、戦後、国立国会図書館、東京オリンピック員会などとして使われたが、1974年(昭和49年)に国賓などの迎賓施設として現在の形に改修された。
内容は、正面玄関、正門、前庭、本館外観、そして玄関ホール、朝日・花鳥・彩鸞・羽衣の間などの建物内外の写真が並ぶ。
私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)
大判のくっきりと撮られた写真集なので、ある意味実物を見るより細部がよく解る。とくにレリーフ、絵画などの飾り物の見事さは、天井など離れたところにある物もはっきりわかる。
建物はもちろん内装も、和の技術と西洋の技術の融合であり、よく見ると何か不思議な世界である。そして、何から何まで華美な世界で、連続して見ているとくたびれる。そこには、省略の美、余白の美しさはない。
田原桂一(はらら・けいいち)
1951年京都生まれ。
1972年に渡仏、パリで写真家としての活動を始める。
1977は「窓」のシリーズでアルル国際写真フェスティバル新人大賞を受賞。
以降、「顔貌」(1978-87年)、「エクラ」(1979-1983年)などの代表作を制作。また、ヨーロッパ全土を巡り19世紀末を主題にした建築空間を撮影し、さまざま作品を発表。
主な受賞に、木村伊兵衛賞(1985年)、フランス芸術文化勲章シュバリエ(1993年)など。