hiyamizu's blog

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中島京子『うらはぐさ風土記』を読む

2024年06月05日 | 読書2

 

中島京子著『うらはぐさ風土記』(2024年3月10日集英社発行)を読んだ。

 

集英社の内容紹介

30年ぶりにアメリカから帰国し、武蔵野の一角・うらはぐさ地区の伯父の家にひとり住むことになった大学教員の沙希。
そこで出会ったのは、伯父の友人で庭仕事に詳しい秋葉原さんをはじめとする、一風変わった多様な人々だった。
コロナ下で紡がれる人と人とのゆるやかなつながり、町なかの四季やおいしいごはんを瑞々しく描く物語。

 

米カリフォルニア州の大学で教員をしていた52歳の田ノ岡沙希(さき)は、8歳下のバートとの離婚を機に帰国し、母校の女子大で職を得て、帰国した。現在は57歳の従兄の博満が管理する伯父所有の古い1軒家で暮らしている。伯父は2年前までが住んでいたが認知症で今は施設で暮らしている。

 

伯父の家の庭に植わっている「うらはぐさ」はイネ科の日本固有種の植物。別名をフウチソウ(風知草)。葉の色が変わった様々な種類があり観葉植物となる。30年に及ぶ滞米生活から戻った沙希は、山椒、柿の木などや、庭にやって来る鳥を眺めつつ暮らす。様変わりした東京にあるが、通った、そして勤めることになった大学(東京女子大?)のある武蔵野の面影を残す「うらはぐさ」の地の商店街など、30年前とあまり変わらない場所を見つけて、さまざまな風変わりな人と知り合っていく。

 

庭の植物などの管理を伯父からお願いしている秋庭原さんは76歳で、あけび野商店街にある丸秋足袋店の店主だが、3年前に結婚した(刺し子姫)に店を任せている。
滅茶苦茶な敬語を使い、意識高い不思議ちゃんの大学1年生の亀田マサミ(マーシー)は学園祭の弁論大会で、うらはぐさの歴史が戦争とつながっていたことを話し出して……。その友人で陸上部の水原鳩(パティ)と、3人で裏葉草(うらはぐさ)八幡宮(井草八幡宮?)での流鏑馬に感激し、……。

 

やがて、商店街を突き抜ける大きな道路建設の計画を知って……。

 

 

中島京子の略歴と既読本リスト

 

 

私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め、 最大は五つ星)

 

いかにも中島さんらしい、何という事がないと言えば言える話で、極端でなくちょっとだけ変わった人々が登場し、東京郊外の昔ながらの街並み、穏やかな住人達を魅力的に描き出す。

 

常に革新必至で、新しもの好きだった私も、年を経て、庶民の歴史や、懐かしい古き良きものの楽しみを知り、平凡で小さいが、大切な魅力的なものを残すことの大切さを知った。そして、こんなのどかで、読み心地がよい小説を楽しめるように進化したのだ。

 

 

木守柿(きもりかき):すっかり葉の落ちた柿木に一個だけ残す柿。冬の季語。

コメント
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