hiyamizu's blog

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黒柳徹子『続 窓ぎわのトットちゃん』を読む

2024年06月27日 | 読書2

 

黒柳徹子著『続 窓ぎわのトットちゃん』(2023年10月3日講談社発行)を読んだ

 

講談社BOOK倶楽部の内容紹介

国民的ベストセラー、42年ぶり、待望の続編!
国内で800万部、全世界で2500万部を突破した『窓ぎわのトットちゃん』。
世界中で愛されている、あのトットちゃんが帰ってくる!
泣いたり、笑ったり……トットの青春記。

【本書の内容】
・東京大空襲の数日後、青森を目指して、ひとり夜行列車に乗ったトットを待ち受けていた試練とは?
・「おめえのジンジョッコ、描いてみろ」。疎開先の学校で、みんなとなかよくなりたいトットが、考えついた方法とは?
・「咲くはわが身のつとめなり」の言葉を胸に、トットが通った女学校や音楽学校の思い出は、映画、オペラ、ラーメン、それから?
・「そのままでいいんです」。NHKの専属女優になりたての、トットが救われた一言とは?
・アルバムからお借りした写真や、いわさきちひろさんの絵もたっぷり。

【黒柳徹子さんからのメッセージ】
私は、どう考えても『窓ぎわのトットちゃん』よりおもしろいことは書けない、と思っていました。私の人生でトモエ学園時代ほど、毎日が楽しいことはなかったから。だけど、私のようなものの「それから」を知りたいと思ってくださる方が多いのなら、書いてみようかなと、だんだん思うようになったのです。よし!と思うまで、なんと42年もかかってしまったけど、書きはじめると、笑っちゃうこと、泣いちゃうこと、それから戦争のことも次々に思い出されて……。

 

トットちゃんの面白さ、ラジオやTVの創成期の興味深い話よりも、主に戦争による庶民の暮らしぶりが描かれている。

 

「寒いし、眠いし、おなかがすいた」

戦前、パパ、ママ、トット、弟と、後に生まれた弟、妹と、北千束の一軒家での豊かな暮らしぶり。

戦争が始り、食べ物が少なくなり、お弁当が白いごはんから大豆になって空腹に苦しんだ。一日分の食べ物として15粒の大豆を渡され、食べたら水をたくさん飲んでお腹を膨らますように言われた。パパは出征し、別れの場面。東京大空襲から疎開の準備。

 

「トット、疎開する」

戦争が終わる年の3月半ば、トットはママ、弟、妹と青森の尻内(現八戸)へ列車で向かうが、激しい混雑で上野駅ではぐれ、10歳のトットはママ達の列車に乗れず、一人で次の列車で尻内へ向かう。車内は大変な混雑で女の人もおしっこを窓からした。

特に親しいわけでもない人の家へ行って、一家4人で暮らせるところをとお願いし、りんご農家の作業小屋で暮らすことになった。そして、ついに戦争が終わった。

 

「咲くはわが身のつとめなり」

東京の家は焼けてしまったが、トットは憧れの香蘭女学校へ通う。卒業してNHK劇団の俳優になる試験を受ける。

 

「トット、女優になる」

「ヤン坊ニン坊トン坊」のトン坊役になる。

 

「あとがき」

「徹子の部屋」の出演者の戦争の話に胸が詰まる。

三波春夫:満州でトーチカの中から撃った弾が、ソ連軍の若い兵士に当たった、夜になり暗闇の中から「ママ、ママ」というソ連兵の声が、だんだん小さくなって、やがて聞こえなくなった。

 

 

私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め、 最大は五つ星)

 

変わっているとしか言いようがないトットちゃんの型破りぶりは、あまり多くないが、戦中、戦後に東京人の苦労ぶりはたっぷり描かれている。お嬢さまだっただろうママのたくましい奮闘と、トットちゃんの頑張りで母子4人が生き延びられたことが良くわかる。

 

私にも多少覚えのある戦後の物のない、荒れた世の中の様子が描かれ、私たちの親の世代の苦労が偲ばれた。

 

 

黒柳徹子(くろやなぎ・てつこ)

東京都生まれ。俳優、司会者、エッセイスト。東洋音楽学校(言・東京音楽大学)声楽科卒業後、NHK専属のテレビ女優第1号として活躍する。
『徹子の部屋』(1976年2月~、テレビ朝日)の放送は、同一司会者によるテレビ番組の最多放送世界記録を更新中。


1981年に刊行された『窓ぎわのトットちゃん』(講談社)は、国内で800万部、世界で2500万部を超える空前のベストセラーに。
1984年よりユニセフ親善大使となり、のべ39ヵ国を訪問し、飢餓、戦争、病気などで苦しむ子どもたちを支える活動を続けている。


おもな著書に『トットチャンネル』(新潮文庫)、『チャックより愛をこめて』(文春文庫)、『トットちゃんとトットちゃんたち』(講談社)などがある。

 

 

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