hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

無料公開電子版で読んだ 湊かなえ『告白』

2020年05月21日 | 読書2

 

図書館が閉館し、読む本がない最近、双葉社で湊かなえのデビュー作、ベストセラーの『告白』が期間限定で全編無料公開された(5月4日~31日)。

 

ほとんどネタバレではないと思っている「あらすじ」

 

第一章「聖職者」

S中学校の1年生の終業式の日。担任・森口悠子は生徒たちに語る。
数カ月前、学校のプールで彼女の一人娘の愛美が死んだため退職すると話し出す。愛美の父親はTVなどで有名な『世直しやんちゃ先生』こと桜宮先生で、HIVに罹っているので結婚していない。そして、実は娘は事故死ではなく、このクラスの生徒「A」と「B」に殺されたのだ。警察には告げないが、復讐を仕掛けたと語る。

 

第二章「殉教者」

クラス委員長の美月の悠子への報告の形で語られる。
2年になった春休み後、少年A(成績優秀で感電財布を自作した)渡辺修哉は登校していたが、少年B(母親に溺愛されマザコン、美月の幼馴染)下村直樹は不登校になっていた。新任教師「ウェルテル」こと寺田良輝は愚かな熱血漢で見当違いの行動に突っ走る。そして修哉へのいじめが始まる。直樹はついに母親‥‥。

 

第三章「慈愛者」

直樹の姉姉・聖美が語り、読んでしまった母親の日記が続く。
直樹はHIV感染の恐怖から極端な潔癖症になるが、一方で髪を切らず風呂にも入らず不潔になり、ひきこもりは長引く。母親は「ウェルテル」の訪問にも直樹をかばい続ける。

 

第四章「求道者」

直樹が語り手。
修哉がバカにしていた直樹を誘い、発明した感電財布の実験者を提案させ、愛美が実験対象者になり、悲劇が起こったのだ。その後、引きこもりの直樹から実情を聞かされ、母親は絶望し、心中を図るが‥‥。
直樹は逮捕され、病院に入り、記憶喪失状態となる。

 

第五章「信奉者」

修哉のサイト『天才博士研究所』に、「母親への遺書」として自分の生い立ち、愛美殺人の経緯、次の犯行予告をアップロードした。修哉は、彼を捨てて去った優秀な母親が振り返るような事件を起こしたかったのだ。自作爆弾の起動装置としていた彼の携帯電話に非通知の着信があった場面でこの章は終わる。

 

第六章「伝道者」

森口悠子は、桜宮に阻止された復讐を諦めていなかった。森口は修哉が設置した爆弾を‥‥、修哉が起動した後で、こう告げた。「ねえ、修哉くん、これが本当の復讐であり、あなたの更生の第一歩だとは思いませんか?」

 

 

私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

 

確かにこれまでの小説にないほどの  “えぐい” 話だ。我が子を殺されたからといって教師が生徒に対し、これほど残忍に復讐するとは! さすが『イヤミスの女王』(嫌な気分になるミステリー)。

 

でも、筋が左右に荒れすぎていて、難病、いとも簡単な殺人、爆弾と、携帯小説(現存しているの?)並だ。その後の著者の活躍をみると、習作だったのだろう。

 

 

湊かなえ(みなと・かなえ)

1973年広島県生まれ。

2007年「聖職者」で第29回小説推理新人賞受賞

2008年同作品を収録した『告白』でデビューし、2009年本屋大賞受賞

2012年「望郷、海の星」で日本推理作家協会賞短編部門受賞

2016年『ユートピア』で山本周五郎賞受賞

2018年『贖罪』がエドガー賞〈ペーパーバック・オリジナル部門〉にノミネート

他に『少女』『Nのために』『夜行観覧車』『往復書簡』『花の鎖』『境遇』『サファイア』『白ゆき姫殺人事件』『母性』『望郷』『高校入試』『豆の上で眠る』『山女日記』『物語のおわり』『絶唱』『リバース』『ポイズンドーター・ホーリーマザー』。
エッセイ集『山猫珈琲』など。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする