hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

湊かなえ『リバース』を読む

2018年04月08日 | 読書2

 

湊かなえ著『リバース』(2015年5月19日講談社発行)を読んだ。

  

初出:「小説現代」2013年11月号~2014年12月号。

2017年に講談社文庫刊行、TBSでTVドラマ化。

 

「深瀬和久は人殺しだ」で始まる。
事務務機器メーカー・ニシダの営業・深瀬和久は、運動神経が悪く、人付き合いが得意でなく劣等感が強かった。大学のゼミで出会った広沢由樹(よしき)が初めての親友。趣味はコーヒーを楽しむこと。
ゼミ仲間5人、深瀬・浅見・村井・谷原・広沢は長野県斑尾高原の別荘へ車で出かけた。
遅れて駅に着いた村井からの要請で、皆は飲めない酒を飲まされ、免許をとって間もない広沢に車で迎えに行かせた。広沢は山道で事故を起こし死亡した。4人は飲酒運転の事実を隠した。

深瀬はクローバーコーヒーで出会った美穂子と付き合うようになった。美穂子の職場に「深瀬和久は人殺しだ」という手紙が届き、3年前ゼミ仲間5人で行った旅行で広沢が飲酒運転で死んだことを告白し、美穂子が深瀬と別れた。一方、浅見らゼミ仲間にも「〇〇は人殺しだ」という告発文が届き、谷原が駅のホームから突き落とされた。深瀬は広沢の死に恨みを持つ人物を調べ始める。

深瀬は広沢の両親、高校の同級生らに話を聞き、広沢は自分と違って多くの人に好かれていたと知る。


私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)


別荘に到着するまでの前半部はたんたんと進む。しかし、このあたりから、不安をあおる伏線がちらほら。

嵐の夜を、笑いながら過ごすはずだった。(81ページ)

「晴れ間をぬってここまで来れたんだから、逆にラッキーだったかも」
深瀬の言葉に三人が頷いた。
後に深瀬は後悔する。運の強い谷原が口にしたことは現実となり、運のない深瀬が口にしたよいことは反転するのだと。(79ページ)

このあたりが題名「リバース」の由来か?

湊かなえ(みなと・かなえ)
1973年広島県生まれ。
2005年、BS‐i新人脚本賞に佳作入選し、07年には第35回創作ラジオドラマ大賞を受賞する。
2007年、短編「聖職者」で第29回小説推理新人賞を受賞。
2009年、短編「聖職者」を第一話とした連作長編『告白』で本屋大賞を受賞。
2012年「望郷、海の星」で日本推理作家協会賞短編部門受賞。
2016年『ユートピア』で山本周五郎賞受賞。

他の著書に『少女』『贖罪』『Nのために』『夜行観覧車』『往復書簡』『花の鎖』『境遇』『サファイア』『白ゆき姫殺人事件』『母性』『望郷』『高校入試』『豆の上で眠る』『山女日記』『物語のおわり』『絶唱』『リバース』『ポイズンドーター・ホーリーマザー』。

エッセイ集『山猫珈琲』など。

 

 

以下、ネタバレで白字。

自分以前にコンプレックスを抱えて広沢と親友だったが、後絶縁した古川の話から、広沢が美穂子と付き合っていたことを知る。

深瀬は美穂子と再会し、広沢について調べたノートを見せる。美穂子はゼミ仲間を許せず告発文を送りつけたことと、飲酒運転に懲りていない谷原を思わず突き飛ばしてしまったと語る。深瀬の広沢のことをもっとノートに書こうと提案し、美穂子は広沢が蕎麦アレルギーと書く。マスターの妻が蕎麦の蜂蜜を入れたコーヒーを持って来た。それは広沢を送り出す前に深瀬が渡したコーヒーと同じものだった。「広沢を殺したのは、……俺だったのか。」

ウィキペディアによれば、

編集者にお題を出されて結末を書いた初めての作品。そのお題とは、物語の最後の場面で主人公自身が犯人だったことに気づく、というもの。

 

 

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