hiyamizu's blog

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貫井徳郎『乱反射』を読む

2018年12月31日 | 読書2

 

貫井徳郎著『乱反射』(朝日文庫ぬ1-1、2011年11月30日朝日新聞出版発行)を読んだ。

 

裏表紙にはこうある。

地方都市に住む幼児が、ある事故に巻き込まれる。原因の真相を追う新聞記者の父親が突き止めたのは、誰にでも心当たりのある、小さな罪の連鎖だった。決して法では裁けない「殺人」に、残された家族は沈黙するしかないのか? 第63回日本推理作家協会賞受賞作。

 

登場人物たちのちょっとしたマナー違反。だれにでもありがちなそんな行為が連らなって、結果として重大な事故となり、不運な2歳の子供の命が奪われる。記者である父親・加山の追及に彼らは言い逃れする。ただ一人、責任を認めた者は、結果を予測できたとして起訴される。しかし、父親の気持ちは晴れず、……。

 

加山聡:新聞記者。妻・光恵と2歳の健太と旅行に出発する朝、マナー違反と知りながら高速道路のサービスエリアに家庭ごみを捨てる。新聞社支社のデスクは海老沢。

田村ハナ:暇な主婦。娘・佐緒里から馬鹿にされて街路樹の伐採反対を、阿部昌子、佐藤和代、静江と始める。

三隅幸造:毎朝、犬との散歩を欠かさない。しかし街路樹の根本にする犬の糞を腰痛を理由に始末しない。

久米川治昭:アルバイト医者。患者はさておきまず自分の都合を優先し、責任を持つことを避ける。

安西寛:学生。空いているという理由で急患のふりをしてたびたび風邪の治療で病院に行く。

小林麟太郎:市の道路管理課の職員。街路樹の根元の糞処理を途中で簡単に諦める。

河島:道路拡張部の地権者でひとりだけ説得に応じない。

榎田克子:運転技術が下手で車を家の車庫に入れられない。生意気な妹は麗美。

足達道洋:病的な潔癖症の植木屋職人・樹木医。

 

本書は2009年2月、朝日新聞出版より刊行。

 

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

7,8人の罪に問えないほどのマナー違反が積み重なって、2歳の男児が死亡する。父親である加山はなぜ息子が死ななければならなかったのか、原因、責任者を調べ上げ、追及し、突き詰めていく。しかし、追及された各人は自分にはそれほどの責任はないと言い逃れる。幼児死亡という結果を予測できなかったからと、法的罪にも問えない。

ひとり足達だけが罪を認め起訴されるが、加山の心は晴れない。

 

同程度のマナー違反は自分も犯していたと気付いた加山は妻・光恵と旅に出る。

 

 

貫井徳郎(ぬくい・とくろう )の略歴と既読本リスト

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