hiyamizu's blog

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ピーター・スワンソン『そしてミランダを殺す』を読む

2018年11月21日 | 読書2

 

ピーター・スワンソン著、務台夏子訳『そしてミランダを殺す』(創元推理文庫 Mす16-1、2018年2月23日)を読んだ。

 

裏表紙にはこうある。

実業家のテッドは空港のバーで見知らぬ美女リリーに出会う。彼は酔った勢いで、妻のミランダの浮気を知ったことを話し「妻を殺したい」と言ってしまう。リリーはミランダは殺されて当然だと断言し、協力を申し出る。だが殺人計画が具体化され決行の日が近づいたとき、予想外の事件が……。男女4人のモノローグで、殺す者と殺される者、追う者と追われる者の攻防を描く傑作ミステリ!

 

偶然出会った見知らぬ二人が殺人計画を相談するという、出だしから予想を裏切る展開だ。

 

第一部 空港バーのルール、第二部 未完成の家、第三部 死体をうまく隠すの三部構成で、34章の半分(偶数章)がリリーの一人称で語られ、奇数章で殺人が現在進行し、偶数章では少女時代からのリリーの秘められた過去が語られる。

 

登場人物

リリー・キントナー:ウィンズロー大学の文書保管員。美人だが常に冷静で恐怖感情を持たないサイコパス。

テッド・セヴァ―ソン:実業家、大金持ち。ボストン在住だが、ケネウィック・インに豪邸建築中。

ミランダ・セヴァ―ソン:テッドの妻。豪邸建設に専念。大学時代にリリーと張り合った。

ブラッド・ダゲット:工事業者。いかつい離婚男。

シドニー(シド):貸し馬亭のバーテンダー

ポリー・グリーニア:ブラッドの恋人

ディヴィッド・キントナー:リリーの父。イギリスの小説家。大きく古いモンクス・ハウスに住む。

シャロン・ヘンダーソン:リリーの母。抽象芸術家

チェット:リリーが14歳の時、母が家に連れ込んだ画家。

エリック・ウオッシュバーン:最初フェイスの恋人で、リリーが奪い、奪い返され、そして……。

フェイス:エリックと同学年の女子学生

ヘンリー・キンボール:ボストン市警の刑事

ロバータ・ジェイムズ:ボストン市警の刑事。キンボールの相棒

 

原題は、”The Kind Worth Killing” (殺されて当然の者たち)で、2015年刊行。

 

 

私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

 

なかなかスリリングな展開で、次が予想できないまま読み続ける羽目になる。だが、各殺人の犯人ははっきりしていて、誰が犯人かという推理は存在しない。どのように殺すのか、どちらが殺すのかなどでハラハラするという話になっている。

 

湿っぽいところがないので、残酷な殺人もさらりと読める。そしていつの間にかサイコパスの味方になっている自分に気づく。

 

主な登場人物はすべて悪者で、しかも次々とバタバタ死んでいく。そして、最後には、あの「太陽がいっぱい」のアランドロンのように、その運命を暗示、いや明示させる終わり方となる。

 

 

 

ピーター・スワンソン Peter Swanson

アメリカ、マサチューセッツ出身。コネチカット州のトリニティ・カレッジ、マサチューセッツ大学アマースト校、エマーソン・カレッジに学ぶ。2014年に『時計仕掛けの恋人』でデビュー。2015年に刊行された第二長編となる『そしてミランダを殺す』は、英国推理作家協会(CWA)賞のイアン・フレミング・スチールダガー部門で最終候補となった。その他の著作にHer Every Fear(2017)がある。現在はマサチューセッツ州サマーヴィルで妻や猫と暮らす。

 

務台夏子(むたい・なつこ)

会社勤め七年、アルバイトと下訳の生活約五年のすえ、翻訳専業に。

訳書:オコンネル『クリスマスに少女は還る』、デュ・モーリア『鳥』『いま見てはいけない』『人形』(いずれも東京創元社刊)など。

好きな小説家:いまはとにかくピーター・スワンソンに夢中。また、タイプはぜんぜんちがう作家ですが、Allen Eskens という人の作品を追いかけて読んでいます。さらに、デュ・モーリアの長編のなかに数点、翻訳をめざしている好きな作品があります。

 

読めない漢字

杳(よう)としてつかめない

コメント
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