hiyamizu's blog

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小嶋勝利『誰も書かなかった老人ホーム』を読む

2018年05月14日 | 読書2

小嶋勝利著『誰も書かなかった老人ホーム』(祥伝社新書532、2018年3月10日祥伝社発行)を読

 

表紙裏にはこうある。

いい老人ホームだと近所の評判だったのに、入居したらひどい目に遭(あ)った――。 そんな経験は誰にでもあります。老人ホーム選びで口コミがまるで頼りにならないのはなぜか。本書ではそのことが懇切丁寧に書かれています。なぜなら、そのホームが合うか合わないかは、人によってまったく違うからなのです。 複数の施設で介護の仕事をし、現在は日本最大級の老人ホーム紹介センター「みんかい」を運営する著者は、老人ホームのすべてを知る第一人者です。老人ホームのウラのウラまで知る著者が老人ホームの実態を余すところなく開陳していきます。 何を基準に選んだらいいのか。高いお金を出せば解決するのか。入居者は何を心掛けるべきなのか。 世間で語られている誤解と偏見を排して、真実の姿を明らかにする本書に、その答えがあります。入る前にわかる、老人ホームの世界!


2000年に介護保険制度が始まり、民間事業者が参入した。施しの世界からサービス業に変わった。入居者を〇〇様と読んだりした。

特養も、新規建物は豪華なホテル並みで、ユニットケア(各人個室で、10人程度の小ユニット毎とする)したり、その結果、民間老人ホームと同程度の料金となったりする。

当初の介護保険の適用は、貧困層の老人対策程度であったはずだ。しかし豊かな老人が思いのほか独居となり、こぞって利用するに至ってしまった。全額を介護保険でまかなう特別養護老人ホーム(特養)だけでなく、有料型老人ホームも、半額は介護保険が原資となっている。介護保険は当初の設計から大きく外れており、いずれパンクする。
・2020年の東京オリンピック後に、介護の世界に大変革が起きる。
・いずれ介護保険はパンクし、介護保険制定前の状況に回帰する。

月額利用料20万円の老人ホームに入居したばあい、医療費、オムツ代、介護保険の自己負担分、し好品代、レクリエーション、洋服代など毎月最低でも25万円は必要で、余裕をみれば30万円は欲しい。


私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)


長年介護職員や老人ホーム経営に携わった著者の話は傾聴に値するのだが、個人的見解らしき話も混じる。
例えば、「介護職員はやりたい介護ができないのが原因でやめるのだ。きつい仕事、安い給与ではない。」というのは本当とは思えない。
また、「老人ホームの素人の個別評価である口コミ情報は役に立たない。」というのも、老人ホーム紹介を業としている著者の話なので、差し引いて考えきたい。



小嶋勝利(こじま・かつとし)

1965年、神奈川県生まれ。長年、介護業界で介護職員や管理職として働いてきて、現在、高齢者住宅への入居相談などを手がける民間介護施設紹介センター「みんかい」の経営スタッフ((株)ASFON経営企画部長)。

 


以下メモ

 

老人ホームにはさまざまな流派がある。
けして快適ではない夜用のオムツをして朝までぐっすり寝るか、3時間おきに無理に起こして定時排泄するか、正解はない。

老人ホームは、いつまでも居てよい家であり、病気を治す病院ではない。病気になれば、別途入院費が発生するが、病院に入れることになる。それは保育園と同じだ。

介護保険制度とは、自分の権利を当たり前のように行使する制度ではなく、なるべく自分たちで解決し、どうしてもできないところだけ人の手を借りるという制度。単なるADL(日常生活動作)の維持向上だけでなく、相互扶助の精神が必要。

国が決めた人員配置では十分な介護支援サービスができないので、多くの有料老人ホームでは人員を多く配置しているので、利益が出ない。介護付き有料老人ホームの場合の人員配置は入居者3人に対し、介護職員と看護職員は1人(常勤換算)の割合。

老人ホームの「旅行」は多額の費用がかかる。1泊2日のバス小旅行で、原価で一人十数万円はかかる。

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