永六輔×矢崎泰久『ぢぢ放談 激闘篇』(2013年5月創出版)を読んだ。
2010年5月発刊の第1弾に続く、月刊「創」の連載対談集第2弾。今回は2011年2月から2013年4月までの対談。
第2弾では、東日本大震災の発生、永さんの交通事故や骨折入院、パーキンソン病などとの格闘との意味から「激闘篇」と名付けられている。
いくつか抜き出す。
「親鸞」を「おやどり」、「法然」を「ほうぜんと」と読む人がいる。
永さんの家はお寺だから、子供のころ、誰かが死ぬとおかずが一品増える。(もちろんジョークです)
矢崎さんが、橋下さん、猪瀬さんのことをぼろくそに言う。
矢崎:都知事選では宇都宮健児さんの応援に、佐高さんと俺であちこち行ったけど、候補者をろくに紹介しないで、二人でずっと猪瀬の悪口を言っていた。あれじゃ誰が候補者かわからない
永:猪瀬直樹の宣伝になっちゃう(笑)
矢崎:以前の井上ひさしさん夫婦は凄かったね。・・・離婚した元女房が何か言うと、すぐに手が出る。・・・亭主だけが殴っていたわけじゃない。元女房も噛みつく、ひっかく、飛び道具を使う(笑)、噛んだら離さない。そのうち井上さんは血だらけになるんだけど、でも原稿は書かなくちゃいけないから、「右手はやめてください」と右手だけかばうんだ。・・・
子供たちはすっ飛ばされて部屋の隅で怯えてる。普通じゃないよ。芸術家には天才的な狂人がいるけれど、井上さんも一種の素晴らしい狂人だったね。
私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)
バカバカしい話が多く、笑える。しかし、話に出てくる人は年寄りばかりなので、若い人には向かない。また、政治的立場がリベラルで、橋下大阪市長、石原慎太郎、猪瀬都知事をぼろくそに言っているので、右翼の人は(偏見でラベリングしてはいけません。どうもすいません)読まない方が良い(読むわけないか!)。
永六輔(えい・ろくすけ)
1933年生まれ。TBSラジオ「土曜ワイドラジオTOKYO 永六輔その新世界」
浅草の最尊寺16代住職の次男で、現住職。
『大往生』『あなたの「いのち」をいただきます』『あの世の妻へのラブレター』
矢崎 泰久(やざき やすひさ)
1933年東京生まれ。編集長、フリージャーナリスト。
早稲田大学政治経済学部政治学科中退。日本経済新聞社記者や内外タイムス記者を経て、
1965年『話の特集』を創刊、1995年休刊。
中山千夏とは意気投合し、二人のユニット「狭間組」を結成して著作活動などを行なった
『「話の特集」と仲間たち』永六輔との共著『バカまるだし』
目次
1 救急車なんて知らない
タクシー事故で初めて救急車に/搬送先の病院で待っていた医者は?/事故の影響で予想外の事態が… 他
2 地震なんて知らない
手が震えるから病気のせいかと思った/防災服の似合わない政治家/原発反対のきっかけは吉行淳之介 他
3 土下座なんて知らない
ロボットみたいな土下座/番組途中で永さんが消えたことも/唐十郎と寺山修司のしゃれたケンカ 他
4 データなんて知らない
『永六輔 戦いの夏』NHK出演の反響/パーキンソンのキーパーソン/五木寛之さんの「おやどり」!? 他
5 骨折なんて知らない
右肩脱臼の2日後に骨折/立川談志の死「ダンシガシンダ」/「ぢぢ放談」収録の朝、最初の怪我 他
6 病人なんて知らない
1年前と同じ病院に緊急搬送/4~5日間は不思議な空白/大変だと自覚するまで時間がかかった 他
7 入院なんて知らない
2カ月の入院生活で考えたことは/元気で輝いているのは女性ばかり?/オリジナリティがテレビからなくなった 他
8 全快なんて知らない
日本の政治家は“蚊帳の外”/葬儀屋にもいいのもいる/今はふたりとも転ばないのが先決 他
9 がれきなんて知らない
聞いている人の半分が「引いた」/東京大空襲も震災も語り伝えることが大事 他
10 がんなんて知らない
パーキンソン病と骨折と、さらにもう一つ加わった/文化として捉えてがんと向き合う 他
11 原発なんて知らない
反原発集会に参加した/「原発の明かりで原稿は書かない」/沖縄に原発がない理由は… 他
12 維新なんて知らない
まやかしの道具に使われた「船中八策」/マスコミはなぜあれほどもち上げるのか 他
13 有権者なんて知らない
史上最悪のひどい選挙だった/不愉快だった猪瀬直樹の都知事当選/小沢さんは軍歌を反戦歌にしていた 他
14 戦争なんて知らない
永さんの辛さが初めてわかった/いつのまにか戦争が始まる雰囲気/安倍首相には一刻も早く退陣してほしい 他
15 暴力なんて知らない
電車の優先席であわや乱闘に/我慢を強いられる東北と沖縄の人たち/井上ひさし夫妻の壮絶な殴り合い 他
あとがき