ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

それぞれの苦痛

2011-04-08 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
池田「護衛ですか」
継「相手が相手だ。当然だろ?」と能子を睨み、目で注意され、
能子「あ…」と頭を小さく下げた。
池田「フッ」と笑って、立ち去ろうとした。その背に、
継「8日、空けとけ」
池田「…。了解」と、小さくチャオ(敬礼)して去っていった。
能子「…。三日後に…何があるんです?」
継「能ちゃんは、与一の事…何も心配すンなって。ツネからの伝言だ」ニッと笑ったが、笑える心境じゃねぇ。二人のやり取りから推測して、もし源氏が、義経が負けていれば…、
能子「…」そんな継の“何か”を感じ、探るようにじっと顔を見ていたから、
継「そう…」(能ちゃんって、勘がいいんだっけ)と思い出し「心配すんなって…」と言った。
能子「すみませんでした」と勝手に出掛けた事に謝罪した。しかし、その謝罪が継さんに対して、なのか、亡くなった池田さんの姉上様に対して、なのか…自分でも分からなかった。
継「戻ろっ」(ポン)と能子の肩を叩き、ニッと左の口角だけ上げて笑ったから、
能子「ウソつき…」と小さく呟いてやった。
継「…」
一方、料亭では、富樫に情報確認中の忠がいた。
富樫「お前に…」義経からのメモを見せて「…だってよ」とニカッと笑った。
忠「チッ!パシリかよ!」と、そのメモを引ったくって「で、金は?」
富樫「昨日、ガッツリ稼いだろ?」
忠「もう、ねぇよ」
富樫「あん?一夜にして使い込んだかぁ!?」と呆れて、舞台報酬を少し渡していた。
忠「さんきゅッ」とお金を貰って買出しに出掛けた。そのお買い物リストを見て「なんだ、柏餅って?」と首を傾げながら、街へ繰り出した。
依然として、腹の調子が悪い賀茂女「うぅ…ん、ヨッ…シ、…ヨッ…シ…」と苦しんでいた。
葛葉さんと看病を交代した海尊が「ずっと…うなされてる」と、賀茂女の額の汗を拭いて、
朝稽古から戻ってきた匠が「気合だけは、入れてるね」と、自分の脇の汗を拭いていた。
静かにスゥと戸が開き、乙和「どうだい?」(パタンッ)と継・忠のお袋さんが入ってきた。
海尊「ずっと、こんな状態で…」と賀茂女を不安そうな顔で見ていたから、
乙和「看病してる奴が、そんな顔してても仕方ないだろ。苦しいのは当人だよ」