ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

演目『清経』

2011-03-25 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
能子の父 清盛が安芸守をしていた時、弁才天が御祭神の厳島神社の社殿を建立した。その際、能を奉納したとされる。この事からも、清盛は能をこよなく愛したことが伺い知れる。さらに、側室となった俺の母 常盤御前との間に生まれた娘に『能子(よりこ)』と名付け、その容姿から能舞芸事を教え、可愛がったという。
ただ、宮中では、橋掛かりなどの廊を渡る姿が美しいと、それにちなんだ名で呼ばれていた。
だからこそ、一層の不安が募った。
ロウ オ カタ…、ロウノオンカタ…、廊御方…
チラッと池田を見たら、腕組みしたまま、表情を変えずに能子を見ていた。
義経「…」
能子が廊を渡ると、三本松の一松、二松、三松の間に設置された蝋燭が吹き消され、舞台を照らすのは[二本の蝋燭だけ]となった。能子は舞台手前で足を止め、斯波の謡と与一の竜笛の合図で能子が舞台に進み始めた。
そして、奥能登の伝統能舞 演目『清経(きよつね)』が始まった。
能子が演じるのは、平 清盛の嫡男 重盛の子で、横笛の名手とされる清経だった。
壇ノ浦合戦後、多くの平家が入水、平家一門が都落ち…。
そんな中、生き残りひっそり暮らす清経の妻のもとに、遣いの者が訪れた。
遣いの者「清経様が入水されました。これは…その形見です」と、妻に遺髪を手渡す。
妻「あぁ…」と泣き崩れ「必ず、必ず帰ってくると約束したのに…」と悲嘆する。
悲しみが悲しみを呼び「こんな形見…いりません」と遺髪を返してしまう。
愛する夫への想いが募り「形見なんていらない」と毎夜毎夜泣き崩れ「せめて…せめて、一目だけでも夫に会わせて…」と懇願した。そんな妻の夢枕に、清経の霊が現れ…、
妻「あぁ…清経様」と手を伸ばすが、
清経「もはや、今生で逢瀬は叶わず…」触れられない、魂だけの存在となっていた。
妻「約束したではないですか。どうして…どうして死んでしまったのです!」と夫を責め、清経「なぜ、形見を返した!」と妻を恨む。
互いが互いを責め、苦しみ、憎しみ合う…互いに愛しているからこそ、この叶わぬ道理に涙するのだった。
やがて、清経は死に至るまでの経緯を妻に語り、生きて儚く、空しさ続く現世より来世の平安を願って入水したのだ…と妻を諭した。
しかし、妻の悲観した姿に成仏叶わず、


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