八幡町をゆく(5) 田 植
朝まだ太腸が顔をのぞかせない暗いときに起きて、おみそ汁・潰けもの・塩こんぷの簡単な朝食をすませてから、おべんとうを持って田んほへ出かけます。
親戚二、三軒寄って、まず縄をはり、いろいろな世問話をしながら、ときにはヒルに吸いつかれて悲鳴をあげたこともありました。
背中一度いに太腸の光を受けて、一株一株植え付けると、まるで緑のじゅうたんを敷きつめたようになります。
お昼時、田の畔に擾をおろし、溝に足をつけてひろげるおべんとうのおいしかったこと……。
雨が降っても田植えは休めま甘ん。かえるが、「ゲロゲロ」合唱するなか、みのがさを着て一生懸命植えまレた。
さなぼり
田植えが終わると、「さなほり」という休(・・)みがあり、街へ買い物行ったり、ご馳走をしりすることが楽しみでした。
それからは、草とり機をころがしたり、ひえ引き、肥料、牛の堆把を入れたり、農薬散布と忙しい毎日が擁きます。今年は台風が上陸しなかったので
大豊作でした。黄金色の穂が重く垂れ下がり、ザックザックと鎌で刈りとるとき眇うれしさは、忘れることができません。
しかし、脱毅したもみや機械を道まで出すのが、一苦労でした。
「かど干し」といって、庭先にムシロをひいて、その上もみを干しもみ摺りを終えて玄米になります。
宗佐 藤田ことゑ 『ふるさと やはた』より
*写真:「さなぼり」・田植えを終えたころ、加古川商店街で開催されていた大売出し。
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