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『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第2章  ポリス連合軍トロイへ  6

2007-07-20 10:13:01 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 アキレスの父、ペレス領主のもとにミュケナイからの使者が到着した。ペレス領主は、使者からトロイ攻略の件についての詳細を聞いた。ペレスは考えた。一夜が過ぎた翌日、息子アキレスとアキレスの母テティスも、そばに呼び寄せ相談した。側近や重臣との相談は、その後とすることにした。
 ペレスは、アガメムノンからのトロイ攻略の詳細を二人に話した。これを聞いて、母であるテティスは、開口一番に言った。
 ㋢『アキレスをトロイの戦争に行かせることは、私は、いや、行かせたくない!』
 ペ『アキレス、お前はどうだ。お前はどのように考えているのか。』
 ㋐『俺は、母から、母の気持ちを聞いている。俺は、俺の武名を世に知らしめたい。俺は、そのようなチャンが欲しい。そんな気持ちがうずうずしている。』
 アキレスの欲望は、自分の戦闘技術が衆を抜いているだけに、その方向に対して、心は、純粋であった。父ペレスは、アキレスの意を認めた。
 ペレスは、このことを側近及び重臣たちに計り、アキレスに軍船を50隻与えるとともに、戦士及び兵士500人も与えた。尚、側近としては幼いときから、アキレスと一緒に育ててきたパトロクロスをつけたのである。

第2章  ポリス連合軍トロイへ  5

2007-07-19 08:15:45 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 軍事計画会議で決したことを、各領主に伝える使者は、その日のうちに各地に向けて、ミュケナイを出発した。
 そのあて先の中には、アキレスの父、ペレス領主への使者もいた。その使者には、オデッセウスからの特別の口上もことづけられていた。
 出航を三月初めとしたのは、この地方に、二月の中旬頃からの地中海を越えて吹く、南風の日が多くなること、それとともに、天候が安定し始める頃となる。しかし、三月初めといえば、冬の名残りの荒れた日も予想しなければならないことが気がかりであった。
 アガメムノンからの指令を受け取った各領主は、忙しくなってきた。トロイ攻略の戦備を整えるとともに、ポリス城市内の貴族、有力者を集めて、戦利品等の分け前の提案で、資金集めを行い、農夫、漁師、職人、商人等、市民皆兵で兵集めて動員したのである。

第2章  ポリス連合軍トロイへ  4

2007-07-18 08:22:58 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 参加兵数は、10万人を越えた。軍船数は、1186隻とアガメムノンの胸算の数を越えてまとまった。そして、数日後、軍事計画会議を招集したのである。主だった領主、将帥、10余人が一堂に会した。ピュロスのネストル、イタケのオデッセウス、ポイオチアのぺネレオス、サラミスのアイアース、アルゴスのデオメデス、クレタのイドメネス、アテネのメネスチス、そして、スパルタのメネラオス 
他の面々である。
 この会議で、出航予定は、三月始め、結集は、二月末、集結港は、ポイオチアのアウリス港と決した。
 開戦については、トロイ側でも迎撃の準備がなされているはずである。トロイ側からの第一矢でもって、開戦の火蓋を切ることにしたのである。

第2章  ポリス連合軍トロイへ  3

2007-07-17 07:38:45 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 会議を終えて、10日ぐらい過ぎた頃から、各ポリスからの使者が、続々と、ミュケナイのアガメムノンのもとへ書状をたずさえて訪れた。この時代、使用されていた文字は、線形文字B種である。書状は、その文字でしたためられていた。しかし、動員兵数、軍船数に関しては、全て、アガメムノンと会見の上、口上で伝えられた。
 アガメムノンが必要とする軍事計画の基礎となる兵数、それに対応する軍船数、その他の必要数字は、その月の末日までにまとまった。
 ポリス連合軍の結団に関しては、各ポリスの領主は、自発的であり、外部からの威圧、強制されたものではなかった。それの何故は、トロイ覆滅が最大の目標であり、トロイ周辺諸国の征討及び財宝等、戦利の収奪については、自由勝手が許されていることであった。これについては、トロイ周辺を視察してきたメネラオスによって、会議の席上で明らかにされていた。

第2章  ポリス連合軍トロイへ

2007-07-16 08:44:26 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 ポリス連合軍の統帥の任についたアガメムノンは、トロイ覆滅の軍事計画について、思考のうえに思考を重ね、勝利を是とする戦力の構築を目指した。アガメムノンの頭脳の中に出来上がっている素案の将帥、戦士、兵員の総数は、10万人規模であり、対応する軍船数は、一千隻をこえることを必要条件としていた。
 会議の結論として、アガメムノンは、各領主及び将帥に、戦士及び兵員数と調達可能な軍船数を早急に、自分まで伝えることを指示した。尚、開戦にいたるまでのことについての、出航予定、集結完了月日、集結港、航路と航海予定、その他の事項については、アガメムノン統帥名でもって、各ポリス領主に通達する旨を伝えた。
 オデッセウスは、この会議の席にペレス領主とアキレスがいないことに気がついていた。『何故だ?』オデッセウスは、怪訝な思いを抱いた。
 アガメムノンは、欠席していた領主には、使者をたてて、決議の要旨を伝えた。

第2章  ポリス連合軍トロイへ  1

2007-07-14 13:43:26 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 32ポリスの領主と将帥、112人が一堂に会して行われた、ギリシアポリス連合のトロイ攻略アテネ会議は、諸事を決議して終わった。各ポリスの領主と将帥は、トロイを餌食とする獲物の匂いを嗅ぎ取ったのである。それと同時に、3年前のトロイ遠征の航海の失敗を思い起こしていた。あのときに比べて、今は、軍船も進化している、航海術も格段の進歩を遂げている。トロイ上陸には、よほどの事がない限り航海の失敗は考えられない。
 アガメムノンは、トロイ攻略のポリス連合軍の総帥の任に当たることになった。アガメムノンには、権威と権力と統帥力において、数あるポリスの領主たちの中で第一人者であったのである。

第1章  二つの引き金  86

2007-07-07 07:33:21 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 アガメムノンは、帰城するや、側近と重臣を集めた。メネラオスの帰還と四人での話し合いの事の次第を、自分の思いを含めて説明した。
 『ポリス連合の会議を開く。即刻、各領主の招集をするのだ。』
 会議は、十一月下旬に、アテネで開かれた。
 トロイ攻略の議題は、衆議一決で決まった。しかし、派遣する戦士の数、軍船の隻数のことでは、少々もめた。開戦の時期については、アガメムノンに一任された。
 ポリス各領主たちの意志は、戦争開始に傾斜している。何事も結論を出すのに時間は必要とはしなかった。
 ギリシア ポリス連合のベクトルは、力強く、トロイに向かったのである。

第1章  二つの引き金  85

2007-07-06 07:45:18 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 二人は、浜に着いた。エウロタス河河口の右の浜である。漕ぎ手18人の小型の軍船が海上にあった。メネラオスは、念入りにチエックした。その上で、二人の従者と漕ぎ手の者たちに指示を与えた。この船の漕ぎ手は、奴隷ではなく、スパルタの戦士たちであった。
 湾内の風は、海風である。操船に関する指示は、湾を出るまでは漕走でいき、湾を脱したときの風の状態によって、帆走にするように指示した。そののちにぺロポネソス半島の西岸を北上し、ピュロスまで2日~3日、ピュロスからイタケへ3日~4日、途中風待ち日をいれて、約10日でイタケに到着する予定である。しかし、天候、風ぐあいが良好であれば、5日ぐらいの航海でイタケに着けると考えられる。
 船上の人となったオデッセウスは手を振った。船は、櫂でかき漕がれて進んだ。 オデッセウスは、また、波に揺られての帰路であった。
 メネラオスは、身を危機にさらした半年余りのずっしり重い肩の荷をおろしたのである。

第1章  二つの引き金  84

2007-07-05 08:22:45 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 オデッセウスは、メネラオスとともに命を懸けた、この6ヶ月余りの日々が思い出されて、何回も寝返りをした。
 スパルタを去る日の朝を迎えた。
 メネラオスは、出航の見送りを終えて、帰城した。次は、オデッセウスの帰りのことである。彼の帰りの道中をいろいろと考えた。それには、海路を行くことが最上であると結論づけて、その行程を念入りに組み立てた。メネラオスは、オデッセウスの了解を得た。予定にもとづき準備万端を整えた。
 今時間で、10時頃と思われる。オデッセウスは、城の者たちに見送られて、スパルタの城を出た。

第1章  二つの引き金  83

2007-07-04 06:52:50 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 メネラオスがスパルタに帰って、三日目の朝を迎えた。
 ミレトスの軍船の船長は、天候のぐあいと地形の状態から考えた。山から吹きおろす陸風のことを考えた。そのことについて、メネラオス領主の意見も充分に聞いて結論を下した。明日の夜も開けきらない早朝に出航することを決め、メネラオス領主に伝えた。
 アガメムノン、テュンダレオス、オデッセウスも同席して昼食会を催し別れを惜しんだ。メネラオスは、ミラマンドロスへの贈り物を整え、丁寧に梱包したうえに瀝青(コールタール)を塗り、防水をした荷物を船長に託した。軍船の一行は、午後になってスパルタを後にした。
 アガメムノン、テュンダレオスの二人の領主も帰城の途についた。
 オデッセウスとメネラオスは、二人だけの夕食で過ごした。
 ㋔『明日、俺はイタケへ帰る。』
 ㋱『俺の帰りを待て。俺は、早朝、軍船の一行を送り、昼前には帰る。お前の帰りの準備は整っている。従者の人選も終わっているが、船の方を、この目で確かめないとな。』
 ㋔『そこまでやってくれたのか。ありがとう。厚く礼を言う。』
 酒と料理に舌鼓みをうちながら夜は更けた。