『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1270

2018-04-20 08:32:52 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『おはよう!オキテス君』と聞こえたように感じて目を覚ますオキテス。
 浜が多忙な朝の時間である。
 オロンテスがキドニアに向かうセレストスと打ち合わせている。
 オキテスは、朝行事を終えて建造の場へと足を運ぶ。
 『おはよう、ドックス。今日の予定だが心得ているな。戦闘艇のテスト航走の点検をしておいてほしい。ところで、明日だが、ガリダが来る、そこでだが、9月と10月の建造用材の手配をするその算段をしておいてくれ、今、渡した建造計画案に基づいて考えてくれ。明日、アサイチに打ち合わせをやる』
 『解りました』
 『オ―トットト!ドックス、今日の会議にお前も出席することになっている』
 『承知しました』
 パリヌルスは、浜に立っている、真剣な表情でアエネアス、イリオネスと話し合っている、話が終わる、表情をくずすことなく場から去っていく。
 会議開催の刻限が迫る、アエネアスの宿舎前の会議の場に一同が揃う。
 『おう、一同!そろったな、会議を始める。一同、腰を下ろせ!』とイリオネスが声をかける。
 一同が緊張している。
 『おう、オキテス、今日、一番の議題はなんだ?』
 『はい、建造計画案の決議です』
 『そうであったな。今日は、お前が進行役を務めろ』
 『了解しました』
 オロンテスが一同に声をかける。
 『実はですね』と言って一同と顔を合わせる、柔らかく親しみを込めた目線である。
 『先日来、試しに焼き上げたパンです。集散所のパン売り場で試供したら、これは旨いと好評を得たパンです。試食に持参しました。一同の評価次第で売り出そうと考えています』
 オロンテスが場の真ん中にパンをおく、一同の手が伸びてくる、口に運ぶ、アエネアスが一同を見回して声をかける。
 『おう、オロンテス、フルーツの風味、香味だな。なかなか優雅なパンに焼けているではないか、味の新境地といったところだな』
 『おう、いい味、香り、旨いパンにできている。商品として売り出す予定にしているのか?』
 『はい、品そろえを増やしていこうと考えています。売り上げを減らさない、少しづつでいいから増やしていきたい。そのように考えています』
 『お前の業務に関する心情がわかる。いい結果をものにしてくれ』とイリオネスが言ってオキテスと目を合わせる。
 『オロンテスの焼いたパンを口にして力みがほぐれたな。オキテス、会議を始めてくれ』
 『はい!パリヌルス!統領と軍団長に建造計画案を記した木板、渡してあるな』
 『おう、渡してある』
 オキテスが一同と目を合わせる、気鋭のこもった目線である、場の気がひき締まる、目線がオキテスに集まる。
 『一同』と声をかけて、場を見渡す。
 『手元にある建造計画案を見ていただきたい。この建造計画案は、昨日、集散所において打ち合わせた内容を組み込んでパリヌルスと検討して作成した建造計画案である』と述べて少々の間をとる。
 会議を進めるコツ、呼吸を気にかけた所作であった。