『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  396

2014-11-04 07:31:01 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
エーゲ海の南縁、地中海に浮かぶクレタ島。その島で栄えたクレタ文明、クノッソスは、クレタ文明最盛のころの政治、儀式の中心地であり交易の島クレタの商都であった。そのクノッソスという都邑についてふれる。
 クノッソスは、古代、青銅器時代の最大の遺跡である。この遺跡の特徴は広大な中央広場があって、その中央広場を囲むように建てられた王の館である宮殿と交易商都としての機能を持った重要な施設が建てられていたのである。強い王権の存在を示すとともに、時代としては考えられない高度の官僚機構を有していたことがうかがわれる。巨大な倉庫を造営して物産の加工設備も有して、支配領域内の物産物資を集積して再分配する機能を持っていた。
 クレタ文明はBC2000年ごろから発展し、周辺諸国、エジプト、シリア、レバノン、地中海北東部の沿岸諸国との交易で発展し続けた。特にエジプト、シリア、では木材の不足、そして、クレタにおける造船事業の発展でクレタの森林の木材を伐採しまくったのである。それが文明を発展させもしたのであるが、それが長い年月の後に災いとなってクレタ文明衰退の引き金を引くのである。
 この時代のクノッソスは、人口8万人を数え世界最大級の都市であったのである。そこに建設された王の館としての宮殿は、木造四階建て構造という豪壮なものであったのである。木造建築の技術もさることながら構造構想も特異な建物であった。構造の基礎的思考を含めて、最低階には三桁にも余る小部屋構造とした構造物であった。それが迷宮と言われた由縁でもあり、壁といわれる壁に紋章としての双頭の斧(ラブリュス)が彫刻されていた。これがラビリンスの語源となったのである。
 ギリシア、エジプト、シリア、レバノン、沿岸諸国の中央に位置する立地条件で地産の物を売る、オリーブ、ワイン、羊毛、木材、青銅器、文明特有の芸術性の高い図柄の土器を売りさばいた。キプロスの銅、西アジアのスズから造る加工貿易、また、レバノンの杉をエジプトに売る中継貿易も手掛けていた。それらの交易のためにマリア、ザクロス、フエストスに中央に広い広場を設けた宮殿型の集散所を建設して交易都市とした。クレタは、歴史上における交易王国であった。(明日に続く)