耳にしている言葉でも、それが何であるか知らないことがあります。
今朝は、知らなかったということに、気が付かされました。
カキツバタです。 漢字で "杜若” と書いたり、 "燕子花” と書いたりします。
水曜日の朝日新聞朝刊に、日本古来の詩歌が英語に訳されるコーナーがあります。
本日は、在原業平の『伊勢物語』より、 "かきたつばた” を文頭に置いた和歌でした。
からころも
着つつなれにし
妻しあれば
はるばるきぬる
旅をしぞ思ふ
アンダーラインの文頭を縦によめば、 "か・き・つ・ば・た” です。
紙面の現代語訳によれば
〈きなれた衣のように慣れ親しんだ妻をおいてきているので、はるか遠くに着てしまったこの旅を思うよ〉
この時点で、私には "かきつばた” の画像が浮かんでいません。
それどころか、 "つばき” のイメージがぼんやりと浮かぶ始末。
横並びの平仮名を、脳が勝手に順番を入れ替えたのでしょう。
記された英訳が
In these familliar lovely robes I'm
Reminded of the beloved wife
I have left behind, stretching far-
Sadness, the hem of journeys.
とりあえず、和訳は上記の現代語訳を参考にするとして、
アンダーラインの文頭のアルファベットを縦に読むと、「I・R・I・S」 です。
「iris」(アイリス)・・・あやめ・アヤメ属の植物
アイリス? "かきつばた” って、アヤメだったんですね?
言われてみれば、 「いずれ菖蒲(あやめ)か杜若(かきつばた)」を、耳にします。
どちらも綺麗な女性だという意味で使っています。
あらためて、故事ことわざ辞典を調べると
"似ていて区別することが難しいことから、どちらも優れていて選択に迷うことのたとえ”
美しいけれど、見分けがつかないところから、そう言われるのですね?
画像検索で確かめたら、なるほど、区別がつきません。
英単語を見て、日本語単語を知りました。
"かきつばた” は、 ”つばき” ではなく、 ”あやめ” でした。