そうなんだ。

外国語で知ったこと。

お世話になります。なりました。  エッセイ

2017-12-24 10:40:31 | エッセイ
地元総合病院・婦人科の女医は、とても感じが良かった。
今年3月のことだ。 5cm大の卵巣腫瘍摘出を薦められた私は、手術を怖がり
ウェブ上で見つけた漢方薬による治療を試したいと伝えた。
彼女は良いとも悪いとも言わずに、7月の再診の念押しをした。

近所の漢方薬局に相談し、処方してもらった漢方薬を自分で煎じて飲み始めた。
もともと卵巣腫瘍による異常を感じていたわけではないので、漢方薬効果のほどは実感できなかったが
もともと良かった体調が更に良くなっている気がしていた。

7月。腫瘍が小さくなっていることを楽しみにして受けた再診に、がっかりさせられる。
全く変化がなかったのだ。
主治医は再度手術を薦めた。 私はもうしばらく漢方薬で様子をみたいと手術を嫌がった。
彼女は良いとも悪いとも言わずに、11月の再診の念押しをした。

世話になっている漢方薬局と相談して、処方を少々変えた。
卵巣腫瘍に対する効果はやはり不明だったが、体調はすこぶる良かった。
今度こそ大丈夫だろうと期待した。

11月末。腫瘍が小さくなっていることを楽しみに受けた再診に、打ちのめされる。
腫瘍は8cm と大きくなっていた。
主治医は、教科書的には5cm で切除だと告げ、大きくなればなるほど手術も大変になると説明した。
なにより、彼女は癌を疑った。

私は漢方で腫瘍を小さくすることを断念した。

12月。主治医の紹介状を携えて、東京都江東区にある「がん研有明病院」へ向かった。
そこは大きくて綺麗な病院で、待合いではそれほど具合の悪そうな患者は見当たらない。
むしろ皆、きちんとした品の良い服装だ。
高齢者の患者が少ないからなのだろうか?
コンビニやレストラン、ターリーズコーヒーまで院内に併設され、にぎわっていた。

生まれて初めて、MRI検査やCT検査を受けた。
造影剤の危険性をありったけ知らされた上で、了解の署名をしろと言う。
実際は意思を尊重しているようで、選択権はない。 ならば、怖がらせないでほしいものだ。

幸運にも、癌ではなかった。
しかし、私は観念した。 わざわざ大病院まで診察を受けに来たのだ。
薦められるまま、婦人系臓器を全て摘出することにした。
出産以来、何十年ぶりかの入院がこのようなタイプになってしまったのは感慨深いものがある。

12月25日入院。 12月27日手術。
私が年内にこだわったのは、今年の私は大吉だからだ。
先月参拝した縁結びで有名な出雲大社で「人生における御縁」を祈願した。
新たに出会った「がん研」の医師が、私の「人生における御縁」に違いないのだろう。

執刀医をはじめ、手術に関わる皆さまには「お世話になります」と、
私の体の中で長年働いてくれた婦人系臓器たちには「お世話になりました」と心をこめて伝えよう。


ーおわりー


読者の皆さん、このようなわけで、次回のブログは年明け退院後にアップさせて頂きます。

どうぞ、良いお年をお迎えください。



 
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

年末エッセイ

2016-12-30 23:44:00 | エッセイ
この8月から産休の先生の代わりとして
遠く離れた北海道の海辺の町で、初めての一人暮らしをしながら
中学校教師をしている息子が冬休みを利用して帰ってきました。

私 「水道が凍ったりするの?」

息 「もちろん、帰ってくる前にオトシテきたよ」

私 「えっ? オトスって?」

息 「あぁ、そうか。 こっちの人は知らないんだ。 水を抜くレバーがあるんだよ」

“こっちの人”ですって・・・。
自分だって、にわか“あっちの人”のくせに。

にわか“あっちの人”の話によれば

ゴミは指定ゴミ袋で捨てなくではならず、1枚108円とのこと。
高いですよね。
私の暮らす地域は指定ゴミ袋はなく、収集は無料なので驚きました。

車のサイドブレーキをかけない習慣も始めて耳にしました。

ところで
息子の食生活に関しては、給食があるのでそれほど心配していませんでした。
給食制度は、生徒だけでなく先生の親にとっても安心です。

東京や埼玉と違うのは
週3回の“ご飯給食の日”は、おかずのみの提供なので
ご飯は自分で持っていくそうです。
息子も炊飯器を買って、焚いて、持参していたとのこと。
考えようによっては
個人個人食べる量が違うのだから、自分に適した量を持っていくのも
理に適(かな)っているかもしれません。

3学年を合わせても、生徒数は60人強の少なさです。

校長先生と教頭先生は、有事の際にすぐに対処できるように
勤める学校の前に建てられた校長用住宅、教頭用住宅に住むので
中学生のお子さんがいる場合は、自宅前の同じ学校に親子で通うことになるそうです。

こちらでは、親子で同じ学校に通うケースがないので
子供にとっては、気の毒のような気がしてしまいます。

相対的に、息子の話はたいして面白くもないことが多かったのですが
久しぶりに会った彼の話は興味深く
「他には? 他には?」と珍しく催促してしまいました。

親子も夫婦もたまに会う方が、楽しく良い関係が築けるのかもしれません。

今年も残すところ、あと一日です。
今年一年
「そうなんだ」ブログを読んで下さった方、ありがとうございました。
来年も
「外国語で知ったこと」とともに、楽しい話をお届けしたいです。

皆さま、良い年をお迎え下さい!


コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

5周年記念  エッセイ

2016-07-19 15:21:38 | エッセイ
2011年7月18日に立ちあげた『そうなんだ』ブログ。
2016年7月18日で5周年を迎えました。

立ちあげた当初に、漠然と思ったものです。
アラビアンナイト『千夜一夜』よろしく、1001本書くことを目標にしようかと。
ただ、出来ない約束はしたくないので、宣言は控えました。

ほとんどの方がご存知でしょうけれど、「千夜一夜物語」の概要は以下の通りです。

妻の浮気で女性不信となった王が、若い女性と一夜を過ごしては殺していました。
これを止めるために自ら王に嫁いだ女性が、毎晩王に物語を語ります。
王は続きを聞きたいので、この女性を殺すのを思いとどまります。

ほんの数分前まで
てっきりこの賢い女性が1001夜語り続けたのだと思っていました。
ところが、あらためて確認すると原形は二百数十夜とのこと。
ところが『千夜一夜』の題名なのだから、1001夜分の話があるはずと
多くの物語が追加されて、19世紀に現在の1001夜分を含む形で
出版されたというではありませんか。

二百数十話でしたか・・・。

私の『そうなんだ』ブログは、本日の記念エッセイを含めて778本目。
ここまで来たら、やはり、切りが良いのは1001本を目指すことです。

野球上達の練習法でも “千本ノック” があるくらいですから
何かを成し遂げるのは、1000が目安となるのでしょう。

残り223ブログです。

目標の1001本安打・・・
もとい
1001本のエッセイブログ。
達成したとき、見える風景が変わっているでしょうか。

1001本全て読んだ読者の皆さまは、
称賛に値する忍耐力をお持ち、だと認められてしかるべきでしょう!

ともに、1001本目指して頑張りましょう。

ご清聴、ありがとうございました。



コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

旅の醍醐味    エッセイ

2016-03-11 11:07:36 | エッセイ
『公募ガイド』という雑誌に、4月号から新コーナーが誕生しました。
“エッセイ & エクササイズ” とタイトルで
毎回出題される“テーマ”に沿ったエッセイを募集します。
第1回のテーマは、“疲労困憊”。 本文600字以内。
私の投稿したエッセイが佳作に選ばれたので
僭越ながら、このブログで発表させて頂きます。

「そうなんだ。 外国語」はお休みです。

私の友人の皆さんにとっては、何度か私から聞かされた話でしょうけど
おつきあい下さいね。
その他の皆さまには、テーマである疲労困憊ぶりに笑っていただけると
ありがたいです。


    「旅の醍醐味」   ふーちゃん

 
 若い頃、海外ツアー添乗業務中の事である。
カナダ国内移動のため、トロント空港にて搭乗手続き時だ。
一行21名(添乗員1名を含む)の席は確保されているはずだった。
 ところが20名しか乗れぬと告げられる。
海外ではありがちな“オーバーブック”いわゆる航空会社側の予約過剰だった。
1名分は30分後の別便を薦められた。

 私は “旅慣れない客が参加するツアーの添乗員” である。
その辺りの事情を説明して全員が同便に乗れるように交渉するも、
「キャンセル待ちの手段もあるが、じきに次便の席も埋まるだろう」
に話が戻る。
 私は同一行動をあきらめて、ツアー客に添乗員である自分が別便に乗る事情
を説明した。

 20名の搭乗を確認後、次便のゲートに走るも、まさかのキャンセル待ち7番目。
「話が違う」 と必死で職員に食い下がりながら、気付くと私は泣いていた。
添乗員とはいえ20代女性の涙が、功を奏したのかもしれない。
最優先で搭乗できた。
 
 一難去ってまた一難。
カルガリー空港では待っているはずの一行が見当たらない。
 彼らを乗せた便がエンジントラブルの疑いで別の空港に降りていたとわかる。
観光用チャーターバスを待機させたまま、成り行きを見守る1時間半は
動悸がしていた。
 客は気楽なものだ。
ロビーに現れた彼らは 「トラブルは旅の醍醐味だよ」 とはしゃぐ。
ツアー後半にはパスポートを紛失した客の対応も加わり、
“旅の醍醐味”とやらは続いた。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

3周年記念 エッセイ

2014-07-21 13:00:00 | エッセイ
朝の電話で、近所に一人で暮らす母(8?歳)の
元気ない声が気になりました。

母 「心臓が重いのよ」

横になれば落ち着くだろうから来なくてよい。
と先手を打たれたので、とりあえず家事をすませます。
それでも、10時前には念のために様子を見に行きました。

ピンポ~ン ピンポ~ン

呼び出し音が室内より聞こえますが、応答がありません。

ピンポ~ン ピンポ~ン

玄関前から携帯で電話を掛けます。

プルル プルル

呼び出し音が室内より聞こえますが、応答がありません。

私は急いで自宅に合い鍵を取りに戻りました。
この時点で汗ダクダクです。 再び坂道を登り母の家。
心を落ち着かせても、鍵を裏返しにしても、何度やっても
合い鍵だと思っていた鍵が、鍵穴に入らないのです。

どうする? どうする? 私・・・。

窓からの侵入を決断しました。
顔の高さにある半窓が開いていたので、その下に自転車を停め
サドルを踏み台にしてよじ登り、窓から室内に入りました。

私 「お母さん?  お母さん、大丈夫?」

シ~ン・・・。 気配がありません。
心臓が原因で倒れていると心配したのに、応答がないのは
留守だからでした。

ほっとするやら、ガックリするやら・・・。

とりあえず窓から入ったいきさつを、置手紙としました。
鍵がありません。 玄関から帰るにしても、今度は外から
ドアをロックすることができないのです。
方法は二つあります。 再び窓を使うか、母が戻るまで待つか。
入る図以上に出る図の方が不自然とは思いつつも
半窓から身を乗り出し、自転車のサドルに足をのせて
外へ出ました。
 
身軽とは言えない一連の動きを見て、不審というより
事情があると思われたのでしょう。 
通報されずに済んだのは、不幸中の幸いでした。

その後、近所のスーパーで母を見つけます。
心臓の薬を飲んで横になったら良くなったので、買い物に出た
とのことです。

母 「それは、心配かけちゃったわね」

一緒に母の家に戻ると、合い鍵を渡されました。
不用心だとわかったので、今後は窓も戸締りをして
買い物に出るそうです。

    

            ーおわりー


うっかりしていましたが、7月18日はブログを始めて
3周年の記念すべき日でした。
晩に5年日記帳を開いて気が付いたのです。 そこで
18日に起こった出来事を記念エッセイにしました。
本日 “そうなんだ 外国語” はお休みです。

18日の時点で、延べ12万8000回の閲覧と
延べ6万6900人の方の訪問を頂きました。
お会いしたことのない皆さま、 読者に登録して下さった方
友人の皆さん、ありがとうございます!

4年目も文章上達に向けて精進致します。




コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする