Afternoon Avenue 25 (by hide_boo)

Perfumeと乃木坂46、IZ*ONEなどのアイドルやクルマやバイク、好きなものついて、だらだら綴ります。

ribbon / 渡辺美里

2014-12-31 22:26:36 | Weblog

渡辺美里 4作目のアルバム。1988年のリリースで、「センチメンタルカンガルー」、「恋したっていいじゃない」「悲しいね」「Believe」といった彼女のスマッシュヒットしたシングルが4曲も収録されていて、半ばベストアルバムに近い構成になっている。

 

ところが、このアルバムはそれだけでは終わらない。アレンジには大好きな清水信之が入っていて、TM-NETWORKの木根尚登が作曲した「さくらの花の咲くころに」のような切ない歌詞と曲に壮大なアレンジを加えて、間奏に歌の余韻をとどめているような、素晴らしい曲がシングル曲の間を埋めて余りあるパワーをもっている。

 

歌詞は1曲をのぞいて、渡辺美里本人が書いている。キーワードの使い方にいい意味での”青さ”を感じるが、当時リアルタイムで聴いていた自分には泣かされる作品が多い。

 

「シャララ」「19歳の密かな欲望」なんて岡村靖幸が曲を書いている。今でも全然ノリの良いロックナンバーだ。そして「彼女の彼」。松たか子の旦那さんである佐橋佳幸の作・編曲。さわやかなギターカッティングで始まるこれも切なくもノリの良いポップロック。この曲は渡辺美里のナンバーの中でベスト3に入れている。

 

そして本人作曲の小品「ぼくでなくっちゃ」。清水信之は打ち込みシンセとピアノだけで優しくアレンジしていて、ちょっとした短編青春映画の主題歌になりそうな、曲。彼女を好きなのに思いを伝えきれないもどかしさがテーマだが、アレンジと曲調にすごく透明感があって、”夜明け前にひとり~”、”街はずれの公園で~”というシチュエーションが目に浮かぶようだ。

 

それから「TokyoCalling」。これは「今も科学の進歩は~」とテーマをもろに歌詞にしている「青さ」を残していて、初めて聴いたときはストレートすぎる歌詞だな、とえらそうなことを思ってしまったのだが、聴き込んでいくと「失いたくないものすべて、現在のため壊されていく」というフレーズに胸をかきむしられるような思いを抱き、なぜか涙ぐんでしまう。この曲だけはいつ聞いてもそうなのだ。ふと思えば、東日本大震災で発生した福島第一原発の事故で、住む家、住む町すらも奪われた人々の思いをまっすぐ受け止めている歌かもしれない。本当に科学のために犠牲になるものがこんなに大きくなるなんて、想像もしていなかった。それでも警鐘を鳴らしていた歌のひとつがここにある。

 

大ヒットした「悲しいね」カップリング曲でこの作品唯一の大江千里作品である「10years」と佳作揃いのアルバムなので、是非、聴いていただきたい。


最新の画像もっと見る