下呂の千秋楽公演では、冒頭の南原さんの挨拶はなく、セインさんだけでした。
600年前から・・等々、狂言レクチャーをしていたセインさんですが、「今まで狂言を今まで観たことある人は?」「現代狂言を観たことある人は?」という恒例のアンケートも。
どちらもあまり多くなかったようですが、現代狂言を観たことがある人のほうが多く、セインさんは「うれしいな」。
下呂では一昨年も公演をしていましたので、その人たちがちゃんと帰ってきてくれて私も「うれしいな」でした(場所によっては以前観た人どこいっちゃったの?ということもありましたから・笑)。
古典の「千切木」は、全体的に反応が薄かった・・かな?
先週の四国公演があまりにも笑いと拍手が多かったので、普通の反応がどんな感じなのかわからなくなってしまったからかもしれませんが、皆が退場していく最後のところでは、やはり戸惑いながら拍手という感じでした(笑)。
ただ、要所要所では笑いもありましたし、ジョニ男さんの金八ふう「あ、留守」は爆笑でしたので、ジョニ男さんは今回も喜んでいたことでしょう(笑)。
それから、南原さが「掛け物をかけられた・・」と言いながら文句を言う場面では(ここ、南原さん台詞とばしてたかな?)、隣に座っていたチビッ子が客席のほうを振り返っていました。
きっとその子はイマジネーションで掛け物が見えていた・・のかも。
あと、ジョニ男さんが留守でひと安心のジェスチャーをしていた南原さんを観て、一人の(別の)チビッ子が大笑いしてました(笑)。
あとは、平子君のところへ行く道中、「あの平子は…」という台詞のあと???という感じになったりしましたが(笑)、南原さんはおでこに汗を光らせ熱演。
毎回いろいろあった「千切木」は、今回もちょっとありつつ無事に(?)終了しました(笑)。
新作の「不思議なフシギな鳥獣茶会」。
始まる前の楽士の方の演奏は、和田さんは気合の入ったドラム、そして、稲葉さんは演奏が終わると横笛を下ろして笑顔。
この稲葉さんの笑顔をみて、早くもちょっと涙目になってしまいました(笑)。
新作は、最初に出てくるのが大野君でビックリしたとか、平子君は着物だけじゃなくスーツも似合うな~とか細かな感想も色々あるのですが(笑)、詳しい話はまた後日ということで。
今回は、千秋楽ということもあってか、トランプたちの場面で新たなギャグ(というかミニコント)も。
6なだけに「ろくでもない」のあと、石井ちゃんと石本君は「ジャックダニエルをロックで飲みにいった・・」「Jと6だから」(笑)。
お客さんにけっこう受けて満足げな石井ちゃんに南原さんは「ほっとしてるんじゃないよ」とツッこみ(笑)。
いや、でも、これは毎回やってても良かったんじゃないかな?という感じもしました(笑)。
あと、宅急便ではなく卓球部でなんてこった、のジョニ男さん。
「ピンポーン」というと、客席からは「あぁ、そうか」という声があがってました(こういう反応を見てカーテンコールで南原さんが「純なお客さんの前までやれて・・」と話をしてたのかな?・笑)
南原さんの♪メ~モリ~♪については、色々と語りたいことが多すぎるので今回は割愛(笑)。
あとは、鳥獣たちとの茶会の場面、南原さんと万蔵さんが弓を射ったとき、稲葉さんののこぎりの「ポヨ~ン」という音がちょっと小さかった?とか(最後のカテコのときのこぎりを鳴らしてたのは、これがあったからじゃないかな?笑)、カエルのゲロゲロと下呂がちょうどかかっていて「下呂温泉で宴の始まりじゃ」という地元ネタになっていた・・等々があり、いよいよクライマックスへ。
ところが・・・。
南原さんがこのあといろいろやっちゃってました(笑)。
まずは、左右に分かれて向かい合い、社交ダンスと田楽を踊りあう場面。
田楽チームの番なのに、社交ダンスの構えで一人飛び出す南原さん(笑)。
南原さんは「いけね、やっちゃった」という顔でいそいそと元の場所へ。
ここはビシっと決めなきゃいけない場面なのに!盛り上がる場面なのに!!と客席でやきもきしてしまいましたが、千秋楽公演だけに気合が入り過ぎたのでしょう(笑)。
それから、万蔵さんが去っていく場面。
歌をもっと人前で歌ってください・・と言わなければいけないところで、南原さんは台詞につまりちょっとあたふた。
ここも大事な場面なのに!見せ場なのに!!と、またも客席でやきもき(笑)。
う~む、やはりここも気合が入り過ぎていたのか、お疲れだったのかはわかりませんが、大事にはいたらず何よりでした(笑)。
このあとの南原さんと万蔵さんのやり取りについては、こちらも色々と語りたいことが多すぎるので割愛。
そして・・・。
大フクロウさまの「フークー」という声で目を覚ました現太郎。
「長い夢を見ていた気が・・・10年分の夢かもしれないな」
この台詞、いや、南原さんの言葉を聞いて、涙涙、そしてまた涙(笑)。
大千秋楽だからこそ出てきた言葉だな~、素晴らしい夢だったな~と思い、それだけで・・・。
帰りの電車の中でもこの言葉を思い出し、思わず目頭を押さえてしまいました(笑)。
そして、南原さんの最後のマイムに、またも涙しつつ、大きな拍手の中、終了。
カーテンコールは3回。
まずは、南原さんがご挨拶。
10年間やってきたがここで最後、純なお客さんの前でやれて良かった、重ねてありがとう、と感謝の言葉。
そして、万之丞さんに拍手を・・とお客さんと一緒に拍手。
さらに、将来を遠回りしてまでも(一緒に)やってみようと言ってくださった万蔵さんと萬狂言の方々にも拍手。
現代狂言をしたから遠回りということもないと思いますが(笑)、大きな拍手と、石本君の「先生!」というヤジのなか(笑)万蔵さんがご挨拶。
千秋楽を迎え感慨もひとしお。10年の間には苦しいときもあったが手を取り合ってきた。兄(万之丞さん)も天国で見てくれているんじゃないかと思う。
万之丞さんと万蔵さんの間にお姉さまがいるそうで、そのお姉さまが下呂公演を観に来ていたとのこと。
姉が万之丞さんの代わりに観てくれていた気が・・とのことでした。
それから、10年間やるとそれほどでもない作品もあったが、最後はこんな素晴らしい作品になりました、とぶっちゃけ発言(笑)。
南原さんは「そういうのも大事なんですよ!」とツッこんでいましたが(笑)、いや、本当に、そいうのが大事だったのだと思います。
狂言とコントが結婚したら?という新機軸のもと、新たなジャンルの舞台を作ろうと始まった現代狂言。
個々の作品の面白さももちろん現代狂言の魅力なのですが、毎回試行錯誤をしながら新たなテーマや演出に挑戦し、今までにない可能性を求めていく。
そんな、常に前のめりな「志」こそが現代狂言の最大の魅了だと思います。
言い換えれば、それが南原さんの魅力でもあるわけで。
ただ、口で言うのは簡単ですが、毎年毎年新たなものを作り出すことの苦労や悩みは傍で考えるよりも何倍もあったろうな~、というのは想像に難くありません。
中には満足いかない作品や、100点じゃないものもあったかもしれませんが、それでも休むことなく作り続けてきた。
結果、10年目を迎えこんな素晴らしい舞台になった。
南原さんの「そういうのも大事なんですよ」という言葉には、こういう思いが含まれていた・・・のではないかと、舞台上の二人のやり取りを見ながら思ってしまいました。
その後、南原さんが、現代狂言の制作にかかわった衣装さんや舞台監督さんなど裏方の人たちにも感謝の言葉を述べ、皆で拍手。
そして、出演者全員がひと言づつご挨拶。
大野君は「最後が下呂でよかったゲロ」
ジョニ男さんは「バッチグー、グッチバー」というギャグ(笑)。
森君は「32で始めて42になりました。この年になってこんな格好が出来る現代狂言は(このあとの言葉は「最高です」だったかな?違ってたら悪しからず)
石井ちゃんは「明日から普通の中年に戻ります」と言い、百恵ちゃんふうに頭にかぶっていたカエルの頭巾を下に置いてました(笑)。
セインさんは「(狂言という素晴らしいものがある)日本人に生まれて良かったな」
弘道お兄さんは・・すごく社交辞令的なことを言っていて、南原さんから「こういうところが次の仕事につながるんですよ」とツッこまれてました(笑)。
あと、平子君も感謝の言葉を言ってました(ちゃんと覚えてなくてすみません)。
そして、楽士の稲葉さんと和田さんにも挨拶を振りますが、お二人は言葉ではなく音でご挨拶。
稲葉さんは笙。現代狂言ではとても馴染み深い音色で、「あぁそうだったのか!?」と気づいたりするときに聞こえてくるアレを奏でてました(伝わってるかな?・笑)。
和田さんはドラムを演奏。
現代狂言には欠かせない楽士のお二人ですので、最後の最後に二人の挨拶が聞けて良かったです(笑)。
恒例のサプライズでは、南原さんや石井ちゃん、平子君は2階席まで時間をかけて回り、お客さんと握手やハイタッチ。
舞台上にもどった出演者は、南原さんの掛け声でお客さんと一本締め。
皆さん退場しますが、和田さんの「もう一回」の合図で拍手と手拍子、そして演奏開始。
今回は、南原さんはムーンウォークではなく普通に歩いて出てきて、下呂公演開催のために尽力してくれた方々に感謝の言葉。
そして「みんな知ってるかな?眼医者さん」と言い、客席にいた特別協賛の村瀬眼科クリニックの先生を紹介して皆で拍手をしました(笑)。
眼医者さんのおかげで下呂で公演が出来て、本当にありがたいことであります(笑)。
そんな感謝の言葉のあとは、出演者一同が手に手にビニール袋を持って再登場。
何かと思ったら、みなさんサイン入りカラーボールを客席に投げ込んでました。
ちなみに、私は(前の記事に書いた通り)ジョニ男さんのサインボールをキャッチ(笑)。

(これがサインの裏に書かれていたギャグ・笑)
こんなことが行われるなんて、大千秋楽らしいな~という感じです。
サインボールを投げ終わると、みなさん退場しますが、和田さんから「アンコール! 」のコール(笑)。
再び全員が登場し、出演者一同横並びで手をつなき、笑顔で客席に礼。
その後、石本君がつないでいた手で森君の関節を極めつつ(笑)、みなさん笑顔で退場。
最後は石井ちゃんが一人残り「どうもありがとうっ!」と締めの言葉。
稲葉さんと和田さんも笑顔で礼、そして最後はいつものようにジョニ男さんのギャグをやり、退場。
16時57分、現代狂言Ⅹの千秋楽公演は、大きな拍手と手拍子の中、大団円&大団円で幕を閉じました。
お客さんの「面白かった」「良かった」という声が聞こえる中、会場の外に出てみると、夕暮れ間近の空は青空。
カーテンコールで最後に見た、南原さんはじめ出演者の皆さんの笑顔とこの青空が重なり、淋しいながらも何か晴れやかな気持ちで家路についた、下呂公演でありました。