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Untersee-Boot

あるいは感想記として

現代狂言Ⅸ

2015年03月17日 | 現代狂言Ⅸ
2月7日から3月7日まで、全国各地で全8公演が行われた現代狂言Ⅸ。
私は、2月7日国立能楽堂で行われた昼夜の2公演、2月8日同じく国立能楽堂の2公演、2月21日の福島棚倉公演、そして3月7日の東京板橋公演へ行ってきました。
計6公演を観劇した現代狂言Ⅸの感想を、あれこれと。

           

まずは、古典の「棒縛」。
太郎冠者が南原さん、次郎冠者が平子君、そして主人が万蔵さん。
あらすじは。
自分が外出しているときに太郎冠者と次郎冠者が盗み酒をしていることに気づいた主人。
二人をだまし、太郎冠者は棒に縛り、次郎冠者は後ろ手に縛って外出する。
残された二人は、縛られたまま酒を飲もうと知恵を絞る。
何とか酒にありついた二人は、歌を歌い舞を舞っていたが、そこへ主人が帰ってくる・・・。

タイトル通り棒に縛られていた太郎冠者の南原さん(笑)。
でも、縛られる前には、こんなふうに棒を使えるんですよ~というのを主人と次郎冠者に披露(というか自慢・笑)。
10月の「伝統WA感動・日本の笑い-古典」で公開初稽古をしていたときは、南原さんは棒を握る手が上か下かよくわからずあたふたとしていましたが(笑)、今回はもちろんそんなことはなく、鮮やかな棒さばきを披露してました。
ただ、初稽古のとき万蔵さんは「棒の使い方などは、綺麗にやるけど格好良くやってもしょうがない。サーカスで言うと空中ブランコを本当はできるのにわざと失敗するピエロみたいなもの」という話も。
南原さんの棒さばきがその域まで達していた・・のかどうかは素人の私には判断は出来ませんでしたが、綺麗にやっていたことは間違いありませんでした。

棒さばき以外の見どころはというと・・・やはり南原さんの顔芸でしょう(笑)。
お酒の匂いを嗅ごうとしたり、棒に縛られた手で飲めない酒を必死に飲もうとする南原さんの表情と動きには、大笑いしてしまいました。
前のほうの表情が良く見える席だと面白さはさらに倍(笑)。
久々の南原さんの顔芸を観れただけでも行った甲斐がありました(笑)。
そんな顔芸も含めこの役は南原さんに合っている、という感じでしたが、だから万蔵さんはこの演目を選んだのかもしれません。
それにしても、ずーっと棒に縛られたまま演技をしたり舞を舞うというのは本当に大変だろうな~。
体力的に大変なのはもちろん、あんなふうに案山子のように棒に縛られていたら、お酒が飲めないだけではなく鼻の先が痒くなってもかけないし、トイレにも行けないし・・などと考えてしまいましたが(笑)、いや、でも、稽古もかなり大変だったのではないのかな?というのは想像に難くなく、本当にお疲れ様でした、であります。
それから、今回は舞いだけではなく、歌(謡と書くのかな?)も平子君とともに何曲も歌ってました。。
南原さんの歌声がかすれ気味のときが2度ほどあり、少し気になったのですが、本当にかすれていたわけではなく、ちょっとした体調の加減だったようで。
舞台の出来としてかすれ声はどうなのかな?という気もしますが、その後の演技には影響は出ておらず、こちらは何よりでした。
あとは、やっとのことで酒を飲んだあとに舌鼓を打つ場面。
いい音がしたりそうでなかったり、公演によってまちまちでしたが、やはり、舌鼓は「タン」といい音がしたほうが場が締まります(笑)。

南原さん以外の感想では。
平子君は相変わらずベテラン狂言師みたいだな~(笑)。
それから、途中に出てくる擬音が面白く、これも600年まえからあったのか、と笑いながらも感心。
酒蔵の鍵を開けるときの「ピーン」という音や、酒壺の蓋の紙を開ける「ムリムリムリ」という擬音など、その響きに単純に笑ってしまいました。
太郎冠者と次郎冠者が協力して酒を飲むときの「静かに」「こぼすな」「静かに」「こぼすな」というやり取りの繰り返しも面白く、パンフレットに南原さんが書いていたように「ことば」の面白さを感じられる場面でした。
古典も何作も観ていると、さすがに台詞はどんなことを言っているのか大分わかるようになってきたのですが、歌のところは、いまいち聞き取ることが出来ず、ちょい残念。
それから、縛られて舞を舞う太郎冠者と次郎冠者の場面も、元の舞がどんな感じなのかわかっていればさらに面白く観れたと思いますが、そのへんの素養がなくもうひとつ面白さが実感できなかったのも、ちょっと残念なところでした。

あ、それから、この「棒縛」で出てきた歌。
♪酒はもと薬なり♪♪世はまた人の情けなり♪
は、新作「ことだま交差点」では、
♪ことばはもと魂なり♪♪世はまた人の情けなり♪
というふうに、つながっていたんだ!?ということを、今になって気づき、改めて感心してしまいました(笑)。
ちなみに「棒縛」では、太郎冠者が「ご許されませご許されませ」、主人が「やるまいぞやるまいぞ」と言いながら退場。
「ことだま交差点」でも南方朔が「ご許されませご許されませ」と言いながら退場しており(大神様は「やるまいぞ」とは言わず)こちらも、古典と新作がつながっている作りになっていました。
あとは、主人に騙されて縛られているのに、
太郎冠者「身から出した錆じゃ、しょうことがない」
次郎冠者「その通りじゃ」
と言ってるのが、なんか良いな~(笑)。
縛られてるのに怒るわけでもなく、呑気な会話をしている二人に思わず笑ってしまいました。
それから、最後の場面、次郎冠者が退場し、残された太郎冠者が縛られた手を主人顔のところに持っていき、
太郎冠者「やぁ」
主人 「やめぬか」
太郎冠者「やぁ」
主人 「やめぬか」
というやり取りも、何ともとぼけた感じ(笑)。
これぞ和楽の世界という感じの「棒縛」でありました。





続いての番組は、古典の「茸(くさびら)」
山伏が石井ちゃん、何某が三浦祐介さん、茸が弘道お兄さん、石本君、森君、ジョニ男さん、大野君、平子君、そして万蔵さん(東京公演では他に若手芸人ツインテルの倉沢学さん、勢登健雄さん、モグライダーのともしげさんが参加)。
あらすじは。
家に気味の悪い茸が生えてきたので、山伏を呼んで茸退治の祈祷をしてもらうが、祈祷の祈りをすればするほど茸の数は増えていく・・・。

「茸」の感想はというと・・・ジョニ男さんがずるい!(笑)
山伏の石井ちゃんが♪ぼ~ろ~ん♪ぼ~ろ~ん♪と祈祷すればするほど増える茸たち。
そんな中でヒメ茸(たけ)として登場したジョニ男さん。
ヒメ茸だけに綺麗なお姫さまのような着物を着て、舞台中央にちょこんとあの顔で座っただけで大笑い(笑)。
退場するときも、一人で最後に残って笑いをとってましたし、チョピ髭おじさん(茸のときはメガネなし)にはまんまとしてやられました(笑)。
ちなみに、普通は茸はお面をして演じるとのことでしたので、こういう笑いはちょっと反則かな?という気がしないでもありませんが(笑)、板橋では万蔵さんのちょっと辛そうな顔も観ることができましたので(笑)、こんな「茸」もあり・・なのかもしれません。
あと、今回初参加の三浦さんはいい声で、堂に入った何某(主人ではなく「なにがし」だったのか・笑)でした。


           


20分の休憩をはさみ。
最後の番組は、新作の「ことだま交差点」
下級の神様の南方朔が南原さん、サラリーマンの平均が森君、平均のことだまが弘道お兄さん、平子君、大野君、石本君、万蔵さん、平均の上司がジョニ男さん、上司のことだまが三浦さん、石井ちゃん。
大神様より「近頃言葉使いか怪しくなってきた人間界へ行き、人の心のうちに宿る美しい言葉を引き出し人の心を明るくせよ」という命を受けた南方朔。
渋谷の交差点に降り立った南方朔はサラリーマンの平均と出会うが・・・。

旗揚げ公演の新作「連句」と同じ、「ことば」をテーマにした「ことだま交差点」。
テーマは同じでも、懐古趣味などとは無縁。
より洗練され、この9年間培ってきたものがいかんなく発揮された作品になってました。
そして、南原さんらしい真摯な姿勢があらわれた脚本でもありました。

「ことだま交差点」で印象に残ったのは、南方朔が平均に言った「半歩の勇気」ということば。
人は急に生まれ変わったり、なりたい自分になれるわけではない。
何か呪文のようなものを唱えれば新しい自分になれる、というわけでもない。
あくまでも自分の力で着実に歩いていく、そうすれば道が開けてゆく・・・。
そんな考えが、「半歩の勇気」という言葉に集約されていたように思います。
これは、Ⅲの「サード・ライフ」の「自分探しではなく自分づくり」、Ⅷの「女王アリとキリギリスとカミキリムシ」の「目の前のことを懸命にやる、そうすればいつか素敵な縁(えにし)に出会えるかも・・」という言葉にも共通しているように思いますし、これこそが南原さんの真摯な姿勢の源のように思います。
・・・堅っ苦しい書き方をしましたが、ひと言でいうと「南原さんはちゃんとしてるな~」ということかな(笑)。
無いものねだりをするのではなく、泣き言をいうのでもなく、地に足つけてちゃんと生きている、そんな誠実な生き方が作品に反映されていて、こういうところが南原さんの最大の魅力の一つだと思いました。
あ、それから、「一歩踏み出す」と言わず「半歩」というところは南原さんらしいヒビリな性格を表してるのかな?という感じも(笑)。
(「嫌なら戻ればよい」というところはビビリな性格プラス優しさかな?・笑)

南原さんの真摯な姿勢というのは、「すべてのものはうつろいゆく」というもののとらえ方にも表れてるように感じました。
「生きるとは変わり続けること」というのを感傷的にとらえるのではなく、ニヒリズムに陥るのでもなく、そのまま受け入れて前を向いて生きていくという覚悟。
これは、「HUG」の「あきらめた僕たち」とも共通しているように思います。
野球もギターもいろいろとあきらめた自分を、卑下するわけでもなく開き直るわけでもなく、そんな自分を素直に受け入れる。
変わっていく、変わってしまうということは、時にはつらく認めたくないこともありますが、それを直視することが出来る、というのが南原さんの誠実さであり強さでもあるのだろうと思いました。

それから、「すべてのものはうつろいゆく」というのは・・・。
「夕景」も「季節」も「ことば」も「現代狂言」も変わっていく。
でも、変わらないものも・・・その心や思いは変わらない。
だからこそ、俳句は季節季節の心を伝え、大神様は変わっいく「ことば」を憂いながらも「ヤバイということばひとつを上手に使いこなす・・」と言い、現代狂言は毎年テーマやアプローチの仕方を変えながらも、その思いや心は変わらず続いている。
かつて万之丞さんが「伝統は形ではなく心を伝える」と言っていましたが、それはこういうことなんだろうな~と、今回「ことだま交差点」を観て改めて思いました。

              

あとは・・・。
「連句」では東方朔だったけど、「ことだま交差点」では主人公は南方朔というのを見て、ちょっとニヤリ(笑)。
同じ下級の神様で演じてるのは南原さんですが、続編ではなくパラレルワールドだからこうなった、ということなのかな?
あ、でも、上司について愚痴るのは東方朔も南方朔も同じで、ちょっと笑ってしまいました(笑)。
それから、東方朔は烏帽子をかぶり神様らしい格好をしていましたが、南方朔はもっとラフな感じで、「サード・ライフ」のサルヒコを思わせる姿(しっぽは無し・笑)でした。

それから、今回いちばん心に残った場面は、南方朔と平均君、そして大神様が空の上から夕日を見るところ。
南方朔と平均君が橋掛かりの欄干の上に座っている姿は、二人がビルの上に座って夕日を見ているようでもあり、スカイツリーのてっぺんに座っているようでもあり、あるいは雲の上に座っているようでもあり、はたまた成層圏を飛び出して宇宙の入り口から地球を眺めているようでもあり・・・。
見方によっていくらでも想像が膨らみ、これこそ南原さんが挨拶でいつも言っていた「セットも照明も何も変わっていない、変わっているのは皆さんの想像力・・」というのを表現している場面になってました。
こんなふうにして、刻々と変わる壮大な夕景を空の上から見ていたら、いつもネガティブなことしか言わなかった平均君が心ときめくのも無理のないことです(笑)。
(ホールでは舞台最前に南方朔と平均が座る、という演出でしたが、能楽堂とまたひと味違う趣きがあり、こちらもまた良かったです。二人が舞台最前に座る前の、南方朔が前にいて斜め右を見ている、平均は後ろにいて同じく斜め右を見ている、という場面でも、二人はちゃんと上と下で顔を見合わせて喋ってるように見えて、感心してしまいました)

それにしても、想像で作り上げる場面というのは、本当に豊かな世界だな~。
いくらリアルなセットを舞台上に作っても、それはよく出来た偽物でしかないわけで。
流行りのプロジェクションマッピングですごい映像を見せても、それは、見えているもの以上でなければ以下でもない。
でも、想像の中で出来た世界に限度はなく、無限に広がっていく・・・。
これらのことは600年前から続いていることであり、今さら私が力説しなくてもいいのですが(笑)、古典ではなく新作の「ことだま交差点」でこういう表現がなされているというのが、うれしいことであります。
いくら演出でこういう場面を作り出しても、演者の技量がなければ観客にいろいろな場面を想像をさせることは出来ないと思いますが、南方朔が空の上から「お~い!へいき~ん!実に良い眺めじゃぞ~~!」と呼びかける時の発声の仕方などは、遠くにいる人に呼びかける時の声だな、というのがよくわかり、大いに感心。
想像の世界を作るうえで大きな役割を果たす演技だったように思います。
もちろん南原さんの演技だけではなく、これらの場面を構成していた現代狂言一座の力があってのことだと思いますが、兎にも角にも、何度観ても引き込まれるいい場面でした。
そして、こういうところに9年間培ってきたものが出ているんだと思うと、感慨もひとしおでありました(笑)。
(ファンの贔屓目込みで観ていますので、評価は3割増しくらいかもしれませんが・笑)

それから、もう一つ心にとても残る場面が。
それは、大神様が「すべてのものはうつろいゆく」と説いたあと、ことだまたちが立ち上がり、
「心は聞き取る、お前のことばを」
「心は受け取る、言うことばを」
「心は傷つく、言うことばで」
「心は喜ぶ、お前の言うことばに」
と言う場面。
特別なことを言ってるわけではないのですが、ことだまたちが言うこの「ことば」を聞くと、自分の心の中の凝り固まっていた感情が、すーっとほぐれていくような気が・・・と同時に涙がじわっ(笑)。
う~む、本当に心に響く「ことば」だったな~。
きっと、凝り固まったものというのは私の中にあるネガティブな感情、言い換えれば平均君的な感情で(笑)、それが、壮大な夕日を観たりことだまたちのことばを聞くことにより、平均君と同じように心ときめき素直になっっていった、ということなのかもしれません。
・・・まったくの私の個人的な感情で、何のことやらという感じだと思いますが、ここもいい場面だったということで悪しからずご了承ください(笑)。

あと、印象に残っているのは、平均君がことだまたちに無言の世界に引きずり込まれる場面。
それまで仲間だと思っていたことだまが豹変し、ネガティブなことを口にしながら平均の周りに集まりだす。
そして無言の世界へと引きずり込んでいく。
まるで、ホラー映画で主人公が悪霊たちに地獄の底へ連れ去られていく場面のようで、怖かったな~。
ただ、どの公演でも、この場面ではだいたい笑いがおこっていて「あれれ?」という感じだったのですが(森君が「あ~!」と言いながら引っ張られていく様は確かに面白かったですが・笑)、私などは、面白さよりも怖さのほうが先に立ってしまいました(笑)。
(あ、でも、初めて観たときは私も笑いながら観ていたような気もしますので、その時々で観方も変わる、ということなのかもしれません)。

それから、「人は言葉で出来ている」「美しい言葉を使えばその者は心も晴れる」というのは、その通りだなと素直に納得。
私もブログを始めるときに、「文は人なり」という言葉を心にとどめ、出来るだけちゃんとした言葉(「美しい言葉」というのはちょっとおこがましいので・笑)を使っていきたいと思いながら記事を書くようにしていました。
ネットなどではネガティブな言葉をよく見かけますが、ああいう言葉を書いてる人は自分の書いたものを読み返したりしないのかな?そのとき自分で自分の毒(ネガティブな言葉)にあたったりしないのかな?という疑問も。
ネットのネガティブなことばと、「ことだま交差点」に出てくるネガティブなことばは少し意味合いが違う気もしますが、やはり美しい言葉を使い、心は晴れて明るくなったほうが良いことに変わりありません。はい。

あとは・・・森君はダメサラリーマンがよく似合う、とか(笑)。
ジョニ男さんは相変わらずジョニ男さんだな~(笑)。
現代狂言に南原さんの社交ダンス(ステップ)はやっぱり欠かせないな~(笑)
その南原さんのステップはさすがで、その場でクルクルと華麗に回転したときなどは客席から「お~」という小さ歓声が上がっていたこともあったっけ。
万蔵さんの舞は、こちらもさすがに堂に入っていて、南方朔じゃないけど「ここだけ異様にうまい」(笑)。
「ことだま交差点」を観て以降、会話やテレビなどで「ヤバイ」という言葉が出てくると思わず笑ってしまう。
などなど、細かな感想は色々とあるのですが、キリがなくなりそうなので今回はこのへんで(笑)。



・・・取り留めのないことを長々と失礼しました。
最後までご清聴ありがとうございました(笑)。
あれもこれもとついつい語りたくなる、現代狂言Ⅸでありました。
ちなみに、前にも書きましたが万蔵さんによると、現代狂言Ⅹは、来年の3月4日、5日の国立能楽堂公演は決まってる、とのこと。
今回、9年目で集大成的な新作だったので、10年目はどうなるんだろう?と、楽しみでもありちょっと心配でもあるのですが(笑)、兎にも角にも、来年の公演を(鬼が笑うのもためらうほど先の話ですが・笑)今から楽しみにしたいと思います。



菜の花

2015年03月14日 | 現代狂言Ⅸ
              

現代狂言Ⅸの感想は鋭意執筆中ですが、その前に、これまで書きそびれていたところのレポなどを少し。

現代狂言Ⅸでは、最初のご挨拶は弘道お兄さんとドロンズ石本君。
弘道お兄さんが狂言ふうの自己紹介をして、石本君は狂言ふうの喋りから普通の自己紹介に変わる、というので毎回笑いをとってました。
そして、弘道お兄さんが「現代狂言を初めて観る人は?」という質問(どの公演もだいたい7,8割は初めてでした)。
石本君は「この冬ダイエットに失敗した人?」というアンケートをとってました(笑)(板橋公演では「(最寄り駅の)大山駅は急行が止まらないんだ?と思った人」という質問(私もそう思いましたが、手は挙げませんでした・笑))。
それから、各番組のあらすじ紹介では、石本君が「棒縛りは、棒が出てきます」「詳しくはパンフレットを見てください」とザックリとした紹介をしてました(笑)。
あとは、万蔵先生は「厳しい目で見てください」、南原さんは「優しい目で見てください」と言っていた、という話や。
石井ちゃんが「茸」の主役の山伏をやるけどピッタリの役。
今回初めて参加した三浦さんは現代狂言のファンで何年も前から万蔵先生にお願いしていて今回参加することになった(国立能楽堂2日目夜公演では、石本君が「初登場で古典に参加するというので、僕らもピリピリして・・」という話もしてました)。
それから、三浦さんがお願いして現代狂言に参加・・という話から、石本君が「僕もお願いしてウッチャンナンチャンに・・ウッチャンと変わってもらおうかと・・」という話を、初日昼と棚倉で話してました。
あとは、狂言を観るコツは、弘道「3分間待ってください」石本「そうすると美味しいラーメンが出来ます」(国立能楽堂2日目昼)、(夜公演では、弘道「3分間我慢してください」石本「寝るのをね」でした)というやり取りなどもがありつつ、古典狂言「茸」に出てくる茸は人が演じる、という話も(棚倉では、石本君が「きのこ、バターでやると美味しいんですよね」という話をしてました・笑)。
普通はお面をつけて茸を演じるが今回はお面はしない、茸を演じるのは大変で弘道お兄さんも「今まで感じたことのない痛みを膝から下に感じた」という話から、実際に舞台上で茸をやってみることに。
「どうぞどうぞ」と譲りあいつつ、まずは石本君が、つま先立ちで座って膝から下だけを動かす茸を実演しますが、顔を赤くしてゆっくりと進むだけでほとんどその場を動けず(国立能楽堂2日目夜は「デブがちょっとやっただけで拍手をいただき」と言ってました・笑)。
続いて、弘道お兄さん実演。
上半身をほとんど動かさず軽快に動く弘道お兄さんには、大きな拍手がおこってました。
・・・という感じで、毎公演、7,8分のご挨拶をしてました。


それから。
棚倉公演では、古典の「棒縛」と「茸」の間に、弘道お兄さんと石本君がもう一度出てきて、狂言のレクチャーを6分くらいかけてしてました。
「言葉わかりました?」「だんだん昔の言葉もわかってくる」という話のあと、「クイズ・狂言は何時代?」というクイズコーナー(笑)。
室町時代、江戸時代、青春時代、というベタな出題をして笑いをとったりしつつ(笑)、「600年ずーっと続いてる」「600年前の人も同じように笑ってる」という話をしてました。
それから、「棒縛」に出ていた後見人についての説明も。
後見人は、もし演者の誰かが倒れたりしたら代わりに演じる、なので台詞なども全部覚えている。
石本君も現代狂言で後見人をやったことがあったが、足がしびれた(石本君が後見人をやったときの話はうろ覚えですが、だいたいそんな話でした・笑)。
あと、「(棚倉公演の舞台上に作られた橋掛かりに比べ)国立能楽堂の橋掛かりは5倍くらいある」。
そして、午前中に狂言の勉強会をしたという小中学生も会場の後ろのほうで観ています、という話などもしてました。



現代狂言Ⅸ「ことだま交差点」あらすじ

2015年03月11日 | 現代狂言Ⅸ
現代狂言Ⅸの感想を書く前に、新作「ことだま交差点」のあらすじ紹介を。
記憶力のなさには自信がありますので(笑)、すっぽり抜け落ちてる場面や間違ってる台詞なども多々あると思いますが、そのへんはご容赦ください。
だいたいこんな感じだった、と思っていただければ幸いです。


新作 現代狂言 ことだま交差点

南方朔  南原清隆
平均 森一弥
平均ことだま  佐藤弘道 平子悟 大野泰弘 ドロンズ石本 野村万蔵
上司 岩井ジョニ男
上司ことだま  三浦祐介 石井康太



楽器が置いてある舞台に、楽士の和田さんと稲葉さんが登場。
まず、オープニングの音楽。続いてゆったりとした音楽が流れる中。

橋掛かりから南方朔が腰に手をあて、すり足でゆっくりと登場。
南方朔は上はえんじ色の服、下はゆったりとした白っぽいパンツで、腰にはえんじ色のスカーフを巻き、扇を差している。
舞台まで進んできた南方朔。
南方朔 「わたくしは天上界に住む下級の神じゃ。近頃人間の言葉使いが怪しくなってきた。悪しき言葉を使えば人の心も曇る。このたび大神様より人間の心に内に宿る美しい言葉を引き出し、人の心を明るくせよとの命をうけたまわった。これより人間の住む下界へ参ろうと思う」
舞台の周りをまわる南方朔。だんだん小さく回りだしその場で回転する。
南方朔 「久しぶりの下界はどんなものじゃ。前に降りたときは人間は髷を切って文明開化と騒いでおった。ほぉ~下ってきた下ってきた。雲の下まで下ってきた。見えるぞ見えるぞ」
舞台上から左右を見まわして
南方朔 「前より緑が少なくなってきたような、代わりにねずみ色の箱がのびて・・」
「ウ~」というサイレンのような音が鳴る
南方朔 「ん?西の方の大陸は黄色く黒くなっておるが、どのような国か」
耳に手を当てる
南方朔 「ニイハオ」「ツァイチェン」
(初日昼公演ではこのあと「麻婆豆腐」)
南方朔「かの国も大事なければよいが」「私の下る大和の国は・・・」「(ゴホっと咳をして)「下から立ち上る空気がくさい、それに前より暑うなって・・」
(棚倉では、ここで「ハックション」とくしゃみをして、「前より花粉が多い」
板橋でもくしゃみをして「前より花粉が多い」「くっさめ、くっさめ」。そして「大和の国はどうなっておるのじゃ」)
南方朔 「下るぞ下るぞ」「何かと気苦労が多い天上界より、人間たちとのんきに暮らしたいものじゃ」
舞台中央でくるくる華麗に回転し膝まつく南方朔。

橋掛かりと切戸口から男たちが出てくる。
皆、手元を見て下を向いて立っている。
南方朔「降りた」
顔を上げまわりを見る。
南方朔「これはどうしたことじゃ」
♪とおりゃんせ♪のメロディーが鳴り、男たちが手元を見たまま歩き出す。
一人の男(三浦祐介さん)が前も見ず手元を見たまま歩いているのを見て
南方朔「あ、ぶつかる・・ぶつからない」
三浦さんは前も見ずに人をうまくよけながら切戸口から退場。
今度は、石井ちゃんがスケートのジェスチャーで、前から来る人をよけながら滑っていく。
南方朔「滑る、滑る」
人をうまくよけたあと、「石井ちゃんです!」のポーズ。
南方朔「またスベル」
今度は、橋掛かりから弘道お兄さんが駆け足でやってきて側転で人をよけ、切戸口へ駆け抜けていく。
南方朔「なんじゃあの技は」
皆いなくなる。
橋掛かりからスーツ姿の男(平均)が手元を見ながらやってくる。
舞台中央で南方朔とぶつかる。
平均 「あ、すみません」
南方朔「私は南方朔という下級の神じゃ」
平均 「あ、僕、宗教とか興味ないんで。変なコスプレ」
南方朔「コスプレとはなんじゃ、ところでここはどこじゃ?」
平均 「渋谷のスクランブル交差点ですよ」
(「スクランブル交差点」「渋谷の交差点」と公演によってこの台詞はまちまち)
話している途中で信号が変わる音。
取り残される南方朔。
車が右から左からとやってくる(音)。
平均 「あ、ぶつかる・・よけた」
体を横に縦にして車をよける南方朔
平均 「トラックが・・・」
地面に伏せる。体をひらひらと揺らしながら立ち上がる。(国立能楽堂2日め夜は、平均が「マジ、神技」)
立ち上がった南方朔、口に笛をくわえ(たジェスチャーで)、笛を鳴らしながら交通整理を始める。
南方朔「お巡りさんも12番目のサポーターです」
平均 「DJポリス?なんで今?」(国立能楽堂2日目昼は「古い」というツッこみ)
(板橋公演では、交通整理をしている南方朔を見て、平均がここで「マジ神技」)

南方朔「おぬし、名前を教えてくれぬか」
平均 「え?話ならLINEで」
南方朔「ライン?」
平均 「ID教えて」
南方朔「IDとはなんぞや」
平均 「じゃ、ふるふるで」

かざした手を左右に振る平均。それと同じように南方朔も顔を左右に振る。
平均 「いや、あなたが顔をふってどうするんですか」
南方朔「名前だけでも・・」
平均 「え~いやですよ」
南方朔「なぜじゃ」
平均 「言ったら笑われるし」
南方朔「いいではないか」
平均 「僕の名前はいたって普通の、たいらひとし。みんなからは平均君って呼ばれてます」
南方朔「平均?ハッハハハハ」
平均 「ほら、笑われた。だから嫌なんだ」「こうやって笑われるし。うまく伝わらないなら言わないほうが。どうせ失敗するなら言わないほうがましだ」
南方朔「人間の言葉を見ればその人が分かる。現代の言葉よ出でよ」

切戸口から、平子さんを先頭に、石本君、万蔵さん、弘道お兄さん、大野君の五人がそれぞれの肩に手をかけて集団で登場。
皆、白っぽいゆったりとした衣装。
舞台中央に平均が立ち、その周りに五人が客席に背を向け座る。
平均 「何か出てきたよ」「ストリートパフォーマンスか何かですか?」
南方朔「見ればわかる」

と言って手をくるりと回すしぐさ。
五人は平均の周りをまわりながら近づき何か早口で言う。
平均 「何?」
もう一度五人が何か言うが、やはりわからない。
南方朔「では、もそっとわかりやすく・・」
今度は五人がゆっくりと平均の周りをまわりながら
平子 「既読スルー」
弘道 「ブログ炎上」
大野 「ディスるんじゃないよ」

石本 「膝が痛い」(初日昼は「内山君じゃないよ」)
平均 「この人グチじゃあ」(「この人個人的な」「この人個人的な悩み」と、公演によって少しづつ変わる)
万蔵さんは、初日昼は石本君の言ったあとの笑い声で何を言っていたが聞こえず。夜は「歌舞伎じゃないよ」2日目昼は何も言わず。夜は「俺は首が痛い」(平均のツッこみ「なんでみんなどこか痛いの?」)
棚倉では、万蔵さんは何も言わず。
板橋でも言わず、平均が「この人何も言ってない」というツッこみ


南方朔「交差点、まことに不思議なところ。ことばとも交わる、神とも交わる」
(この台詞は、国立能楽堂ではなかった・・かな?)
平均 「これは何ですか? 」
南方朔「ことだまじゃ」「ことだまは魂がその行く末も・・人も作っておる」「人はことばで出来ておる、と大神様になろうた」

平均に向かい
南方朔「お前はどんなことばで出来ておる?」
舞台の周りに並んだことだまたち。それぞれ「ことば」を発していく。
弘道 「ヤバイ」
石本 「ガチで」
大野 「逆に」
万蔵 「びみょ~」
平子 「そっち?」
南方朔「これだけ?」
平均 「あ、はい」
南方朔「あ、はい、じゃなくて。これだけじゃ、嬉しいときはどうするのじゃ?」

ことだまたちが順に
石本 「ガチで」
弘道 「ヤバイ」
ことだま全員「ヤバイヤバイ」

南方朔「悲しいときは?」
大野 「逆に」
弘道 「ヤバイ」
ことだま全員「ヤバイヤバイ」

南方朔「困ったときは?」
万蔵 「微妙に」
弘道 「ヤバイ」
ことだま全員「ヤバイヤバイ」

南方朔「じゃあ、ヤバイときは?」
平子 「・・・そっち?」
南方朔「ヤバイときは「ヤバイ」って言わないのか!」
平均 「あ、はい」
南方朔「あ、はいって」

(2日目昼は、このあと「なんか腹立つ」)
南方朔「これでは思いが伝わらないではないか」
平均 「大丈夫ですよ、スマートフォンがありますから」

と言って南方朔に手に持った(ジェスチャーで)スマートフォンを見せる。
南方朔「人のツラも見ずに話をしろというのか」
平均 「スタンプがありますから」
南方朔「スタンプ?」
平均 「じゃあ試しに」

と言って手元を押すしぐさ。
平均 「うれしいとき」
舞台上の、万蔵さん、平子君、石本君、弘道お兄さん、大野君の五人が、片手を前に出して指さし、もう片方の手は腹に置き満面の笑み。
平均 「びっくりしたとき」
両手を挙げビックリしたポーズをする五人。
平均 「急いでいるとき」
走るマネのポーズをする五人。
平均 「でね、今、僕がはまっているのが狂言スタンプ」「うれしいとき」
五人 「く~ははははは」(と狂言ふうに笑う)
(2日目昼はここで、南「喋ったな、今」平「ボイス機能付きです」)
平均 「びっくりしたとき」
五人 「南無三宝(なむさんぼう)」(と言って腿をたたく)
南方朔「先ほどから思うておっただが、このスタンプだけ異様にうまいな」
と言って万蔵さんに近づき指をさす。
平均 「気のせいです」
南方朔「そうか?力の差が・・」

というやり取りがありつつ。
平均 「急いでいるとき」
後ろに一歩下がって
五人 「まず、急いで参ろう」
南方朔「急いでないよ」「後ろに下がっちゃった」
五人 「何かといううちにこれじゃ」
南方朔「どれじゃ?」

(棚倉では、「何かといううちに棚倉じゃ」そして、南「早い、新幹線より早い」)
(板橋では「何かといううちに板橋じゃ」)
南方朔「これでは本音が・・」
平均 「本音なんか、伝わらないなら言わなくていいんです」
南方朔(腿をたたいて)「南無三宝」



♪とおりゃんせ♪の音楽が流れる
橋掛かりから上司とそのことだま二人がやってくる。
南方朔「誰じゃ?」
平均 「上司です。鉄道オタクで面倒くさい…」

平均に気が付いた上司が近づいてくる
上司 「最近、元気ないな、どうした?・・石炭切れたか?」
平均 「めんどくせ~」
上司 「仕事ではな、しんかんせん、が大事なんだ」
平均 「しんかんせん?」
上司 「まず、信頼」
平均 「あ、新幹線のしん」
上司 「そして感謝」
平均 「あ、かんね」
上司 「・・・・」
平均 「それだけ?せんは?」

「せん」が何かを言わず続けて
上司 「飲みに行かないか?」
平均 「ヤバイ」
上司 「ん?ヤバイ?ヤバイというのはだな、法に触れたり危険なことを言うのであって・・」
平均 「ありえないよ」
上司 「ありえない?ありえないとは思いもよらぬことが・・」
平均 「逆にすみません」
上司 「逆に?逆というのは順序が逆になったり反対の意味・・ということは、お前、謝る気がないだろ」
平均 「僕、この人苦手なんですよ」
南方朔「人はことばで出来ている。この男のことばよ出でよ」

上司の後ろに二人のことだまがやってきて交互に喋る。上司はそれぞれのことばにあったジェスチャー
ことだま「俺らの時は」「出来てあたりまえ」「背中を見ろ」
背中を見ようとするが見えない上司
ことだま「出発進行」「飲みにケーション」

平均 「やっぱ苦手だよ」
南方朔「ことだま同士で話し合ってみるのじゃ」

平均と上司のことだまたちが二組にわかれ、リズムに合わせて行進をする。
口ぐちに「ヤバイ」「俺らの時は」「逆に」「出来てあたりまえ」 「びみょ~」と言いながら交差しようとするが、ぶつかってしまいうまく歩くことが出来ない。
南方朔「これは話し合いというより争いだな」
上司とそのことだまが行進をやめ、口ぐちに
「俺らの時は」
「変わった」
「できて当たり前」
「響かない」
「飲みにケーション」
「無視され」
「さみしい」

(国立能楽堂2日目夜と棚倉、板橋では、ここの台詞をジョニ男さんが武田鉄矢さんふうで喋る)
上司とことだま、橋掛かりから退場

南方朔「あの男 もそっとコミュニケーションをしたいんじゃ・・」
平均 「いいですよ、コミュニケーションとるの苦手だし、本音なんて誰も言ってないし、本音を言うなんてありえない」

「ありえない」という言葉を聞いてよろける南方朔。
平均 「だいたい、こんなお気楽な格好をしているあなたに上司のいるサラリーマンの気持ちなんてわかるわけないでしょ」
南方朔「(腹に据えかねるという表情で)何が気楽だと?みどもはみどもなりに深~く悩んでおるのじゃ。」「えっえええ・・」

と言いながら泣き始める南方朔
平均 「泣くの?」
南方朔「神の世界は神の世界でいろいろあるのじゃ」「その小さき箱をこっちへよこせ」

平均の手元からら小さい箱をもぎ取りおでこに当てる。
南方朔「今の言葉など・・・」
ピロピロピロという音が流れ情報が南方朔の頭の中に入っていく。
急に口調が変わる南方朔。
南方朔「っていうかさ~。上司は何もわかっちゃくれないし~、マジ半端ねぇ~。悲しうぃ~ね~。これはもう笑うしかないよね~。はっはははは」
平均 「笑うの? 」
南方朔「え~んえんえんえん」
平均 「泣くの?」
南方朔「なぁブラザー」

と言って平均とグーパンチで両手を合わせる。
(国立能楽堂2日目夜は、ここで「ガチリアルで」。あと、欽ちゃんの口調で「訊いたら笑いの神様にげてっちゃうよ」)
(板橋でも欽ちゃんと、「天上界はガチリアルでビックリ」という台詞)
南方朔「え~んえんえんえん」「はっははははは」
泣いたり笑ったりする南方朔を見て
平均 「情緒不安定だよ」


南方朔「お前も素直に本音を言うたらどうじゃ」
平均 「本音を言うなんてありえない」

「ありえない」という言葉を聞いてよろめく南方朔。
そして、座っていたことだまが一人倒れる
平均 「だるい」
またよろめく南方朔。またことだまが一人倒れる。
平均 「うざい」
どんどん倒れ元気がなくなることだまたち。
南方朔「このことばは危険じゃ」
と言って、平均が言った「ありえない」ということばを放り投げる。
南方朔「これも」
と言って、「だるう」「うざい」も放り投げる。
平均 「どうしたの?」
南方朔「そのようなネガティプな言葉を聞くと、身も心も弱り、本当にそうなってしまう」

橋掛かりから、石井ちゃんと三浦さんが登場
石井「ガサ」
三浦「ゴソ」

と言いながら、扉を開けるしぐさ。
それに気づいた平均。
平均 「あれは?」
南方朔「危険な言葉を肥料とし、求めて奴らはやって来る。ネガティブな言葉の森の番人じゃ」
石井 「ありえない、ここにもあったぞ」
三浦 「うざい、ここにも」

危険なことばを集めながら、橋掛かりを渡り終え舞台までやって来る二人。
橋掛かりから舞台に入るとき、二人はロープをくぐって入場する武藤のマネをしてポーズを決める。
南方朔「(番人は)ことだまたちを封じ込め、思考を停止させ、人々を不幸へと導くのじゃ」
番人 「(ネガティブなことばを)探すぞ」「ガサ」「ゴソ」
平均 「入ってきた。もぅ最悪」

言ったあとで「しまった」という顔をする平均
喜ぶ番人
それを見た南方朔。扇を番人のほうへ向け、舞いながら歌う
南方朔「♪ことばはもと 魂なり♪」
三浦 「これは苦手なことばじゃ」
南方朔「♪世はまた人の情けなり♪」
石井 「これはたまらん、急いで帰ろう」

橋掛かりから帰っていく番人二人
南方朔の歌を聞き、ことだまたちが起き上がり元気になる。
そして南方朔と一緒に歌い出す。

南方朔「私の使命は人の心の美しい言葉を引き出すこと」「例えば季節の変わり目などで心がときめくものじゃ。お前は心がときめくことはないか?」
平均 「べつに」
南方朔「春夏秋冬、どの季節が好きじゃ?」
平均 「どれと言っても・・・」
南方朔「人は季節に寄り添い生きていく」「俳句など詠んで・・・」

ことだまたち、一人ずつ順番に立ち俳句を詠む。
まずは弘道お兄さんが立ち上がり。
弘道 「光浴び 草木燃え立つ 春の朝」
南方朔「命の輝く句じゃな」
平子 「夏の音 がりがりがりがり ガリガリ君」
平均 「ガリガリ君?」
大野 「帰ろかな たき火の匂い 身にまとい」

(初日夜は、ここで平均の「え?ガリガリ君」というツッこみが続き大野君の句がかき消される・笑)
石本 「雪見つつ こたつに入り ガリガリ君」
平均 「またガリガリ君?」
南方朔「ガリガリ君は美味しいの」
万蔵 (すっと立つが何も言わずに座る)
平均 「詠まないの?」

平均に向かって
南方朔 「さぁ、おぬしも一句どうじゃ」
平均 「いや・・」
南方朔「季節の変わり目を感じて・・」
平均 「季節なんて暑いか寒いかだけ、スマホを見れば・・」
南方朔「スマホ?」
平均 「スマホ」
南方朔「ス・マ・ホ」

♪スマッホッホッホ♪と歌いながら手を叩き、リズムをとり社交ダンスのステップで踊り出す南方朔。
ことだまたちも♪スマッホッホッ♪と歌いながら音楽に合わせリズムをとり手拍子。
万蔵さんは腰に巻いていたスカーフを手に舞を舞う。
(棚倉と板橋では、万蔵さんと南方朔が社交ダンスのスンダードのステップでコラボ。南方朔は踊りの最後にくるくるとその場で華麗に回転して座る)
続いて弘道お兄さんが前転、バク転などを器械体操の技を披露。
平子君、石本君、大野君は、三代目J Soul Brothersの踊り。
(板橋では、平均が「三代目J Soul Brothersのやつだ」)
その後、南方朔も含め六人で踊る。
♪スマッホッホッホ♪のリズムが続く中、平均に向かって
南方朔「さぁ、俳句を」
少し考え
平均 「季節見ず いつも見るのは スマホだけ」
平均は「へい♪スマッホッホッホッ♪」と歌いながら一人踊るが、音楽は止まり、ことだまたちは白けた表情。(国立能楽堂2日目夜、棚倉、板橋では、一人でかなり長く踊っていた平均君)
「はっ」と気づき踊るのをやめる平均
ことだま「なんじゃそれは」「季語もない」「情緒もない」
(棚倉では南方朔が「踊りは面白かったが」)

すっかり静かになり
南方朔「好きな言葉はなんじゃ?座右の銘は?」
平均 「座右の銘?う~ん、しいて言うなら・・・現状維持です」
南方朔「何?現状維持じゃと?」

座っていたことだまたち、顔を伏せ手で床を叩き始める。
南方朔「これはいかん、始まってしまうやも・・・」
平均 「え?」
南方朔「お前のように言葉を粗末にし・・」

ことだまたち一人ずつ立ち上がりしゃべりだす。
ことだま「このような男の運命」「たかが知れている」「自分を磨こうともせず」「輝かせようともせず」
南方朔「ことだまたちの反乱じゃ」「こうなると私でもどうすることも出来ない」
平均 「どうなるんですか?」
南方朔「ことだまたちが反乱をおこすと無言の世界に、お前の心は閉じこもってしまう」

最後に立ち上がった万蔵さんが南方朔に向かい
万蔵 「お前もこの者ではなく他の者を・・」
ことだまたち、トントンして動く二つ折りの紙人形のように少しずつ動きながら、平均の側に集まりだす。
平均 「どうせ僕なんかこんなキャラだし、どうせ言ってもわかってくれないし、どうせ、どうせ。僕なんかどうせ・・」
舞台最前列に座る平均。その後ろにやってきたことだまたちが口ぐちに。
ことだま「どうせやっても無駄」「面倒くさい」「これ、やる意味あるんですか?」「死んだほうが・・」
ことだまたちは言い終わると、前のめりに倒れた平均を舞台奥まで一気に引っ張っていく。
(棚倉と板橋では橋掛かりまで引っ張っていく)

南方朔「現代人の言葉は曇り、濁っている。ここから美しい言葉を引き出せようものか」
上を見上げる南方朔。
南方朔「雨じゃ、これは怒りの雨やも知れぬ」
扇を手に持ち舞う(初日夜は腰に巻いていたスカーフを手に舞う)
南方朔「扇が勝手に動き出しておる、やめぬか」
音楽に合わせ手に持った扇が動き出し、そのあとをついていく南方朔。
南方朔 「ここだけ雲が切り取られ青空が見える」
扇を持った手が上がっていく。
南方朔「おぉ体が浮いてゆくわ
扇につられながらな舞い、橋掛かりまで行く。そして柱につかまりながら欄干の上に立つ。
(棚倉、板橋のホール公演では能舞台の先の劇場の元からある舞台の最前に腰を掛け、客席へ降りていくためについている階段に足をかける)
あたりをゆっくりと見渡したあと
南方朔「お~い!へいき~ん!実に良い眺めじゃぞ~~!」
ことだまたちに抑えられている平均、顔を上げて
平均 「どこ?」
南方朔「ここじゃ、空の上じゃ」
平均 「え?空の上?」
南方朔「西の空がだんだん茜色に染まってきた。実にきれいじゃ。お前も空に昇ってこ~い!」
平均 「マジ、無理。ありえない。空に昇るなんて、マジ、ありえない」
南方朔「ありえない。というのが、マジ、ありえない」
平均 「えぇ?」
南方朔「勇気を出すのじゃ」
平均 「勇気なんて・・」
南方朔「半歩の勇気じゃ。踏み出すのが怖いなら、半歩だけでいい。嫌ならすぐに戻ればよい」
平均 「でも、どうせ・・・」
南方朔「どうせ・・なら、やってみよ。まず呼吸を整え・・」

ことだまと声がかぶり話すのをやめる南方朔。そして欄干の上に座り平均を見守る。
(板橋では「まず呼吸を整え」の台詞は最初から南方朔は言わず)
立ち上がる平均
ことだま「まず呼吸を整え」「ゆっくりと息を吸い」
言われたとおりにする平均
ことだま「息を腹にためる」「これを繰り返す」「すると体が緩み」「心も緩む」
万蔵 「そして、頭の上から糸でつるされたがごとく立つのじゃ」
ことだま「あとは自ら踏み出すのみ」「さぁ」
平均 「よし」

躊躇していた平均だが、意を決して踏み出す。すると両脇をことだまに抱えられ平均の体は宙に浮き足をクルクルと空回りさせる。
平均 「何これ~~!!空に浮いてる~!」
腕だけではなく体もことだまたちに抱え上げられ空を飛ぶ平均。
前のほうまでくると、少し斜めになりながら左に方向転換。
平均 「あぁ~~!」
と言いながら、そのまま橋掛かりの南方朔のところまで飛んでいき、欄干の上に二人で並んで座る(棚倉、板橋では、舞台最前に二人で並んで座る)。
笑顔の南方朔と、ビックリした表情の平均。あたりを見渡し。
平均 「なにこの景色・・」「下のほうはあかね色に」「だんだんと薄い茶色、濃い茶色に」「そしてわずかに残るオレンジ」
南方朔「富士山も・・・」「そしてそれは天まで続く・・」
平均 「初めて空の上から夕日を見た・・」

感に堪えないという表情で
平均 「これをことばにすると・・・・・ヤバイ。じゃないな。美しい?きれい?う~ん、いい言葉が見つからない!」
万蔵  (舞いながら)「♪夕暮れは雲の畠に♪」

と歌い出す。(棚倉と板橋では、ここで南方朔が後ろに下がる)
万蔵 「♪あまつ空なる♪」
とさらに歌い、座っている平均の隣にやって来る。
万蔵 「空はじきにさまざまな色を放つ」
平均 「夜は足元からやってくるんだ」
万蔵 「闇は地上を覆い、やがてあたりを包み込んでしまう」

闇が迫る風景を見ながら
万蔵 「すべてのものはうつろいゆく。生きるとは変わり続けることじゃ」
平均 「・・・・・・せつない」


座っていたことだまたちが一人ずつ立ち上がり。
弘道 「心は聞き取る、お前のことばを」
大野 「心は受け取る、言うことばを」
石本 「心は傷つく、言うことばで」
平子 「心は喜ぶ、お前の言うことばに」
万蔵 「ことばの持つ力を信じよ」

南方朔と万蔵さんが前に。
万蔵 「ずーっと見ておったぞ、南方朔」
南方朔「大神様」
大神様(万蔵)「ことだまたちが喜んでおったな。しかと見届けたぞ、南方朔」「この若い者も・・」

大神様に扇を返す南方朔。
渡された扇を手に舞う大神様。
大神様「最前の上司のことだまともう一度、我々も一緒に・・」「では、そ~れ」
上司とことだま二人が切戸口から現れる

リズムに合わせ全員一列に並び足踏み。
二組に分かれ、まずは平行に向き合い、「ヤバイ」「俺らのころは」と言いながら行進。
ぶつからずにうまく交差する二組。
今度は二組が斜めに向き合い、前進、交差。
交差が終わったところで止まり、前を向いたまま後ろ方向に歩き出す(棚倉と板橋ではここで「ヤバイヤバイ」と全員が言いながら歩く)。
後ろ向きに斜めに歩く行進もぶつからずにうまく交差する(初日昼はここでぶつかってしまうが、それ以外の公演ではすべて成功)。
一列に並んで座り、端から徐々に立ち上がっていく姿勢、順にストップモーションで止まっていく。最後は上司のジョニ男さんが立ち、頭の後ろから手を挙げ(ピンクレディーの「UFO」みたいな感じ)、チーンという効果音。
皆で座り一礼(板橋では、その前に皆で手をつないで一度上げ、そのあと礼)
立ち上がり、リズムに合わせことだまたちと南方朔と大神様は退場。

二人きりになった平均と上司。
上司 (気まずそうに)「飲みにケーションするか?」
平均 「どうせ僕なんかと・・」

と言ってハッと気づく。
上司 「そうだよな」
平均 「あ、いや、」

ことだまたちに教わった、息をゆっくり吸い、腹でためる動作を繰り返しやってみる平均
平均 「どうせなら、鉄道の話を聞かせてもらえませんか?」
上司 「おぉ、そうか、新幹線が好きでな、ゼロ系が・・」
平均 「あ、先ほどのしんかんせんの続きを・・」
上司 「ん?」
平均 「しんかんせんの、しんが信頼。かんが感謝。せんは?」
上司 「・・・・センキュー」
平均 「え?英語?」
上司 「そう。しんかんせんがだいじなんじゃ」
平均 「でも、しんかんせんのかんは感謝で、センキューとかぶってるじないですか?」
上司 「あ、凡ミスです

(国立能楽堂2日目夜は「スマミセン、凡ミスです」)
(棚倉では「凡ミス」はなく「おはずかしい」)
(板橋では「センキューソーマッチ」「うっかりボーイ」平均「ボーイではないけど)
上司 「とにかく、感謝の気持ちを忘れるな、っていうことだよ」
平均 「いつもありがとうございます。気にかけていただいて」
上司 「俺のほうこそありがとな」「これから飲みに行くか?」
平均 「はい」
上司 「出発進行!」

(国立能楽堂2日目夜は、武田鉄矢の口調で「じゃあ行こうよ」)
上司はシュッシュッポッポッと言い機関車のマネをしながら、二人は橋掛かりに向かう。
橋掛かりで窓開けるジェスチャーをして、
上司 「レギュラー満タン」
上司の頭を思いっきりツッこむ平均。そしてツッこんだ手を見る。
(初日昼は上司は「めがねめがね」と言って落ちたメガネを探していたが、それ以外はなし)
(2日目夜は、平均が「ツッこむ勇気」)
(板橋では「半歩の勇気」)
上司 (ツッこんだ平均に)「良かったよ」「チョベリグ」
平均 「あ、それ古いです」
上司 「スナック終着駅へレッツゴー!」

(棚倉では「居酒屋おっかさんへ行こうか」)
と言いながら二人は退場。


切戸口から、南方朔と神様らしい格好になった大神様が再び現れる。
大神様「少しは良い言葉を使うようになったの」
南方朔「これであの者も少しは運が改まりましょうか?」
大神様「ならぬな」
南方朔「え?」
大神様「ハッハハハ、戯言(ざれごと)じゃ」「あの心がけが続けば、の話じゃ」

上司と平均が歩いて行ったほうを見て
大神様「それにしてもあの男、飲みにケーション」
乾杯のジェスチャー
大神様「あぁ、恥ずかしい(と言って顔を覆う」
南方朔「お恥ずかしゅうございます」
大神様「現代の言葉の変わりようはいかなものか」
南方朔「はい」
大神様「さりながら、「ヤバイ」という言葉ひとつを上手に使いこなすとは、なかなか捨てたものではないな」

頭を下げる南方朔。
南方朔「わたくしは、見事お役目を果たせましたでしょうか?」
大神様「(いたずらっぽい笑顔で)びみょ~」
南方朔「えぇ?」
大神様「そうではないか、そちは雨の中うろたえ、え~んえんえんえん、はっははははは(南方朔の泣くマネと笑うマネをする)」
南方朔「いや、それは・・」
大神様「見かねてことだまたちをさしむけたが」「ことだまたちに助けられ、ようやく」「美しい言葉を使えばその者は心も晴れる。お前もたまには人間たちと関わり合いを持つのもいいのではないか?そうすればおぬしの心も晴れる」
南方朔「いえ、わたくしはもう・・」

南方朔に近づいく大神様
大神様「なぁ、ブラザー」
と言って南方朔と両手でグータッチ
大神様「え~んえんえんえん」「はっははははは」
南方朔「ご許されませご許されませ」
大神様「さぁ、天に帰ろうぞ」

早足で駆けるように橋掛かりから退場する二人。





以上が、「ことだま交差点」のあらすじでした。
ニュアンスだけしか覚えていない場面や、勘違い、記憶違いの場面など、不正確な箇所も多々あるかと思いますが、大体こんな感じだったと思っていただければ幸いです。
一応、メモをとっていたのですが、解読不明な文字が多数あり(笑)、ヒエログリフを読むためのロゼッタ・ストーンのようなものがあればな~と、自分で書いたメモなのに思ってしまいました(笑)。
ことだまたちが反乱を起こす場面の台詞などはかなりうろ覚えで、ちょっと不正確かも。
それから、南方朔と平均君、大神様が空から夕日を見る場面は、もっともっとたくさんの台詞で、刻々と変わる壮大な夕景を描写してました。
この場面は何度観ても引き込まれてしまう、とてもいい場面なのにそれがうまく伝わらずに残念無念。
(いい場面なだけにメモもとるのも忘れ見入ってしまいました・笑)
沈みゆく夕日とその景色が目に浮かび、南原さんが挨拶でいつも言っている「みなさんの想像力が・・」というのがまさに表現されている場面だな~、これぞ「ことばの力」だな~といつも感心していたのですが、そんなこんなの感想は、また後日に。

リズムに合わせてことだまたちが行進して交差する場面は、文字にするとちょっとわかりにくいですが、日体大の集団行動を思い浮かべていただければと思います。
ちなみに、後ろ向きに歩いて斜めに交差する場面。
初日昼公演ではぶつかってしまい、うまく交差できませんでしたが、それ以外は全部成功。
ここは、最初のことだまたちが争うようにぶつかってしまう場面との対比でもありますし、うまく交差して客席を感心させなきゃいけないところなのに、初日昼はぶつかって客席から笑い声が起こってしまい、ちょっと悔しい思いも。
夜公演以降は、この場面が来るとドキドキしていたのですが(笑)、どの公演でも成功し、客席からは拍手や「お~」という声があがって、後ろ向きの交差が成功したときは毎回(心の中で)ガッツポーズをしてました(笑)。

公演によって反応が違う場面も多々ありました。
集団行動のあと皆が退場するときも、国立能楽堂2日目昼は拍手がありましたが、夜公演はなし。板橋公演では拍手がありました。
あと、最初のほうで、石井ちゃんがスケートで滑ったあと、「石井ちゃんです!」のポーズをして「またスベる」場面(笑)。
初日昼公演は本当にスベってましたが(笑)、それ以外の公演ではけっこうウケてました(笑)。
それから、ジョニ男さんの「石炭切れたか?」はどの公演でも笑いがおこっていたのに、棚倉ではなぜか今イチ反応が悪く、ここらへんが舞台の面白いところだな~という感じでした。

あとは、公演によって台詞を言う場面が前後して変わっていたり、台詞そのものも追加されたのかな?というところもあったり、もっと台詞を言ってる場面もあったりしましたが(俳句を詠む場面では南方朔がそれぞれの俳句に対して寸評の台詞を言ってました)、かなり記憶が曖昧なので、合ってるだろうと思われるところだけを書き、それ以外は割愛させていただきました。

あと、楽士の和田さんは今まで箱椅子のような打楽器を使っていましたが、今回はそれはなく、小さなドラムセットを使ってました。



行ってきました、千秋楽

2015年03月07日 | 現代狂言Ⅸ
板橋区立文化会館大ホールで行われた、現代狂言Ⅸの千秋楽公演へ行ってきました。

              

楽しかった現代狂言祭りが終わってしまい、涙涙(笑)。
すべてのものはうつろいゆく(by大神様)というのはわかっていても、ホントに名残り惜しい限りです。
何度観ても、笑って泣いて感心しての現代狂言Ⅸ。
出演者並びにスタッフの皆々様、お疲れ様でした、であります。
あ、ちなみに、来年3月の4日5日に国立能楽堂で現代狂言Ⅹが行われることが決まっている、と万蔵さんが話していましたので、早速カレンダーにチェックをしておきました(笑)。

詳しい感想などは、また後日に書ければと思っていますが、今日の千秋楽公演。
古典の「棒縛」では、南原さんは顔に汗を浮かべての熱演でした(いつも熱演していたと思いますが、今日はちょっと舞台上は暑かったのかな?あるいは今日初めて気づいただけかもしれませんが)。
「茸」では、石井ちゃんが途中でセリフを飛ばしてしまい、変な間があいてどうなることかと思いましたが、無事に切り抜けて何よりでありました(笑)。
そして、新作の「ことだま交差点」。
大神様から「最近言葉使いが怪しくなってきた人間界へ行き、人の心のうちにある美しい言葉を引き出し心を明るくせよ」という命をうけた南方朔・・・。
初めてパンフレットのあらすじ紹介を読んだときに、東方朔ではなく南方朔か、と思わずニヤっとしてしまいましたが、これがわかる人はどれくらいいたんでしょう?(笑)
舞台が始まる前のアンケートでは、初めて現代狂言を観る人がいつもだいたい7割くらいでしたので、ほとんどの人にはピンとこない名前だったかもしれませんが、旗揚げ公演から観てる人間にとっては感慨もひとしおでありました(笑)。
でも、作品は懐古趣味とは無縁。
「連句」と同じ「ことば」をテーマにした作品でしたが、9年経ってより洗練された舞台になってました。
現代狂言と「ことば」というのは相性がいいのかな?とか、茸を人間がやるんだから「ことば」を人間がやってもいいよな~とか(笑)、森君はやはりダメサラリーマンが似合うな~とか(笑)、最後のほうでことだまたちが順に立ち上がりながら「心は・・」と言う場面、何度観ても涙目になっしまうな~(笑)などなど、感想は色々とあるのですが、そんなこんなの話はいづれまた。

カーテンコールは2回。
まず南原さんがご挨拶。
稽古場が(板橋文化会館の)近くの東長崎にあるので、このあたりには縁があるし、来ると落ち着く。
それから、照明もセットも何も変わっていない・・といういつもの話(笑)。
あと、現代狂言の発案者である故万之亟さん、それを引き継いだ万蔵さん、そして現代狂言にかかわったスタッフに拍手を、と言って会場のお客さんとともに拍手をしていました。
万蔵さんは、現代狂言も最初は手探りだったが9年間やってきた。
古典もやり、現代のものとも融合していければ。古典も死なずに生きている。
そして今回は、石井ちゃんと初めて参加した三浦祐介さんも挨拶をしてました。
恒例のサプライズは、時間をとってたっぷりと、南原さんは最後まで客席を回ってました。
森君は早目に舞台に戻り、棚倉の時と同じように♪スマッホッホッホ♪の踊りを舞台上でやっていましたが、今回は全然ウケず(笑)。
万蔵さんに促されて踊っていた森君は、恥ずかしそうに笑ってました(笑)。
いつものように石井ちゃんが締め、全員退場しますが、和田さんと稲葉さんの合図で演奏が始まると会場は再び大きな手拍子。
今回は、南原さんと万蔵さんの二人がが橋掛かりから登場しましたが、南原さんは「(楽士の二人の)囃子にのせられてパンパン(手拍子を)やってませんでしたか?」と言って笑いをとってあと(笑)、「身近なところからいい言葉を使って、いい世界になれば」という話をしてました。
万蔵さんは、会場に来ているチビッコに、「狂言ことばで遊んでね」「ござると言ってみて」と、狂言の普及に余念がありませんでした(笑)。
最後は、南原さんは橋掛かりでムーンウォーク&コケ芸で退場。
舞台上に残った和田さんと稲葉さんは、演奏を終えるとガッチリ握手。
そしてジョニ男さんのいつものポーズをしたあと、二人も茸になって退場(笑)。
「面白かった~」という声がそこここから聞こえる中、17時13分、大きな拍手と手拍子の中、大団円&大団円で幕を閉じた現代狂言Ⅸでありました。