Untersee-Boot

あるいは感想記として

2021夏

2021年09月17日 | あれこれ
       

東京オリンピック・パラリンピックも終わり、2021年の夏も終わりを迎えた感のある今日この頃。
いかがお過ごしでしょうか。
私はと言えば、暑さにもめげず今年の夏もちょこちょこと寄席などへ行ってきましたので、そんな話をあれこれと。




まずは、鈴本演芸場7月中席、夜の部の特別企画公演『~新作も昔は古典だった~』。
喬太郎師匠がすべて新作(古典を改変した新作、もしくは古典を元にした新作)でトリを務める10日間。
私は2日目、6日目、そして千秋楽公演へ行ってきました。

       

2日目。
チケットは前売りで50パーセントのソーシャルディスタンスで完売。
客席は老若男女、若い女性が多めという感じでした。


前座さんなどに続き、のだゆきさんの鍵盤ハーモニカ(ピアニカは登録商標だからこういう言い方するのね)を使った独特な音楽漫談や、白鳥師匠のグダグタな「アジアそば」で笑ったりしていましたが、飛び道具的な二人の高座に客席は妙な空気に(笑)。
どうなるんだろうと思っていましたが、さん喬師匠が登場すると、あっという間に客席は穏やかな空間に。
う~む、さすがでありました。
さん喬師匠の「真田小僧」は、師匠の人柄があらわれた噺になっていて、聴いていて心地よい15分でした。
さん喬師匠は、毎年、鈴本演芸場の8月中席で権太楼師匠と公演をするのが恒例になっていましたが、今年は病気療養のためお休みするという発表が(本人の希望により病名は公表しないとのこと)
この日もお元気な様子でしたし、無事に病気が快復することを願うばかりです。


その後は、二楽師匠のウルトラマン関連の紙切りがあったり、陽気なマジックおじさんダーク広和さんの華麗なカードテクニック(途中失敗して舞台上で土下座もあり・笑)などなどがあったりしつつ。



19時40分、クリーム色の着物姿の喬太郎師匠が登場。
喬太郎師は、この日に新型コロナの1回目のワクチン打ってきたそうで。
まだ65歳前で持病といえば痛風くらいしかないのに、なぜワクチンを早く打てたかというと"肥満"のおかげだそう(笑)。
いや、でも、肥満は重症化リスクが高い・・という話も聞きましたので、早めにワクチンを打てて何よりでした。

その後は・・・白鳥師匠の若いころの話や、池袋の〇〇の話などしてましたが、「SNSには書かないで」「この場で楽しんだことはこの場で終わらせようぜ」ということなので大幅に割愛させていただきます(笑)。
そんな中からひとつだけ。
今回の公演は事前に演目が決まっており、2日目のこの日は「すなっくらんどぞめき」だったのですが、「(演目が)「すなっくらんどぞめき」となってたけど「すなっくらんどぞめき」やらなかったとか書かないで」と、真面目な顔で言う喬太郎師匠に大笑いでした(笑)。
そんなこんなの、大爆笑のマクラが20分ほどあり。
本編は予定通り「すなっくらんどぞめき」(笑)。
喬太郎師匠が嬉しそうに話す池袋あるあるに、爆笑爆笑また爆笑。
池袋のことは詳しくないし、よくわからないけど、それでも爆笑(笑)。
そして、「(ワクチンを打ったので)今日は激しい運動は禁止されてるのに」と言いながらも、高座の上で所狭しと大暴れ、熱演の喬太郎師匠に、また爆笑でした。
あっという間の30分。
終演は20時30分でした。

マクラもあわせると50分の高座。
ず~~っと笑いっぱなし、暑さも吹き飛ぶ面白さ。
前売りでこの日を選んだのは、以前に聴いて大爆笑した「すなっくらんどぞめき」をもう一度聴きたかったからなのですが、この日を選んで大正解。
ホントに行って良かったと、楽しい余韻をかみしめながら蒸し暑い夜に家路についた夜でした。






鈴本演芸場7月中席夜の部『~新作も昔は古典だった~』6日目。

       

この日は、ギター漫談のペペ桜井さんが高座へ。
お馴染みのネタをいつもと同じように披露していたぺぺ先生(笑)。
7、8分くらいで退場してしまい、「あれ?ちょっと短いな~」と思っていたのですが、続いて登場した白鳥師は開口一番「ペペ先生早すぎ」(笑)。
やっぱりそうだったのか、と客席は大笑いでした。
ぺぺ先生が短かったぶん、「無駄話を・・」ということで、ツイッターが炎上した話や(円楽師匠の反物を4000円で売ろうとしたそう・笑)、池袋演芸場は男ばっかりだけど、鈴本は女性が多い、というような無駄話をしつつ(笑)、本編は・・・演目名はわかりませんが、山奥の寿司屋へ行く噺でした。

さん喬師匠は、この日もお元気そう。
「締め込み」も面白かったです。


その後は、二楽さんがこの日もウルトラマン関連の紙切りをしたり(この日はカネゴン)、龍玉師の「鹿政談」があったり、お馴染みダーク広和さんの陽気なマジックがあったりしつつ。



19時39分。縞の着物に黒くて透けた羽織姿の喬太郎師匠が登場。
マクラでは、オンラインの落語会の話や、喬太郎師匠の心の叫びなどの話をしていましたが、「毎日言ってるけど」「今日聞いたことはここだけの話に」ということなので、全面的に割愛させていただきます(笑)。
約10分の爆笑のマクラのあと、本編は「鰍沢零」。
若旦那に連れられて吉原へ行く伝三郎、花魁の月の兎(お熊)、そして猫のタマ・・・。
これらの人たちが織りなす「鰍沢」の前日譚、エピソードゼロの「鰍沢零」。
「鰍沢」については、圓朝師の三題噺ということやストーリーなども一応知っていましたが、知っても知らなくても楽しめる「鰍沢零」。
猫が登場する落語は珍しいな~、と思っていたら、この噺も喬太郎師匠が三題噺として作った落語のようで(また聞き情報ですが)。
猫のタマも全編を通して噺を引き立てる重要な役目を担ってました。

最初はご陽気な登場人物たちが、徐々にシリアスになり、静まり返る客席。
喬太郎師匠の声と三味線の音だけが響く場内で、固唾を呑んで聴き入ってしまいました。
そして、喬太郎師匠しかいないはずの舞台上に若旦那と伝三郎、月の兎の姿が見えた・・気がしました。

2日目の大爆笑の「すなくっくらんどぞめき」とは打って変わって、大感心の「鰍沢零」。
この辺のふり幅の大きさも、喬太郎師の魅力のひとつなのかもしれません。

終演は20時22分。
この日も熱演の喬太郎師匠でした。






鈴本演芸場7月中席夜の部『~新作も昔は古典だった~』千秋楽。

       

前座さんに続き登場のやなぎさん。
お久しぶりのやなぎさんでしたが、この日は新作ではなく古典の「牛ほめ」。
ところどころ工夫して、やなぎさんらしく嫌味なく明るい「牛ほめ」でした。

白鳥師に代わり、この日は百栄師が登場。
「露出さん」という噺だそうで。
演目名通り"露出魔"が登場する噺(笑)。
笑いながらも、なんだこの噺は??と思っていたら、その後に登場した扇辰師や喬太郎師にイジられてました(笑)。

さん喬師匠は「替わり目」。
さん喬師匠らしい暖かな人柄があらわれた「替わり目」でした。

二楽さんの紙切り。
千秋楽はウルトラマン関連はないかと思っていたら、最後に「ゴジラVSキングコング」といお題(笑)。
喬太郎師匠の芝居のときは「ウルトラ」とかそういうお題ばかり、と言っていた二楽師に大笑いでした。

その後、陽気なダーク広和さんの「いい手品なんですよ~」のロープマジックなどがあり。



19時40分、クリーム色の着物と青い透けた羽織を着た喬太郎師匠が登場。
最近名前が思い出せない・・今日やる演目も思い出せない、という話など、この日のマクラは短めで4分ほど。
そして「千秋楽だから好きにやらせてもらうよ」「昨日までは好きにやってなかったのか」と自分でツッこんだりしつつ(笑)。
やおら羽織を脱いでいた喬太郎師匠でしたが、着物の背中に"SWA"の文字と"6"の数字が染め抜かれていて、客席から笑いともどよめきともつかない声が上がってました(笑)。
「夏なのに暮れの噺を・・」言っていた、千秋楽の演目は「掛け取りバンザイ」。
掛け取りに来た人を、その人が好きなことをやって追い返すという噺ですが、古典の「掛け取り」とは違い、円谷の旦那が来たりして大笑い(二楽さんの言うように喬太郎師匠の芝居ではウルトラの紙切りが多くなるわけです・笑)。
小劇団好きの旦那が来た時は、いまいちわからなかったのですが、喬太郎師いわく「(客も)だいたいそんなもんなんだろうと見てる」(笑)。
確かに、よくわからないけどそんな感じなんだろうな~と思いながら、喬太郎師匠が再現する芝居を見ながら大爆笑でした。
途中、「マクラ短かったからこのままだとあと10分で終わる」「昨日まで頑張ったんだよ」「大変だった」「毎年やってありがたいけど」「(鈴本は最近月曜日は定休日なのに自分の時は)月曜日定休にしねぇのな」という愚痴などもありつつ(笑)。
客席が笑いに包まれるなか、20時13分、終演。
さすがにお疲れだったのか、予定より2分早く幕を閉じた千秋楽公演でした。

喬太郎師匠が出てきてから、ずーっと笑いっ放し。
この日もめちゃくちゃ暑い夜でしたが、行った甲斐がありました。



今回の特別企画公演『~新作も昔は古典だった~』。
私が行ったのは3公演。
「すなっくらんどぞめき」では大爆笑。
「鰍沢零」では大感心。
そして、「掛け取りバンザイ」ではまた大爆笑と、本当に楽しい3日間でした。
本当なら10日間通い詰めたかったくらいでしたが、それがかなわず残念(笑)。
とまれ、真夏の夜に最高の時間を過ごすことができました。


ちなみに、鈴本演芸場は客席の50パーセントの140席のみチケット販売。
マスク着用、入場時には検温をして、客席では食事禁止。アルコールは全面禁止ということで、安心安全で楽しむことができました。






8月は、また鈴本演芸場へ。

          


8月中席夜の部『吉例夏夜噺 権太楼・さん喬一門特撰集』


       

本来なら、権太楼師匠とさん喬師匠が交互に主任を務めるのが8月中席の恒例だったのですが、前述した通り、さん喬師匠が病気療養のため、今回はお休み。
代わりに「さん喬一門」の喬太郎師匠と左龍師匠が出演する10日間の公演になってました。


私が行ったのは、2日目。

馬るこ師の「糖質制限初天神」という噺に大笑いしたり、小猫さんのお馴染みの動物モノマネに感心したり、こちらもお馴染み一朝師匠の「いっちょうけんめい頑張ります」に大笑いしたり(笑)。
露の新治師匠の、初めて聴く上方版の「紙入れ」に笑ったりしつつ。

権太楼師匠は「お化け長屋」。
この噺、演る人によっては嫌味な感じになることもあるのですが、権太楼師匠はもちろんそんなことはなく、明るくて終始爆笑の「お化け長屋」でした。


20時10分。
この日のトリの喬太郎師匠が登場。
師匠は開口一番「ごめんね、俺で」と、まずは謝罪(笑)。
その後は、権太楼師匠の胸を借りて・・と思っていたら、もう帰ってしまい胸を借りれない、とか(楽屋の人数制限があるため)、信治師匠は県をまたいで鈴本に・・もうなんでもあり、という話や、ここだけの話(笑)などなど、マクラを約8分。
本編は「拾い犬」という新作。
善吉、六ちゃん、犬のシロ、御店(おたな)のお嬢さん、旦那、番頭などが登場する、古典ふうの新作。
笑いを交えつつ、人情噺のような、ファンタジーのような落語で、喬太郎師らしい新作だな~という感じでした。
初めて聴く噺でしたが、すっかり聴き入ってしまいました。
終演は20時59分。

蒸し暑い夜、喬太郎師匠らしい新作を初めて聴けて僥倖でした。






       






9月11日には、関内ホールで行われた『プライム落語in横浜』の昼公演へ。

          

関内ホールの客席は前の席との間隔も広く、前の人と頭が重ならないよう互い違いの配列になっていてとても観やすい作り。
場内は老若男女まんべんなくという感じで、客席は一席づつ空けて座るソーシャルディスタンスになってました。



開口一番の入船亭扇ぽうさんの「転心気」に続き。


白酒師匠が登場。
マクラでは、緊急事態宣言再延長という話や、昨今話題の次期総裁選の話題等々を約10分。
白酒師らしくひょうひょうと毒を交えながらのマクラに大笑いでした。
本編は「松曳き」。
この噺は以前、浅草演芸ホールで行われた"昭和元禄落語心中寄席"でめちゃくちゃ笑った記憶があるのですが、今回も大笑い。
ボケまたボケの連続に、終始大爆笑でした。
殿も三太夫も粗忽者だと、もう収集がつかないな(笑)。
マクラも本編も笑いっばなし、30分強の白酒師の高座でした。


続いて、彦いち師匠が登場。
彦いち師はマクラで「普通は一時間前くらいに会場入りするけど、喬太郎師匠はまだいない」という、衝撃発言をしていましたが(笑)、喬太郎師匠はこの落語会の前に別の仕事があったようです。
その後は、末廣亭のアクリル板の話、4月に緊急事態宣言が出たときの「寄席は社会生活に必要だ」・・の話(笑)などなど、こちらも、爆笑の話をあれこれと。
途中、袖に向かって喬太郎師匠が到着したかどうか確認して、まだならマクラを延ばさなきゃ・・などと話しつつ(笑)。
本編は「遥かなるたぬきうどん」。
この噺は何度が聴いてますが、寄席だと時間の関係で途中で終わってしまうことも。
でも、この日は最後まで聴くことが出来て僥倖でした。
途中、「ガッシガシ」と氷壁を登りながら「喬太郎さんは来ましたか?」と袖に向かって聞くと、来たという返事。
客席からは拍手が起こってました(笑)。
彦いち師の熱演に終始爆笑の35分の高座でした。


15分の仲入りのあと。


喬太郎師匠が登場。
開口一番「間に合っちゃいました」とおどけてみせる喬太郎師匠(笑)。
この落語会の前の仕事というのは、映画の舞台挨拶だったそうで。
高畑充希さんや、大久保佳代子さんと共に銀座シネスイッチで舞台挨拶があり、その足で横浜まで来たとのこと。
東海道線で来たそうですが、川崎あたりでウトウトしてしまい、横浜で乗り換える時にキャリーケースと靴を抱えてあわてて電車を降りて(喬太郎師匠は電車内で靴を脱ぐ癖があるそう・笑)、駅で周りからジロジロ見られてしまったとのことでした(笑)。
ちなみに、映画では、高畑充希さんから「黙れじじい」「うるせぇじじい」とひたすら言われる役だったそうで。
喬太郎師いわく、高畑さんからずっと「じじい」と言われて嬉かったそうです(笑)。

その後は、楽屋にシウマイ弁当が用意されていて食べたかったけど、楽屋に入った時には彦いち師匠がエベレストに登り始めていたから食べる時間がなかったとか(笑)、落語協会で九州ツアーに行った話、そして「(今回の落語会)俺だけ持ち時間が長いのな」と愚痴ってみたり、爆笑のマクラを20分くらい話したあと(笑)。
本編は「品川心中」。
「あんなマクラで古典ですよ」と言いながらも、25分の熱演でした(笑)。
悪女のお染、間の抜けた金蔵のやり取りに大笑い。
そして、ナスの古漬けで大爆笑してるうちに、プライム落語昼の部は終了。
喬太郎師匠は約45分の高座で、確かに他の人より持ち時間が多くなってました(笑)。

       

喬太郎師、彦いち師、白酒師という、これ以上ない顔ぶれだった落語会。
期待通り、いや、期待以上の面白さ。
白酒師が登場して喬太郎師が退場するまで、ず~~っと笑いっぱなしだったな~。
また、このメンバーで落語会が開催されたら、こんなに嬉しいことはありません。
大笑いの連続で、最高の一日でした。




あ、それから、関内ホールへは、行きも帰りも、みなとみらい線直通の東急東横線で。

          

UNファンにはお馴染みの、妙蓮寺や東白楽の駅を通過するたびに(行は特急、帰りは急行だったのでどちらも止まりませんでした・笑)、UNの青春時代に思いを馳せたりもした、9月の土曜日の午後でした。




・・・これが、2021年の夏の出来事でした(笑)。


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