野田首相は消費税の増税を決断し、政府と与党とのすり合わせを行った。
年度税収が42兆円に対して国債発行が49兆円で、国債残高がGDPの
2倍と云う状況下では、財政健全化にむけた増税は避けて通れない。
民主党の「社会保障と税の一体改革」は、必要で当然の取り組みだろう。
野党自民党も先の選挙公約に消費税増税を掲げた手前、増税に躊躇する
ことは出来ず、政府批判のための非協力は国民に支持されないだろう。
一方で、政権による政治行政改革への取り組みが後追い的になっている。
天下り禁止や独法改革、公務員改革や規制緩和などの声に迫力がない。
政治資金や議員定数の見直し程度で「身を切る」などと云って欲しくない。
欧州では、2パーセントの経済規模であるギリシャの財政危機がユーロ圏
の信用不安をもたらし、それが全欧州的な財政危機になろうとしている。
ギリシャでは1100万人の人口の一割が公務員で、しかも民間よりかなり
高い給与水準にあり、行政面はばらまき政策を続けた大甘の国家財政に
なっているが、そのことに麻痺した国民は危機感さえ失いかけている。
戦争での国家破綻は実感出来ても、財政破綻の危機共有は難しいようだ。
債務の棒引きを願ったところで、行政改革が厳しく求められる事は必定だ。
日本の国債残高は998兆円と云われ、国民一人当たり830万円になる。
少子化と経済が低迷するなかでは、益々増大する社会保障費の確保でさ
え汲々となり、本来行うべき事業費の捻出がままならなくなってしまう。
消費税増税だけで財政健全化は成らず、聖域なき構造改革なしに政治の
信頼は得られないし、増税に対する国民の理解協力も得られないだろう。
「大阪のハシモトのアシモトにも及ばないのでは・・・」と、ひげ爺の独り言。
行政改革を断固実施する熱意が、増税をも真剣に議論させることになる。