年の瀬の店頭には、お正月用の「お飾り」等がならび「お節料理」の宣伝も盛んだ。
「お節」はお正月限定の季節料理で、趣ある鮮やかな料理は見ても食べて味わえる。
祝い膳でもある「おせち」、近年は市販のものが多く出回り手作りの品は限られる。
手くりと云えば「漬け物」がある、季節の野菜を利用した地味な素材型の家庭食品。
我が家では各種「漬け物」が、保存食でもありご飯のお供やお茶受けに重宝だった。
田舎者の私は、中でも米糠使用の発酵食品「糠漬け」が好物で欠かさず食べてきた。
近頃はその効能性が人気となり、メニューも多様化しマイスターを名乗る人もいる。
家業が農業だから米糠も具材も自家産で、容器は木の樽を使いその後はホーロー器。
塩加減等の「糠床」管理は専らおふくろで、食材は全て畑で採れた新鮮野菜だった。
それは 春から夏がキューリ/ナス/ミョウガ、秋から冬は大根/ニンジン/キャベツ等。
母の老齢化で「糠漬け」は一時止まったが、「糠床」はかみさんが引き継いできた。
5年前の大宮転居の際、容器は娘の手作り陶器に改め家伝の「種ぬか」を適量持参。
以降「糠床奉行」はひげ爺の役になり、塩と糠を補充しながらの「糠漬け」づくり。
糠床の天地替えと塩管理とともに、気温や食材による漬け時間の調整が技と云える。
ところが最近、健康管理面から「糠漬け」へのこだわりが複雑なものになってきた。
夫婦がそろって糖尿病患者で、さらに私が動脈硬化症でかみさんが高血圧症の不安。
食生活改善には減塩が必須で、本来とは違う「減塩糠漬け」への挑戦が必要になる。
『来年は「辰年」、そうは言っても「糠漬け」をタツつもりはない!』と、独り言。
塩を減らすには良いシオドキ、薄味でも旨くするために糠床の調味材で工夫しよう。