中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

週刊誌の記事より

2013年01月17日 | 情報
業務多忙につき、ストックしていた記事を紹介します。
以下は、一つの情報として読んでください。

なぜか「患者」は大企業のサラリーマンと公務員ばかり「新型うつ」これが真相です

会社に行くとうつになり、休暇中は元気いっぱいで海外旅行に合コン・・・・・・「新型うつ」の若者が急増するのはなぜなのか。
その背景には、各メディアで報じられていない、意外な真実があった。
化粧とネイルが完璧な患者

 あなたは、若者のこんな主張を理解できるだろうか。
「病院の先生に、うつの療養中に気をつけることを聞いたら『仕事から離れて環境を変えて、
自分の好きなことをしながらゆっくり休むのがいい』と言われたんです。僕はサーフィンが好きだから、グアムへサーフィンをしに行った。
滞在中、食欲も出てきて、よく眠れるようになったので、もう大丈夫かな、と思って1ヵ月後に会社に復帰したんです。
そうしたら上司に『なんでお前、休職していたのに日焼けしてるんだ』と問い詰められた。
病気を治そうと思って、医者に言われたことをしただけなのに・・・・・・」
 大手食品メーカーに勤める入社3年目、20代後半の男性Aの証言である。
「会社に行くと気分が落ち込んで、食欲もなくなる」と訴えて病院を受診。「うつ病」と診断を受けて、会社を休職したという。
---いま、日本中にはびこっているという〝新型うつ〟の典型的な事例である。
NHKスペシャルで特集され、雑誌など数々のメディアが取り上げて、改めて注目が集まっている。
 仕事となると体調が悪くなるが、遊びなら何の支障もないというのが特徴で、
従来のうつ病と異なる症状を示すため「新型」と呼ばれている。
が、そもそもこれを病気として認めるかどうかは、専門家の間でも意見が分かれるところだ。
「医療情報サイト『m3.com』で、1091人の医師に『新型うつを病気として対処するか』というアンケートを取ったところ、
『病気として治療をすべき/単純に病気として対処できない/どちらとも言えない』という意見が3:4:3に分かれました。
そもそも、『新型うつ』という正式な病名はなく、医療側が引き受けて解決する問題なのか、
いまだコンセンサスが取れていないのです」(りんかい築地クリニック院長・吉田健一医師)
 冒頭の若者Aの話を読み、「海外へ行ける元気があるなら病気のはずはない」と憤る方が多いかもしれない。
 しかし、新型うつは病気か否か、ということばかりを議論したところで、問題の解決にはつながらないだろう。
本記事では、そうではなく、新型うつの真相、知られていない問題点を明らかにしていきたい。
 まず、精神科医で筑波大学医学医療系助教の吉野聡医師が経験した事例を紹介しよう。
患者は、他院でうつと診断されて、会社を休職中にセカンドオピニオンとして受診した患者B、20代後半の男性だった。
「彼も、休職中に海外へ旅行したと話したので、私が『海外へ行ける体力が出てきたなら、
そろそろ職場に戻ってがんばってみたらどう?』と言ったんです。
その途端、目の色を変えて『先生、いまうつ病の私に〝がんばれ〟って言いましたね!?
精神科医なのに、患者にそんな言葉をかけるんですか!』とすごい責め方をされました。
しまいには、『うちの職場がどんなにつらいかわかってないからそんなことを言うんだ!
先生は椅子に座って人の話を聞いてるだけで給料をもらっているんでしょう』と言われ、返す言葉がありませんでした」
 このように、患者が医師の言葉尻をあげつらうのは珍しいことではない。
新型うつの主な特徴として、吉野医師は、(1)自らうつであることを主張する、(2)他者非難、他責傾向が強い、
(3)職場復帰を極力後回しにする、といった傾向を指摘するが、患者Bは、まさにこの3つに当てはまる。
 新型うつが増加してきた背景には、以前は「人に知られたくない病気」だったうつへの偏見が薄れ、
うつであることをカミングアウトしやすい風潮になってきたことも関係しているだろう。
「うつは心の風邪」「うつの患者に『がんばれ』と声をかけてはいけない」といった〝常識〟も広く浸透した。
 これにより、やたらとうつに詳しく、診断書目当ての「患者」も増えている。
「20代前半のCさんという女性でした。初診で、『夜眠れなくて、ご飯が食べられなくて、
夜ひとりでいると涙が出てきて・・・・・・』と流暢に症状を語るんです。
彼女の爪には派手なネイルアートがほどこされ、メイクもばっちり。従来型のうつ病だったら化粧する余裕なんてありません。
しっかりとした口調で、教科書的なうつの症状を訴える姿から、診断基準を調べて暗記してきたのだろう、と思いました」(前出・吉田医師)

休職中も給料満額
 患者が症状を訴えるのであれば、医師は信用するしかない。それが精神疾患の診断の難しさでもあるのだが、
つまり、医師としてはうつ病の診断基準を満たす条件が揃っていれば、うつ病と診断せざるを得ないということだ。
「うつは、真面目で几帳面で仕事熱心な人がなる病気、とアピールしすぎたことが、
世間の誤解を招いているところもあると私は考えています。うつだという診断書が手に入れば、
会社に対して『自分はがんばりすぎたからうつになった』と大手を振って休めるようになるわけですから」(前出・吉野医師)
 取材を進めると、こんな事実が明らかになってきた。「新型うつの患者は大企業と公務員に多い」と、
専門医たちが口をそろえるのだ。それはなぜか。都内で産業医を務める精神科医が、公務員の実情を明かす。
「大きな会社や公務員、つまり療養の制度が整っている職場ほど、新型うつが多いのです。
たとえば、休職しても数ヵ月は100%の給料が出る。その後も数年間に及び、給与の8割程度が何らかの形で支給される。
また、復職して一定期間が経過すると休職実績が一度クリアされて、また長期間休むことができる場合も多く、
ほとんど働かずに給料がもらえる実態もあるのです」

厳しくすると治る
 公務員だけでなく、民間企業でも、就業規則によって同様の厚遇を受けられる会社もある。
是非はともかくとしても、中小企業なら長期休職したらクビを切られるというところも少なくない。
そういう会社では、事実、「新型うつ」になる社員はあまりいない。
 九州に住む地方公務員の男性は、こんな同僚の話をしてくれた。
「公立中学の事務員をしているのですが、40代前半のDさんは、うつの診断書を持ってきては半年ほど休職し、
復職したと思ったら2ヵ月後にまた休職、ということを繰り返しているんです。
職場に来ると、私たち同僚に『楽しておカネを稼ぐ方法を教えてあげる』と、
うつ病の診断書をもらいやすい病院情報などを嬉しそうに話すんです」
 楽して、もらえるものはもらっておけ—この構造、なにかに似てはいないだろうか。生活保護の不正受給、だ。
「一部には『給料をもらいながら休めるだけ休もう』などという考えの患者もいて、
周囲からの反感を買いやすいため、本来のうつ患者にも偏見が生じてしまう。
これは、生活保護の不正受給問題と同じ構造になってしまっています。
ただ『患者』を責めるだけでは解決しない。自社の休職規定なども再検討すべきだと思います」(吉田医師)
 上司がうつの発生に一役買っているケースも多いという。
「職場では、頻回に欠勤する職員を出してしまうと、上司の管理責任が問われる場合があります。
ですからそれを避けるために、上司も部下の休みが増えてくると、どこも悪くないのに『君は欠勤が多いからうつ病かもしれない。
病院で診断書をもらってこい』と指示するような事例もあるのです」(吉野医師)
 いうまでもなく、公務員の給料は国民の血税から支払われている。公務員がこのような実態では、到底納得できない。
 一般企業にとっても、新型うつ患者の増加は、経営を圧迫する要因になる。
吉田医師のクリニックでは、社員1人が病気で休職した場合、会社にどれくらいの金銭的負担がかかるのかを試算している。
 たとえば、年収500万円の社員が12ヵ月間休職したとする。試算期間は休職前と復職後(リハビリ期間)の各3ヵ月を併せて計18ヵ月間。
もし普通に働くと、給与と福利費で約872万円かかる。これに対して、休職した場合は、
傷病手当金や福利費、同僚の残業代、代替社員に必要なコストなどで、1512万円かかる。
結局、173%も会社の負担がアップしてしまうのだ。
 民間企業では、休職が長引く社員による負担を減らすために、就業規則を見直す会社が増えている。
また、そもそも新型うつを増やさないための対策を講じている企業も多いという。
「ニチレイは新入社員の指導員を決めて、きちんと教育するメンター制度を導入し、休職・退職する社員を減らすことに成功しています。
野村證券などもそう。病気になる前の対策も大切です」(東京女学館大学国際教養学部教授・西山昭彦氏)
 社会保険労務士の資格を持つ島林法律事務所の神内伸浩弁護士は、最近、労務管理についてアドバイスをした会社で、
こんな社員の話を耳にして驚いたという。
「あるIT企業に勤める入社3年目の20代の女性ですが、彼女も典型的な新型うつで、無断欠勤が1ヵ月も続くなど、
ひどい状態だったので、産業医の意見も踏まえて退職勧奨するよう進言しました。
 そもそも企業と社員との労働契約というのは、労働者が労働力を提供し、
使用者がその対価として賃金を支払うという契約なので、就業規則できちんと記しておけば、退職させることも可能なのです。
 けれども、退職勧奨をしたら、彼女が『どうしても辞めたくない。なんとかがんばります』と言い出したのだそうです。
念を押しても『大丈夫』というから、働かせてみたら、毎朝定時に出社するし、何の問題もなくなった。
逆に会社の人事の方から『辞めさせるつもりで厳しく言ったら治っちゃって。
どうしたらいいですか』と相談を受けて、困ってしまいました」

魔法のような診断書
 追い詰められると普通に働くことができる---病気というにはあまりにも不自然だ。
このように、生活保護の不正受給問題と同様、「権利ばかりを主張し、楽して利を取る」という人々が増殖している時代背景こそが、
新型うつの問題ではないだろうか。
「極端なケースですが、会社をサボりたいがために、うつを偽る人もいると思います。
軽い症状が出る新型うつの人も実際いますが、症状を偽る人は、〝偽装新型うつ〟と言ってもいいかもしれません」
(『「新型うつ病」のデタラメ』の著者でなかまクリニック院長の中嶋聡医師)
 うつ病への理解が広まったことは非難すべきことではないが、ビジネスライターの吉田典史氏は、
「新型うつが注目されすぎ、症状を偽る人まで出てくると、従来型のうつ患者も十把一絡げにされてしまって
〝うつは単なる甘えだ〟と否定されかねず、気の毒でなりません」と懸念する。
 新型うつが増えている原因は他にもある。
一つは、うつ病の診断方法(アメリカの精神医学会が作成した「DSM」というマニュアル)が一般化したことで、
誰でも容易にうつ診断が可能になったことと、SSRIという副作用の少ない抗うつ薬が開発され、処方されやすくなったこと。
さらに、診療報酬の問題もある。前出の吉野医師が、その構造を解説する。
「精神科の場合、今の診療報酬体系では患者さんにゆっくり話を聞いても割に合わないんです。
たとえば、患者の話を5分以上聞くと診療報酬330点、つまり3300円の収入になる。
ところが、30分以上話しても、点数は400点とそれほど変わらない。
そうすると、病院が一番儲かるのは、患者の話を5分聞いて回転数を上げることになってしまう。
これでは正確に症状を把握することはできないと思いますが。
また、うつ病の診断書の料金は病院ごとに自由な設定ができます。多くの病院は3150円程度ですが、5250円でもそれ以上にも設定できる。
そうすると、5分診療で、たくさん診断書を書く医療機関が儲かることになってしまう。
余計なことを聞かれず、簡単に診断書を書いてもらえるので、そうした場所に患者が集まりやすい、という歪んだ構図も生まれています」
 近年、こうした新型うつが急増していることについて、従来型うつの経験者はどのように見ているのか。
15年前にうつを患った作家の荻野アンナ氏は、自身の経験を振り返ってこう話す。
「私が、親の介護からうつになったときは、眠りが浅くなって体が動かず、目覚めてから立ち上がるのに3時間程かかったこともありました。まだうつの情報は少なく、病気に気づかなくて『自分は怠け者だ』と責めてしまっていたのですが、
『薬で調整できる』『医者に行けばいいんだ』ということがわかったときは、それだけで涙が出るくらい嬉しかった。
新型うつの患者さんを知らないので、よくわからないですが、若いうちから『ストレスがあったら会社を休めばいい』なんてことに
慣れてしまうと、その先、大変ですよね。まぁ、いろんな意味で、皮肉も込めて、いまはいい世の中なんでしょうけれど」
 つらいことに直面したら逃げる、自分の利益を最優先する---易きに流れる人々が蔓延してることこそが新型うつの最大の原因であり、
問題ではないか。
「週刊現代」2012年6月30日号より

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精神的病気で休職の教員5000人超

2013年01月16日 | 情報
直近の体罰事件をはじめ、現場の先生はたいへん、です。

<心の病>全国教員の休職、微減の5274人…11年度
毎日新聞 12月24日
 文部科学省は24日、うつなど心の病で11年度中に休職した教員は5274人だったと発表した。
2年連続で減少したものの、10年前(02年度2687人)の約2倍で、08年度から5000人を超える高い水準が続いている。
同省は「学級を一人で受け持ち、保護者との関係の悩みなどを同僚や上司に相談しにくい状況が依然あるのではないか」と分析。
今年度中に対策を検討する。一方「教える内容に誤りがある」など指導が不適切と認定された教員は168人いた。
全国の公立小中高校と特別支援学校、中高一貫校の教員約92万人を調査した。心の病による休職は
18年ぶりに減少(51人)した10年度(5407人)から、さらに133人減った。50代以上が最多で2037人(39%)。
40代1712人(32%)▽30代1103人(21%)▽20代422人(8%)。
全体の教員数が最も多い小学校(約41万人)が2347人で最多だった。
 同省初等中等教育企画課は「憂慮すべき状況で、教員の相談窓口を校内に設置するなどの対策が必要だ」としている。
心の病を含む全体の病気休職者は8544人で10年度から116人減り、19年ぶりに減少した。
一方、指導が不適切と認定されたのは10年度の208人から40人減った。
「学習指導要領が理解できず指導計画が立てられない」(30代女性・小学校)
▽「常に指示待ちで書類を作成できない」(40代男性・小学校)
▽「生徒に対しマイナスの発言が多い」(50代女性・中学校)--などのケースがあった。
168人のうち108人が研修を受け47人が現場に復帰。24人が依願退職するなどした。
同省は同時に11年度に懲戒処分を受けた教員数も発表した。10年度から45人減の860人で、交通事故(326人)が最多。
わいせつ行為(151人)が次に多く、被害者のうち77人は自校の児童生徒だった。

<心の病>休職の教員 仕事増え、現場にゆとり消える
毎日新聞 12月24日
 文部科学省が24日公表した、昨年度に「心の病」で休職した5200人余りの教員たち。
休まざるを得なくなった教員の体験からは、子供の荒れや保護者への対応、増える一方の事務に追われる中で、
同僚同士のつながりが薄れ、真面目な人が追い詰められていく現場の実情が浮かび上がる。
 大阪府内の中学に勤める40代の女性教諭は1年半前、うつ病で休職した。
学力や生活上の課題を抱える生徒が多く、保護者との関わり方に神経を使う学校だった。
前任校では指導に定評があったが、同校では指導法や保護者対応が同僚の理解を得られず追い詰められた。
「成果がはっきり見えない仕事だけに教員同士で支え合って子供のためになることを話し合うべきなのに、
そのゆとりがなくなってきている」という。
 府内の小学校で教諭だった60代女性も10年前、休職に追い込まれた。
給食費を滞納する家庭に督促するのは「担任の責任」と言われ、毎月、常連未納者の自宅前で保護者の帰宅を待つ日々。
会議や報告書作成、学校への保護者の要求が増えた。多動で授業中に他の子供の邪魔をする児童がクラスに2人いたが、
管理職に「あんたの責任」と突き放された。
「2本しか手がないのにどうやって2人に目を配りながら、他の子たちを世話するのか」。
悩むうちに家から出られなくなり、最終的に辞職した。「せめてカウンセラーなどに気軽に相談できる態勢が必要」と訴える。
東京都教職員互助会が運営する三楽病院(千代田区)精神神経科の真金薫子(まがねかおるこ)部長は
「学校全体で仕事量が増え、みんな余裕がなくなっている。人手を増やすなど仕事量を調整する必要がある」と指摘する。
真金部長は教職員の精神疾患が専門。同病院では相談件数が年々増加し、
電話で臨床心理士が応対した場合も含む昨年の相談件数は約2500件で、今年も同様の水準だ。
最近は定年退職や早期退職でベテランが現場を離れ、20代の教員が増えており「若手を支える層が薄く、30~40代に負担がかかる」。
若手も高いレベルの仕事を求められ大変という。

精神的病気で休職の教員5000人超 
NHK 12月24日
昨年度、うつ病などの精神的な病気で学校を休職した教員は、前の年度より減少したものの4年連続で5000人を超え、
10年前の2倍の深刻な状況が続いていることが文部科学省の調査で分かりました。文部科学省が、
全国の公立の小中学校と高校、それに特別支援学校の教員を対象に調査したところ、
昨年度、病気で休職した教員は8544人と、前の年度より116人少なく19年ぶりに減少に転じました。
このうち、うつ病などの精神的な病気が5274人と62%を占め、前の年度より133人減ったものの4年連続で5000人を超え、
10年前の2倍の深刻な状況が続いています。
年代別にみますと、最も多いのが50代以上で39%、次いで40代が33%、30代が21%、20代が8%となっています。
文部科学省によりますと、40代以上は校内の業務が集中することにストレスを感じる傾向が強く、
20代や30代は保護者への対応に悩む傾向があるということです。
一方、昨年度、精神的な病気で休職した教員のうち、年度内に復職した人は37%、休職中の人は43%、退職した人は20%でした。
また、いったん復職したものの1年以内に再発し、再度、休職した人は12%でした。
文部科学省は、学校現場の業務量が増え、教員が多忙になっていることが背景にあるとして、
業務の見直しや相談体制の充実、復職プログラムの作成など、必要な対策を今年度中にまとめることにしています。
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現代の若者を理解しよう

2013年01月15日 | 情報
一方で、現代の若者は他罰的であると云われています。いわゆる若年性うつ症状を呈する人には、
そのような傾向が顕著のように聞いています。
仕事ができないのは、教え方が悪いのだというように。教えないのが悪いのか、学ばないのが悪いのか。

現代の若者のこうした考え方は、現象として紹介されてはいますが、これを理解する意見はまったくと言ってよいほどありません。
ですので、ここでは理解できる考えもあることを申し上げます。
現代の若者は、この世に生を受けてからまったく人格形成のための教育を受けるチャンスがなかったのではないかと考えています。
物質的に恵まれた時代に生まれてきましたし、少子化で町内・公園にはガキ大将もいません。
遊びはファミコンでしたし、両親は共稼ぎ、学校はゆとり教育、これでは人間的に成長する、
成長できる環境に恵まれなかった、ある意味では不幸な世代なのでしょう。
自ら学ぶような資質も乏しいでしょうから、結果としてどうしても、繰り返しますが「他罰的」傾向になることもあるでしょう。

比較するのには無理もありますが、敢えて申し上げれば、先の大戦で焼け野原に放り出された、昭和ひとけた世代の、
当時の若者はどうしたらよかったのでしょうか。他罰的な言動・行動をしても世の中から見捨てられたのがオチでしょう。
どうしたら生きていくことができるか、必死にもがいていた時代です。
それに比べれば、現代の若者は幸せです、恵まれています。ですから他罰的な言動しても理解されないでしょう。

企業・組織の人事・教育担当は、現代の若者が成長してきた背景を理解しておくことが重要でしょう。
参考に、一例として民間の調査データを紹介します。
なお、NHKニュースは一面を紹介しているのみですので、調査結果の原文に当たってください。

新成人 約6割“進路に不安”
1月14日 NHKニュース
14日は成人の日です。
新成人の6割近くが「今後の進路に不安」を感じていて、4人に1人が「望む会社でなくても正規の仕事なら妥協する」と
考えていることが、民間の情報サービス会社の調査で分かりました。
この調査は結婚情報サービス会社の「オーネット」がインターネットを通じて行い、全国の新成人800人が回答しました。
それによりますと、新成人の56.6%が「今後の進路に不安を感じている」と答えていました。
また、将来の自分の生活が親の世代と比べてどうなると思うかについては、
「悪くなる」が47.6%、「変わらない」が33.9%、「よくなる」は18.5%にとどまりました。
仕事に対する考えでは、「会社で出世したい」という答えが25.5%で、前の年より8.1ポイントも減少し、
「就職する会社は規模が大きいほうがいい」も4.2ポイント減って15.1%でした。
そして、24%、4人に1人が「望む会社でなくても正規の仕事なら妥協する」と答え、
厳しい雇用情勢を反映して「就職することを重視し、高望みをしない」傾向がうかがえます。
若者の動向に詳しい中央大学の山田昌弘教授は、「若者はこの数年の間に『不安』慣れしており、上昇志向もなくなってきている。
これはやる気がないからではなく、上の世代を冷静に見て、
安定した暮らしを送るためには高望みせずに立ち回ったほうがうまくいくと思っているからではないか」と話しています。

http://onet.rakuten.co.jp/company/activity/report/research/vol61.html
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会議をする暇があるのなら

2013年01月14日 | 情報
今月の8日に紹介した調査データでは、
衛生委員会でのMHについての調査審議について「ある」と回答した事業場は52.0%、「実施予定」が27.7%でした。
未だに、半数近い企業で衛生委員会が開催されていません。ゆゆしき問題です。
今日のようにMH問題がクローズアップされていなかった時代には、理解できる理由もありましたが、
今や、MH対策において、「衛生委員会の開催」は対策の「入り口」です。

中小企業の現場では、毎日のルーチン業務に追われてしまいますし、間接部門の人員も限られていますので、
会議をしている暇があるくらないら、営業しろ!なんてことになります。

そうはいっても、月に1回くらいはミーティングと称して、社長訓示なんて言うものがありますよね。
その機会を利用して、衛生委員会を開催しましょう。
しかし、衛生委員会を単独で開催するのは、上述したようになかなか難しい問題です。
ですから、幾つかの会議体を連続して開催することをお勧めします。
例えば、労使の会議としての「労使協議会」、業務の見直し・効率化を検討する「業務改善委員会」、
それと「衛生委員会」を、一日に連続して開催すると、出席するメンバーはかなりの割合で重複しますから、
会議体運営の効率化が促進できることでしょう。
さすがに、営業会議や生産計画会議等などは一緒にならないでしょうが、出席するメンバーの多くが
重複するのであれば、一緒にしてしまうことも検討する価値があるでしょう。
そして、朝から開催すれば午前中に終了しますので、その後は全員で昼食懇談会などはどうでしょうか。
従業員の本音を聞き出すことが、最も重要なことですから。

このようにして、衛生委員会をぜひとも定例開催にしてください。
法令で開催を定めているから、というような動機づけではやがてマンネリ化することは必須でしょう。
衛生委員会で審議するする事項は、定められていますが、これを審議してはいけない、と
決められているわけではないのですから、頭を柔らかくして取り組みましょう。

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社員の育成で気になること

2013年01月11日 | 情報
トラの親は、子供を敢えて千丈の谷に突き落とすそうですね。
谷底から這い上がってきた子供だけをわが子として育てるという、言い伝えがあり、
これを翻って人間教育に当てはめるようなことが言われてきました。
因みに、この題材は、能や歌舞伎に伝えられて今日に至っています。

また、豹は子が1年半くらいになると、親は子に無関心を装い、攻撃を仕掛けるといいます。
そうなると子供は親に甘えることができなくなりますので、餌を求めて自分一人で旅に出かけます。
そのまま飢え死にするかもしれませんが、親に放っておかれますのでしっかりした豹に育ちます。

ところで、人間社会はどうなのでしょう。トラとは一緒になりませんが。
作家の曽野綾子さんは、「文化とか自分の個性は『能動』で作るべきでしょう。『たとえ間違っていようとも、
これをやるんだと』と。それが今は『受け身』。そのおかげで日本全体がどうしようもないほど幼稚になりました。」
(読売新聞、'13.1.1)と述べておられます。
逞しい人間に育て上げることが、親の一番の義務であるにもかかわらず、
今の親は、子供をペットのように育てることが良いことだ、と思っているのではと想像してしまいます。
子供は恵まれすぎて、怠け者になっているのではないでしょうか。

このようにして成長してきた若者が、社会に進出するわけですから、いま、若手社員の育成に、
企業の人事・教育部門が困っているのは当然でしょう。
社会人になって早々に自立してくれれば何ら問題はないのでしょうが、
どうしても会社・組織側から「手を差し伸べざるをえない」のが現状でしょう。
手を差し伸べる、ことは重要なことですが、それではいったい何時まで「手を差し伸べれば」よいのでしょうか?
まさか、定年退職するまでと考える人はいないでしょうが、冗談抜きで、そのような状況に早晩追い込まれるのではないでしょうか。
社員教育における集合教育やOJTは、プロとして、独り立ちさせることが目標ですので、
その育成過程で、「手を差し伸べること」は必要なことです。
しかし、「手を差し伸べること」は、あくまでも二次的な手段であり、
第一義としては、自ら学び、自ら成長し、自ら道を切り開いていくよう促すことが大切です。

「手を差し伸べること」が行き過ぎると甘やかしになります。「甘やかしは毒薬である」といいます。
何時までも「手を差し伸べて」いたのでは、明日の御社を背負って立つ人材の育成は、望めません。
「手を差し伸べる」ことは、あくまでも二次的手段であることを、企業・組織の人事・教育担当は肝に銘じるべきと考えます。
正月早々、厳しいことを申し上げますが、MH問題から派生する、企業・組織の考え方に疑問を感じましたので。



 


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