中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

オープン就労 70%

2021年11月30日 | 情報

就労支援施設で種々の活動を終了後、どのような進路を選んだかのデータを入手しました。
それは、東京大学医学部付属病院が行っているデイケアプログラム
「東大DH(デイホスピタル)」の実績です。H3.11.25に入手。

DH利用後の進路は、
オープン就労 70%、・クローズド就労 4%、・保護的就労 4%、
・移行支援 6%、・就学 14%、 その他 2%
でした。

オープン就労か、クローズド就労か、という選択肢については、今や悩ましい問題ではなく、
殆どが「オープン就労」が選択されているようです。
因みに、この問題は、少なくとも10年くらい前では、オープン就労か、クローズド就労か、
で悩ましい問題だったのです。

平成30年4月1日の法改正で、障害者雇用義務の対象として精神障害者が
加わったのが契機となり、精神障害者のオープン就労が急速に拡大してきたと、
小職は考えていました。
小職が入手していた定性情報では、もう少しクローズド就労が多かったのですが、
1事例ですがオープン就労が、今や当たり前のようですね。

〇(東大病院精神科デイホスピタル 森田先生)オープン就労の、
メリット
・病気や体調への配慮をしてもらえる
・通院日が平日にも設定しやすい
・少ない日数や時間から始められる(小職補足:就労が)
・就労準備期間に支援者のサポートを受けることができる
・就労後も定着支援を受けられる

デメリット
・求人の種類が限られる
・給料は働いた分もらえる(小職補足:当全のことでデメリットか?)
・精神保健福祉手帳が継続的に必要になる(小職補足:問題はないのでは?)
・上司や人事担当者には、自分の病気を明かす必要がある(小職補足:当然のことでデメリットか?)

(小職補足:ということで、オープン就労のデメリットは、殆どないのでね。)

〇厚生労働省HP 「障害者雇用義務の対象に精神障害者が加わりました」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000192051.html

〇東大DH(東京大学医学部付属病院 リハビリテーション部 精神科デイホスピタル)

http://todai-dh.umin.jp/index.html

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新バージョンの開発は

2021年11月29日 | 情報

ストレスチェック制度の運用に関するオンラインセミナーを視聴していたら、
ある参加者から以下のような質問がありました。

「職業性ストレス簡易調査票の新バージョンの開発は予定されているのでしょうか?
ストレスチェック制度が始まりしばらく経ちましたので、質問項目も同じで、
飽きがでている印象もあります。
また、テレワークが多くなり、作業環境において、少し実態との乖離も感じることがあります。」

尤もな質問です。最近の当ブログでも取り上げた話題と共通します。
講演者は某産業医なのですが、対応として「新職業性ストレス簡易調査票」(80項目版)を
紹介していました。以下から参照できます。

https://mental.m.u-tokyo.ac.jp/jstress/ 東京大学・川上教授

さて、産業医らしい回答なのでしょうが、これでは質問者の質問の意図を理解したうえでの
回答とは云えないでしょう。
「新職業性ストレス簡易調査票」(80項目版)は、一般的なストレスチェック調査票(57項目版)に、
仕事に対する「エンゲージメント(モチベーションなど)」や、
「職場環境」「ハラスメント」についても測定できる質問項目が追加されているだけなのですから。

なお、新バージョンの開発は無理でしょう。はっきり申し上げれば、あり得ないでしょう。
やはり、小職が主張(10/25,10/26,11/2の小職ブログ参照)しているように、
企業・事業場では、7年目(多分)に入ったストレスチェック制度の運用は限界なのでしょう。

従って、小職が勧める代替策としては、義務化されているストレスチェックは実施するものの、
その後の一連の解析は行わず、産業医がチェック表から問題があると認められる従業員と
通常の産業医面談を行い、問題の深刻化を防ぐ対応をとれば問題はなくなるでしょう。
それに、ストレスチェックを外部委託しているのであれば、
その費用を産業医、精神保健福祉士等の面談費用に転用すれば、対応は十二分でしょう。
ただし、努力義務となっている集団分析は、事実上できませんので、
態勢が整うまで、先送りしてはいかがでしょうか。
なお、社内には、当面の間、その理由と集団分析は行わないことを周知しておくことが必要でしょう。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

永遠のテーマ?の背景

2021年11月26日 | 情報

永遠のテーマ?の第3弾です。
それは、衛生委員会の組織です。

なお、話を分かりやすくするために、「安全面」を省略します。
決して、安全面を軽視しているわけではありません、念のために。

まず、安衛法第18条の2項以下の記載です。 
2 衛生委員会の委員は、次の者をもつて構成する。ただし、第一号の者である委員は、一人とする。
一 総括安全衛生管理者又は総括安全衛生管理者以外の者で当該事業場において
  その事業の実施を統括管理するもの若しくはこれに準ずる者のうちから事業者が指名した者
二 衛生管理者のうちから事業者が指名した者
三 産業医のうちから事業者が指名した者
四 当該事業場の労働者で、衛生に関し経験を有するもののうちから事業者が指名した者
3 事業者は、当該事業場の労働者で、作業環境測定を実施している作業環境測定士であるものを
  衛生委員会の委員として指名することができる。
4 前条第三項から第五項までの規定は、衛生委員会について準用する。
この場合において、同条第三項及び第四項中「第一号の委員」とあるのは、
「第十八条第二項第一号の者である委員」と読み替えるものとする。

前条第三項から第五項とは、第17条の
3 安全委員会の議長は、第一号の委員がなるものとする。
4 事業者は、第一号の委員以外の委員の半数については、当該事業場に労働者の過半数で
組織する労働組合があるときにおいてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合が
ないときにおいては労働者の過半数を代表する者の推薦に基づき指名しなければならない。
5 前二項の規定は、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合との間における労働協約に
別段の定めがあるときは、その限度において適用しない。

を云っていますので念のために。

衛生委員会は、いろいろな立場、いろいろな背景を持った人員で構成されているのです。
まず、「企業内」の人事労務担当トップ、衛生管理者、労組推薦の従業員等、
それに「企業外」の産業医、保健師等の産業保健スタッフ等がいます。

実際の衛生委員会は、「和気あいあい」と進行しているかもしれませんが、
例えば、人事労務担当トップと労組推薦の従業員とは、日常的に微妙な関係にあるかもしれません。
さらに、当該企業とは微妙な距離感を持つ「健保組合」のスタッフ、
加えて、産業医、保健師等の組織外メンバー等、いろいろな立場、いろいろな背景を
持つ人員が参加して衛生委員会を構成しています。

ですから、衛生委員会に出席する各委員は、かなり意識した、あるいは本音より正論、
オブラートに包んだような発言、所属する組織を代弁した意見、等々の発言をします。
さらに、日本の組織の特徴、あるいは欠点である「セクショナリズム」に囚われていますから、
議論を戦わすというより、ひたすら時間が過ぎるのを待っているという態度に終始しがちです。
言いすぎでしょうか?もちろん、すべての企業・事業場における衛生委員会の実態を
承知しているわけではありませんので。

しかし、小職は、これらの高いハードルを克服している、あるいは、
たくさんの成果を出し続けている企業・事業場があることを承知しています。

このような状況にある衛生委員会を活性化するには、一朝一夕の覚悟ではできません。
事務局の奮起を促したいと思います。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

永遠のテーマ?(続編)

2021年11月25日 | 情報

先週にアップした「永遠のテーマ?」は、参考になりましたか?
ちょっと議論が飛躍しているのではとの印象を持たれたみなさんや、
衛生委員会にこれから取り組もうとする企業・事業場には、よい参考資料を紹介します。
それは、「衛生委員会・活性化テキスト」(独)労働者健康安全機構編です。

https://www.johas.go.jp/Portals/0/data0/sanpo/manual/eiseiiinkai_2020_04.pdf

具体的に内容をみてみましょう。

衛生委員会の進行例が掲載されています。司会者から指名された衛生管理者は、
前月の長時間労働者の実態を報告しています。
これは、あらかじめ報告することが予定されているから、できることです。
しかし、予定されていなければ指名されても実績データを持ち合わせていませんから、
結果や見解を報告することができません。事務局から事前に要請があるからできるのです。
これは、すべてに共通することなのです。

事務局が、参加者に事前に議題を知らせていなければ、議事は進行しません。

きわめて簡単なことなのですが、事務局のみなさんは、多忙を理由にして、
できていないことを正当化している傾向にあります。
これでは、衛生委員会がマンネリ化し、議論の質が低下します。
ですから、委員の皆さんも参加意欲が低下します。
結果、衛生委員会の議題がなく、マンネリ化を嘆くことになってしまうわけです。

それにしても経営層はなぜ、マンネリ化を放置するのか?
それは、差し当たっての企業の経営にとって、低調な衛生委員会が何らの影響も与えないからです。
しかし、当ブログをチェックされている皆さんは、
長期的には、企業の基盤をじわじわと蝕むことになることを理解しているはずです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

3割弱の企業が「縮小する」

2021年11月24日 | 情報

コロナ禍が取りあえず沈静化したのを受けて、企業ではテレワークを縮小する動きがあるようですが、
簡単には喜べないと考えます。例えば、飲食業界に客が戻ってこないという報道があります。
人間の行動心理は、あるきっかけを境にして、がらっと変化することがあります。
労働者が、現場に戻ったら、以前のようなパフォーマンスを完全に発揮できるか、できるのか、
少々疑問に思えます。考えすぎでしょうか?

テレワーク、3割弱の企業が「縮小する」…出社を促す動き

11/22(月) 読売

読売新聞社は、緊急事態宣言と飲食店の営業時間短縮が解除されたことを受けて、
国内主要企業に対し、働き方に関するアンケート調査を実施した。
新型コロナウイルスの感染拡大で導入したテレワーク(在宅勤務)は、過半数の企業が
「現状維持」と回答したが、3割弱は「縮小する」と答え、出社を促す動きも出ている。

調査は10月下旬から11月上旬にかけて実施し、125社から回答を得た。

テレワークの対応を聞いた質問では、56%の70社が「現状維持」と答えた。
「縮小」が35社、「拡大」が5社、「未定・検討中」は2社だった。
現状維持と回答した富士通は「今後もテレワークを基本とするが、
対面業務の必要性が高い場合は出社を可能とする」としている。

政府が19日に改定した新型コロナに関する基本的対処方針では、
テレワークの推進は引き続き求めるが、出勤者数の7割削減の目標は削除した。
取引先や社内のコミュニケーションを図るために、出社が必要だと考える意見は多い。
テレワークを縮小する企業は増えていく可能性がある。

飲食を伴う社内外の会合ルールも尋ねた。「緩和する」の回答が73社で最も多く、
「現状維持」は44社、「未定・検討中」は4社。「厳格化する」はゼロだった。

多くの企業はこれまで、感染を防ぐために、社員同士だけでなく、取引先との会合を控えてきた。
感染者数の減少で、東京都や大阪府では10月下旬、飲食店への営業時間の短縮要請を
11か月ぶりに解除した。
各社は自治体が示したルールに従い、少人数や短時間などの条件付きで
開催を容認する姿勢に転じている。
ホンダは「必要性を見極め、感染防止策の徹底を条件に解禁した」と回答した。

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする