中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

課長級2人うつ発症→退職

2017年06月30日 | 情報

地元テレビ、新聞報道からの推測です。
それにしても、よくもここまで引き延ばしたな、という印象です。
当公社の社長は、県副知事だそうで、ということは、
パワハラを「日常化」していた管理職が、実質的に組織を統括していて、
社員19名は、何らの反論、行動が許されていなかったのでしょう。
そして、当の管理職は、社長から全権を一任されていると、思い込んでいたのでしょう。
組織の実質トップが、パワハラをすると、注意する人、止める人がいないという現実がありますね。
報道から推測しますが、このような閉鎖構造を許した、社長である副知事の管理責任が問われるべきでしょう。

県漁業公社でパワハラか
17.6.28テレビ長崎

社員がわずか19人しかいない県が出資する会社で、10人が管理職から「パワハラを受けた」などと話しているほか、
この4年間で、別の11人が退職していたことがわかりました。
県漁業振興課によりますと県が約6割を出資している漁業支援などを行っている株式会社「県漁業公社」では、
2013年の6月から先月までの4年間に11人の社員が退職しています。
このうち、2014年と2016年に退職した当時40代の男性2人は病院で、うつ病と診断されたということです。
これを受け、県はことし1月、県漁業公社の全社員19人(当時)に聞き取りをしたところ、
2人が、60代の男性管理職から大声での叱責など威圧的な発言を受けたとし、
8人が「パワハラを見聞きした」と答えました。
男性管理職は「職務上の指導に行き過ぎたところがあった」と話しているということですが
処分などはなく現在も勤務しています。
一連の問題は発覚から半年以上たった27日の県議会一般質問で、
中山功議員(長崎創生の会)の質問に県側が明らかにしたもので、
公社の社長でもある濵本副知事は「第三者としての相談窓口を県庁内に設けることで風通しを良くしたい」と述べています。

長崎県漁業公社でパワハラか
17.6.28長崎放送

長崎県が出資する長崎県漁業公社で、複数の社員が管理職によるいじめ、
パワーハラスメントを訴えていたことが分かりました。
パワハラ行為の疑いがあるのは、長崎県漁業公社の60代の管理職の男性です。
県の漁業振興課によりますと、県漁業公社では2013年から去年までに11人が退職しており、
うち2人は「うつ病」と診断されていました

このため県は、今年1月に当時の全社員19人に聞き取りをしたところ、
2人が管理職の男性から「たびたび長時間にわたって大声で叱責された」と答え、
8人がそうした現場を見聞きしたと話したということです。
県は、男性管理職の行為はパワーハラスメントにあたる疑いがあるとして指導。
男性は県に対し「指導と思っていたが、行き過ぎたところがあったと反省している」と話しているということです。
この問題を受け、県は今年3月に公社と県漁業振興課にパワハラに対する相談窓口を設置していて、
今後は再発防止に努めたいしています。

課長級2人うつ発症→退職、長崎県漁業公社でパワハラか 60代管理職「指導で高ぶった」
17.6.28産経

長崎県漁業公社(同県佐世保市)の60代男性管理職が、
部下に威圧的な言動を浴びせるなどのパワハラをした疑いがあることが28日、公社に出資する県への取材で分かった。
管理職は「業務指導で感情が高ぶった」と説明し、反省しているという。
県によると、2013平成25年6月に就任したこの管理職の下で、
昨年12月までに課長級の40代男性職員2人がうつ病を発症して退職した。
県はこれを受け、今年1月時点で在籍していた全職員19人に聞き取り調査を実施。
その結果、2人が管理職から威圧的な言動をされたと回答。8人が管理職のパワハラを見聞きしたと答えた。
公社や県は、相談窓口を設けるなどの再発防止策を取っていることを理由に、
管理職の言動と職員のうつ病発症との因果関係を調査しない方針。
公社は長崎県が株式の約6割を保有する第三セクター。浜本磨毅穂副知事が社長を兼務する。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新聞の読者投稿

2017年06月29日 | 情報

当職と同じ想いの投書者がいらっしゃいました。

読者投稿欄:「障害」表記広く議論を '17.6.26読売

中高一貫校教諭(32才)
「障がい」という表記をよく目にするようになった。元々「がい」には「碍」の漢字も使用されていたが、
当用漢字の制限などから専ら「害」が使われるようになったそうだ。しかし、近年、「害」には
「悪い結果や影響を及ぼす物事」という意味から不適切という意見がある。
人や物のイメージが漢字によって決まってしまうこともある。
「悪い結果や影響を及ぼす」わけではない障害を持った人々に「害」を用いるのは不適切だと思う。
「障」にも「じゃまをする。さしさわり」という意味がある。
「害」が不適切なら、「障」も同じではないか。
「障がい」なのか「しょうがい」なのか。国民的議論があってこそ、本当の意味で障害を持った人々のことを
考えることになると、私は思う。

(再掲)17.4.3障害から、障がい、に

当ブログでは、従来より医療業界、学会の慣習に従い「障害」という表現を使用してきましたが、
これからは、「障がい」という表現に統一して、使用します。

きっかけは、ジョブコーチ事業の支援をしている、「公益財団法人 東京しごと財団」が発行しているリーフッレトでは、
「障害」ではなく、「障がい」という表現に統一して使用しているのを、確認したからです。
以前より、「障がい者」の患者団体等から、「障害」という表現は如何なものかと疑問を投げかけられていました。
実際に、「障がい者」の患者団体等では、「障害」という表現を使用していませんでした。
あるいは、「障碍」という文字を使用している例もありました。

当職も、若干の疑問を感じながら、医療業界や医療の専門職も「障害」という表現を、
一般的に、通例的に使用してましたので、それに倣い「障害」という表現を使用していました。
ところがある時、ある精神科専門医から講義を受けたのですが、「障害」の原文表現は、「disorder」であると。
だから、「disorder」を「障害」と和訳するのは問題があり、せいぜいが「心の変調、混乱」でしょうと。
そこで、本棚に「つんどく」してあったDSM-Vを確認してみると、気分障害は「Mood Disorder」と記されていました。
研究社の英和辞典によると、「disorder」の和訳は、「無秩序、乱雑、混乱、(心身)の変調、病気」とあります。
次に、広辞苑で「障害」を引いてみると、「さわり、さまたげ、じゃま」と詳解しています。
さらに、「障害」を英訳すると、研究社の和英辞典で引いてみると、「an obstacle」とありました。

即ち、当職は精神医学の門外漢ですが、「disorder」を「障害」と和訳するのは、如何なものかという、疑問が残りました。
しかし、長年にわたって、「disorder」を「障害」と和訳して、使用してきた現実がありますので、
当職が異論を唱えてもどうしようもありません。
ということで、今後、当職は当ブログの表現をはじめ、個人の見解を表明する際には、
「障害」は「障がい」という表現に統一して使用して参ります。
なお、慣れるまで、若干の言い間違いが起こることは、お許しください。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

明日は、休載です。

2017年06月27日 | 情報

本日より、出張しますので、明日は当ブログ、休載です。
再開は、明後日、29日です。
よろしくお願いします。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

質問に回答します⑤

2017年06月27日 | 情報

Q:休職中の社員との、コミュニケーション方法、連絡の取り方についてアドバイスをお願いします。

A:休職中の社員と、定期的なコミュニケーションが必要なことは、云うまでもありません。
なぜなら、休職中であっても、従業員としての身分に変わりはありませんので。
従って、会社としては、当該社員に対して、当然に安全配慮義務の履行が求められるからです。
「せいせいした、ほっとした」などと、不謹慎な思いを持ってはいけません。
音信不通だ、行方不明になった、などとなっては、問題がますます大きくなってしまいます。

そこで、当該社員が休職する前(やむを得ず、突然休職する場合もあります)に、
休職中における、会社とのコミュニケーションの在り方を打合せしておくことが必要です。
なお、その他に、会社の諸規程、休職中の待遇、収入、過ごし方及び、復職のやり方なども
打ち合わせておくことも必要ですが、別稿に譲ることとします。

さて、まずコミュニケーションの方法ですが、電話、手紙、メール、直接の面談等が考えれます。
しかし、それぞれに長所、短所があります。
会社側にとって、
・電話
メリット:いつでも、任意に連絡できる。
     音声なので、ある程度の意思が伝わる。
     手っ取り早い。
デメリット:相手が在宅かどうか分からない。
      相手の都合を全く考慮しない。
      相手の声は聞こえ、類推はできるが、直接に会っていないので、細部の様子が分からない。
・手紙
メリット:いつでも、任意に連絡できる。
     相手に、迷惑がかからない。
     多くの情報(モノを含む)を伝えることができる。
デメリット:最近の若手社員にとっては、苦手な連絡ツール。
      確実な返信が期待できない。
      一方通行で、問題あれば、数次にわたる往信が必要。
      相手の様子が、窺い知れない。
・メール
メリット:いつでも、任意に連絡できる。
     いつでも開封ができ、相手に迷惑がかからない。
デメリット:相手の様子が、窺い知れない。
      一方通行で、問題あれば、数次にわたる往信が必要。
      伝えることができるのは、文章のみ。
・直接の面談
メリット:直接に会うので、相手の様子がすべて分かる。
     いろいろなモノを持参できる。
デメリット:遠隔地だと、時間、費用等が負担になる。
      日程調整に手間取る。

結論としては、それぞれのメリットを生かした、数通りの手段による組み合わせが必要でしょう。
次に、頻度ですが、休職初期は、病気の急性期でもありますので、1か月に1回程度が、ベターでしょう。
もちろん、病気の種類や病状等によって、頻度を打合せしておくことも大切です。
また、緊急の連絡や面談も必要であり、柔軟に対応することが必要でしょう。
急性期を乗り越えれば、双方で頻度を決めることができますが、これにもある程度の柔軟性も必要でしょう。

次に、会社側のコミュニケーションを誰が担当するかです。
理想は、産業保健スタッフ、人事労務担当のうちから、休職者が了承した従業員が担うことになります。
そして、特定個人にすることが重要です。
事案によって、入れ替わり立ち代わりに、連絡してしまうのでは、休職者が混乱してしまいます。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

質問に回答します④

2017年06月26日 | 情報

Q:法律改正で、産業医の定期巡視が、1月に1回から、条件付きで2月に1回でよいことになりました。
ところが、一方で働く場所は多様化しています。例えば、在宅勤務(テレワーク)、客先常駐等であり、
営業や物流部門は、事務所に勤務するのは、稀な状況です。産業医の先生には、どのような依頼をしたらよいのでしょうか。

A:平成29年3月29日に公布され、改正省令は平成29年6月1日から、
改正告示は平成29年10月1日から、それぞれ施行又は適用されることになりました。

産業医の定期巡視及び権限の付与
安衛則第15条  産業医は、少なくとも毎月一回(産業医が、事業者から、毎月一回以上、
次に掲げる情報の提供を受けている場合であつて、事業者の同意を得ているときは、少なくとも二月に一回)
作業場等を巡視し、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるときは、
直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない。
一 第十一条第一項の規定により衛生管理者が行う巡視の結果
二 前号に掲げるもののほか、労働者の健康障害を防止し、又は労働者の健康を保持するために必要な情報であつて、
衛生委員会又は安全衛生委員会における調査審議を経て事業者が産業医に提供することとしたもの
2  事業者は、産業医に対し、前条第一項に規定する事項をなし得る権限を与えなければならない。

一方で、安衛則第15条1項に規定されている「作業場」とは、「事業場内において密接な関連の下に作業が行われている
個々の現場をいい、主として建物別等によって判定すべきものである」とされています。(昭23・4・5基発第535号)
さらに、事業とは、「工場、鉱山、事務所、店舗等の如く一定の場所において相関連する組織のもとに
業として継続的に行われる作業の一体をいうものであって、必ずしもいわゆる経営上一体をなす支店、工場等を
総合した全事業を指称するものではないこと」とされています。(昭22・9・13基発第17号)

以上を素直に解釈すると、作業場は事業場内にあることになります。
もし、この解釈が正しいとなれば、上述した「在宅勤務(テレワーク)、客先常駐等」は、
産業医の定期巡視に該当しないことになります。
しかし、これでは法の精神からは、かけ離れてしまいます。

そこで、労基署長経験者の先生に確認しました。
「労基署としては、この質問に対する回答を、現在、用意していない。
将来的には、厚労省が対応するかもしれない。」ということでした。
そこで、当職としては、質問者に、安全配慮義務の遵守を意識して、委嘱している産業医と相談のうえ、
企業としてできる限りの対応をしてください、とアドバイスします。回答としては、十分でありませんが。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする