中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

27日から6日まで休載です

2013年04月26日 | 情報
ゴールデンウィーク中は、多くのクライアントも休業に入りますので、休載します。
ゴールデンウィーク中も休業できない皆様には申し訳ありませんが、7日より再開します。
宜しくお願いします。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

MH対策に取り組む担当者の心得

2013年04月26日 | 情報
MH対策に取り組んで企業・組織の担当者の現状を定性的に整理すると以下のようになるでしょうか。

・看護師・保健師をはじめととする産業保健スタッフ、人事労務担当者の皆さんは、MH問題の重要性を理解され、
 対策の実現に向けて日々努力されています。
・しかし、対策を具体化するためには、トップの理解のもと、全社を動かしていく必要がありますので、
 声を大きくして、社内に呼びかけ、社内を動かしていかなければなりませんが、なかなか協力を得られないのが実情でしょう。
・一方、中小企業の経営層のMH問題に対する無理解が、自社のMH対策の遅れを助長させるとともに、
 産業保健スタッフや人事労務担当者のやる気をそいでいます。
・さらに、経営層の中には、MH対策を実施することが経営に資することなのか、
 酷い例としては、職場復帰支援などは社員を甘やかす制度なのではないのか、といった指摘をすることもあり、
 産業保健スタッフや人事労務担当者を当惑させているようです。

産業保健スタッフ、人事労務担当者の皆さんへの提案です。

・特に小企業・零細な企業では、担当者が一人という状況が散見されますが、決して一人で孤立することがないようにしてください。
 理解者・協力者を一人、ふたりと増やす努力をしてください。一人で孤立するとご自身がMH疾患にり患する可能性があります。
・企業という、「ぬえ」のような存在・組織においては、産業保健スタッフ、人事労務担当者の皆さんが声を大きくして呼びかけても
 無駄な努力に終わるケースが多々ありますので、まずは冷静になってください。それから現状分析です。
・計画の具体化という作業は、全体から入っていく方法と、個別の具体的な作業から入っていく方法があります。
 ですから、まずは、産業保健スタッフや人事労務担当者、みなさん自身の業務をきちっと完遂することに傾注されることをお勧めします。
 周りからとやかく言われないよう、ご自身の業務を見直していただきたいと思います。
・そして、産業保健スタッフや人事労務担当者の努力で、やがては経営層や社内の理解が得られるようになりますので、
 その時のための準備作業をしてください。何も準備をしていないと慌てます。「なんだ、口先だけか」と言われないようにしましょう。

結論、経営層の理解無くして、社内にメンタルヘルス体制を作り上げることは、至難の業です。
もし、少しでも予算措置を講じていただければ、橋本社会保険労務士事務所がお手伝いいたします。
また、提案して費用措置まで講じていただけるのなら、事前の準備は無報酬でお手伝いすることも可能です。
まずは、s-hashi@ya2.so-net.ne.jpまで。無料で問い合わせ・ご相談に応じています。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

産業医はコストか

2013年04月25日 | 情報
先日の当ブログにおいても、安衛法違反で強制捜査の事案を紹介しました。繰り返しますと、

大阪労働局は2日午前、従業員ら17人が胆管がんを発症しうち8人が死亡した大阪市の印刷会社
「SANYO(サンヨー)―CYP(シーワィピー)」について、
労働安全衛生法違反(事業者の安全衛生措置義務違反など)の疑いで家宅捜索を始めた(朝日新聞 4月2日(火))。

しかし、本命の有機溶剤の取り扱いではなく、(1)定期健康診断結果の報告をしていない
(2)衛生管理者や産業医、安全管理者を置いていない
(3)衛生委員会もなく、作業リーダーの「職長教育」もしていない――など、の理由での強制捜査でした。
なぜなら、91~03年当時、ジクロロメタンは厚労省規則で測定や発生源対策が求められていましたが、
1、2ジクロロプロパンは規制されていませんでしたし、胆管癌の発生原因が1、2ジクロロプロパンであることは、
まだ特定できていないからです。

(1)定期健康診断結果の報告をしていない
(2)衛生管理者や産業医、安全管理者を置いていない
(3)衛生委員会もなく、作業リーダーの「職長教育」もしていない――など、の理由での強制捜査は、普通ないですよね。
同様な企業・組織は、たくさんあるのが現状ですから。

特に産業医は、安衛法で、常時50人以上の労働者を使用する事業場では、産業医を選任しなければならない(法13条)となっています。
こんなことは、皆さん百も承知なのですが、なかなか実行しません。
なぜなら、産業医を委嘱すると、地域差や企業規模、委嘱内容で大きな差がありますが、
最低でも年間100万円は必要でしょう。

中小企業にとって、乾いた雑巾をさらに絞って経営のスリム化をしているのが実情なのに、
さらに100万円のコスト削減なんて考えられないでしょう。
また、100万円のコストアップなんて受け入れらないし、倒産の危機さえ考えなければなりません。
そこで、できれば、「小規模事業場のための産業医共同選任助成金」を復活してもらいたいですね。
一昨年、民主党の事業仕訳作業で、廃止になった助成金です。

いくら法令で規定されていても、「産業医」の報酬は、企業努力で解決できないコストなのですから。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

10県が「子育て同盟」

2013年04月24日 | 情報
小生は、子育ては、人間にとって第一義の責務であると考えています。
日本の将来は、今の子供たちにあることは自明の理ですが、
子育ては、派生効果として「メンタルヘルス」にとっても極めて有益であるとも考えています。
拙著にも詳述していますが、MH疾患り患者にとって家族は、最高の支援者なのです。
もちろん、行き過ぎたことによる弊害も報じられていますが、企業はその体力が許す限りにおいて、
「子育て」に注力することは、社会的な責務であるとも考えています。

リーダーも育児休暇を=安倍首相
時事通信 4月9日(火)
安倍晋三首相は9日、首相官邸で、育児支援策を提言するため広島県など10県の知事が結成した「子育て同盟」の表敬を受けた。
首相は「父親が授業参観に来ると子供はよく覚えている」と故安倍晋太郎元外相の思い出に触れながら、
「リーダーが率先して育児休暇を取り、男性も育児参加をしてほしい」と同盟の趣旨に賛同した。 

10県が「子育て同盟」
読売新聞 4月10日
各県が連携して子育て支援や少子化対策に力を入れる「子育て同盟」に長野県も参加し、9日、東京都内で発足式が行われた。
保育施設の改善や育児休業取得の推進、不妊治療の支援策など幅広い分野で情報交換や政策研究を行い、国へ提言もする。
事務局は鳥取県庁に置き、7月末には同盟サミットも開くという。加盟するのは、
長野のほか、宮城、三重、鳥取、岡山、広島、徳島、高知、佐賀、宮崎の9県。
都道府県会館での発足式には阿部知事ら10県の知事らが出席。
発起人の一人である平井伸治・鳥取県知事が「見失った日本の国づくりを、現場からもう一度やっていきたい」とあいさつした。
各県からはこの日、「休日保育の情報などを提供するスマートフォン(高機能携帯電話)アプリの開発」(広島)、
「父子手帳の発行」(宮崎)など、具体的な提案が紹介された。
阿部知事は発足式の後、「ほかの県と一緒に知恵と力を出し合って子育て支援を充実させたい」とし、
長野県の強みである自然環境や、「長寿日本一」を支える医療面からも情報発信したいとの考えを示した。
     ◇
県も、今月から始まった県の総合5か年計画で少子化対策を重点プロジェクトに掲げて取り組んでいる。
未婚者の増加が少子化につながっているとして、結婚支援に力を入れる。婚活イベントなどを実施する団体などを網羅。
団体を対象にコンプライアンス(法令順守)やコミュニケーションなどに関する講習会を開くほか、
結婚支援の情報が一目でわかるような専用サイトも作る方向だ。
また、昨年4月には父親に育児を身近に感じてもらおうと「ながのイクメン手帳」を発行。妻の妊娠から出産、
子どもの成長までの流れが一目でわかる表をつけ、「お風呂の入れ方」や「離乳食の作り方」「子どもとの遊び方」などを盛り込んだ。
印刷部数は2万4000部に上り、母子手帳と同時に交付している。
 県はこのほか、仕事と子育てを両立できる環境整備づくりのため、
「ノー残業デーの設置」「年次有給休暇取得65%」「職場復帰プログラムの構築」などの目標を掲げる県内企業など262社を、
ホームページや広報誌で取り上げている。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

MH疾患をり患する原因

2013年04月23日 | 情報
MH疾患をり患する原因は、さまざまです。このことは以前にも当ブログで紹介しましたし、拙著にも詳述しています。
以下はその一例です。

<福島・死刑判決>元裁判員がストレス障害 遺体画像で
毎日新聞 4月18日(木)

強盗殺人罪などに問われた被告に死刑を言い渡した今年3月の福島地裁郡山支部の裁判員裁判で、
裁判員を務めた福島県の60代女性が、証拠調べで見た遺体のカラー画像などが原因で不眠症や食欲不振に陥り、
「急性ストレス障害(ASD)」と診断されたことが分かった。
女性の弁護士によると、裁判員経験者が精神障害と診断されたのは初めてという。
女性側は国に制度の見直しを求めるため、慰謝料など計160万円を求める国家賠償訴訟を仙台地裁に起こす構え。
裁判員の心のケアを巡り、最高裁は昨年2月の有識者懇談会で、遺体の写真など刺激の強い証拠は白黒にしたり、
コンピューターで加工した映像にしたりするなど、裁判員の衝撃を和らげる配慮をしていると説明。
メンタルサポート体制も充実していると述べていたが、裁判員を務めたことによる「被害」が確認されたことで、
12年から進められている裁判員法の見直し論議にも影響を与えそうだ。
女性や家族によると、3月1日に同支部で裁判員選任手続きがあり、
強盗殺人事件の担当と告げられた直後から不眠症に悩まされるようになった。
証拠調べでは、被害者夫婦の遺体や傷口のカラー画像が目の前のモニターに映し出された。
評議では、テーブルの真ん中に犯行に使われたとされた凶器のナイフが置かれ、被告の残忍性の説明を受けた。
その結果、食事をしても嘔吐(おうと)を繰り返すようになり、判決後も、遺体の画像などがフラッシュバックし、悪夢にさいなまれた。
量刑を巡る自らの決定にも悩み続けているという。
そのため女性は、最高裁が開設している「裁判員メンタルヘルスサポート窓口」に連絡。
しかし、交通費を自分で負担して東京に行かないと対面カウンセリングが受けられないと告げられ断念した。
3月22日に心療内科で受診したところ、1カ月の休養を要するASDと診断され、
心的外傷後ストレス障害(PTSD)へ移行する恐れがあるとして薬物治療を受けることになった。
女性や家族は「裁判員の心のケア制度はあるのかもしれないが、実際には役に立っていない。
国賠訴訟を機に裁判員経験者全員に改めて聞き取りするなどして制度の見直しを図ってほしい」と訴えている。

<裁判員>医療機関紹介2例 メンタル相談は123件
毎日新聞 4月18日(木)
最高裁によると、昨年5月末までの「裁判員メンタルヘルスサポート窓口」の利用件数は電話や電子メール、面接など計163件。
うち123件がメンタルヘルスに関する相談で、昨年5月までの約1年間では、医療機関を紹介した例が2件あったという。
一方で「窓口だけでは不十分」とする裁判員経験者や弁護士、臨床心理士らは10年12月、最高裁に提言書を出し、
(1)審理が5日以上の場合は臨床心理士らカウンセラーを待機させる
(2)判決後に臨床心理士らが見守る中で経験者が体験を語り合う制度導入の検討--などを求めた。
札幌地裁では昨年7月、強盗殺人未遂事件の初公判で、女性裁判員が卒倒して審理が中断。地裁はこの裁判員を交代させた。
法廷で見た血痕の写真などにショックを受けた可能性がある。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする