働き方改革法案が、ようやく成立し順次施行されています。
マスコミ報道では、長時間労働の削減と、同一労働同一賃金に焦点が当たっています。
長時間労働の削減ですが、例えば、安倍首相の1日の動向を新聞紙上で、確認してみましょう。
8:10官邸着、8:53東京・富ヶ谷の私邸着、私邸を出発するのは、8:10より30分くらいは早いでしょうから、
通勤?時間を含めた拘束時間は、13時間以上となります。
しかし、歴代首相は「働き過ぎ」とは言われません。
むしろ、マスコミは「まだ、働きが足らない」と叱責します。
首相は、「労働者」ではありませんが、働き過ぎで、精神疾患をり患したなどは、ここ数十年をみてもありませんね。
ということで、「ゲスのたわ言」ですが、まずは、首相の働き方改革が必要でしょうか。
安倍さんの例は極端でしたか?
しかし、働いているのは、労働者だけではないのです。所謂、個人商店、個人事業主の方々です。
例えば、ラーメン屋さん、
営業時間だけが働いている時間ではありません。
美味しいラーメンを作って、店を繁盛させるには、大変なご苦労があることでしょう。
そのためには開店前に、スープの仕込みをしています。しかも、毎日閉店後に、翌日分のスープづくりが始まるそうです。
スープづくりには5~7時間もかかるという紹介もありますね。いつ、寝ているのでしょうか?
例えば、すし屋さん
朝早くから、材料の仕入れをしなければなりません。それを店に持ち帰って、今度は仕込みです。
昼の営業を終えて一段落するのが午後2時ごろ、2時間ほど休息を取って、夜の営業です。
そして閉店して、片付けが終わるのは翌日の1時、2時だそうです。
休みは、1週間に1日でしょう。
つまり、一般的な労働者に例えるならば、月150時間、200時間程度の残業は、珍しくないと想像できます。
しかし、このような、いわゆる自営業のみなさんには、メンタルヘルスのトラブルは少ないようです。
このような現象から、どのようなことが推測できるのか。
いわゆる自営業の方々と、労働者とでは、何が違うのか、違いを生じる原因は何か?
それは、個人的な見解ですが、「働く人」と「働かされる人」の違いではないかと考えています。
労働者=働かされる人、
安倍首相、自営業の方々=働く人、この違いではないかと。
ただし、1次産業のなかでは、水産業に携わる方々は、精神疾患の罹患率が、
労働者の中でも極めて高いとされているIT業界より高いという数字が紹介されています。
水産業の皆さんは、長期間の遠洋漁業の関係者が多いようです。
長期間にわたり、船という閉鎖的な空間に留まると、人間関係にいろいろなトラブルが生じるのだろうということは、
容易に想像できます。このことは、小職の推論の傍証にもなります。
再掲になりますが、以上の小職の推論を、学問的に追及をされているのが、「ジョブクラフティングJob Crafting」の研究でしょう。
現在、東京大学大学院医学系研究科の博士課程に所属されている櫻谷あすか氏の講演を聞きました。
やらされ感をやりがいに変える手法、即ちワークエンゲイジメントを高める手法が、
「ジョブクラフティングJob Crafting」であると。
ジョブクラフティングとは、「個々人が仕事や人間関係を物理的・心理的・認知的に変化させること」と定義されました
(Wrzesniewski and Dutton,2001)。
即ち「働く人が自ら働き方に工夫を加えること」。
そして、ジョブクラフティングは、
「作業クラフティング(仕事のやり方への工夫)」
「人間関係クラフティング(周りの人への工夫)」
「認知クラフティング(仕事の考え方への工夫)」から、成り立っているそうです。
ジョブ・クラフティング介入研究
担当者連絡先
櫻谷あすか(東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野・博士課程院生)
e-mail: asuka-tky@umin.ac.jp