中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

冬季うつ病 

2013年01月31日 | 情報
天気予報によると、今日は全国的に晴れて、温かいそうです。
日本海側の地方も、晴れるそうですが、うつ病をはじめ、精神疾患は天候も影響するそうです。

東京新聞 12.12.25「冬季うつ病 人工的な光浴び改善 外出や早寝も効果」

毎年、秋から冬にだけ気分が落ち込む。やたらとご飯や甘いものが欲しくなり、眠くてたまらない-。
そんな症状に苦しんでいるのなら「冬季うつ病」かもしれない。食欲や睡眠時間が増大し、
春には自然に治るため、通常のうつ病とは異なり、治療法も違う。専門家に聞いた。 (発知恵理子)
冬季うつ病の症例はこうだ。女性(28)は大学生のころから、秋になると食欲が増し、
朝は起きられなくなる。次第に睡眠時間が長くなり、抑うつ状態に陥る。十二月が最もひどいが、四月にはすっかり元気になる。
「食欲の秋や天高く馬肥ゆる秋、という言葉もあり、一般的にも多めに食べたくなったり、眠くなったりする。感傷的にもなりやすい」。
日本大医学部の内山真教授(精神医学)は、誰でも季節の変化に影響されると指摘する。
ただ「会社や学校に行けないなど、日常生活に支障があれば治療が必要」と言う。
冬季うつ病は、季節性感情障害ともいわれる。通常のうつ病と同じく、気分の落ち込み、集中力や意欲の低下、疲れなどが見られる。
特徴的な症状は過食と強い眠気だ。
通常のうつ病は、食欲がなくなって体重が減り、眠れなくなる。
冬季うつ病は逆で、例えば食欲は一日中、菓子パンやチョコレートのことばかり考えるほど強くなる。
体重の増加は平均三・五~五キロ、十キロ以上のケースもある。
患者は女性に多い。症状は十月ごろから始まり、三月には快方に向かう。
これが二年以上続くと、冬季うつ病の可能性が高くなる。進行すると、夏は軽いそう状態になり、
買い物をし過ぎたり、普段よりも社交的になったりする。
冬季うつ病の原因は、日照時間や日の出から日没までの日長時間の短さに関係している。
目が感じる光の刺激が減ると二種類の脳内ホルモン、セロトニンとメラトニンの分泌量が変化する。
精神を安定させるセロトニンは減って脳の活動が低下し、うつ状態を引き起こす。
一方、セロトニンの生成に必要な糖質を取ろうと、炭水化物を中心に食欲が強くなる。
睡眠を促進するメラトニンは増えて、睡眠時間が長くなる。
このため、緯度が高く、曇りや雨、雪の日が多い地域で起こりやすい。
北欧ではよく知られた病気で、日本でも北海道や東北、北陸地方の日本海側に多く見られる。
治療法は、明るい光を浴びる「高照度光療法」が有効とされている。専用の照明器具で人工的に光を浴び、体内時計を正常に戻す。
器具は五千ルクス以上の青い光を出すものが良い。
目の網膜に届かないと効果がないため、正面に器具を置いて本を読むなどし、なるべく午前中に三十分から一時間ほど浴びる。
国立精神・神経医療研究センターの三島和夫部長は「精神科の外来では、二十人に一人は冬季うつ病といわれているが、
普通のうつ病と誤診され、抗うつ薬を処方されて終わってしまう」と言う。高照度光療法は診療報酬の対象外で、
導入しているのは一部の医療機関に限られる。専用の照明器具は、インターネットなどで二万~四万円で購入できる。
冬季うつ病が悪化して室内に引きこもってしまう前に、自然光を利用するのも一つだ。
治療に必要な明るさの五千ルクスは、曇り空や、晴れた日中の窓辺と同程度とされる。
朝はカーテンを開け、午前中に外出して日光を浴び、夜更かしをしないなど、規則正しい生活を心がけるのも大切だ。
内山教授は「冬季うつ病の存在を知っていることが生活のプラスになる。
季節に応じて上手に行動するなど、自分なりの対策をすると予防になる」と話していた。(注:冬季うつ病チェック表は、省略しました。)




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まさか、私が

2013年01月30日 | 情報
「まさか、私が」という発言が、うつ病をり患した多くの人から返ってきます。
これはうつ病をり患した多くの人からの、貴重な発言と思っています。

企業・組織においてMH問題にかかわる、産業保健スタッフや人事労務担当の
みなさんには、色々な機会・場面でお会いしています。
ところが、MH問題に詳しいはずの、産業保健スタッフや人事労務担当の殆どの人が、
「私は、うつにならない」と考えている、思っている、との印象をもっています。

「うつ病」をはじめとするMH疾患は、決して他人事ではありません。
明日は我が身と、考えていただいた方がよいのではと思います。
注意喚起は重要なのですが、注意喚起してもなかなか理解が得られないのは、
このようなことが原因なのでしょう。
もちろん、本当の精神疾患の苦しさは、経験者でないとわからないものです。
こういう筆者も、り患した経験がないので、本当のところは解らないのですが。

ですから、精神疾患を克服し、社会に復帰されてきた人の貴重な発言には、
耳を傾けることが大切です。発言には、重みがあります。
結論として、強調しておきたいことは、心の健康問題は、
「わたしは、違うの。大丈夫なの。」といった考えを捨てることです。
産業保健スタッフや人事労務担当のみならず、全労働者が、
「えっ、まさか私が、なぜ私が」という事態にならないように、
細心の注意と健康管理が必要です。
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メンタルヘルス不調者が多いのは

2013年01月29日 | 情報
同じようなテーマで、'12.11.15に掲載しました。
メンタルヘルス不調者が多いのは、大企業なのか、中小企業なのか?という疑問です。
因みに、拙著『中小企業の「うつ病」対策』では、労務行政研究所のデータを採用しています。

定性情報なのですが、最近、判明したことがあります。
それは、企業規模が小さいほど、メンタルヘルス不調になった段階で、退職を余儀なくされるということです。
中小・零細では、休職制度がない企業がたくさんあります。
休職制度は、法令で定めらているわけではありません、企業が任意で実施する制度だからです。
休職もできない、仕事もできないでは、退職に追い込まれることもやむを得ないのでしょう。
こういう労働者が、データに表れないのも無理からぬものがあります。

一般論になりますが、調査データは、定量調査であっても、無条件で信用するのは問題があります。
調査データは、数字に付随する情報をすべてそぎ落として、単純化したデータですし、
調査は、仮説に基づいて実施するものであり、仮説を検証する作業でもあるからです。
そもそも仮説に無理があれば、結論もねじ曲がることも大いにあるからです。
仮説を盲信することは、危険なことなのです。
わたしたちは、調査データの裏に隠れている「真実・実態」を読みとる能力が必要です。
現役時代は、多くをマーケティング分野にいましたので、その重要性は認識していましたが、
労働安全衛生の分野においても、データを読む力は、重要だなと実感しています。

メンタルヘルス不調のため1か月以上欠勤・休職している社員の全社員に対する割合
労務行政研究所 2008年調査
合計 : 0.49%
1000人以上 0.40%
300~999人 0.43
300人未満 0.94

平成19年労働者健康状況調査「事業所統計調査第35表過去1年間においてメンタルヘルス上の理由により
連続1カ月以上休業又は退職した労働者数割合」から

      休業者  退職者
合計    0.3% 0.1%
5000人以上 0.6  0.0
1000人以上 0.8  0.1
300人以上  0.6  0.1
100人以上  0.5  0.1
50人以上  0.4  0.1
30人以上  0.3  0.1
10人以上  0.2  0.1
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自殺率低い地域の特徴を研究

2013年01月28日 | 情報
金曜日のブログ記事に関連するニュースを紹介します。

1月26日 NHKニュースより、
年間2万8000人近くに上る自殺を防いでいこうと、自殺率が低い地域の特徴を調べ、
予防に役立てていこうという研究を、大学の研究者たちが進めています。
この研究は、和歌山県立医科大学の岡檀講師が中心となって行われていて、
25日、徳島市で開かれたシンポジウムで、
これまでの研究結果が紹介されました。
岡講師は、「平成の大合併」前の市区町村の自殺率を調べ、全国でも特に低かった徳島県の旧海部町の特徴を、
住民からの聞き取りなどで調べました。

その結果、自殺率が高い地域に比べ、
悩みがあったとき、周りに助けるを求めることに抵抗が少ない、
近所づきあいが緊密すぎず、
立ち話やあいさつ程度のつきあいが多い、
人を人物本位で評価する人が多いなどの

5つの特徴があったということです。

岡講師は「”病(やまい)市(いち)に出せ”」といったことわざが伝えられていて、
問題があれば早く相談し解決しようとしている。また、緊密過ぎない緩やかな人間関係や、人物本位で人とつきあうことも、
自殺を防ぐポイントになるのではないか」と分析しています。
また、慶應義塾大学と協力して京都府でも、自殺率が低い地域の調査を進め、これまでの研究と併せて分析を進めていくことにしています。
岡講師は「自殺率の低い地域の特徴を探り、ほかの地域にも応用していくことで、
自殺の防止につながるよう研究を進めていきたい」と話しています。

岡 檀(おか まゆみ)さん
和歌山県立医科大学保健看護学部 講師
2009年慶応大学健康マネジメント研究科修士課程修了、2012年同博士課程修了
(参考)
http://www.pfizer-zaidan.jp/fo/business/pdf/forum18/fo18_6_03.pdf
http://gakkai.sfc.keio.ac.jp/foundation_pdf/09-06.pdf
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自殺者、15年ぶり3万人下回る

2013年01月25日 | 情報
行政や各民間機関の努力により、15年ぶりに3万人を下回りました。
しかし、依然として2万7千人以上の国民が自殺により、亡くなっているのが事実です。
しかも、自然死・病死・事故死等以外の原因不明の死亡者が毎年1万人くらいにのぼっている事実もあります。

1月25日の読売朝刊2面に掲載された「顔・レネ・ダイグナンさん」を以下に転載します。

いじめを受けた会社員や、精神医療の専門家ら96人へのインタビューをもとに構成した記録映画
「自殺者1万人を救う戦い」を昨年秋、完成させた。来日して15年。本業は駐日欧州連合(EU)代表部の
経済担当官で、青山学院大学などの講師も務める。映画製作は初めてだ。
日本人の自殺を扱った授業で学生の声に驚いた。個人の判断、不況、文化だから―。自殺への「寛容さ」を感じた。
一緒に死ぬ人をネットで募るなど聞いたこともなかった。
「日本は世界一住みやすい大好きな国なのに、なぜ」。週末、撮影役の学生と2人でインタビューを重ねた。
制作には3年を要した。今、約70分の日本語字幕版の上映場所を探している。
映画では「保険金目当ての自殺をさせるな」「死ぬ権利なんて間違った考えだ」などの声を紹介、
自殺サイトや消費者金融、いじめや過労にも触れ、「助けを求める声に耳を傾けて」と訴える。
日本の自殺者数は昨年、15年ぶりに3万人を下回ったものの、なお2万7766人もいる。
タイトルには「せめて1万人は救いたい」という思いをこめた。

1月17日  NHK
去年1年間に自殺した人は2万7766人と前の年より2800人以上減り、
15年ぶりに3万人を下回ったことが警察庁のまとめで分かりました。
警察庁によりますと、去年1年間に自殺した人は全国で2万7766人で、前の年よりも2885人、率にして9.4%減りました。
年間の自殺者は平成10年以降3万人を超え続け、ピーク時の平成15年には3万4000人余りに上りましたが、
今回、平成9年以来、15年ぶりに3万人を下回りました。内訳は、男性が1万9216人、女性が8550人で、
都道府県別では、自殺者が最も多いのが▽東京都で2760人で、前の年より360人(-11.5%)減りました。
次いで多いのが▽大阪府の1720人で204人の減少、▽神奈川県が1624人で228人の減少、
▽埼玉県が1549人で118人の減少などとなっています。一方、最も少なかったのは▽鳥取県で130人、
次いで▽徳島県が164人▽島根県が168人などとなっています。
年齢や原因・動機の内訳を去年11月までの統計で見ると、▽60代が全体の18%と最も多く、
次いで▽40代と50代がそれぞれ17%、▽30代が14%となっています。
また、原因・動機別では▽健康問題が最も多く、次いで▽経済・生活問題▽家庭問題などとなっています。
15年ぶりに3万人を下回ったことについて、自殺対策に取り組むNPO法人「ライフリンク」の代表、
清水康之さんは「特に大きかったのは、市区町村のレベルで実践的な取り組みが進むようになったことだと思う。
しかし、1日70人を超える人が自殺で亡くなっているという現状は変わらないので、楽観するのではなく、
より一層スピード感を持って対策を進めていくことが大事だ」と話しています。
森大臣“今後もきめ細かい対策を推進”
自殺防止対策を担当している森少子化担当大臣は、記者団に対し「平成21年に自殺対策の基金を設け、
地域の実情に応じた息の長い対策を行ってきたことが理由の1つではないか。今後も1人でも多くの命を救えるよう、
関係省庁や地方公共団体と連携し、きめ細かい対策を推進していきたい」と述べました。

2013/1/17日経新聞
自殺者15年ぶり3万人下回る 「経済・生活を苦に」減る  警察庁まとめ

2012年の全国の自殺者数は、前年より2885人(9.4%)少ない2万7766人(速報値)となり、
1997年以来、15年ぶりに3万人を下回ったことが17日、警察庁のまとめで分かった。3年連続の減少。
11月分までの内閣府のまとめによると、動機別では「経済・生活問題」が前年同期比で20%以上減少しており、全体を引き下げたとみられる。
 内閣府は「経済環境が底打ちした影響もあるのではないか」(自殺対策推進室)とみている。
 11月分までの内閣府のまとめでは、動機(複数計上)は「健康問題」が延べ1万2090人で最も多く
、年代別では60代の割合が17.8%で最も多かった。男女別では、男性が同8.3%減の1万9216人、女性が同11.8%減の8550人。
発見場所の都道府県別では、東京2760人、大阪1720人の順に多かった。最も少なかったのは鳥取の130人。 
一方、東日本大震災に関連した自殺者は11月までに21人。統計のある前年6~12月の55人に比べ半分以下の水準。
 年間の自殺者は97年まで2万~2万5千人の範囲で推移したが、不況が深刻化した98年に急増。
前年比約8千人増で約3万3千人に達し、03年には3万4427人と過去最悪を記録した。
 人口10万人当たりの自殺死亡率では日本の24.4(09年)は主要8カ国(G8)ではロシアの30.1(06年)に次いで高い。
G8では以下、フランス16.3(07年)、ドイツ11.9(06年)、カナダ11.3(04年)、米国11.0(05年)、英国6.9(09年)、
イタリア6.3(07年)の順。00年以降のデータがある中では、リトアニアの34.1(09年)が世界最高で、韓国の31.0(09年)が2番目に高い。
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