中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

産業医は、お雛様ではない

2017年02月28日 | 情報

産業医を委嘱するのは、法令を遵守しているので、良いことなのですが、
高額の委嘱料を支払っているのにもかかわらず、何ら活用していない現状があります。
委嘱契約をしている産業医を活用しないと、ストレスチェックは機能しませんので、
今回のストレスチェックの実施により、大幅に改善されていると推測しますが、さて、どのようになっているのでしょうか?
貴重な費用を、「どぶに捨てる」ようなことをしていませんか?
みなさんの企業・事業所において、どのような運用状況になっているのか、一度、再検証されることをお勧めします。

根拠データ 厚労省調査・平成22年労働安全衛生基本調査
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/49-22_4.pdf

第3表 産業医が実際に関与した業務の内容別事業所割合(事業所規模50人以上)
産業医が関与した業務がある 全体95.9%、1000人以上100.0%、 50~99人 94.9%

ということは、50~99人規模の事業場・企業のうち、5.1%は、産業医を全く活用していないということになります。驚くべき数字です。
東京都内であれば、最低でも年間100万円前後の委嘱料が発生しているはずです。
ひょっとして、この数値は、「名ばかり産業医」でしょうか?それなら、理解できないことではないのですが。
ストレスチェック制度の義務化で、実質、「名ばかり産業医」は、死語になると、以前当ブログで指摘しましたが、
皆さんの事業場ではいかがでしょうか?
ストレスチェックを実施できていない事業場・企業が、たくさんあるとも聞いていますが、
実態はどのようになっているのでしょうか、気になります。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

労基署の判断と、司法の判断

2017年02月27日 | 情報

労基署の判断と、司法の判断が、分かれたのですね。
パワハラ問題は、「言った言わない」の世界ですから、従来からある同様な事案でもそうなのですが、
証拠集めがとても難しいのです。ですから、パワハラ、セクハラ等のハラスメント事案は、
確たる証拠を、如何にして提示できるかが、分かれ目になります。

「この野郎」叱責 女性へのパワハラ認め会社に賠償命令 仲卸会社いじめ自殺訴訟 名古屋 
17.1.27産経

名古屋市の青果仲卸会社の女性社員=当時(21)=が平成24年に自殺したのは、
先輩社員からのいじめでうつ病を発症したことが原因として、女性の両親が同社などに約6400万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、
名古屋地裁(加島滋人裁判長)は27日、女性へのパワハラ行為を認め、会社に賠償を命じた。
うつ病の発症や自殺との因果関係は認めなかった。
訴状によると、女性は21年に同市の仲卸会社「加野青果」に入社。23年末ごろにうつ状態となり、翌24年6月に自殺した。
社内で先輩社員の女性2人から無視されたり、「この野郎」などと威圧的な言葉でミスを叱責されたりするパワハラがあったとしている。
原告側は、会社がいじめを防ぐことなく、女性のうつ病を悪化させたと訴えている。
名古屋南労働基準監督署は25年12月、業務とうつ病の発症や自殺との間には因果関係があるとして労災認定した。

パワハラとの因果関係認めず 熱田の青果会社女性社員自殺
2017年1月27日 中日新聞

職場でのパワーハラスメントが原因で娘が自殺したとして、両親が勤務先の名古屋市熱田区の青果会社と先輩の女性社員2人に
約6500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が27日、名古屋地裁であった。
加島滋人裁判長はパワハラを認めた一方、自殺との因果関係は否定し、計165万円の賠償を命じた。両親は控訴する方針。
加島裁判長は判決理由で「社員2人は業務上の指導の範囲を超え、精神的苦痛を与えた。
会社も業務状況の把握や助言が不十分だった」と指摘。
一方、自殺はパワハラが原因だという主張に対しては「証拠はなく、うつ病を患っていたとも認められない。
自殺は予測できなかった」と判断した。
判決によると、亡くなった女性=当時(21)=は2009年に同社に入社。
経理部門に配属され、女性社員2人から「てめえ」「同じミスばかりして」などと威圧的な態度で叱責されるなどした。
12年、自宅マンションから飛び降り自殺した。
判決後、名古屋市内で記者会見した同市北区の母親(54)は「裁判官のパワハラへの認識が足りない。
これでは娘に報告できない」と悔し涙を見せた。
青果会社は「担当者が不在のためコメントできない」としている。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

(参考)働き方改革で共同宣言

2017年02月24日 | 情報

働き方改革で共同宣言 県・経済団体・労組が参加
2017/1/28付日本経済新聞

神奈川県は電通の過労自殺問題を踏まえ、県内の働き方改革を推進する狙いで、
経済、労働7団体と「神奈川いきいき労働共同宣言」を発表した。
県産業労働局によると、問題発覚後、同種の宣言をした自治体は初めてという。
宣言は「過重労働による健康障害や過労死は、本人、家族にとって不幸であるばかりでなく、
企業や社会にとっても大きな損失になる
」と強調。
長時間労働を容認する社会的風潮を見直すには、経営者、労働者、行政が一体となって取り組む必要があると指摘した。
今後、3者が共同で(1)長時間労働の是正(2)ワーク・ライフ・バランスの実現(3)健康マネジメントの推進―を進めるとしている。
宣言には県経営者協会、県商工会議所連合会、連合神奈川、神奈川労働局などが参加した。

神奈川いきいき労働共同宣言(神奈川県HP)
長時間労働の是正等に向け労使及び行政が共同宣言を発表しました

長時間労働など過重な労働による過労死などが、大きな社会問題となっています。
長時間労働を容認する社会的風潮を改めて、働き方を見直していくには、
経営者、労働者及び行政が一体となって取り組んでいく必要があります。
そこで、県が呼びかけて、経済団体、労働団体及び行政(国・県)が、長時間労働の是正、ワーク・ライフ・バランスの実現、
健康マネジメントの推進に取り組み、生き生きと働くことができる社会の実現を目指すことを宣言しました。

1 共同宣言を行う団体等
・ 一般社団法人神奈川県経営者協会
・ 一般社団法人神奈川県商工会議所連合会
・ 神奈川県商工会連合会
・ 神奈川県中小企業団体中央会
・ 一般社団法人神奈川経済同友会
・ 日本労働組合総連合会神奈川県連合会
・ 神奈川労働局
・ 神奈川県

2 具体的な取組の概要
(1) 長時間労働の是正
長時間労働を容認する社会的風潮を改める。労働条件や職場環境の改善を図る。
(2) ワーク・ライフ・バランスの実現
テレワークや短時間勤務など、多様で柔軟な働き方を推進する。
(3) 健康マネジメントの推進
企業が働く人の健康マネジメントを推進する。高齢者の就業機会を確保する。

 http://www.pref.kanagawa.jp/uploaded/attachment/861195.pdf

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

契約社員

2017年02月23日 | 情報

労災認定されたことは、事実のようです。しかし、新聞記事には、労基法等の観点から、理解できない文言が散見されますので、
何とも申し上げられないのですが、今後、司法の場において、色々と議論があるように思えます。

パナ下請け契約社員の過労死認定 深夜に長時間労働
朝日新聞 2/9

パナソニックの2次下請け会社「アイエヌジー」(福井県あわら市)の契約社員だった上田浩志さん(当時46)=福井市=が
一昨年、深夜の勤務後に死亡したのは長時間労働による過労が原因として、福井労働基準監督署が労災認定していたことが分かった。
1月31日付。遺族側代理人の海道宏実弁護士らが9日、会見を開いて明らかにした。損害賠償を求める裁判も検討しているという。
弁護士によると、上田さんは、福井市内のパナソニックの工場に派遣されて電子部品の製造工程で働いていた2015年10月、
夜勤明けの帰宅途中、突然意識を失い、搬送先の病院で死亡した。死因はくも膜下出血だった。
当時、仕事の納期に間に合わせるため、深夜と早朝の長時間労働が続き、
死亡する前の2カ月間の時間外労働は月80時間を超えていたという。
昨年6月2日、遺族が福井労基署に労災申請した。上田さんの兄は「労災認定は弟本人にも家族にとっても大きな意味がある。
今後、弟のような方を絶対出さないように、当該の会社にも伝えていきたい」とのコメントを出した。
アイエヌジーの事務担当者は「労務を担当している社長が出張しているため、何も分からない。
労災認定されたことも知らない」と話した。

死亡の工員労災認定=パナソニック工場勤務―福井労基署
時事通信 2/9(木)

福井市にあるパナソニック森田工場で勤務していた男性=当時(46)=がくも膜下出血で死亡したのは長時間労働が原因だったとして、
福井労働基準監督署が労災認定していたことが9日、分かった。
遺族の代理人弁護士らが同日、記者会見し明らかにした。認定は1月31日付。
代理人らによると、死亡したのは福井市の上田浩志さん。2次下請け会社の「アイエヌジー」(福井県あわら市)と有期契約し、
森田工場で電子部品のトリミング作業の夜勤に従事していた。
2015年10月20日の夜勤明けに、帰宅しようと自動車に乗ったところで体調不良を訴え、病院に搬送されたが同日午後に死亡した。
上田さんの労働時間は雇用契約上、午後11時~翌日午前7時15分だったが、早出するよう求められ、
同年3月ごろから火~金曜日は午後7時に出勤していた。タイムカードの記録では、直前1カ月の時間外労働は約81時間だった。
代理人弁護士は「パナソニックは大企業として、請け負い会社の社員にも長時間労働をなくすようなチェックをするべきだ」と語った。

パナソニック工場で過労死 福井、下請け従業員
2017/2/10 日経

福井市のパナソニック森田工場に勤めていた男性が過労死と労災認定され、遺族代理人の海道宏実弁護士が9日、
同市内で記者会見し、死亡する前の2カ月間、過労死ラインとされる月80時間ほどの時間外労働が続いていたと明らかにした。
男性はパナソニックの2次下請け会社「アイエヌジー」(福井県あわら市)の契約社員の上田浩志さん(当時46)。
深夜勤務後の2015年10月、くも膜下出血により死亡した。
福井労働基準監督署は長時間労働による過労が原因とし、今年1月31日付で労災認定した。
工場で上田さんは電子部品の加工を担当。午後11時から午前7時15分までの深夜勤務が固定化しており、
15年3月から週の半分は2~4時間早く出社していたという。
パナソニックは「雇用関係がないのでコメントは差し控える」とし、
アイエヌジーは「担当者がいないのでコメントできない」としている。
上田さんの兄は「弟を突然亡くし、後を追うように父が他界した。
仕事のせいで過労死することが絶対にあってはいけない」とのコメントを出した。〔共同〕

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

当然ですが、いい和解です

2017年02月22日 | 情報

西濃運輸がうつ病発症の元運転手と和解 パワハラ謝罪
2017年2月11日 朝日

物流大手「西濃運輸」(本社・岐阜県)の元従業員の男性(51)が、長時間労働やパワーハラスメントでうつ病になったとして、
同社と上司2人に計約1億円の損害賠償を求めた訴訟が10日、大阪地裁で和解した。
会社側が責任を認めて謝罪し、解決金2600万円を支払う内容という。
訴状や和解条項などによると、男性は大阪府の西濃運輸摂津支店で、2007年から長距離輸送のトラック運転手として勤務。
時間外の労働時間は11年6月までの1年間で月平均約120時間に上り、190時間の時もあった。
男性は11年6月、三重県内の高速道路を走行中、並走していた車から「当て逃げされた」と警察に通報された。
男性は身に覚えがなく、車体に傷がないことから「事実無根」と否定したが、上司は通報者が得意先だったため、
当て逃げを認めて謝罪するよう強要。
男性は納得できないまま従ったが、上司はその後も激しく叱責(しっせき)し、
反省を促すという理由で3日間の草刈りを命じたこともあった。
男性は翌月にうつ病と診断され、休職。長時間勤務や上司の言動が原因だったとして14年6月に提訴した。
男性は同年12月に退社し、現在も治療を続けているという。
和解条項では「確認を十分せずに事故と断定し、警察への申告や炎天下での草むしりを強制し、深刻な精神的打撃を与えた」として
上司2人が男性に謝罪。会社は「長時間の過密労働に従事させながら心身の健康に配慮しなかった」とうつ病発症の責任を認めた。
男性は同居する女性(55)と時々外出するが、帰宅すると必ず体の痛みを感じ、数日間ベッドから動けなくなるという。
朝日新聞の取材に対し、「会社が非を認めてくれたのはありがたいが、
長引きすぎた。今回の和解を社員の待遇改善に生かしてほしい」と話している。
西濃運輸は「元社員の方の意向を尊重し、早期解決が最良と判断し和解することとした。
同様の事例が起きないよう社員教育などに努めてきたが、今後も一層取り組みを強化する」とコメントした。

西濃運輸「パワハラ」2600万円支払いで和解
読売新聞 2/14

トラック運送大手・西濃運輸(岐阜県大垣市)の元従業員の男性(51)が
上司のパワーハラスメントや長時間労働でうつ病を発症したとして、同社と上司2人に約1億円の損害賠償を求めた訴訟があり、
大阪地裁で和解が成立した。
10日付。同社と上司が解決金として2600万円を支払う。
訴状によると、摂津支店(大阪府)でトラック運転手をしていた男性は、月100時間を超える時間外労働を強いられたほか、
2011年6月には、当て逃げ事故を起こしたとして上司から職場の草むしりを命じられ、その直後にうつ病を発症。
男性は12年6月に労災認定を受けた。
和解条項では、男性が当て逃げ事故を否定したにもかかわらず、十分に確認しないまま、草むしりを命じたことなどを上司2人が謝罪。
同社も、長時間労働によって、うつ病を発症させた責任を認めた。
西濃運輸は「同様の事例が起きないよう社員教育を一層強化する」としている。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする