中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

18.19日は当ブログを休載します

2024年07月17日 | 情報
18.19日は出張のため、当ブログを休載します。
再開は、来週月曜日の22日です。
よろしくお願いします。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

主治医・産業医シリーズ⑦(50人未満の事業場はどうする)

2024年07月17日 | 情報
1.産業医の安衛法での規定
・従業員50人以上の事業場(註;企業ではありません)では、産業医の選任義務があります。
・従業員50人未満の事業場(註;企業ではありません)では、
産業医の要件を備えた医師等に労働者の健康管理を行わせることが努力義務となっています。(安衛法第13条の2)

2.企業と事業場は、どう違うのか?
・安衛法は、事業場を単位として、その業種・規模等に応じて適用しており、事業場の適用単位は、労働基準法における考え方と同一です。
・つまり、一の事業場であるか否かは主として場所的観念(同一の場所か離れた場所かということ)によって決定し、
同一の場所にあるものは原則として一の事業場とし、場所的に分散しているものは原則として別個の事業場とします。
・例外としては、場所的に分散しているものであっても規模が著しく小さく、
組織的な関連や事務能力等を勘案して一の事業場という程度の独立性が無いものは、直近上位の機構と一括して一の事業場として取り扱います。
・また、同一の場所にあっても、著しく労働の態様を異にする部門がある場合には、
その部門を主たる部門と切り離して別個の事業場としてとらえることにより、
安衛法がより適切に運用できる場合には、その部門は別個の事業場としてとらえることとしています。
この例としては、工場内の診療所などがあげられます
根拠;(補足)基発第566号 平成8年9月13日

3.産業医の選任義務のない事業場、つまり従業員50人未満の事業場の労働者の健康管理等(第13条の2関係)
本条は、すべての事業場において労働者の健康の確保が図るには、
産業医の選任義務のない事業場においても産業保健サービスが提供される必要があり、
事業者は、これらの事業場については、当該事業場の状況に応じ、
必要な場合に、労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識を有する医師その他労働省令で定める者に、
労働者の健康管理等の全部又は一部を行わせるよう努めなければならないものとした。
(発基第91号の第2の3「事業場の範囲」昭47.9.18付け)

4.小職の提案
・多くの従業員50人未満の事業場・企業では、産業医を選任する資金力がありません。
しかし、50人未満の事業場の場合は努力義務ですから、安衛則第14条に規定されたすべての職務を依頼する必要はないはずです。
・従って、必要とする職務、例えば、健康教育、健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るための措置に関すること
(安衛則第14条の7)のみにすることもできますし、
ストレスチェックの実施結果の精査と、要面接者との面接・指導というように限定することも可能ですので、
安価で効果の最大化を目指すこともできるはずです。

・また、保健師を採用する方策もあります。
産業医報酬に比べ安価にすみますし、優秀な保健師(できれば産業保健師)

〇今回で、主治医・産業医シリーズは、とりあえず終了です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

主治医・産業医シリーズ⑥(主治医・産業医シリーズ①の続編)

2024年07月16日 | 情報
『主治医・産業医シリーズ①・なぜ、主治医の診断書は、信用できない』で 
「それでは、受け取る側の企業の対応はどうすればよいのかは、別項です。」としました。以下に対策を紹介します。

主治医・産業医シリーズ⑥
主治医からの診断書を受け取った企業・事業場はどのように対応すればよいのか?
休職希望者、復職希望者から送られてきた、医師の診断書をどう取り扱ったらよいのか?

受け取った人事労務担当者は、産業医に判断を仰ぎます。
通常、産業医はそれまでの経緯を認識しているはずですが、担当者は、それまでの経緯を一通り産業医に説明します。
産業医は、自身が理解できない部分について、主治医に診療情報の提供を要請する依頼状を認めます。
そこでは、通常、正確な診断名と詳細な説明を求めます。
後日、主治医から産業医宛に、書面で回答が送られてきます。
人事労務担当者は、産業医から当該書面を受け取り、産業医の見解を聞き取ります。
そして、人事労務担当者は、個人情報保護のため、限られた関係者を招集して会議を開き、休職を認めるかどうか、
あるいは、復職を認めるかどうかを判定します。

念のために申し上げますが、医療情報の交換は医師間、すなわち主治医と産業医間でのみ成り立つことですので、
人事労務担当者等が、主治医に対して診断書の内容について問い合わせても、主治医からの回答は期待できません。
むしろ、主治医の当該企業への不信感が惹起する等、今後に差支えがありますので、決してなさらないようにしてください。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

(主治医・産業医シリーズ⑤)主治医への情報提供依頼書

2024年07月15日 | 情報
小職の2021年07月01日掲載のブログを、再掲します。

あんしん財団が、Webシンポジウム『中小企業向け【実践型】職場のメンタルヘルス対応シンポジウム』~最大多数の最大幸福をめざして~ を
オンライン配信(YouTubeでの動画配信)しました。


その中で、労働法の専門家である向井弁護士の講演資料の中に、「主治医面談・情報提供依頼書」がありました。
事例、事情、時期によって当然に内容は異なることなりますが、標準的な参考例として、
経験の少ない産業医や、産業医を委嘱していない事業所にとっては、役立つ資料でしょう。
当事者の同意、乃至は当事者が同行した場合には、会社側は主治医に対して、
当事者の業務や職場環境、会社の業容、復職時の会社側の受け入れの考え方等について、
詳細な内容と会社側の希望を伝えることは可能ですし、必ず実行するべきです。
なお、事業場の人事労務関係者が、診断書(要休職時や復職可等)の内容について
主治医に説明を求めても主治医は何の反応も示さないことでしょう。
主治医は、産業医が質問して初めて、回答を寄せてくるものなのです。ご注意ください。
ですから、もし、産業医を委嘱していない場合は、原則として医師会単位で設置されている地域産保に相談してください。

以下、本文です。
向井弁護士作成 21.3.12セミナー資料「主治医面談・情報提供依頼書」

☑ 業務内容を説明する(小職註;休職時)
主治医には,会社の業務内容や従業員が担当していた業務内容について詳しく説明する。
業務内容を知ることにより,復職可能という診断書を書いていた主治医が,
「その業務内容ではフルタイムで勤務するのは難しい」などと意見を変更する場合があるからである。

☑ 初診日(小職註;休職時)
いつから通院したのかを確認する。入社前から当該疾患にかかっている可能性もあるからである。
ただし,入社前から病気だったことが明らかになれば,業務と病気の関連性がないことを裏づける事実になることもある。

☑ 薬の種類と量,履歴(小職註;休職時)
薬の種類等がわかれば,インターネットなどで効用や副作用を調べることができる。
産業医に薬の情報を伝え,どの程度の病状なのかをある程度推察することもできる。
メンタルヘルス問題は,処方している薬には主治医の本音が現れる。
診断書には同じように「就労可能」と書かれていても,実は内情はさまざまである。
病状を推察するうえで薬を知ることは非常に有効であるから,必ず確認するべきである。

☑ フルタイムで働けるかどうか(小職註;復職申請時)
本人の業務内容を十分に説明したうえで,フルタイムでその業務に就いても大丈夫かどうか,主治医の判断を仰ぐ。

☑ 復職後は何に気をつけるべきか(小職註;復職申請時)
残業はさせないほうがよいか,元の業務に戻してよいかなど,会社が留意するべきことを確認する。
主治医が述べた点に配慮しておけば,会社が過重な業務をあえて負わせて,
病気を再発させたなどと後で主張される可能性に備えることができる。
また,会社が主治医の見解に従って就労環境を配慮したにもかかわらず再発を繰り返した場合は,
会社としてできることはすべて行ったと言うことができ,将来やむを得ず退職してもらう際の重要な根拠になる。

☑ 記録の残し方(小職註;休職から復職までの全期間)
主治医面談の内容は紙のメモで保存したり,議事録形式にまとめることでもよいので,
何らかの形で保存する必要がある。後に有力な証拠となる。主治医の協力が得られるのであれば,不幸な誤解がお互いに生じないために面談内容を文書にまとめてFAXやメール等で送ってみてもらうことも可能であると思われる。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

(プラス情報)日本の有休取得率、世界最低の63%

2024年07月14日 | 情報
日本の有休取得率、世界最低の63% エクスペディア調査
2024年6月20日 日経

米旅行予約サイト大手のエクスペディアは20日、世界11カ国・地域の有給休暇に関する調査を発表した。
2023年の日本の有休取得率は63%にとどまり、4年ぶりに世界最下位となった。
ただ、休み不足だと感じている人の割合は低かった。
調査は3月26日〜4月3日に、世界11カ国・地域で働いている1万1580人を対象にインターネットで実施した。
定められた有休に対し、どれだけ取得したかを有休取得率とした。
日本の次に取得率が低いニュージーランドでも86%で、日本の低さが目立った。

日本の有休取得日数は平均12日だった。
最も多いのはフランスで29日。香港(28日)、ドイツ(27日)、英国(25日)が続いた。
香港では取得日数が支給日数(26日)を超えていた。
米国は11日だが、支給日数が12日のため取得率は高かった。

日本で有休を取得しない理由について聞くと、
「人手不足など仕事の都合上難しいため」が32%で最多だった。
「緊急時に取っておくため」(31%)、「忙しすぎて、休暇の計画を立てたり、行く暇がなかったため」(20%)が続いた。
日本は有休取得率が世界最下位にもかかわらず、休みが足りないと感じているわけではなさそうだ。
休み不足について日本の47%が「感じていない」と答えた。
最下位のドイツ(16%)の約3倍で、世界で最も高かった。
有休を取得する頻度について日本は32%が「毎月取得している」と答え、こちらも世界で最高だった。
エクスペディアは「休暇を定期的に短期間取ることで、休み不足を感じていないのかもしれない」と推測している。
直近の休暇でリフレッシュできたか聞いたところ、日本の56%が「リフレッシュできた」と回答した。
ニュージーランドと並び、11カ国・地域の中で最も高かった。
休暇の取得について、9割近い人が「メンタルヘルスや幸福のために重要である」と答えた。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする