中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

全国労働衛生週間 9月1日から準備期間

2015年08月31日 | 情報
今年は、ストレスチェック制度の導入もあって、
スローガンは、「職場発! 心と体の健康チェック はじまる 広がる 健康職場」です。

平成27年度全国労働衛生週間実施要綱
1.趣旨
全国労働衛生週間は、昭和25年の第1回実施以来、今年で第66回を迎える。
この間、全国労働衛生週間は、国民の労働衛生に関する意識を高揚させ、
事業場における自主的労働衛生管理活動を通じた労働者の健康確保に大きな役割を果たしてきたところである。
労働者の健康を巡る問題を見ると、平成26年度の精神障害の労災支給決定件数が497人(過去最多)、
脳・心臓疾患の労災支給決定件数が277人となっていること、勤務問題を原因・動機の一つとしている自殺者が約2,200人いること、
近年我が国において過労死等が多発し大きな社会問題となっていることなど、
職場におけるメンタルヘルス対策や過重労働による健康障害防止対策は重要な課題となっている。
また、業務上疾病の被災者は長期的には減少しているが、平成26年は前年から105人増加して7,415人となった。
疾病別では腰痛が186人増加して4,624人となり、その業種別では社会福祉施設が最も多く、製造業、商業でも増加している。
さらに、化学物質による疾病は溶剤、薬品等による薬傷・やけど等が多く、
また、特別規則で規制されていない化学物質を原因とする労災事案の発生等の新たな問題も生じている。

このような状況を踏まえ、平成26年6月に公布された改正労働安全衛生法により、
①ストレスチェック制度の創設によるメンタルヘルス対策、
②表示義務の対象となる化学物質の範囲の拡大と、一定の危険・有害な化学物質に対するリスクアセスメントの実施による化学物質管理、
③職場における受動喫煙防止対策 等を推進し、業務上疾病の発生を未然防止するための仕組みを充実させることとしている。

また、平成26年11月に施行された過労死等防止対策推進法に基づき、
平成27年7月には、過労死等の防止のための対策等を取りまとめた「過労死等の防止のための対策に関する大綱」を定める予定となっている。

このような背景を踏まえ、今年度は、
「職場発! 心と体の健康チェック はじまる 広がる 健康職場」
をスローガンとして全国労働衛生週間を展開し、事業場における労働衛生意識の高揚を図るとともに、
自主的な労働衛生管理活動の一層の促進を図ることとする。

2.スロ-ガン
「職場発! 心と体の健康チェック はじまる 広がる 健康職場」
3.期間
10月1日から10月7日までとする。
なお、全国労働衛生週間の実効を上げるため、9月1日から9月30日までを準備期間とする。
7.実施者
各事業場

8.主唱者、協賛者の実施事項
10(2)の①重点事項も踏まえ、以下の取組を実施する。
(1)労働衛生広報資料等の作成、配布を行う。
(2)雑誌等を通じて広報を行う。
(3)労働衛生講習会等を開催する。
(4)事業場の実施事項について指導援助する。
(5)改正労働安全衛生法を周知する。
(6)その他「全国労働衛生週間」にふさわしい行事等を行う。

9.協力者への依頼
主唱者は、上記8の事項を実施するため、協力者に対し、支援、協力を依頼する。

10.実施者の実施事項
労働衛生水準のより一層の向上及び労働衛生意識の高揚を図るとともに、自主的な労働衛生管理活動の定着を目指して、
各事業場においては、事業者及び労働者が連携・協力しつつ、次の事項を実施する。
(1)全国労働衛生週間中に実施する事項
ア事業者又は総括安全衛生管理者による職場巡視
イ労働衛生旗の掲揚及びスローガン等の掲示
ウ労働衛生に関する優良職場、功績者等の表彰
エ有害物の漏えい事故、酸素欠乏症等による事故等緊急時の災害を想定した実地訓練等の実施
オ労働衛生に関する講習会・見学会等の開催、作文・写真・標語等の掲示、その他労働衛生の意識高揚のための行事等の実施
(2)準備期間中に実施する事項
下記の事項について、日常の労働衛生活動の総点検を行う。
ア改正労働安全衛生法に関する事項
(ア)平成27年12月1日に施行される改正労働安全衛生法に基づく、ストレスチェック制度に係る取組への準備
(イ)平成28年6月に施行される改正労働安全衛生法に基づく、一定の危険・有害な化学物質(SDS交付義務対象物質)に関する
リスクアセスメントの実施に向けた環境整備
a.化学物質の取扱状況と安全データシート(SDS)の入手状況の確認
b.製造者・流通業者が化学物質を含む製剤等を出荷する際のSDSの交付状況の確認
c.過去に実施した化学物質に係るリスクアセスメントの結果の確認又は過去に実施したことがない
若しくは実施結果を確認できなかった場合のリスクアセスメントの実施
(ウ)平成27年6月1日に施行された改正労働安全衛生法を踏まえた、職場における受動喫煙防止対策の推進
a.各事業場における現状把握と、それを踏まえ決定する実情に応じた適切な受動喫煙防止対策の実施
b.受動喫煙の健康への影響に関する理解を図るための教育啓発の実施
c.支援制度(専門家による技術的な相談支援、たばこ煙の濃度等の測定機器の貸与、喫煙室の設置等に係る費用の助成)の活用
イその他の重点事項
(ア)労働者の心の健康の保持増進のための指針等に基づくメンタルヘルス対策の推進
a.事業者によるメンタルヘルスケアを積極的に推進する旨の表明
b.衛生委員会等における調査審議を踏まえた「心の健康づくり計画」の策定、実施状況の評価及び改善
c.4つのメンタルヘルスケア(セルフケア、ラインによるケア、事業場内産業保健スタッフ等によるケア、事業場外資源によるケア)の
推進に関する教育研修・情報提供
d.職場環境等の評価と改善等を通じたメンタルヘルス不調の予防から早期発見・早期対応、職場復帰における支援までの総合的な取組の実施
e.自殺予防週間(9月10日~9月16日)等をとらえた職場における自殺対策への積極的な取組の実施
f.産業保健総合支援センターにおけるメンタルヘルス対策に関する支援の活用
(イ)過重労働による健康障害防止のための総合対策の推進
a.時間外・休日労働の削減、年次有給休暇の取得促進及び労働時間等の設定の改善による仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の推進
b.健康管理体制の整備、健康診断の実施等
c.長時間にわたる時間外・休日労働を行った労働者に対する面接指導等の実施
d.小規模事業場における面接指導実施に当たっての産業保健総合支援センターの地域窓口の活用

(略)
②労働衛生3管理の推進等
ア労働衛生管理体制の確立とリスクアセスメントを含む労働安全衛生マネジメントシステムの確立を始めとした労働衛生管理活動の活性化
(ア)労働衛生管理活動に関する計画の作成及びその実施、評価、改善
(イ)総括安全衛生管理者、産業医、衛生管理者、衛生推進者等の労働衛生管理体制の整備・充実とその職務の明確化及び連携の強化
(ウ)衛生委員会の開催と必要な事項の調査審議
(エ)危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づく必要な措置の推進
(オ)現場管理者の職務権限の確立
(カ)労働衛生管理に関する規程の点検、整備・充実
イ作業環境管理の推進
(ア)有害物等を取り扱う事業場における作業環境測定の実施とその結果の周知及びその結果に基づく作業環境の改善
(イ)局所排気装置等の適正な設置及び稼働並びに検査及び点検の実施の徹底
(ウ)換気、採光、照度、便所等の状態の点検及び改善
ウ作業管理の推進
(ア)自動化、省力化等による作業負担の軽減の推進
(イ)作業管理のための各種作業指針の周知徹底
(ウ)適切、有効な保護具等の選択、使用及び保守管理の徹底
エ健康管理の推進
「職場の健康診断実施強化月間」として、以下の事項を重点的に実施
(ア)健康診断の実施、有所見者の健康保持に関する医師からの意見聴取及び健康診断実施後の措置の徹底
(イ)一般健康診断結果に基づく必要な労働者に対する医師又は保健師による保健指導の実施
(ウ)高齢者の医療の確保に関する法律に基づく医療保険者が行う特定健診・保健指導との連携
(エ)小規模事業場における産業保健総合支援センターの地域窓口の活用
オ労働衛生教育の推進
(ア)雇入時教育、危険有害業務従事者に対する特別教育等の徹底
(イ)衛生管理者、作業主任者等労働衛生管理体制の中核となる者に対する能力向上教育の実施
カ心とからだの健康づくりの継続的かつ計画的な実施
キ快適職場指針に基づく快適な職場環境の形成の推進
ク労働者の治療と職業生活の両立等の支援に係る取組の促進
ケ職場における感染症(ウイルス性肝炎、HIV、風しん等)に関する理解と取組の促進
(以下略)
http://www.jisha.or.jp/campaign/eisei/youkou.html

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オープン就労の薦め

2015年08月28日 | 情報
精神疾患を克服し、再び就労意欲が高まるまでの、ご自身の苦労、努力は如何ばかりかと推量します。
と言っても、小生は経験がありませんので、どこまで理解しているか、はっきり申し上げて、まったく分かりません。

さりとて、分かりませんで終わってはいけませんので、論を先に進めます。
就労には、クローズではなく、オープンでの就労をお勧めします。
もちろん、ご自身の心情、考え、希望が最優先ですから、
「私は、クローズ」で就労したいとお望みなら、それはそれで結構です。

しかし、景気が回復し、人材が枯渇している今が、チャンスです。オープンでの就労が。
ご理解いただいていると思いますが、今は買い手市場から、売り手市場になっています。

採用する企業にとっても、本当のところは、「クローズ」より「オープン」で
就労を申し込んでもらうほうが有難いのです。
会社にとっては、寛解している状態で、就労の面接した場合、
精神疾患をり患していたことは、全く窺い知れないことなのです。
ですから、クローズで就労したら、他の健常者と同等に待遇しますので、
残念ながら、精神疾患を再発してしまう可能性が高まることになります。
ここで、同等に待遇しない場合は、あるのか?それは、あり得ないことです。
もし、そのようなことをしたら、組織内は大混乱になるでしょう。

話を戻して、オープンにして就労した場合、
本人及び会社側にとってのデメリットはないのか、デメリットはなにか、ということでしょう。

本人にとってのデメリットは何か?
何といっても、まず、採用を拒否されることでしょう。
もちろん、あからさまな理由は言わないのは、採用側の当然の行動ですが。
さらに、採用されても賃金が最低水準になってしまうことでしょう。

最低賃金法の最低賃金の減額の特例が適用されることもあります。
第七条  
使用者が厚生労働省令で定めるところにより都道府県労働局長の許可を受けたときは、
次に掲げる労働者については、当該最低賃金において定める最低賃金額から
当該最低賃金額に労働能力その他の事情を考慮して厚生労働省令で定める率を乗じて得た額を
減額した額により第四条の規定を適用する。
一  精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者
二  試の使用期間中の者
三  職業能力開発促進法 (昭和四十四年法律第六十四号)第二十四条第一項 の認定を受けて
行われる職業訓練のうち職業に必要な基礎的な技能及びこれに関する知識を習得させることを
内容とするものを受ける者であつて厚生労働省令で定めるもの
四  軽易な業務に従事する者その他の厚生労働省令で定める者

しかし、就労の目的は何かを考えれば、デメリットではありません。
最優先は、賃金ではなく、就労の第一ステップにあるわけです。
いきなり、無条件での完全就労を望むのは、無理があるのです。

なお、「クローズ」で就労した場合でも、カミングアウトすることを躊躇してはいけません。
ある一定期間、会社側の望むレベルで、就労できたという実績があるのですから、
人材難の現状から考慮すれば、会社側にとっても「就労を続けてほしい」と考えるのではないでしょうか。

さて、会社側にとってのデメリットは何か。
一度採用すると、簡単には解雇できないのが、我が国の労働法制の考え方ですから、
会社側が望む人材ではなかっとと、後悔しても遅いのです。
しかし、「試の試用期間」内で、事実が発覚した場合は、それはそれでよいのですが、
多分、精神疾患をり患していたことが発覚するのは、「試の試用期間」を過ぎてからになるでしょう。

企業活動の話ですから、正論を議論するのではなく、メリット、デメリットを議論することには、何ら問題がないと考えています。
結論としては、オープン就労しても、それほどのデメリットはないということをご理解いただけるのではないでしょうか。




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在宅勤務を全社員対象に(続編)

2015年08月27日 | 情報
残る課題、コミュニケ―ションと、企業への帰属意識の典型的な解決策です。

「よーいドン!」で深まる絆 増える社内運動会
15.8.26 読売

IT化や業務の細分化で薄れがちな社員同士のコミュニケーションを深めようと、「社内運動会」を開く企業が増えている。
こうした社内行事は私生活を重視する時代の流れや景気低迷などを受けて縮小傾向にあったが、
会社の一体感を高める効果があると再評価されているようだ。
三越伊勢丹ホールディングス(HD)は25日、両国国技館(東京都墨田区)で社内運動会を開いた。
2008年の三越、伊勢丹の経営統合以来、初めてだ。
25日は多くの店舗が休みで、グループの約1割にあたる約3000人が参加し、綱引きやリレーで汗を流した。
チームでTシャツをそろえたり、女性がチアリーダーの衣装で盛り上げたりする光景も見られた。
衣料品販売子会社の桜井俊晴さん(41)は「部署や会社が違い、普段は顔を合わせない人たちと親睦を深められた」と話していた。
同社は来年も開催するという。
三菱UFJフィナンシャルグループやみずほフィナンシャルグループも今秋、「グループの一体感を高めるため」として、発足以来初めて開催する。
 
(参考)社内運動会復活! 増加の背景にあるものとは?取材:加藤俊 /文:野村美穂

運動会を代行する「運動会屋」運営団体NPO法人ジャパンスポーツコミュニケーションズ代表理事の米司隆明さんに聞くと、
同団体が2007年に発足し、2008年に最初の運動会を行って以降、「依頼は年々倍増。2014年は134件の社内運動会をプロデュースした」とのこと。
更に、2015年は更に増えることが既に確定。運動会屋の他に名の知れた運動会運営代行会社は2社ほどあるというから、
社内運動会を開催する企業数は実際にはずっと多い。

社内運動会が増えている背景
しかし、なぜ社内運動会が増えているのだろうか。幾つかの理由が考えられるが、
一つは、「リアルコミュニケーションの飢え」だと言う。上述の米司さんは語る。
「社内twitterなどのITツールでコミュニケーションをはかる企業を聞きますが、仕事以外に共通の話題を持ちにくい。
その点、社内運動会は社員にニューヒーローが誕生したり、業務中だけではわからないリーダー資質が見られたり、
交流のない部署の方と協力し合えたりと、スポーツだからこそのコミュニケーションを生み出す効能が期待できます」

実際に、運動会後、会社が明るくなったという企業は多い。そもそもの開催目的に、
従業員のモチベーションアップを一番に位置づける企業が殆どだと言う。
実際に実施した住友電装株式会社は、運動会の効能を「営業成績や離職率の低下など、数字には出しにくい面はあるが、
計測できない効果が期待できる」と答えている。
詰まるところ、この社内運動会流行とは、従業員間のコミュニケーションが希薄になりつつある現代社会だからこそ、
そこに抗う企業側のカンフル剤としての期待が寄せられているようだ。

費用対効果を意識する企業
ただ、運動会が持て囃される理由はこれだけではない。もう一つ大きな理由がある。
キーワードは、費用対効果を意識する企業の増加。流行の背景には、企業のコスト削減意識が絡むという。
元来、社内行事といえば、社員旅行が代表だった。この社員旅行が運動会に切り替わりつつあるのだ。
理由は簡単。旅行に行くとなると、要する日数や宿泊費などかなりの経費がかかるが、運動会は一日で終るから。
この経済的な理由から運動会を導入する企業が増えているのだ。実際に、米司さんは言う。
「リーマンショック直後から、社員旅行の代わりに社内運動会をする企業が急増しました。
社員旅行のように2、3日の通常業務を停止せずに1日で済むことや費用を抑えられること、
積み立てている福利厚生費を年度内に使用できることなど様々な理由があります。
年度内の予算消化という観点や休前日が良いという理由から、年内最終営業日が社内運動会の開催に人気です」
日本企業の力が弱まったがために、運動会が持て囃されるという図式は虚しい感じもするが、効果は絶大である。
京セラが1963年から毎年運動会をやり続けていることは有名だし、新入社員にとっても、運動会に期待する向きは案外多い。
日本能率協会2009年4月23日発表「会社や社会に対する意識調査」では、調査に回答した新入社員1,490人のうち53.4%が
上司との人間関係構築には「運動会」が有効と答えている。これは「昼食を共にする」(53.0%)よりも高い数値なのだ。
通り一遍の研修より運動会での経験や意識付けは、ボディーブローのように後でじわじわ効いてくる。貴社も長い目で見てはいかが?
BibLife21誌より転載
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休職中の社員と、どのように?

2015年08月26日 | 情報
質問がありました。
うつ病をり患して、休職中の社員がいます。
中小企業ですから、休職中の社員ばかりに対応していたのでは、通常の業務が滞ります。
さりとて、放置したままでは不安です。
ネット検索していたら、休職中の社員に対する接し方が掲載されていました。
とてもきめ細かい対応内容が紹介されていましたが、弊社の状況では、とても出来そうにありません。
アドバイスをお願いします。

以下、答えです。
尤もな質問です。
私傷病の場合ですが、うつ病に限らず、病気やけがを治癒して、業務に復職する過程の全ては、当該従業員の責任です。
会社には、安全配慮義務(労働契約法第5条)がありますが、それに相対する義務として、従業員には「健康保持義務」があると云われています。
会社と社員(労働者)は、労働契約を締結しています。
労働契約とは、労働者が会社に使用されて労働し、会社はこの対価として労働者に賃金を支払うことを内容とする
労働者と会社(使用者)間の契約を云います(労働契約法第6条)。
ところが、従業員は休職中ですから、労働契約における労働者の債務の本旨に従った労務提供できないでいます。
労務提供できないでいるということは、本来であれば解雇措置となっても致し方ないのですが、
休職中ということは、従業員がこの労働の義務を、会社から一時的に猶予されていることになります。
従って、従業員は、労働契約の本旨を履行するために、病気やけがを早期に克服しなければならないのです。
一見、冷たく、あるいは厳しく映るかもしれませんが、権利と義務、当然の帰結なのです。

ですから、会社は、基本的に休職中の労働者の生活に介入する必要はありません。
しかし、会社には、安全配慮義務がありますので、定期的に休職している従業員の様子をチェックする必要はあります。
ちゃんと休んでいるのか? 主治医の治療を受けているのか?病気やけがの回復状況は、どの程度か?
といった具合に、観察していなければなりません。
そして、当該社員から、質問や問い合わせがあれば、真摯に対応しなければなりません。
ただし、会社はこれ以上に介入する必要はありません。介入する義務はありません。
過剰な介入は、かえってトラブルを引き起こします。
なお、これらの対応については、正確かつ詳細に記録してください。けっこう面倒なのですが、これが大切です。

ご質問をいただいたので、ネット検索をしてみたら、小生からみれば「過剰」とも思える介入、
あるいは、「支援」をしている例が、正しい対応であるがごとく紹介されていることに気が付きました。
大企業や公共機関ならともかく、中小企業において、人事労務部門のスタッフや、健康管理部門のスタッフは、
少数ですから色々な業務を兼務しています。
そもそも本来の業務を疎かにすることは許されませんので、休職中の従業員に対するケアは、最低限のことができれば十分です。
具体的には、主治医に対する早期の面談、月に1回程度の居宅訪問等でしょう。

主治医に対する早期の面談、月に1回程度の居宅訪問とは、何か?また、どのようなことをするのか?ですって。
疑問は膨らみますね。でも、この話題は、次回にしましょう。



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在宅勤務を全社員対象に

2015年08月25日 | 情報
とても素晴らしい試みだと思います。
小生のようなアナログ世代が、現役を引退したのですから、今後急速に普及するのでしょう。
残る課題は、コミュニケ―ションと、企業への帰属意識でしょう。

在宅勤務、日数上限なしに=10月導入―リクルートHD
時事通信 8月12日

リクルートホールディングス(HD)は12日、取得日数に上限を設けない新たな在宅勤務制度を10月から導入することを明らかにした。
介護、育児など特殊な理由がなくても制度を利用できる。幅広い働き方を提供し、多様な人材の確保につなげる狙いがある。
 制度の利用中は、出席を求められている会議などを除き基本的に出社の必要はない。
同僚や上司とのやりとりは電子メールやテレビ会議を活用する。通常勤務を選択した場合と待遇の差はなく、成果のみで評価されるという。
 リクルートでは、グループ企業が取得日数に上限を設けない新在宅勤務制度を導入している。
HDでも試行し、労働時間の減少や会社への定着率上昇が見込まれたため、採用することにした。
 
リクルート、在宅勤務を全社員対象に 上限日数なく
2015/8/12 日本経済新聞

リクルートホールディングス(HD)は10月から上限日数のない在宅勤務制度を導入する。
全社員が対象で、子育てや介護といった理由がなくても利用できる。一部のグループ会社にも適用し、まず約2000人を対象とする。
育児や介護などを念頭に多様な働き方ができる在宅勤務を導入する企業は広がっているが、全社員が原則、上限なく在宅勤務ができる制度は珍しい。
在宅勤務を選んだ社員は重要な会議などで出社が必要な日を除き、自宅など自分の都合の良い場所で仕事ができる。
社内の連絡には電話やメール、テレビ会議を活用する。仕事の懸案共有や進捗状況の確認のため、1日1回は上司への報告を義務づける。
通常の勤務体系と待遇面の差はつけず、完全に成果で評価する。
グループ全体の経営を担うリクルートHDの約400人のほか、結婚情報事業を手掛ける子会社の社員なども対象にする。
グループ全体で約3万人いる社員に順次拡大する方針。
時間と場所に縛られない効率的な働き方に改めるとともに、空いた時間を自己啓発や社会貢献活動に充てられるようにする。
6月から約140人に試験導入したところ、4割以上に労働時間が減る効果が出た。
大半が継続を希望しており、10月の全面導入時は少なくともグループで数百人が在宅勤務を選ぶ見込みだ。
10月からは毎日出勤する社員が減るため、本社のオフィス面積を減らすことも検討する。
社員一人ひとりの席を固定せずに自由に選ぶ「フリーアドレス制」を導入する。
在宅勤務の導入は広がっている。
トヨタ自動車は4月から1歳未満の子供がいる社員を対象に、週1回2時間出社すれば残りは自宅で働けるように制度を拡充した。
損害保険ジャパン日本興亜も5月に全社員を対象にした在宅勤務制度で、従来は1カ月に4日までとしていた上限を撤廃した。
ただ、損保ジャパン日本興亜では月11回以上は人事部の許可を得る必要があるなど、一定の制限を設けているのが一般的だ。
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