過重労働撲滅に取り組みましょう。過重労働は、うつ病等発症の主な要因です。
〇週労働時間60時間以上の雇用者は、低減傾向にあるものの、令和5年では全雇用者の8.9%を占めています。
;総務省「労働力調査」(月末1週間の就業時間)
〇各事業所は、第14次労働災害防止計画「過労死等の防止のための対策に関する大綱」に基づき対策に取り組まなければなりません。
〇週労働時間60時間以上の雇用者を具体的に考えると
・1日8時間労働、週5日勤務で週40時間労働とする、1週20時間以上の時間外労働をしている。
→1月は4週なので「1月に80時間以上の時間外労働」となる。
・月100時間または2~6か月平均で80時間を超える場合には、業務と発症との関連性が強い;
「血管病変等を著しく増悪させる業務による脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準について」より
〇時間外労働の上限規制(臨時的な特別の事情)があります。
・年720時間(休日労働を除く)
・1月100時間未満及び複数月平均80時間以内(休日労働を含む)
〇月80時間を超えた場合には、「長時間労働者の面接指導」が義務付けられています。
〇なぜ80時間超なのか?
エビデンス;労災補償に係る脳・心臓疾患の労災認定基準の基礎になった医学的検討結果を踏まえた図
(参照;厚労省「過重労働による健康障害を防ぐために」)
→「時間外・休日労働時間が増えると、健康障害のリスクが徐々に高まり、
月100時間超または2~6か月平均で80時間を超えると、
そのリスクが急速に高まる。
〇具体的な過重労働防止対策として、
- 年次有給休暇の取得徐々に高まりつつあるが、令和4年で62.1%の取得率(上述の大綱の目標は70%)
- 勤務間インターバル制度の導入令和5年で6.0%の導入率(上述の大綱の目標は15%)
(データ出典;厚労省「令和5年版過労死等防止対策白書」に引用されている、就業条件総合調査結果に最新データを追加加筆)
〇その他過重労働対策(第14次労働災害防止計画より)
(1)「過重労働による健康障害を防止するため事業者が講ずべき措置」(平18.3.17付基発第0317008号)基づく措置を行う
・時間外・休日労働時間の削減、労働時間の状況の把握、健康確保措置等
・年次有給休暇の確実な取得の促進
・勤務間インターバル制度の導入等、労働時間等設定改善指針(平20厚労省告示第108号)に基づく労働機関等の設定の改善
(2)長時間労働による医師の面接指導の対象となる労働者に対して、
医師による面接指導や保健師等の産業保健スタッフによる相談支援を受けるよう勧奨する。
(3)厚生労働省による指導
・長時間労働が疑われる事業場への監督指導の徹底、
「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」の引き続きの周知、指導等
・令和6年4月より時間外労働の上限規制が適用される
〇医業にじゅうじする医師
〇建設業に従事する労働者(建設現場での交通誘導警備の労働者を含む)
〇自動車運転者(トラック、バス、タクシー、ハイヤー)について、
法令の改正内容の周知・指導等、特に、自動車運転者の「改善基準の告示」
(令和4年厚労省告示第367号による改正)及び「医師の労働時間改善等の指針」(令和4年厚労省告示第7号)の周知