中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

キーワードは、時間管理です、働き方改革

2019年03月29日 | 情報

働き方改革関連法案は、大方、来る4月1日に施行されます。御社の準備は、いかがですか?
この中で労働安全衛生法関連は、当ブログにて、既に案内済みです。
その他の、労働基準法、労働時間等設定改善法、短時間・有期雇用者の雇用管理改善法、
労働者派遣法については、詳細を省略します。
なお、中小企業については、時間外労働の上限規制や短時間・有期雇用者の雇用管理改善法の施行が、
2020年4月1日、中小企業の月60時間超時間外割増賃金率50%以上の猶予措置の廃止が、
2023年4月1日となっています。

さて、今回の一連の法改正で、実務上最も大切なことは、労働時間管理の徹底です。
以下にポイントのみ記します。
なお、これができないと、罰則が適用されますのでご注意ください。
ただし、当ブログは、メンタルヘルス対策が主眼ですので、
具体的内容は、顧問の社労士、弁護士にお尋ねください。

1番目は、第32条の遵守です。
「第32条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、
労働させてはならない。
2 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、
労働させてはならない。」

2番目は、第36条の遵守です。
「第36条 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においては
その労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては
労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを行政官庁に届け出た場合においては、
第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間又は前条の休日に関する規定にかかわらず、
その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。
ただし、坑内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務の労働時間の延長は、
一日について二時間を超えてはならない。」

3番目は、改正安衛法の遵守です。
注目点は、労基法ではなくて、安衛法であることです。
労基法では、割増賃金の適正な支払いという観点ですが、
安衛法では、健康管理という観点であることです。
ですから、裁量労働制の労働者、管理監督者も含まれます。
タイムカードによる記録、パソコンの使用時間の記録等の厳格な運用が必要です。
詳しくは、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」の
内容を参照してください。

第66条の8の3 事業者は、第六十六条の八第一項又は前条第一項の
規定による面接指導を実施するため、厚生労働省令で定める方法により、
労働者(次条第一項に規定する者を除く。)の労働時間の状況を把握しなければならない。」
第66条の8 事業者は、その労働時間の状況その他の事項が労働者の健康の保持を
考慮して厚生労働省令で定める要件(注:80時間)に該当する労働者に対し、
厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導を行わなければならない。」

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産業医契約の見直し(続編)

2019年03月28日 | 情報

安衛法の改正により、産業医・産業保健機能が強化されました。
関連する改正も含め、以下に確認します。

1.長時間労働者に対する面接指導
(1)一般労働者の申出による面接指導
①対象者 1月における時間外・休日労働時間が「80時間超」(改正前は100時間超)
     (則第52条の7の3第1項及び第2項)
②労働時間の状況の客観的な方法による把握 タイムカードによる記録、パソコンの使用時間等
     (法第68条の8の3、則第52条の7の3第1項及び第2項)
③1月あたり80時間超の長時間労者に対し、申出による面接指導に必要な、
  労働時間の状況に関する情報を通知することを義務付け(則第52条の2第3項)

(2)新商品の研究開発業務に従事する労働者(労基法第36条第11項)
①対象者 100時間超の長時間労働した場合には、医師の面接指導を義務付け(法第68条の8の2)
     研究開発業務に特殊性があり、1月における時間外・休日労働時間の上限の適用除外
②注:労働者の申出は不要、罰則あり、労働者には受診義務

(3)(注:省令未公布)高度プロフェッショナル制度の対象労働者(労基法第41条の2第1項第3号)
①対象者 健康管理時間が1月あたり100時間超
 注:健康管理時間=事業場にいた時間+事業場外において労働した時間
②注:労働者の申出は不要、罰則あり、労働者には受診義務

2.産業医の独立性・中立性の強化
(1)産業医は必要な医学に関する知識に基づいて、誠実に職務を行わなければならない(法第13条第3項)
(2)産業医は知識及び能力の向上に努めなければならない(則第14条第7項)
(3)産業医の辞任又は解任時の衛生委員会への報告(則第13条第4項)

3.産業医に対する情報提供等
(1)健康管理等を適切に行うための情報提供を事業者に義務付け(法第13条第4項)
(2)提供すべき情報(則第14条の2)
①健康診断実施後の就業上の措置、面接指導実施後の就業上の措置(長時間労働者及び高ストレス者)
②長時間労働者(時間外・休日労働が1月当たり80時間を超えた者)の氏名及び超えた時間
③労働者の業務に関する情報(産業医が健康管理等を行うために必要と認めるもの)

4.産業医の権限の明確化(改正)
産業医に、その職務をなし得る権限を与える義務(現行:則第15条第2項⇒改正:第14条の4第1項)
事業者が与えなければならない産業医の権限を具体化(則第14条の4、第23条第5項)
①事業者又は総括安全衛生管理者に対して意見を述べること
 (現行:総括安全衛生管理者に勧告する、衛生管理者に指導、助言することができる)
②健康管理等を実施するため必要な情報を労働者から収集すること
③労働者の健康を確保するため緊急の必要がある場合に、労働者に対して必要な措置を
 とるべきことを指示すること
④衛生委員会等に対して調査審議を求めること

5.産業医の勧告の実効性の確保
①産業医が勧告をしようとするときは、あらかじめ事業者の意見をもとめること(則第14条の3第1項)
②勧告の内容及び勧告を踏まえて講じた措置の内容を記録し、3年間保存することを事業者に義務付け
  (則第14条の3第2項)
③産業医の勧告について、衛生委員会等への報告を事業者に義務付け(法第13条第6項、則第14条の3第3項)
④衛生委員会等の意見追い美意見を踏まえて講じた措置を記録し、3年間保存することを事業者に
  義務付け(則第23条第4項)
(参考)法第13条(産業医等)
・産業医を選任し、その職務を行わせる義務
・産業医の専門性の確保(H8追加)
・産業医は、医学に関する知識に基づいて、誠実にその職務を行う義務(今回改正部分)
・産業医に対して、健康管理等に必要な情報を提供する義務(今回改正部分)
・産業医が勧告する権限と事業者が勧告を尊重する義務
・勧告を受けたときは、衛生委員会等に報告する義務(今回改正部分)

6.産業医に直接健康相談ができる環境整備
①産業医等が労働者からの健康相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備等を、
 事業者の努力目標とした(法第13条の3)
②産業医の業務に関する事項等を、労働者に周知することを事業者に義務付け(法第101条第2項)
注:則第98条の2第1項及び第2項
・産業医の業務の具体的内容
・産業医に対する健康相談の申出方法
・産業医による健康情報の取扱方法

注:健康情報の取扱ルールの明確化・適正化については、取扱規程の雛形が公表(予定では、3月中)
されてから、当ブログにてアップします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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上司の発言 市が把握

2019年03月28日 | 情報

4月19日予定の判決は、また、当ブログで紹介します。

上司の発言 市が把握、北九州市の女性職員自殺で訴訟 
2019/3/12 日経

北九州市の非常勤職員だった森下佳奈さん(当時27)が自殺し、
両親が市に損害賠償などを求めた訴訟を巡り、12日、母親らが福岡市で会見し、
森下さんの上司が「給料分働いたと思っているのか」などと発言していたことを明らかにした。
北九州市が内部調査で把握していた。
両親の弁護人は「市がパワハラがあったことを認識していた証拠」とし、真相解明につながるとした。
当時の上司や職場の同僚への聞き取り調査が開示された
北九州市が当初開示した調査文書の大部分は黒塗りにされていた。
昨年12月に福岡高裁がより詳細な開示を命じていた
森下さんは大学院を卒業後、12年から北九州市の戸畑区役所で働き、13年にうつ病を発症して退職。
15年に自殺した。両親は上司のパワハラなどが自殺の原因だったと主張し、
市に補償金など約1300万円の支払いを求めて福岡地裁に提訴している。
すでに結審し、判決は4月19日に言い渡される

(再掲)非常勤の労災、制度動かしたが「対象外」 北九州の遺族
2018年11月16日 朝日

非常勤職員やその遺族が労災認定を請求することを北九州市が認めてこなかった問題で、
請求できる仕組みを整えるよう求めた国の通知を受けて同市が制度を改正しながら、
改正前の事案は対象外と定めていた。
自ら命を絶った元非常勤職員の遺族の訴えがきっかけで国が動いた経緯があるが、
この遺族らは依然として請求できないままだ。
同市の非常勤職員だった際にうつ病を発症し、
退職後の2015年に命を絶った森下佳奈さん(当時27)の遺族は、
市に労災認定の相談をしたが請求を拒まれ、市に補償を求める訴訟を福岡地裁に起こしている。
母親の眞由美さん(56)が今年7月に野田聖子総務相(当時)に経緯を伝える手紙を送ったところ、
野田氏から制度の見直しを確約する返事が届いた。
総務省は7月20日付で全国の自治体に通知を出し、
条例施行規則に非常勤職員や遺族からの労災認定の申し出(請求)ができることを明示するなど求めた。
両親はその後、野田氏に面会して謝意を伝えた。
総務省によると、自治体の非常勤職員(現業部門などを除く)の労災認定制度は、
自治体が責任を持って把握する「探知主義」をとる。自治体が労災事案かどうか検討しない場合、
非常勤職員側の請求手続きについては不明確で、自治体によって対応が分かれていた。
総務省の通知を受けて、北九州市も10月26日付で条例施行規則を改正した。
だが、改正以前に発生した事案については対象にしないとする付則を定めていた。
市は取材に「通知には『より適正な運用を図るため』とあるが、
市として誤った運用をしてきたとは認識していない。
法令の改正で施行日以降を対象にするのは一般的なことだ」と答えた。
また、北橋健治市長は14日の定例会見で「(森下さんの事案は)裁判で係争中で、
あえて対象としていない」と述べた。
総務省は「非常勤職員や遺族と自治体が争うような事態をなくし、
より適切な救済のために通知を出した」とする一方で、「通知を受けての運用は各自治体の判断だ」とした。
眞由美さんは市の対応について
「裏切られた思い。同じ立場の人たちも切り捨てられることになり、残念だ」と話した。

労働法に詳しい脇田滋・龍谷大名誉教授の話
自治体の非正規職員の労災認定手続きはこれまで不明確で、明らかに不備だった
その是正のために総務省が通知を出したのに、過去にさかのぼって適用しない北九州市の対応は、
不備によって生じた不利益を放置するもので、妥当ではない。
過去の事例についても権利が回復されるべきだ。

(再掲)非常勤の労災請求、認定の仕組みを 総務省が全国に要請
2018年8月31日 朝日

自治体で働く職員が仕事上の原因で病気やけがをした際の公務災害(労災)認定について、
総務省は、非常勤職員も認定を請求できる仕組みを整えるよう全国の自治体に求めた。通知は7月20日付。
一部の自治体では非常勤職員に認定請求の権利を認めない運用をしており、
常勤職員との格差が問題となっていた。
非常勤職員(現業部門などを除く)の労災認定制度は、各自治体が条例で定めるとされ、
旧自治省が1967年に自治体に示した条例のひな型が基本となっている。
ひな型には非常勤職員本人や遺族らによる請求手続きが盛り込まれておらず、
自治体が自ら認定の判断をしない場合の対応は不明確だった。
このため、一部の自治体は条例上、職員側に請求権はないとの立場をとっている。
うつ病になり、2015年に亡くなった北九州市の元非常勤職員の事例でも、
市が遺族の労災請求を拒んでいた。
一方、常勤職員は、第三者機関の地方公務員災害補償基金に労災請求の手続きを
とるよう法律で定められている。
総務省は今回、条例の運用を定める施行規則を改正したひな型を示し、
都道府県を通じて全国の自治体に対応を要請。
各自治体の条例施行規則に、非常勤職員やその遺族からも労災認定の申し出(請求)が
できることを明示する▽不認定の場合も理由などを示す▽不認定の場合、
不服申し立ての手段を伝える――などを盛り込むよう求めた。
この問題をめぐっては、北九州市から労災請求を拒まれた遺族が市に
補償などを求める訴訟を福岡地裁に起こし、係争中。
今年7月初め、遺族が野田聖子総務相に問題を訴える手紙を出し、
同月中旬、野田氏から遺族のもとに見直しを確約する返事が届いていた。
総務省の担当者は、非常勤職員側からの請求手続きがひな型になかった理由を、
「自治体は労災請求がなくても自ら把握できる」と説明。
今回の対応については「自治体によってひな型の見方が異なる場合もあり、
施行規則で明示することにした」と話している。
NPO法人官製ワーキングプア研究会(東京)が今春に実施したアンケートでは、有
効回答の139自治体のうち、
114自治体が非常勤職員からの労災請求を認める一方、23自治体が認めていなかった。

公務災害
公務員が、仕事が原因でけがをしたり病気になったりすること。民間企業で働く人の労働災害にあたる。
地方公務員の場合、各都道府県と政令指定都市に支部がある地方公務員災害補償基金が、
公務災害にあたるかを決める。
認定されると、治療費などが出る。基金のもとになるお金は自治体などが出している。
過労による精神疾患は、仕事内容や勤務時間をもとに総合的に判断する。
月100時間以上の時間外勤務を1カ月以上続けた場合などは、認定される可能性がある。
国家公務員の場合は、所属する省庁が人事院と協議して判断する。(2013-02-22 朝日新聞)

 

 

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雇い止め無効の仮処分

2019年03月27日 | 情報

当該事案は、新聞報道から判断すれば、どう考えてもハラスメントですね。
境界線の難しい事案が多いのも、ハラスメント問題ですが、
対岸の火事と受け止めている傾向が強いです。どうして、他山の石と受け止めなのでしょうか?

雇い止め無効の仮処分、元助教ら会見 「大学に憤り」
2019年3月6日 朝日

九州保健福祉大学(宮崎県延岡市)の雇い止めをめぐる問題で、
宮崎地裁延岡支部が元助教ら4人の地位保全を認める仮処分決定を出したことを受け、4人が6日、
延岡市で記者会見を開いた。元助教らは「大学の対応に違和感と憤りを覚える」と涙ながらに訴えた。
仮処分を申し立てたのは30~40代の元助教の男女3人と、元助手の30代女性。
2月22日付の決定は元助教3人への雇い止め後の賃金仮払いも認めた。
記者会見には4人と代理人弁護士が出席。延岡支部の決定に異議を申し立てるという大学側の方針に対し、
「残念で、到底理解できない」と訴えた。
4人のうち元助手は大学院生だった2016年9月~17年2月、
薬学部の50代男性教授から無理やりキスされるなどのセクハラ行為を数回受けた。
「研究室の教授に反発すれば自分の研究人生に関わるのでは」と被害を打ち明けられず、
うつ病と診断されるまでに疲弊した。
その後、セクハラは強く拒むようになるが、この教授の下で助手として働き始めた17年4月以降、
教授からは「何もしなくていい」と冷遇され、予定していた実験計画がストップ。
8月、大学にセクハラ被害を申し立てた。
被害を耳にした元助教の女性も学長あての投書で告発し、大学は18年1月、教授を停職1カ月の懲戒処分にした。
女性2人に対する雇い止め通告は、教授の懲戒処分前の17年12月だった。
このため、2人は「急な雇い止めはセクハラ被害を訴えたことに対する報復」と主張。
延岡支部の決定も「助手を排除する意図で(雇い止めが)行われた可能性は否定できない」とした。
女性2人は薬学部が新設された03年入学の1期生だった。
「まさか母校からこんな扱いを受けるとは」「泥を塗るかたちになっても、
胸を張って卒業生だと言える大学に生まれ変わってほしい」と話す。
雇い止めの理由について、大学は「経営難による人員整理」
「18年4月からは教育の質を保つため薬学部では助手と助教にも博士号を求める」と元助教らに説明。
セクハラの告発は雇い止めとは無関係と主張している。
セクハラ被害に遭った元助手は、18年3月に教授と大学を相手取り計550万円の損害賠償を求めて提訴している。

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障害者「受け入れ体制 不安」

2019年03月26日 | 情報

小職にとっては、何とも不思議な取材記事です。
まるで、初めて障害者を採用するような景色が見えます。
取材する側の意図、取材される側の認識、記事全体に漂う空気、
民間企業で日頃より、障害者の雇用や労務管理に携わっている皆さんは、
どのような印象を持たれているのでしょうか?

障害者「受け入れ体制 不安」…省庁統一試験 754人合格
19.3.23 読売

中央省庁による障害者雇用の水増し問題を受け、障害者に限定して初めて実施された
国家公務員統一試験の結果が22日に発表され、計754人が合格した。
合格者からは喜びの声が上がる一方、各省庁の受け入れ体制について不安の声も聞かれた
人事院によると、合格者は国土交通省(174人)、法務省(138人)、国税庁(90人)の順で多かった。
水増し問題により、各省庁などが法定雇用率(2・5%)を満たすには、
昨年6月時点で計3875人が不足している
政府は今年末までに常勤・非常勤を合わせて約4000人を雇用する計画で、
今年秋にも再び障害者対象の試験を実施する予定だ。

「採用されるか不安だったのでとてもうれしい」
精神障害を持つ関東地方の30歳代男性は合格を確認し、声を弾ませた。
男性は大学卒業後、国家公務員試験を受けたが、不合格に。
その後に就職した民間企業で精神障害を発症した。
現在は別の企業で契約社員として働いているが、障害者枠の試験が行われると知り、
以前から興味があった省庁を受験した。
男性は「今の仕事は郵便の仕分けなど単純作業が多く、物足りないと感じていた。
将来的には政策の立案などに携わりたい」と意欲を見せる。
中部地方に住む発達障害の30歳代男性は、公安調査庁の出先機関に採用が決まった。
「ほっとした」と話す一方、「具体的な仕事の内容がわからず、結局雑用だけにならないかと気がかり。
障害に配慮してもらえるかも不安」と明かした。
精神障害を持つ関東地方の30歳代男性は合格を確認し、声を弾ませた。
受験者からは障害者への配慮不足を指摘する声も。
通常の国家公務員試験では筆記試験は約25~50都市で実施されるが、今回は全国9都市にとどまった。
さいたま市の精神障害の男性(54)は「遠方から新幹線などで移動するのは障害者にとって負担が大きい。
会場を増やすべきだ」と訴えた。
一方、各省庁は合格者を今月末から受け入れる。
出先機関も含め100人以上を採用する国交省や法務省などでは、
研修を受けた職員を「相談員」として部署ごとに配置。
東京・霞が関の本省で18人を受け入れる外務省では、
障害を持つ職員が集まって作業できる専用のスペースを確保し、臨床心理士ら約10人が支援にあたる。
今回の統一試験は筆記試験が課されたため、知的障害の合格者は3人にとどまった。
法政大の真保智子教授(職業リハビリテーション学)は「国の機関には、
すべての障害者がやりがいを持って働ける職場をつくることが求められる。
面接で個性を見るなど知的障害者の雇用を着実に進める方策を考え、
合格者が長く働ける環境を整備することが必要だ」と指摘した。

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