4月19日予定の判決は、また、当ブログで紹介します。
上司の発言 市が把握、北九州市の女性職員自殺で訴訟
2019/3/12 日経
北九州市の非常勤職員だった森下佳奈さん(当時27)が自殺し、
両親が市に損害賠償などを求めた訴訟を巡り、12日、母親らが福岡市で会見し、
森下さんの上司が「給料分働いたと思っているのか」などと発言していたことを明らかにした。
北九州市が内部調査で把握していた。
両親の弁護人は「市がパワハラがあったことを認識していた証拠」とし、真相解明につながるとした。
当時の上司や職場の同僚への聞き取り調査が開示された。
北九州市が当初開示した調査文書の大部分は黒塗りにされていた。
昨年12月に福岡高裁がより詳細な開示を命じていた。
森下さんは大学院を卒業後、12年から北九州市の戸畑区役所で働き、13年にうつ病を発症して退職。
15年に自殺した。両親は上司のパワハラなどが自殺の原因だったと主張し、
市に補償金など約1300万円の支払いを求めて福岡地裁に提訴している。
すでに結審し、判決は4月19日に言い渡される。
(再掲)非常勤の労災、制度動かしたが「対象外」 北九州の遺族
2018年11月16日 朝日
非常勤職員やその遺族が労災認定を請求することを北九州市が認めてこなかった問題で、
請求できる仕組みを整えるよう求めた国の通知を受けて同市が制度を改正しながら、
改正前の事案は対象外と定めていた。
自ら命を絶った元非常勤職員の遺族の訴えがきっかけで国が動いた経緯があるが、
この遺族らは依然として請求できないままだ。
同市の非常勤職員だった際にうつ病を発症し、
退職後の2015年に命を絶った森下佳奈さん(当時27)の遺族は、
市に労災認定の相談をしたが請求を拒まれ、市に補償を求める訴訟を福岡地裁に起こしている。
母親の眞由美さん(56)が今年7月に野田聖子総務相(当時)に経緯を伝える手紙を送ったところ、
野田氏から制度の見直しを確約する返事が届いた。
総務省は7月20日付で全国の自治体に通知を出し、
条例施行規則に非常勤職員や遺族からの労災認定の申し出(請求)ができることを明示するなど求めた。
両親はその後、野田氏に面会して謝意を伝えた。
総務省によると、自治体の非常勤職員(現業部門などを除く)の労災認定制度は、
自治体が責任を持って把握する「探知主義」をとる。自治体が労災事案かどうか検討しない場合、
非常勤職員側の請求手続きについては不明確で、自治体によって対応が分かれていた。
総務省の通知を受けて、北九州市も10月26日付で条例施行規則を改正した。
だが、改正以前に発生した事案については対象にしないとする付則を定めていた。
市は取材に「通知には『より適正な運用を図るため』とあるが、
市として誤った運用をしてきたとは認識していない。
法令の改正で施行日以降を対象にするのは一般的なことだ」と答えた。
また、北橋健治市長は14日の定例会見で「(森下さんの事案は)裁判で係争中で、
あえて対象としていない」と述べた。
総務省は「非常勤職員や遺族と自治体が争うような事態をなくし、
より適切な救済のために通知を出した」とする一方で、「通知を受けての運用は各自治体の判断だ」とした。
眞由美さんは市の対応について
「裏切られた思い。同じ立場の人たちも切り捨てられることになり、残念だ」と話した。
労働法に詳しい脇田滋・龍谷大名誉教授の話
自治体の非正規職員の労災認定手続きはこれまで不明確で、明らかに不備だった。
その是正のために総務省が通知を出したのに、過去にさかのぼって適用しない北九州市の対応は、
不備によって生じた不利益を放置するもので、妥当ではない。
過去の事例についても権利が回復されるべきだ。
(再掲)非常勤の労災請求、認定の仕組みを 総務省が全国に要請
2018年8月31日 朝日
自治体で働く職員が仕事上の原因で病気やけがをした際の公務災害(労災)認定について、
総務省は、非常勤職員も認定を請求できる仕組みを整えるよう全国の自治体に求めた。通知は7月20日付。
一部の自治体では非常勤職員に認定請求の権利を認めない運用をしており、
常勤職員との格差が問題となっていた。
非常勤職員(現業部門などを除く)の労災認定制度は、各自治体が条例で定めるとされ、
旧自治省が1967年に自治体に示した条例のひな型が基本となっている。
ひな型には非常勤職員本人や遺族らによる請求手続きが盛り込まれておらず、
自治体が自ら認定の判断をしない場合の対応は不明確だった。
このため、一部の自治体は条例上、職員側に請求権はないとの立場をとっている。
うつ病になり、2015年に亡くなった北九州市の元非常勤職員の事例でも、
市が遺族の労災請求を拒んでいた。
一方、常勤職員は、第三者機関の地方公務員災害補償基金に労災請求の手続きを
とるよう法律で定められている。
総務省は今回、条例の運用を定める施行規則を改正したひな型を示し、
都道府県を通じて全国の自治体に対応を要請。
各自治体の条例施行規則に、非常勤職員やその遺族からも労災認定の申し出(請求)が
できることを明示する▽不認定の場合も理由などを示す▽不認定の場合、
不服申し立ての手段を伝える――などを盛り込むよう求めた。
この問題をめぐっては、北九州市から労災請求を拒まれた遺族が市に
補償などを求める訴訟を福岡地裁に起こし、係争中。
今年7月初め、遺族が野田聖子総務相に問題を訴える手紙を出し、
同月中旬、野田氏から遺族のもとに見直しを確約する返事が届いていた。
総務省の担当者は、非常勤職員側からの請求手続きがひな型になかった理由を、
「自治体は労災請求がなくても自ら把握できる」と説明。
今回の対応については「自治体によってひな型の見方が異なる場合もあり、
施行規則で明示することにした」と話している。
NPO法人官製ワーキングプア研究会(東京)が今春に実施したアンケートでは、有
効回答の139自治体のうち、
114自治体が非常勤職員からの労災請求を認める一方、23自治体が認めていなかった。
公務災害
公務員が、仕事が原因でけがをしたり病気になったりすること。民間企業で働く人の労働災害にあたる。
地方公務員の場合、各都道府県と政令指定都市に支部がある地方公務員災害補償基金が、
公務災害にあたるかを決める。
認定されると、治療費などが出る。基金のもとになるお金は自治体などが出している。
過労による精神疾患は、仕事内容や勤務時間をもとに総合的に判断する。
月100時間以上の時間外勤務を1カ月以上続けた場合などは、認定される可能性がある。
国家公務員の場合は、所属する省庁が人事院と協議して判断する。(2013-02-22 朝日新聞)